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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

オーティス・クレイで踏み込む深南部

2010-07-15 16:49:00 | Soul

Trying To Live My Life Without You / Otis Clay (Hi)

サイケおやじの洋楽歴は結局、ベンチャーズからのエレキブームとビートルズを端緒とするロックやポップスを源にしているので、所謂黒人ソウルミュージックに関しては同時代に流行っていたモータウンサウンドやその他のR&Bよりも、サイケデリックブームからダイレクトに続いたと思われるニューソウルにシビレていたのが真相です。

もちろんオーティス・レディングアレサ・フランクリ、レイ・チャールズやサム&デイヴあたりは相当に夢中になって聴いていましたし、ジェームス・ブラウンも、またしかりです。

しかしそれは洋楽ヒットパレードという表の世界の出来事で、実は裏の世界にはディープソウルと呼ばれる黒人R&Bの深~~い奥の細道があり、中でもアメリカ南部系の所謂サザンソウルは恐ろしいほどの魅力!?

それをサイケおやじに気づかせてくれたのが、1973年に世に出たという、本日ご紹介のLPでした。

歌っているオーティス・クレイはミシシッピ生まれというコテコテの南部黒人で、少年時代からゴスペル歌手として活動していたところから幾つかのレコーディングも残しているようですが、世俗のR&Bを歌うようになったのは1960年代中頃、二十代前半の時期だったそうです。

しかしその頃に発売された楽曲はアメリカでも小ヒットでしたから、日本でレコードが出ていたのか否かは知る由もありません。それでもコアなマニアから熱い注目を集めていたのは間違いなく、実は1970年代末になって我国でオーティス・クレイが局地的にブレイクした時、サイケおやじはラジオでそうした初期の録音を聴くことが出来たのですが、そこに強く残されるストロングな余韻からは、まさに本物の良さが痛感されました。

で、サイケおやじがこのアルバムを始めて聴いたのは1975年の事で、既に述べたように当時は黒人音楽といえばニューソウル系に夢中だったんですが、そんなところから知り合いになった年上の友人から、こういうのも凄いもんだよ、と教えられたのが、ディープなサザンソウルの世界でした。

しかも件の友人が私に聴かせてくれたのは、本場アメリカで売られていた45回転のシングル盤がメインのホットなコレクションでしたから、その音の迫力と本物に接しているという感動は筆舌に尽くし難いものがあったのです。

う~ん、思わず唸るサイケおやじ◎!■▲?★♪~♪

当然、忽ち夢中にさせられる世界でした。

しかし、そうしたレコードはその頃、容易に入手出来るものではありません、

そこでアドバイスされ、まずはゲットしたのが、当時は全く知らなかった本日ご紹介のアルバムだったのです。

 A-1 Trying To Live My Life Without You
 A-2 I Die A Little Each Day
 A-3 Holding On To A Dying Love
 A-4 I Can't Make It Alon
 A-5 That's How It Is
 B-1 I Love You, I Need You
 B-2 You Can't Keep Running From My Love
 B-3 Precious Precious
 B-4 Home Is Where The Heart Is
 B-5 Too Many Hands

おぉ~、まずはいきなりシビレさせられるのが、A面ド頭収録の「Trying To Live My Life Without You」です。

なにしろ針を落とした瞬間、低い重心のソリッドなドラムスが鳴り響き、完全にツボを刺激してくれるホーンリフに導かれ、グッと苦みの効いたオーティス・クレイのボーカルが表現するのは、所謂メンフィスのスタックスサウンド直系という真っ黒な世界です。

しかも意外なほどにしなやかなリズム隊のグルーヴ、また甘さを含んだギターやキーボードの隠し味が、聴くほどに緻密で力強く、また女性コーラスの華やかな猥雑性も良い感じ♪♪~♪

そして全体から強く滲んでくるゴスペル風味は、隠しようもありません。

もう、この1曲だけで完全KO状態は請け合いですっ!

ちなみに以前にも書いたことがありますが、サイケおやじがこのアルバムに出会ったのと同時期、ロッド・スチュアートがワーナー移籍後の日本独自初シングルとして出した「Three Time Loser」が、なんとこの「Trying To Live My Life Without You」とクリソツな雰囲気!?

結論から言えば、その該当曲のみならず、当時のロッド・スチュアートの元ネタは、このアルバムといって過言ではないほどです。

そのあたりは「Holding On To A Dying Love」や「Home Is Where The Heart Is」でさらに顕著ですし、ストリングスの使い方までも含めて、実はロッド・スチュアートが前述のワーナー移籍後のレコーディングセッションを、その一部ではありますが、メンフィスで敢行されたという経緯も理解出来るところじゃないでしょうか。

ただしオーティス・クレイの歌手としての実力が、完全にロッド・スチュアートを凌駕しているのは、人種的な壁なんか問題にするまでもなく、このアルバムを聴けば納得する他はありません。

特に粘っこいスローグルーヴにおけるハードボイルドな泣きの表現は絶品で、「I Die A Little Each Day」や「I Love You, I Need You」といった、幾分露骨な愛の表現を含む歌詞の世界を苦い悔恨のパラードに仕立て上げる、そのボーカルの力量は最高ですよ♪♪~♪

また、タメの効いたビートを活かす唱法も素晴らしく、「I Can't Make It Alon」や「You Can't Keep Running From My Love」の何気無さを当たり前だと思ったら、完全にバチアタリでしょう。

ですから如何にもサザンソウルらしさが充満した「That's How It Is」や「Precious Precious」に思わずこみあげるものを感じたとしても、それはオーティス・クレイの思うツボ♪♪~♪

ちなみに演奏を担当しているのはティーニー・ホッジス(g)、チャールズ・ホッジス(key)、リロイ・ホッジス(b)、ハワード・グリムス(ds) といった、所謂ハイ・リズムに加えて、1960年代からのメンフィスソウルのキモを作り出していたウェイン・ジャクソン(tp) とアンドリュー・ラプ(ts) が主体となったメンフィスホーンズなんですが、ここではゴリゴリした表現よりも既に述べたように、しなやかさを大切にした、なかなか繊細なバッキングも成功の秘密かもしれません。

と同時に、ストリングの使い方がニューソウル風味に傾いている瞬間が要注意じゃないでしょうか。

そんなところからオーラスの「Too Many Hands」が、かなりファンキーに歌われるのは次回へ続くお楽しみの予告篇だったのかもしれず、実にジャストミートの締め括り♪♪~♪

ということで、全く捨て曲無しの大名盤!

極言すれば、これだけ充実した内容のサザンソウルアルバムは、そう簡単に見つかるものではありません。まさに完全無欠!

ですから1970年代末頃になって我国にサザンソウルのブームが到来した時、このアルバムが「愛なき世界で」の邦題で紹介され、いきなりの優良推奨盤になったのもムペなるかなではありますが、そのきっかけは昭和53(1978)年の来日公演だったと言われています。

残念ながらサイケおやじはそれに接していませんが、実はこの時は既に人気を集めていたO.V.ライトの代役だったという瓢箪から駒!? 真摯で熱いステージは完全に観客を圧倒し、そこから作られたライプアルバムも決定的な名盤になっているほどです。

ちなみに日本でのそうした流行は、やはり局地的というか、ロックファンに比べれば明らかにマニア性感度の高いものでした。

しかしそこに火がついたのは、昭和52(1977)年頃に突如として我国で復刻されたジェームス・カーという黒人歌手が1967年に出したアルバム「ユー・ガット・マイ・マインド・メスド・アップ(Goldwax)」で、これはもう、サザンソウルの全てが集約されている聖典なんですが、ご存じのように、その頃の黒人大衆音楽はブルースにしろ、R&Bにしろ、最初からLPメインで作られていたのは極わずかです。つまりシングル曲の寄せ集めというのが、アルバムの正体でした。

それが1970年代になると、一発のヒットが出ればもちろんのこと、有能な歌手やグループは完全にアルバム中心主義に移行し、例えばニューソウル系のミュージシャンになると、シングル盤を軽んずる傾向さえ表れていたのですから、そんな中で実直にひとつの歌と曲を大切する姿勢が強いオーティス・クレイがブレイクするのは、まさに温故知新だったのです。

そして以降、オーティス・クレイは何度かの来日公演も行い、驚いたことには「いとしのエリー」なんていう歌謡曲さえ歌うほどの人気者になるのです。

まあ、このあたりはレイ・チャールズもやっていますから、なんとも言えませんが、それを非難するファンが多いのも事実です。しかし今も元気で巡業活動をやっているらしいオーティス・クレイが、サザンソウルの魅力を我国に伝えた貢献は否定出来ないでしょう。

そういう分野をこれから聴いてみようと思われる皆様には、本日の1枚を強く推薦させていただきます。

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ガタッガタッのオーティス・レディング

2010-06-16 16:50:39 | Soul

Otis Redding In Person At The Whisky A Go Go (Atoc)

真にグレイトなソウルシンガーだったオーティス・レディングにサイケおやじが出会った時、その偉人は既に天国へ召されていました。

それは初めて「The Dock Of The Bay」を聴いた時からの運命でしたから、新録が出ないのなら後追いで楽しむ覚悟は決めたものの、当時は直ぐに全てを集めるなんてことは経済的な事情から出来るはずもなく、そこでベスト盤を楽しんでいたのですが、そんなある日の昭和47(1972)年、フィルムコンサートでオーティス・レディングのライプパフォーマンスに接したのも、また運命でした。

それは1967年に開催されたモンタレーフェスティバルでの歴史的なステージだったんですが、とにかく熱気と情熱に満ち溢れた歌とアクションには完全KOされましたですねぇ~♪

ちなみにフィルムコンサートとは文字通り、ロックやR&Bの洋楽スタアが歌って演じるフィルムを映写する催し物で、画面や音響は映画館と変わらないシステムが入れられていましたから、外タレのコンサートが今日ほど普通ではなかった昭和40年代には、レコード会社やファンクラブが主体となって盛んに行われていたのです。

もちろん有料と無料の区別とか、客層の良し悪し等々が当日の盛り上がりに大きく関係してくることは言わずもがな、例えばストーンズがメインになると、始まる前から酒で乱れて暴れる奴とかも多かったですし、女の子が多い時には鑑賞よりもナンパ目的の軟弱男が大勢集まり、今となっては、ある意味で顰蹙寸前のイベントだったかもしれませんね。

で、そこで「動くオーティス・レディング」に深く感動したサイケおやじは、ど~してもライプ盤が聴きたくなり、その帰り道、銀座にあったハンターという中古屋でゲットしたのが、本日ご紹介の1枚です。

 A-1 I Can't Turn You Loose
 A-2 Pain In My Heart
 A-3 Just One More Day
 A-4 Mr. Pitiful
 A-5 Satisfaction
 B-1 I'm Depending On You
 B-2 Any Ole Way
 B-3 These Arms Of Mine
 B-4 Papa's Got A Brand New Bag
 B-5 Pespect

ご存じのようにオーティス・レディングのライプ盤といえば、ブッカーT&MGs を従えた1967年録音の「イン・ヨーロッパ」が決定的な傑作とされていますが、こちらはそれ以前の1966年春頃のステージで、しかも自前のツアーバンドがバックですから、一般的な評価は低いとされています。

しかし私は先に聴いた所為もあるんでしょうが、相当にこちらが好きで、演目の安定度や面白さも日常的なところが結果オーライ♪♪~♪

今では有名になった躍動的なリフが最高の「I Can't Turn You Loose」では、例の「ガタッガタッ」と合の手を入れてシャウトしまくるオーティス・レディングの汗ダラダラの姿が目に浮かんできますし、そのラストから間髪を入れずにスローダウンし、グッとタメの効いたファンキーソウルなコブシを唸る「Pain In My Heart」への流れには、何度聴いても感涙させられます。

ちなみに、ここでのバックバンドはドラムス、ベース、ギターのシンプルなリズム隊にトランペットやサックス、トロンホーンのホーンセクションが5人という、なかなか現場主義で鍛えられたコンビネーションがオーティス・レディング持ち前の歌とアクションにジャストミート!

例えば無謀にもジェームス・ブラウンの十八番を演じた「Papa's Got A Brand New Bag」では、オリジナルの都会的なシャープさよりも、如何にも南部の熱風に茹だったようなイナタいノリが味わい深いですよ。

それと何時だったかキース・リチャーズが告白したとおり、「ストーンズよりはオーティスの方が好き」という証明が、ここでのライプバージョン「Satisfaction」じゃないでしょうか?

後年、一部で言われているような白人に迎合するオーティス・レディングというような部分が、このライプ盤ではそれほど感じられないのも高得点♪♪~♪

ただし近年出た未発表テイクまでも纏めたCDのプックレットには、そのあたりを覆すような文章や写真もありましたので、一概には……。

まあ、それはそれとして、ハリウッドにあったウイスキー・ア・ゴー・ゴーという、あまり大きくない小屋でのライプですから、一応はステレオ録音ながら、微妙に音が回りきったミックスが往年の雰囲気を強く感じさせます。

それと前述した集大成CDで明らかになったんですが、やっぱりこのアナログ盤LPに収録されたトラックの中には編集が施されたものが幾つかあります。しかしそれが絶妙の流れを作っていることは否定出来ません。

賛否両論のアルバムかもしれませんが、私は好きです。

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スティーヴィー・ワンダーの覚醒

2010-06-06 17:05:10 | Soul

I Was Made To Love Her / Stevie Wonder (Tamla)

サイケおやじは所詮、後追い体質ですから、1970年代に入ってスティーヴィー・ワンダーの過去を探索鑑賞することも潔し! と自己満足していました。

そこで出会ったのが本日ご紹介の1枚なんですが、当時はあまり決定的に分からなかった所謂モータウンサウンドの秘密を垣間見たような気分が、なかなか新鮮なアルバムでした。

 A-1 I Was Made To Love Her / 愛するあの娘に
 A-2 Send Me Some Lovin'
 A-3 I'd Cry / 泣きたい気持
 A-4 Everybody Needs Somebody (I Nees You) / 誰もが愛を求めてる
 A-5 Respect
 A-6 My Girl
 B-1 Baby Don't You Do It
 B-2 A Fool For You
 B-3 Can I Get A Witness
 B-4 I Pity The Fool
 B-5 Please, Please, Please
 B-6 Every Time I See You I Go Wild

上記収録の演目から一目瞭然、1967年にスティーヴィー・ワンダーが放った大ヒット「愛するあの娘に」をメインに、例えばリトル・リチャードの「Send Me Some Lovin'」、アレサ・フランクリンやオーティス・レディングで有名な「Respect」、モータウンを代表するテンプスの「My Girl」、さらにはレイ・チャールズの「A Fool For You」やジェームス・ブラウンの「Please, Please, Please」といったR&Rの古典カパー曲が興味をそそるプログラムは、このアルバムそのものが急造だった事情を物語るところでしょう。

しかしそれらは決してストレートなコピーカパーではなく、随所にスティーヴィー・ワンダー独得の歌いまわしやサウンドの雰囲気が濃厚に楽しめるのです。

特に「Send Me Some Lovin'」は、最初にヒットさせたリトル・リチャードの粘っこい泣き節バージョンを知っていれば尚更に印象的で、自由奔放に蠢きまくるエレキベース、ジャズっぽいピアノやドラムス、そしてゴスペルフィールが満点のコーラスとホーンを従え、全く自分の「節」で歌ってしまうスティーヴィー・ワンダーの独壇場! 飛び跳ねるビートの隙間を埋めていくチャラチャラしたリズムギターも良い感じ♪♪~♪

本当にこれで目が覚めたという気分になりましたですねぇ~~♪

それはオリジナルバージョンのヘヴィなビートを逆手に活かした「Respect」、また同族企業の背任行為みたいな「My Girl」の化けの皮剥がしという、かなり意地悪なことをやっても決して憎めず、かえってスティーヴィー・ワンダーという歌手にして優れたサウンドプロデューサーの萌芽が、すっきりと楽しめるのです。

ちなみにアルバム全体のプロデュースはジャケットに記載されていませんが、おそらくはスティーヴィー・ワンダーをデビュー時から支えてきたヘンリー・コスビーと本人が担当したんじゃないでしょうか?

ですから、スティーヴィー・ワンダーが自作自演の大ヒット「愛するあの娘に」はもちろんのこと、「泣きたい気持」や「誰もが愛を求めてる」といった知る人ぞ知る人気オリジナル曲にしても、絶対にツボを外していません。

中でも「愛するあの娘に」は流石に強い印象を残す名唱名演で、せつない響きのハーモニカが抜群のイントロになって以降はエレキベースの凄いドライヴ感を主軸に、ひとつのキャッチーなフレーズを如何様にも膨らませてくアレンジと情熱のボーカルがジャストミート! ホーンやストリングで重層的に作られたカラオケパートも永久保存でしょうねぇ~♪

しかもアルバム全体に濃厚な黒っぽい感覚は出色で、特にB面はそれが顕著!

重心の低いグルーヴと粘っこいビートがスティーヴィー・ワンダーの歌唱を煽る「Baby Don't You Do It」、ジャズブルースっぽい「A Fool For You」は明らかにレイ・チャールズへの敬意を露わにし、さらにはジェームス・ブラウンの足元にも及ばない稚拙な「Please, Please, Please」をここに収めてしまったのは、売れセン狙いはあったとしても、同じ黒人歌手として、若いなりの矜持があったんじゃないでしょうか?

ご存じのように、スティーヴィー・ワンダーは盲目の天才少年歌手として、12歳だった1963年に大ブレイクしたのが最初のピークでしたが、やはりそこにはキワモノ的な扱い方が一般的だったと思います。

実際、巡業や映画出演で一般大衆の前に出る時は、相当に屈辱的な演出もあったと言われていますが、スティーヴィー・ワンダー本人がどのように思っていたかは知る由もありません。

ただ、そうやって広がっていた世界の中で、白人達の才能や音楽にも素直に接することが出来たのは、そういうハンデの逆説的な結果だったことは想像に易いんじゃないでしょうか。

それはビートルズやストーンズといった英国産のビートバンドであり、またサイケデリックロックやボブ・ディランの世界だったことが、リアルタイムで作られていたスティーヴィー・ワンダーのレコードで確実に実証され、リスナーを喜ばせるのです。

実際、1966年の大ヒット「Up Tight」は明らかにストーンズの「Satisfaction」を下敷きにしたと本人も告白していますが、そのストーンズが実はモータウンサウンドをロック的に解釈していたのは、デビュー当時から隠しようなかったという、まさに鶏と卵の関係!?

ですからストーンズが1972年に敢行した北米巡業の前座にスティーヴィー・ワンダーが入り、フィナーレのアンコールでは両者がジョイントで「Up Tight~Satisfaction」のメドレーを演じていたのも、まんざらではありません♪♪~♪

そのあたりサウンドの進化過程が、このアルバムにはぎっしりと収められているのです。

ちなみに当然ながら私有はステレオ盤で。それゆえにモノラルミックスのシングル盤では団子状で分かりにくかったバックの演奏パートがすっきりと分離していますから、後にファンクブラザーズと呼ばれるモータウンお抱えのスタジオミュージャン練達の技、また有機的に機能したアレンジの妙が本当に楽しめますよ。

しかし決定的なのは、何を歌っても「スティーヴィー節」にしてしまう、スティーヴィー・ワンダー本人の歌唱です。その印象の強さは、天才少年から自分の境遇と才能を自覚した青年期ならではの、もどかしい情熱に支配されている雰囲気もあって、私は大好きなのです。

ということで、スティーヴィー・ワンダーの名作群の中では目立たない1枚でしょう。また、それゆえの愛着度があるかと問われれば、決してそうでもないんですが、レコードに針を落とせば、必ずや裏面も聴きたくなるのが必定!

そういう不思議な中毒性を秘めた隠れ名盤だと思います。

そしてサイケおやじがストーンズと同列にスティーヴィー・ワンダーが好きなのも、しっかりと納得出来るのでした。 

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スティーヴィー・ワンダーの完成美

2010-05-21 16:48:48 | Soul

Innervisons / Stevie Wonder (Tamla)

あまりにも有名なスティーヴィー・ワンダーの代表作で、1973年度のグラミー賞では「最優秀アルバム賞」まで獲得した名盤ですから、その内容の充実は今更述べるまでもないと思います。

 A-1 Too High
 A-2 Visions
 A-3 Living For The City / 汚れた街
 A-4 Golden Lady
 B-1 Higher Ground
 B-2 Jesus Children Of Ameria
 B-3 All In Love Is Fair
 B-4 Don't You Worry 'Bout A Thing / くよくよするなよ
 B-5 He's Misstra Know-It-All

しかし天の邪鬼なサイケおやじは、発売された直後にゲットし、聴きまくっていながら、その出来過ぎた素晴らしさと歌詞の辛辣さ、さらに周囲の大絶賛にある種の辟易した気分を感じていました。

ですから翌年になっての次作アルバム「ファースト・フィナーレ」が出て以降は、意識的に遠ざかっていた時期もあったんですが、折しも我国ではその間にニューミュージックなんていう日本語ロックとお洒落なフォークがミックスされた歌謡曲の新しい形態がブームとなり、このアルバムからのアイディア流用が夥しく散見されるようになると、またまた本家が聴きたくなるという、正逆の天の邪鬼がサイケおやじの悪い癖です。

まず冒頭、重いビートと不穏なスキャットに導かれて歌い出される「Too High」の印象の強さは圧倒的で、実に新主流派のドラムスやせつさなが滲むハーモニカはスティーヴィー・ワンダーがオーバーダビングで作り出した独り舞台なんですが、何の違和感もありません。というか、おそらくは悪いクスリに頼った刹那的な快楽主義を痛切に否定する歌詞の内容を知ってしまえば、尚更に歌と演奏の濃密さに圧倒されてしまうのです。

ちなみにアルバムは見開きジャケットで、その中面には歌詞が掲載されているのも、世界中の人に自分のメッセージをダイレクトに伝えたいというスティーヴィー・ワンダーの意図なんでしょうねぇ。もちろん収録全曲が本人のオリジナルですし、既に述べたように、各種キーボードはもちろんの事、ドラムスやハーモニカを自在に演じ、まさに思うがままに作られたがゆえの傑作だと思います。

そしてギターやベースの助っ人も適材適所に配された中にあっては、続く2曲目「Visions」のイントロからグッとメロウな情感を滲ませるデヴィッド・T・ウォーカーのギターが良い感じ♪♪~♪ さらにウッドベースやアコースティックギターも上手い使い方ですから、スティーヴィー・ワンダーの神妙な歌唱もイヤミになっていません。

実はこのアルバムもまた恒例というか、アナログ盤LP片面毎に収録されたトラックの曲間は無いに等しく、それゆえに計算されつくした美しき流れがありますから、まずはここが最初の桃源郷♪♪~♪ 本当に酔わされますねぇ~♪

そしてとても黙っちゃいられないという都市生活の辛酸を熱く歌った「汚れた街」では、ストリートのざわめきや猥雑なコーラスと多重層シンセで作り出したクールなファンクビートを完全融合させるという荒業が見事に成功し、虚無的なピアノで始まる「Golden Lady」へと繋がる流れは本当に快感♪♪~♪

また、その「Golden Lady」にたっぷり詰め込まれているニューミュージックの元ネタ探しも、今となっては楽しい限りでしょうねぇ~♪ 思わずニヤリとさせれる瞬間が山のようにあるんですよ。もちろん白人AORに与えた影響も計り知れないと思うばかりです。

さらにB面が、これまた凄いんですよ。

思わずボリュームを上げて大音量で聴きたくなる「Higher Ground」は、シンセファンクの決定打でありながら、決して無機質ではない熱血が共感を呼ぶと思いますし、歌われている内容が、人の世の刹那と前向きな希望であればこそです。

それはキリスト教が主流ではない日本人には、ちょいと大袈裟な歌かもしれない「Jesus Children Of Ameria」であっても、こみあげてくる思いを媚薬的なコード進行で表現していくスティーヴィー・ワンダーならではの「節」とゴスペルライクな自然体のコーラス、ファンクなビートとリズムがそこにありますから、もう素直に熱くさせられる他はありません。

あぁ、聴くほどにグッと魂が高揚してきますっ!

ですから邦題がズバリ、「恋」と題された素直すぎるラヴソング「All In Love Is Fair」が、例え歌詞に哲学的な描写があろうとも、せつせつと心に響いてくるのでしょう。

いゃ~、本当に曲の流れが抜群のアルバムだと思いますねぇ~♪

そしていよいよ始まるのが、皆が大好きな「くよくよするなよ」で、ご存じ、ラテンリズムが硬質なピアノリフとジャストミートの享楽を生み出し、歌と演奏が進むにつれて実にリラックスしたグルーヴを発散させていきますから、スティーヴィー・ワンダー自身も楽しんでいるかのような歌いっぷりが♪♪~♪

ちなみにこの曲は、当時からクロスオーバー&フュージョン派のジャズプレイヤーに演奏されることも多く、いろんな名演が残されていますが、アルバム全体に隠しようもないジャズっほさが特に顕著に表れた1曲かもしれません。

その意味でオーラスの「He's Misstra Know-It-All」は正統派ポップスと呼んでも違和感の無い名曲名唱で、スティーヴィー・ワンダーが常日頃から堂々とやってしまうビートルズっぽさ、とりわけポール・マッカートニー風味が強く出ていますから、ついついニンマリしてしまうのです。

ということで、捨て曲無しの名作に違いはないのですが、率直に言えば、今となっては前作「トーキング・プック」に比べて、妙に刺戟が少ないと感じられるかもしれません。

しかしそれは、この「インナーヴィジョンズ」で表現されたサウンドやメロディが、現代では馴染み過ぎるほどに当たり前となった証じゃないでしょうか。所謂ニューソウルの代表作としての存在感以上に、世界標準となった人類遺産かもしれないのです。

まあ、こんな感慨は常に大袈裟なサイケおやじだけの思い込みでしょうが、それにしても歌詞の内容の普遍性は強烈で、これはぜひとも聴くなり、あるいはジャケットに掲載されたものを読むなりして、じっくりと味わってほしいところです。

ちなみに当然ながら全篇のサウンド作りとプロデュースは、これ以前の「心の詩」から続くもので、シンセサイザーの多角的な使用にはマルコム・セシルとロバート・マーゴレフという強力な参謀がついているのは有名ですが、それが無機的になっていないのは、スティーヴィー・ワンダーが自ら叩くドラムスのカッコ良さがあればこそじゃないでしょうか。本当にファンクでジャジー、ロックビートを巧み取り込んだリズムのキメは、独自の音楽性と完全に融合し、ここにスティーヴィー・ワンダーのひとつの到達点が示されているように思います。

そのあたりがサイケおやじを天の邪鬼な気分にさせてしまうポイントなんですが、つまり美し過ぎる美女を前にした弱気の男という、実に卑屈な自分を感じてしまうのでした。

好きな音楽を愛するって、案外と苦しいもんですねぇ……。

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メリー・クレイトンの充実

2010-05-15 17:01:26 | Soul

Merry Clayton (Ode)

如何にもブラックスプロイテーションなジャケットも印象的ですが、これは私の大好きなメリー・クレイトンの公式には2作目のリーダーアルバムです。

発売されたのは1971年秋と言われていますが、当然ながら私は前作「Gimme Shelter」同様、後追いで聴きました。そしてこれまたシビレが止まらくなったのは至極当然! それはもちろん、前作同様のプロデュースと参加メンバーの的確なバックアップを得て、尚更に熱いエモーションを発散するメリー・クレイトンの見事な歌いっぷりがあればこそです。

また演目、その選曲の素晴らしさには、思わずニンマリ♪♪~♪

 A-1 Southern Man
 A-2 Walk On In
 A-3 After All This Time
 A-4 Love Me Or Let Me Be Lonely
 A-5 A Song For You
 A-6 Sho' Nuff
 B-1 Steamroller
 B-2 Same Old Story
 B-3 Light On The Hill
 B-4 Grandma's Hands
 B-5 Whatever

まずA面ド頭からして当時、日の出の勢いだったニール・ヤングの代表作! それをここまで堂々とエグ味を効かせながら歌ってしまうメリー・クレイントンには、いょ~、姐御っ! と思わず掛け声が飛ぶんじゃないでしょうか。

ちなみにこのトラックを含むアルバム全篇でグツグツに沸騰しているバックの演奏は、ビリー・プレストン(key,vo,arr)、ジョー・サンプル(key)、キャロル・キング(key,vo,arr)、ジェリー・ピータース(key,arr)、デヴィッド・T・ウォーカー(g)、ウェルトン・フェルダー(b)、ポール・ハンフリー(ds)、ゲイリー・コールマン(per)、ボビー・ポーター(per)、カーティス・アーミー(ts,fl) 等々、ハリウッドの芸能界やソウルジャズ系のセッションではお馴染みの面々ばかりですし、特にコーラスにはゴスペルコーラスの大物グループだったジェームス・クリーブランド聖歌隊が参加していますが、これはキャロル・キングの「つづれおり」人脈に加えて、メリー・クレイトンが長い下積みで培った繋がりも大きいのかもしれません。

ですからキャロル・キングが「Walk On In」「After All This Time」「Same Old Story」という書き下ろしの3曲を提供しているのは興味深々で、もちろんメリー・クレイトンも真摯で成熟した歌唱を聞かせくれますよ。

中でも「Walk On In」はキャロル・キング節が出まくった大名曲♪♪~♪ 穏やかに弾むグルーヴと好ましいメロディの旨味、そしてメリー・クレイントンのツボを押さえたフェイクがたまりません。また「After All This Time」は近年、作者自らのライプバージョンも発掘されているハートウォームな隠れ名曲なんですが、それをじっくりとソウルフルに歌ってしまうメリー・クレイトンの些かの力みが良い感じ♪♪~♪ 加えてデヴィッド・T・ウォーカーのギターも流石の上手さを披露しています。しかし「Same Old Story」は、あまり「らしく」ないゴスペル風の仕上がりが賛否両論でしょうか……。もしかしたらキャロル・キングというよりも、メリー・クレイトンが歌の力でここまで持って行ったのかもしれませんから、その意味では凄いと思いますし、デヴィッド・T・ウォーカーのギターやカーティス・アーミーのテナーサックスには思わず唸ってしまうでしょう。

そして、これもお目当てなのがカーペンターズやレオン・ラッセルでお馴染みの「A Song For You」だと思いますが、全く期待を裏切らない、痛烈にソウルフルな仕上がりなんですねぇ~♪ こちらが思っているとおりのピアノの響き、しぶといエレピの彩りも効果満点ですし、何よりもメリー・クレイトンの歌の力! これに尽きますねぇ。ですからソフトなテナーサックスのアドリブに導かれる後半でのゴスペル大会には、本当に熱くさせられますよ。

さらに雰囲気の良さが受け継がれるように始まる「Sho' Nuff」はビリー・プレストンから提供された、これまたゴスペルソウルのスワンプロック的な展開ではありますが、仕上がってみれば真っ黒なR&Bに他なりません。

ズバリ、熱いです!

それがB面ではジェームス・テイラーの自作自演をカバーしたブルースロック「Steamroller」で、ほとんど悪い冗談のような真っ向勝負!?! う~ん、こんなソウル&ブルースなことをやられたら、白人ブルースロッカーは失業確定でしょうねぇ。

しかし「Light On The Hill」や「Grandma's Hands」という正統派ゴスペルソングでの本気度の高さも圧倒的! スワンプやブルースロックに色目を使う必要もなく、無心に歌うメリー・クレイトンを支えるジェームス・クリーブランド聖歌隊のコーラスワークも潔く、特に後者は黒人シンガーソングライターのビル・ウィザースのオリジナルなんですが、ここではゴスペル風味が尚更に強いムードで、最高!

同じく邦題は「孤独の愛」としてポピュラーヒットになっていた「Love Me Or Let Me Be Lonely」にしても、グッと黒い感覚を前面に出し、しかも早すぎたニューソウルっぽい演奏パートのアレンジが秀逸だと思います。

そうした素晴らしい流れで迎えるオーラスの「Whatever」は、またまたサイケおやじを歓喜悶絶させた魂の歌! サイケデリックロックと伝統の黒人音楽を闇鍋にしたような力強いビートとメロディは、まさにニューソウルであり、現代で言うところのフリーソウルってやつなんでしょうが、なんと作者がレオン・ウェアと知って納得!

実はこのアルバムを入手したのは昭和49(1974)年の晩秋だったんですが、この年はクインシー・ジョーンズの人気盤「ボディ・ヒート」によってレオン・ウェアがジリジリと認識されていましたし、何よりもサイケおやじが夢中! そんな折に聴いた「Whatever」は、まさに自分のストライクゾーンへ剛速球だったんですねぇ~♪ もちろん1971年の時点で、レオン・ウェアが既に素晴らしかったという事実も衝撃でした。

ということで、とにかくメリー・クレイトンの歌唱が最高なのは言わずもがな、全篇を濃密に盛り上げている参加セッションミュージシャンの活躍も特筆されます。特にデヴィッド・T・ウォーカーはジャジーでソウルフル、そしてワウワウやサイケデリック風味の音使いも含めた汎用性の高いプレイを決定的に披露していますよ。またサックス奏者として有名なウェルトン・フェルダーのもうひとつの顔であるエレキベース奏者としての実力侮れず、随所でハッとさせられるフレーズとビートの生み出し方は要注意でしょう。同時にポール・ハンフリーのファンキードラミングとの相性の良さも楽しい限り♪♪~♪

しかしこれだけの充実作も、現実的には売れず……。

メリー・クレイトンは再びセッションシンガーへと戻り、以降はリーダー作も発表していますが、妙に時代に迎合したところが???

というのも、このアルバムも前作も、スワンプロックやニューソウルを強く意識していながら、実はそのどちらにも属さないという独立性が魅力なのです。特に本日の1枚は、ロックというよりも極めて強くソウル色が打ち出され、それでいてロック風味が消えていないというところから、後のAORにも影響を与えたんじゃないでしょうか。

ただしそんな甘っちょろいものを期待すると、メリー・クレイトンの姐さんボーカルにブッ飛ばされますよ。それほどに濃厚なグルーヴがぎっしり詰まっているのです。

CD化もされているようですから、スワンプやニューソウル周辺がお好みの皆様には、強くオススメ致します。

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絶対シビレるダニー・ハサウェィのライブ!

2010-04-23 15:57:20 | Soul

Donny Hathaway Live (Atco)

ジャズでもソウルでもブルースでも、とにかくサイケおやじはシカゴ派が好きですから、ダニー・ハサウェイに到達するのも当然か?

なんて自問自答するまでもなく、1970年代前半に盛り上がった所謂ニューソウルの中でも特に才能豊かだったのが、ダニー・ハサウェイでした。

と、ここで過去形で書かなければならないのは、残念ながらダニー・ハサウェイが既に故人であり、しかも短い全盛期を過ぎての逼塞からカムバック直後に謎の死を遂げたという、本当に非業の人生と残された仕事の素晴らしさが、強烈なコントラストで印象づけられているからです。

で、サイケおやじがダニー・ハサウェイを知ったのは、やはりニューソウルの才女としてメキメキと売り出していたロバータ・フラック経由であり、その彼女とダニー・ハサウェイが魂のデュエットを繰り広げた名盤アルバム「ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイ (Atlantic)」を聴いてからのことでした。

それは昭和48(1973)年、もちろんロバータ・フラックが「やさしく歌って / Killing Me Softly with His Song」のウルトラメガヒットを放った後でしたから、目的は完全にロバータ・フラックだったんですが、R&Bの世界では至極当たり前のこうしたデュエット企画でありながら、そこには何かしら新しいものが感じられ、そのポイントがダニー・ハサウェイという、当時の私は全く知らなかった天才の存在に出会えたのは幸運でした。

もちろんロバータ・フラックは、クラシックや現代音楽の素養があってのソウルやジャズのフィーリングを巧みに表現するミュージシャンでしょうし、ダニー・ハサウェイにしても似たような資質とキャリアがあるのは言わずもがなです。

ただし所謂知性派というには、もっとジャズっぽいというか、内側からこみあげてくるようなソウル! そうしたクールで熱いものがダニー・ハサウェイには感じられるのです。

そこで意を決してゲットしたのが、本日ご紹介のライプ盤なんですが、その思惑は自然体のダニー・ハサウェイを聴きたかったことに尽きます。

そしてこれが、気絶するほどの大当たり!

 A-1 What's Goin' On
 A-2 The Getto
 A-3 Hey Girl
 A-4 You've Got A Friend
 B-1 Little Getto Boy
 B-2 We're Still Friends
 B-3 Jeaious Guy
 B-4 Voices Inside

録音は1971年後半とされるのが定説で、しかもA面はロス、そしてB面がニューヨークという、それぞれがそれほど大きくないクラブで行われたと思しきレコーディングが、最高の雰囲気を醸し出したのは結果オーライ♪♪~♪

というよりも、狙いがスバリ直球のストライクだったんでしょうねぇ~♪

主役のダニー・ハサウェイ(vo,key) 支えるのはマイク・ハワード(g)、ウィリー・ウィークス(b)、フレッド・ホワイト(ds)、Earl DeRouen(per) に加えてA面にはフィル・アップチャーチ(g)、そしてB面にはコーネル・デュプリー(g) が特に助っ人として抜群のサポートを演じています。

それは極みつきのソウルグルーヴが渦巻いた「What's Goin' On」からして強烈! ご存じ、マーヴィン・ゲイの代表曲を素材に、ダニー・ハサウェイはクールで熱いエレピのアドリブを主軸に据えた長尺演奏を披露していますが、バックの的確な助演も素晴らしく、全くダレていません。

もちろん独得のメロディフェイクが全開した歌いっぷりは新しい黒っぽさを表現していますし、そのR&Bでもロックでもないフィーリングは、後のフュージョンやファンクをも包括した大名演だと思います。

そしてライプに参集した観客とひとつになって盛り上がって行く以降3曲のノリも最高で、もうこのA面は何度聴いても熱くさせられてしまいます。

対してB面は、些か冷静沈着というか、ジワジワとした熱気が次第にその場を満たしていく過程が好ましく、特に「Little Getto Boy」は、ある種の艶やかな表現が秀逸♪♪~♪ またジョン・レノンが畢生のオリジナル「Jeaious Guy」にしても、ダニー・ハサウェイならではの節回しがイヤミになっていません。

ちなみにロッド・スチュアートが歌う同曲は、明らかにダニー・ハサウェイのこのバージョンを下敷きにしていると思うのは私だけでしょうか? 例えば1974年に出た「ロッド・スチュアート・ウイズ・フェイセズ=ライプ(Mercury)」に収録のバージョンと聴き比べるのも興味深々ですよ。

というように同業者にもファンが多いダニー・ハサウェイが、一番尊敬していたのはクインシー・ジョーンズだったそうですから、その意図的に垣根を作らない姿勢は1970年代にはジャストミートだったはずです。

ところが同じような路線を歩んでいたビリー・プレストンやスティーヴィー・ワンダーにセールスの面で勝てなかったことが原因だったのでしょうか、1974年頃からは逼塞期……。

まあ、個人的にはその頃からダニー・ハサウェイの過去の業績を後追いしつつ、リーダー作品やスタッフとして関わった諸々の音源を聴いて行ったんですが、やっぱり黒人一般大衆よりは白人好みという感覚が強く出ていると思います。

後に知ったところでは、ダニー・ハサウェイの祖母はそれなりに有名なゴスペル歌手だったそうですし、本人も幼少時から既にその世界で歌っていたキャリアがありながら、実はクラシックを専攻する音楽教育も受けていたという、なかなか凄い経歴が!?!

そしてカーティス・メイフィールドに才能を認められて以降は、シカゴ周辺のR&Bやジャズのフィールドで頭角を現し、ついにニューソウルの旗頭になったのですが……。

もう後は語ることがせつなくなるほど、残していったリーダー作は濃密で味わい深いものばかり! 中でも、このライプ盤は誰が何と言っても外せない名盤だと思います。

ちなみに同時期のアウトテイク的な音源が後に発売されていますが、やっぱりこのアナログ盤1枚の凝縮された世界が眩しいばかりなのでした。

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スライ・ストーンのライフはロックだぜっ!

2010-03-14 15:04:08 | Soul

Life / Sly & The Family Stones (Epic)

スライ・ストーンの歌と演奏は全てが最高ですから、今日では人気も評価も高く認知されていると思いますが、しかしこのアルバムは、ちょいと影の薄い存在かもしれません。

なにしろ1968年の大ヒット盤「スライと踊ろう」と翌年の超絶ファンク名盤「スタンド」にな挟まれている上に、発売時期がリアルタイムで切迫していたという事情があったからでしょうか。

否、それにしてもここで楽しめる中身の濃さは圧巻というか、ファンクやソウルという以前に極めてロック味も前面に出ていますから、サイケおやじの好みにはジャストミートの1枚です。

 A-1 Dynamite!
 A-2 Chicken
 A-3 Plastic Jim
 A-4 Fun
 A-5 Into My Own Thing
 A-6 Harmony
 B-1 Life
 B-2 Love City
 B-3 I'm An Animal
 B-4 M'lady
 B-5 Jane Is A Groupee

当時のメンバーはスライ・ストーン(vo,key,g,hmc,etc)、フレディ・ストーン(g,vo)、ロージー・ストーン(vo,key)、ラリー・グラハム(b,vo)、グッグ・エリコ(ds)、シンシア・ロビンソン(tp)、ジェリー・マルティーニ(sax) の7人組で、ジャケットからも一目瞭然、黒人と白人の混成グループでした。

しかもスライ・ストーン本人が相当に白人ロック&ポップスに精通しており、このあたりはラジオのDJやプロデューサーとして音楽業界の裏方をやってきた蓄積でしょうし、当時のの流行だったサイケデリックロックを素早く黒人音楽に馴染ませた手腕は、スライ&ファミノーストーンとして正式デビューした1967年から既に顕著でした。

ただし当時のアメリカは黒人公民権運動やベトナム戦争の泥沼という現実的な社会問題がピークに達していた混乱期だったようですから、必然的に流行音楽にも政治的な姿勢が強く求められていた背景を無視出来ないのが、今日までの歴史的な考察になっています。

とはいえ、リアルタイムの我国ではスライ&ファミリーストーンが、どれほど流行っていたのかは記憶にありません。告白すればサイケおやじは、例の映画「ウッドストック」でスライ一味の強烈なパフォーマンスにKOされたのが初シビレだったのです。

そして「スライと踊ろう」というLPを買いましたが、それは他のスライの作品群から比べても、明らかに保守的なR&B色が強くなっていた聴き易さが良かったと思います。だって最初っから「暴動」なんていうアルバムに接してしたら、???の連続だったと思いますよ、当時は。

で、次に買ったのが、この「ライフ」なんですが、聴いた瞬間、うわぁぁぁ~!?! ロックっぽいなぁ~~♪ と思いましたですね。

まずエレギギターが矢鱈前面に出ていますし、そのフレーズやリズムにロック色が濃厚! 加えてホーンの使い方やポップな楽曲構造が、如何にも流行の白人ブラスロックなんですねぇ~。

実は私がこれを初めて聴いたのは1972年でしたから、既にシカゴやBS&Tによってブラスロックの洗礼を受けた後という事情も当然あるでしょう。しかし、この「ライフ」が制作録音されたのは1968年5月という歴史的な事実があって、当時は前述したブラスロックの王者達も未だブレイクする前でしたから、如何にこのアルバムが時代を先駆けていたかが納得出来るんじゃないでしょうか。

個人的には「Plastic Jim」が、なんといってもブラスロックのど真ん中で大好き♪♪~♪ 澄み切った音色でギンギンに弾きまくられるエレキギター、バタバタとロックするドラムスに蠢くベース、そしてカッコ良いブラス! 地味に土台を固めるオルガンも良い感じですし、何よりもロックスタイルのボーカルが黒人音楽としては新しい雰囲気を作り出しているように思います。

しかし流石はスライというか、瞬間的にロック全開のギターイントロからハネたビートを全開させるベースが軸の「Dynamite!」、ファンキー街道驀進の「Chicken」はジェームス・ブラウンのロック的解釈とでも申しましょうか、エレキギターがロックしているのとは逆に重いビートのドラムスが怖いほどですよ。もちろんソウルフルなコール&レスポンスを意識したボーカルリレーにも熱くさせられます。

というように冒頭からの3曲に集約されるファンキーロックな世界は、時には正統派R&Bやモータウンサウンドにも接近しつつ、アルバムの最後まで様々な展開を聞かせてくれますが、それは決して無秩序に収められてはいないと感じます。

ちょっとポール・マッカートニーがやってしまいそうな「Fun」はキャッチーだし、ブラックシネマのサントラの如き「Into My Own Thing」の無機質な熱気、モータウン調の「Harmony」はギターが楽しくて、本当にたまりません。

それはB面にも引き継がれ、グッと前向きの気合いが充実したアルバムタイトル曲「Life」のウキウキした高揚感は、最高です。

ところが続く「Love City」で雰囲気が一変! まさに元祖ニューソウルな、ハードで黒いフィーリングは圧巻ですし、イケイケのドラムスとジャズっぽいフルートの隠し味、さらにエグ味の効いたギターリフ! 全くフェードアウトして終るのが勿体ないほどです。

またファンクなお経節の「I'm An Animal」は好き嫌いがはっきりするかもしれませんが、続く「M'lady」での威勢の良さから、オーラスの「Jane Is A Groupee」で敢然と披露されるサイケデリックロックとソウルミュージックの幸せな結末は、まさに1960年代末の雰囲気がモロ! ほとんどCSN&Yのエレクトリックセットようでもあり、とにかく痛烈にロックぽいエレギギターが重要な鍵を握っているあたりが意味深でしょう。

ということで、こんなに魅力的なアルバムが何故に忘れられたのかと言えば、次に出た「スタンド」が凄すぎましたよっ! この「ライフ」が大好きなサイケおやじにしても、その事実は些かの否定も出来ません。

ご存じのとおりスライ&ファミリーストーンはソウルの中の汎用派であり、デビューアルバムはポップス、セカンドの「スライと踊ろう」はR&B、そして4作目の「スタンド」がファンク! と一言で決めつけるならば、この「ライフ」はロックでしょう。

しかしスライ&ファミリーストーンに過渡期なんて言葉は適用出来るはずもなく、何時だって先端の全盛期だったのでしょう。ですから「暴動」なんていう極北の名盤も作られてしまうんでしょうが、少なくともこの「ライフ」を出していた頃は、煮詰まる前の充実期だったと思います。

そして最後にもうひとつ告白しておくと、これを買ったのは輸入盤のバーゲンセールで、一緒に入手したのが度々タイトル名を出している名盤「スタンド」でしたから、続けて聴けたという贅沢の中に戸惑いも確かにありました。

極言すれば時代性からして、「スタンド」に夢中になった後では、この「ライフ」が物足りないのです……。ところが最近は、「ライフ」の良さがシミジミ分かるといえば不遜かもしれませんねぇ。

とにかく今の気分は「ライフ」であって、そのロックっぽいソウルミュージック、最高!

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ギミー・シェルターで出会ったメリー・クレイトン

2010-01-27 16:20:59 | Soul

Gimme Shelter / Merry Calton (Ode)

1970年代初頭、ロックファンに一番有名だった女性黒人ソウルシンガーはメリー・クレイトンだったでしょう。

何故って?

それは彼女がストーンズの大名盤アルバム「レット・イット・ブリード」のA面ド頭曲「ギミー・シェルター」で、ミック・ジャガーと熱いデュエットを演じ、ほとんど主役を奪ってしまったからに他なりません。

そして忽ち注目を集めた彼女が、ついに単独自演バージョンを収めて1970年に発売したのが、本日ご紹介のリーダーアルバムでした。

 A-1 Country Road
 A-2 Tell All The People
 A-3 Bridge Over Troubled Water / 明日に架ける橋
 A-4 I've Got Life
 A-5 Gimme Shelter
 B-1 Here Come Those Heartaches Again
 B-2 Forget It I Got It
 B-3 You've Been Acting Strange
 B-4 I Ain't Gonna Worry My Life Away
 B-5 Good Girls
 B-6 Glad Thdings

上記演目をご覧になれば、思わず瞠目するのが、例えばジェームス・テイラーの「Country Road」、ドアーズの「Tell All The People」、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」、スプーキー・トゥースの「Forget It I Got It」、ヴァン・モリソンの「Glad Thdings」、そして説明不要というストーンズの「Gimme Shelter」といった、当時バリバリのロックヒットがカパーされていることでしょう。

つまり明らかに白人層にアピールする新しいR&B、所謂ニューソウルを狙ったプロデュースがミエミエなわけですが、こういう動きは当時のアレサ・フランクリンやアイク&ティナ・ターナーが放っていたシングルヒットの例を述べるまでもなく、至極自然な傾向でしたし、古くはオーティス・レディングやスティーヴィー・ワンダー、さらにモータウン所属のグループや歌手にしても、常に堂々とやってきたことです。

しかしメリー・クレイトンにはミック・ジャガーとストーンズという、極言すれば黒人音楽を搾取して大成功した白人バンドの最高峰と共演して、圧倒してしまった実績が強い印象となっていますから、結果的に居直る必要もないという免罪符があったわけで、それは決してコジツケではないと思います。

そして確かに、このアルバムで聞かれる強い黒人ソウルフィーリングと流行ロックの融合は、全く見事過ぎる成果となって、それはスワンプロックへの道標でもあり、また我国のR&B歌謡にも鋭く転用されていく、実にたまらないサイケおやじ好みの仕上がりに♪♪~♪

ちなみにメリー・クレイトンはストーンズとの共演で有名になる以前、自己名義のシングル盤を数枚出したり、レイ・チャールズのバックコーラス隊として抜群の存在感を示すレイレッツでの活動もあったという、黒人音楽業界では知る人ぞ知る実力派でしたし、このアルバムセッションに参集したデヴィッド・T・ウォーカー(g)、ルイ・シェルトン(g)、デヴィット・コーエン(g)、ジョー・サンプル(p,org)、ビリー・プレストン(p,org)、ボブ・ウェスト(b)、ポール・ハンフリー(ds) 等々のメンツは当時のL.A.のスタジオでは腕利きの常連達とあって、全くスキの無い音作りの中にも自然体でリラックスしたグルーヴが満載♪♪~♪

まずA面冒頭の「Country Road」からして、ジェームス・テイラーが醸し出していたファンキーフォークな味わいを尚更に熱く煮詰めた歌と演奏が、良い感じ♪♪~♪ なによりもビシバシにシンコペイトしたリズム隊に完全融合していくメリー・クレイトンの熱唱! というよりも、歌がバックを引っ張れば、それをまたグイグイと煽っていくバックの演奏が強烈ですし、情熱のゴスペルコーラスや厚みのあるブラスアレンジも実に良いですねぇ~♪

まあ、このあたりは当時のレコーディングシステムを鑑みれば、必ずしも一発録りではないはずですが、その熱気の一体感はプロデュースを担当したルー・アドラーの思惑というか、これはあくまでも私の妄想ですが、もしかしたらスタジオの現場ではヘッドアレンジで、ワイワイと楽しんでやっていたのかもしれませんね。

それは同じレーベルで作られたキャロル・キングの初期のアルバムとか、もっと言えばユーミンのデビューアルバム「ひこうき雲」あたりにまでも受け継がれていく、素晴らしきナチュラルグルーヴってやつでしょうか。

実際、ここでは更にガンガンやってしまった「Tell All The People」、しなやかなゴスペルフィーリングがロック的に映える「明日に架ける橋」、脂っこく変質したミュージカル曲の「I've Got Life」あたりは、明らかに白人ロックをソウルジャズで解釈した名演ばかりで、その極みつきが「Gimme Shelter」なのは言わずもがな! あの不安感がいっぱいのというお馴染みのギターイントロから重心の低いリズム隊のグルーヴが炸裂し、オリジナルバージョン以上に熱気溢れるメリー・クレイトンの歌いっぷりは最高♪♪~♪ もちろん執拗に絡みまくりのニューソウルなギター、高揚感満点のコーラス、蠢くベースにドカドカビシバシのドラムスとくれば、血が騒がないほうが不自然というものです。

という感じで、A面は極めてロック色が強いR&Bの新展開が徹底的に楽しめたわけですが、B面では一転して正統派ソウルミュージックとゴスペルファンキーがテンコ盛り♪♪~♪

深いストリングの響きも印象的な「Here Come Those Heartaches Again」は、メリー・クレイトンが本領発揮というゴスペルソウルの決定版ですし、、じっくり構えた「I Ain't Gonna Worry My Life Away」では、彼女の正統派としての実力が遺憾なく発揮されています。もちろん両曲ともに、デヴィッド・T・ウォーカーのギターが味わい深いですよ♪♪~♪

また意外な選曲というか、前述したスプーキー・トゥースの「Forget It I Got It」では、シンプルなリズム隊のグルーヴを基調に直線的なロック感覚とR&B本来の真っ黒な味わいが幸せな結婚に至った名唱名演! このあたりは明らかに同時期のアレサ・フランクリンを意識したことがミエミエなことから、メリー・クレイトンの歌手としての力量が試されている側面もありますが、私は好きです。

それはビリー・プレストンの隠れ名曲「You've Been Acting Strange」にも受け継がれ、本人のアップルバージョンに敬意を表したようなアレンジと演奏が憎めません。う~ん、エリック・クラプトン風味のギターは誰でしょうねぇ~?

気になるオーラスに収められたヴァン・モリソンの「Glad Thdings」は、ワイワイガヤガヤのスタジオの雰囲気を活かしたところから、実に自然にゴスペルロックが歌い出される素晴らしさ♪♪~♪ アルバムの締め括りには、もう、これしかありませんですね。

ということで、ゴスペルソウルでもあり、スワンプロックでもあり、ニューソウルの先駆けでもある歌と演奏ばかりがギッシリと詰まったアルバムで、もちろんストーンズファンにはリアルタイムで御用達の1枚だったわけですが、反面、それほど聞かれなかったのが我国の実情でもありました。それは確か、日本盤のアルバムタイトルが「明日に架ける橋」とされていたことから、通常のR&B系カパー作品集という先入観が強められていた所為でしょうか……。

とにかくヒットしたという感じはしていません。

告白すれば、当時の私にしても、お金が無かった所為もありますが、完全にノーマーク状態だったのが本当のところです。それが後年、キャロル・キングの「ファンタジー」を聴いて目覚めたオード系ソウルジャズの関連盤として、このアルバムの存在を知り、必死で中古屋を漁ってゲットしたのが本日掲載のアメリカ盤というわけです。

もちろんメリー・クレイトンは当時からセッション歌手としても超売れっ子になっていて、夥しい有名ロックスタアのアルバムに参加クレジットがあるとおり、その活動は多岐に渡っていますが、やはりキャリアのハイライトは、このアルバムと続くもう1枚のオード盤「メリー・クレイトン」だと思います。

そしてそこで形作られたソウルファンキーなゴスペルロックこそが、時代の流行としてスワンプロックやニューソウルへと繋がったことは明白で、今だからこそ聴いてワクワクさせられる熱気が愛おしいのでした。

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デラニー&ボニーの正調R&B

2010-01-26 14:16:24 | Soul

Home / Delaney & Bonnie (Stax)

1970年代ロックを聴いていく中で、必ず突き当たるのがデラニー&ポニーという夫婦デュオの名前でしょう。

まあ、今となってはこの2人、失礼ながらそれほどのインパクトも無くなっているんですが、なんといっても1970年代初頭のエリック・クラプトン関連のレコードでは、???と思えるほどに影響力が大きく、また所謂スワンプロックという当時の新しい業界トレンドでは中心的な役割を果たしていたのです。

それはR&Bの白人的解釈の一手段ではありますが、なによりも「ロック」の本筋を大切にしていたことは、その流行の度合いからも明白でした。

しかしデラニー&ポニーは、決して最初っからロック志向ではなく、その出発点には本物のR&Bがあって、それがこのアルバムに色濃く残されています。

このあたりの経緯を述べれば、とても長い物語になってしまうので、拙稿「バングラ・デシ・コンサート始末第5回」前後をお読みいただくとして、今回は端折りますが、デラニー&ポニーのふたりが白人ながら、本物の深いソウルフィーリングを持っていたことは間違いありません。

ですから夫婦デュオで本格的にスタートした頃のスタックスへの録音は、1968年当時の南部ソウルがど真ん中の音作りですし、実際、最初に発売された夫婦自作のシングル曲「It's Been A Long Time Coming」は黒人層に大ウケのスマッシュヒットになっています。そして続けてレコーディングセッションも進むのですが、なんとヒット曲が出てからの巡業では、デラニー&ポニーが白人だったことから混乱が続き、さらに人種差別関連の事件もあって……。

しかし同時期、ジョージ・ハリスンがアメリカでデラニー&ポニーに邂逅し、忽ち息投合したことから、エリック・クラプトンが在籍していたブラインド・フェイスのアメリカ巡業の前座に起用され、事態は好転するのです。

そして元祖スワンプロックの大名盤アルバム「オリジナル・デラニー&ボニー(Elektra)」が発表され、ついに業界主導ながら人気が爆発! イギリス公演ではエリック・クラプトンまでも率先して参加するというお祭り騒ぎのステージが、後に「オン・ツアー(Atoc)」という傑作ライプ盤として発売され、人気はさらに高まるのです。

で、本日ご紹介のアルバムは、そうした盛り上がりに便乗した形で世に出たといって過言ではないのですが、しかし中味は正統派南部ソウルが充満した素晴らしさ♪♪~♪

 A-1 It's Been A Long Time Coming
 A-2 A Right Now Love
 A-3 We Can Love
 A-4 My Baby Specializes
 A-5 Everybody Loves A Winner
 B-1 Things Get Better
 B-2 Just Plain Beautiful
 B-3 Hard To Say Boodbye
 B-4 Pour Your Love On Me
 B-5 Piece Of My Heart

まず特筆すべきは、そのサウンド作りが、あくまでも白人に媚びていない、正統派R&Bということです。ただしメンフィスに本拠地を置くスタックスという会社は経営が白人ですし、スタッフミュージシャンやライターも所謂ホワイトボーイが中心という事実は否定出来るものではありません。

ですから、この音源に関しても、プロデュースはブッカーT&MG'sのドナルド・ダック・ダンとレオン・ラッセルの盟友だったドン・ニックスという、スタックスのメインスタッフだった白人の2人が担当していますし、演奏面では前述のMG's、アイザック・ヘイズやメンフィスホーンの白黒混成バンドが何時もと変わらぬ音を聞かせてくれるあたりが、実に自然体で良い感じ♪♪~♪

実は後に知ったところによると、このアルバムでも冒頭に収録されている「It's Been A Long Time Coming」が1968年にシングルヒットし、その勢いで続く録音セッションが数回行われながら、前述のような現実的なトラブルから、ほとんどは未完成のままになっていたそうです。

それがデラニー&ポニーの突発的ともいえるロック界でのブレイクによって、ここに様々なオーバーダビングや編集を施して作られたのが、このLPだと言われています。

ちなみにデラニー&ポニーの決定的な名盤「オリジナル・デラニー&ボニー(Elektra)」が発売されたのは1969年、続く人気ライプ盤「オン・ツアー(Atoc)」が1970年に売れまくった狭間に、この「Home」が出回りながら、商業的には成功していません。

というよりも、実はデラニー&ポニーは、極言すれば「オン・ツアー(Atoc)」だけが突出して売れたのが実情で、それはエリック・クラプトンや後のデレク&ドミノスのメンバーが揃って参加していたことを抜きには語れないでしょう。

しかしデラニー&ポニーが歌う音楽の素晴らしさは、やはり不滅! そのルーツが、このアルバムに聞かれる正統派南部R&Bであることは重ねて書くまでもありませんし、個人的にもロック風味よりはR&Bに傾倒するデラニー&ポニーも最高に好きです。

まずシングルヒットした「It's Been A Long Time Coming」からして、完全に黒人としか思えないフィーリングが強烈! ヘヴィな8ビートを提供するリズム隊はエグミも満点ですし、メンフィスサウンドを特徴づけるギスギスしたホーン隊のリフもカッコ良く、さらにデラニー&ポニーの歌いっぷりが畢生ですよ♪♪~♪ もう、これ1曲だけで、後はアルバム全篇が一気呵成に聴けてしまいます。

それは同系のR&Bフィーリングが炸裂した「A Right Now Love」や「Just Plain Beautiful」の痛快なノリ、スタックスの看板スタアだったウィリアム・ベルがオリジナルの有名カパー曲「My Baby Specializes」や「Everybody Loves A Winner」での熱い想い、さらにジャニス・ジョプリンのバージョンがロック史に刻まれている「Piece Of My Heart」は、ポニーのまた違う味わいが深い感動を呼び覚ますでしょう。

また夫婦でのハートウォームな節回しが堪能出来る「We Can Love」は、個人的に大好き♪♪~♪

それと「Things Get Better」はデラニー&ポニーのステージでは後々まで大定番となった十八番で、それは前述の「オン・ツアー(Atoc)」にも収録されていますが、そのオリジナルスタジオバージョンもまた、素敵です。完全にロックしていない中途半端さが良い感じ♪♪~♪ そのあたりはカントリーロックの味わいも強い「Hard To Say Boodbye」にも、不思議な魅力として結実しているのですが……。

ちなみにデラニーはエリック・クラプトンにボーカリストしての歌、さらにスライドギターを教えたロック史の陰の立役者なんですが、そのルーツは案外、カントリー系のブルースやポップスにあるのかもしれませんねぇ。ジャケットに写っている小屋はデラニーの生家だった農園の一角にあったそうですし、一緒にいる老人はデラニーのお爺さんなんですよ。

ということで、聴くほどに愛着が深まっていくアルバムだと思います。

なによりも南部ソウルのファンにはマストの1枚でしょうねぇ。もちろん黒人歌手が演じているものほどの脂っこさ、ディープなムードは無いんですが、白人が黒っぽく歌ってこその魅力があるのです。なにしろバックの演奏がオルガンやギター、ホーン&リズム隊の存在そのものが、全くの正統派黒人R&Bですからっ!

スワンプロックを求めるファンには肩すかしかもしれませんが、サイケおやじは愛聴しております。こういう正調節も、愛おしいのです。

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元祖AORのジョニー・ブリストル

2009-11-25 12:03:18 | Soul

Bristol's Cream / Johnny Bristol (Atlantic)

不景気の真っ只中とはいえ、街にはクリスマスツリーやイルミネーションが輝くこの時期になると、日頃は無骨なサイケおやじも、ちょいとお洒落な音楽が聴きたくなります。

そこで本日は、元祖AORの1枚という名盤を取り出してみました。

主役のジョニー・ブリストルはデトロイト時代のモータウンでスタッフライター兼プロデューサーとして活躍した裏方のひとりですが、私がこの人を意識したのは、ボズ・スキャッグスが大ブレイクする直前の1974年に出していた隠れ名盤「スロウダンサー」を聴いてからです。

そのメロウで情熱的なサウンド作りの妙と楽曲構成の上手さは、もちろんボズ・スキャッグスの実力でもありますが、やはりそれ以前の幾分イモっぽかった部分を見事に男の哀愁とセクシーさに変換させてしまったプロデュースの巧みさは、ジョニー・ブリストルの神髄だと思います。

と言うよりも、それまでにジョニー・ブリストルが培ってきた感性が、黒人音楽に憧れたボズ・スキャッグスという白人の実力派を得て、見事に開花したのかもしれません。ご存じのようにモータウンサウンドは黒人R&Bでありながら、実は白人ポップスの味わいを強く取り入れていましたから、それが黒人だけのハートウォームでメロウなフィーリングと結びつけば、それは極上のAORの誕生でした。

そしてついに出たのが、1977年に発売されたジョニー・ブリストル自らのプロデュースによる傑作リーダーアルバム「Bristol's Cream」というわけです。

ちなみにジョニー・ブリストルは当然ながら、モータウンに入る前にも、また辞めた後にも自己名義のレコーディングやシングル&アルバムを幾つか残していたのですが、後追いで聴いたそこには、残念ながら、それほど満足出来るものがありません。

ところが前述の「スロウダンサー」を筆頭に、諸々の歌手をプロデュースした作品が、1974年頃から急激に完成度が高くなっているのです。例えば黒人コーラスグループのタヴァレスが渾身のデビューアルバム「チェック・イット・アウト(Capitol)」は、不滅の金字塔だと思います。

そして肝心のこのアルバムは、もう胸が熱くなって、涙が滲む名曲名唱ばっかりがテンコ盛り♪♪~♪

 A-1 Do It To My Mind
 A-2 I Love Talkin' 'Bout Baby
 A-3 I Sho Like Groovin' With Ya
 A-4 You Turned Me On To Love
 B-1 She Came Into My Life
 B-2 Love To Have A Chance To Taste The Wine
 B-3 Baby's So Much Fun To Dream About
 B-4 Have Yourself A Good Time Thinkin' 'Bout The Good Time

まずA面ド頭「Do It To My Mind」が所謂チャカポコリズムと胸キュンのストリングアレンジ、そしてグッと弾けるキメのフレーズが最高のアレンジで歌われる、まさにアーバンソウルの決定版! 持ち味のハートウォームな歌い回しが冴えるジョニー・ブリストルだけの「節」が、本当に気持良いです♪♪~♪

あぁ、この1曲だけから無数のパクリが生まれたのが、はっきりと納得されますよ。

そして続く「I Love Talkin' 'Bout Baby」は、ほとんどボズ・スキャッグス状態というか、甘い語り口が強いビートのメロウなサウンドで彩られているんですから、たまりません♪♪~♪ もちろん仄かに滲んでくる曲メロの良さも秀逸です。

同じ雰囲気の素晴らしさは、メロウパラードの「You Turned Me On To Love」や西海岸風AORの秘密を垣間見せる「She Came Into My Life」でも存分に楽しめますが、それは演奏パートを担当する凄腕ミュージシャン、例えばジェームス・ギャドソン(ds) やデイヴィッド・T・ウォーカー(g) 等々、聴けば一発のメンツが大集合!

ですから、強いビートの踊れる曲「I Sho Like Groovin' With Ya」にしても、お洒落なフィーリングは決して損なわれることなく、しかもポール・ライザーの流麗なストリングスアレンジも最高ですから、あぁ、いつまでも浸っていたい世界が展開されるのです。

とにかく全曲、アルバムの全てが素晴らしすぎる名盤といって過言ではありません。もちろんソウルフルな味わいは最高潮♪♪~♪

AORが好きな皆様には言うまでもありませんが、これを見事なお手本にした我国のニューミュージックや歌謡曲は数限りなく存在しています。山下達郎も、絶対に好きなはずですよ。

しかしジョニー・ブリストルは、リアルタイムでは決して真っ当な評価は得られなかったと感じています。このアルバムにしても、AORが上昇期に発売されながら、それほど注目のプロモーションがあったわけではなく、実際、売れていたという話も……。

また翌年にも同路線の、「ストレンジャーズ」という素晴らしいアルバムを出しながら、活動がフェードアウトしていったのは、何故でしょう……。

その意味で今日、局地的とはいえ、ジョニー・ブリストルが根強く聴かれている実態を、ぜひとも皆様に知っていただきたく思います。

今のこの時期、必需品ともいえるハートウォームなアーバンソウル、そしてAORの切り札的なアルバムとして、恋人と聴くのも良し、またひとり、男の哀愁をかみしめながら聴くのも素敵な名盤です。

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