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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

初夏にはストライプのシャツ

2011-05-06 14:32:15 | Beach Boys

Four By The Beach Boys (Capitol)

昨日話題の「Little Honda」で、これこそビーチボーイズ本家が後追いで出したコンパクト盤ですが、やはりジャケ写に登場する彼等はストライプのシャツ姿が似合いますねぇ~♪

まあ、それが発売された1964年秋から数年を経ずして、時代遅れの代名詞ともなるんですから、時の流れと歴史は残酷……。

ちなみにこれ、さっき昼飯食いにいった帰りに立ち寄った某店に出ていたのを何かの「縁」と感じ、衝動買いしてきたものです。

そして、そういう幸せは大切にしたいと思っています。

もうすぐ、夏もやってきますしねぇ~♪

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ゼロハンだってカッコE~~~♪

2011-05-05 15:24:59 | Beach Boys

Little Honda / The Beach Boys (Capitol / 東芝)

上手い具合に仕事が入らなかったので、予てより計画していたバイクの整備に没頭させていただきましたが、やっぱり好きな事をやっていると時間を忘れますねぇ~♪ アッという間にお昼になって、ようやくちょいと走ってきましたが、今日は風が冷たいです。

否、これは自分が中年者になった証なんでしょう。

思えばサイケおやじは父親がバイク愛好者だったので、幼少の頃から自然に馴染み、初めて運転したのはホンダの原付でした。

それは小学5年生の時、近所の米屋の店員さんが河川敷で運転させてくれたもので、当然ながらサイケおやじは無免許でしたが、それまでに父親のバイクに乗せてもらっていたこともあり、また件の原付は自転車さえ乗れれば、誰でも運転可能という操作性の易しさがありますから、何も考えずに乗り回した思い出は、今でも楽しい記憶です。

さて、そこで本日の1枚はタイトルどおり、リトルホンダ=ホンダの原付を歌ったビーチポーイズの楽しいR&R♪♪~♪

確か我国でも昭和39(1964)年の東京オリンピック頃に流行っていたと思うんですが、何故か本国アメリカでは同年に発売されたアルバム「オール・サマー・ロング」に収録されただけで、リアルタイムでは特にシングルカットされませんでした。

しかし抜群の爽快感がある楽曲の魅力は絶大だったところから、ブライアン・ウィルソンの盟友であるゲイリー・アッシャーがレコーディング主体のホンデルズという架空のプロジェクトバンドを名乗って「Little Honda」を制作発売すると、これが全米トップテンに入る大ヒット!

それがビーチボーイズのバージョンと変わらないアレンジなんですねぇ~♪

ですから、その直後に慌てて本家が4曲入EP盤で追従発売したのも、遅かりし由良之助でした。

ちなみに当時のアメリカでは、このホンダの原付が若者達の間で大流行していたらしく、それもまた日本の高度成長経済のひとつの証だったわけですが、同時期には大衆音楽の世界でも「車」と「海」と「女の子」を歌った所謂ホッドロッドと呼ばれる青春R&Rがウケまくっていたところから、これはまさにビーチボーイズがやっていた事と見事に重なりますし、実際、同ジャンルでは幾つもの歌と演奏を残しています。

そして中でも、この「Little Honda」の出来は特に秀逸♪♪~♪

ガッツな掛け声からアップテンポでウネリを感じさせるベースには軽いファズが使われたと思いますし、コーラスワークやギターには爽やかさ以上のビート感が満点ですから、おそらく演奏パートは今や有名なハル・ブレイン(ds) やトミー・テデスコ(g) 等々のスタジオセッションプレイヤーが大部分を担当したと思われますが、ブライアン・ウィルソン&マイク・ラヴによる作編曲は今日でも不滅の素晴らしさですよねっ!

ちなみにジャケットに使われているグループの写真は、キャピトルと正式契約デビューした直後の一時期にバンドを抜けていたアル・ジャーディンに代わって参加していたデヴィッド・マークスが写っているという、このレコードが作られた時代からすれば古いショットですが、当時の東芝は最新のカットが入手出来なかったらしく、後でコレクションを増やしていく過程で知ったことではありますが、なんとこれ以前に発売されていた「Fun Fun Fun」や「夢のハワイ」でも、同じものをデザイン加工して使い回していた事実には!?!?

まあ、それだけ我国の洋楽業界はアメリカからすれば小さく、軽く扱われていたということでしょうか……?

しかし、それはそれとして、結果的に苦し紛れだったとしても、ジャケットデザインに迫力満点のバイクレースを使ったあたりは、オリジナル曲が歌っていた原付のイメージを極力薄めようとする意図が見え隠れしますし、実際に聴いてみれば、これが颯爽としたスピードモーターサイクルのフィーリングに満ちているのですから、結果オーライだと思います。

ということで、こういうバイクがらみのレコードって、なかなか魅力があるというのが本日の結論なのでした。

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ビーチボーイズの素敵な空振り

2010-11-27 16:19:14 | Beach Boys

I Can Hear Music c/w All I Want To Do / The Beach Boys (Capitol / 東芝)

今日では安定した人気のあるビーチボーイズにとって、おそらくは一番苦しかった時期が1968~1970年頃じゃなかったでしょうか。

なにしろレコードの売り上げは、これいったシングルヒットも無く、時代の流れの中で制作するアルバムにしても、決してLPという特性を活かしたものではありませんでしたから、既に過去のグループとして扱われる寸前だったと思います。

実際、この時期のビーチボーイズは本国アメリカよりも、根強い人気が続いていたイギリスや欧州各地に活路を求めていたほどですが、そうなった大きな原因は中心メンバーのブライアン・ウィルソンの不調でした。

いや、これは「不調」なんていう言葉だけで表わすのが困難なほどでしょう。

歴史的に良く知られているように、この天才は当時、ビートルズとの競争やレコード会社とのトラブル、さらに家族や諸々の人間関係に疲れ果て、悪いクスリに逃避したあげく、引き籠り状態……。ほとんどペッドの中で生活し、気が向いた時だけ、自宅に作ったスタジオで何かをやるといった有様で、極言すれば音楽そのものに対する興味や意欲を失っていたといって過言ではないと思います。

しかし他のメンバーには「ビーチボーイズ」という看板を守る義務と意気込みが確かにあって、そこには「契約」という問題も存在していたんでしょうが、同時に音楽的な成熟という進歩もあったことが、その頃に制作発売されたレコードを聴き返すことによって、確信されるのです。

例えば本日ご紹介のシングル盤は、1969年春に発売されたアルバム「20 / 20」からカットされたものですが、ジャケットをご覧になれば、なんとブライアン・ウィルソンが存在しないビーチボーイズという異常事態宣言!?

ご存じのとおり、現実的には1965年春頃から巡業やテレビ出演には参加しなくなったブライアン・ウィルソンではありますが、それゆえに曲作りやスタジオワークに没頭出来る環境を得た事で、その天才性を心行くまで発揮した名盤・名曲には必ずブライアン・ウィルソンの名前と顔がありました。

それが、ここではジャケ写どおり、収録された2曲共、ブライアン・ウィルソンは全く関わっていないと言われています。

まずA面の「I Can Hear Music」は、フィル・スペクターがプロデュースによるロネッツが1965年に出したヒット曲のカバーで、当然ながら曲を書いたのもジェフ・バリー&エリー・グリニッチという職業作家チームでした。

しかし、これをビーチボーイズならではの爽やかでハートウォームなコーラスワークを駆使し、胸キュン仕立てにリメイクしたのは流石♪♪~♪ 特に中間部のアカペラパートやアコースティックギターの用い方は、新旧のビーチボーイズサウンドが見事に一体化した証じゃないでしょうか。

このあたりはロネッツのオリジナルバージョンが、幾分緩い雰囲気だった事を逆手に活かした、まさに掟破りの必殺技というところでしょうか。プロデュースとリードボーカルを担当したのはカール・ウィルソンで、この素晴らしい出来栄えがカール・ウィルソン自身の音楽的な進歩を見事に表わしているといって過言ではないでしょう。

ちなみに当時のビーチボーイズの公式メンバー構成はマイク・ラブ(vo)、カール・ウィルソン(vo,g)、アル・ジャーディン(vo,g)、ブルース・ジョンストン(vo,b,key)、デニス・ウィルソン(vo,ds) という5人組なのはジャケ写からも一目瞭然ではありますが、実際のレコーディングには、これまで同様にセッションミュージシャンが起用されていると思われます。

そしてB面収録の「All I Want To Do」が、これまた素晴らしく、なんとビーチボーイズ流儀のハードロック! ヘヴィなビートとホーンセクションをバックにシャウトするのはマイク・ラブなんですが、曲を書いてプロデュースしたのがデニス・ウィルソンというのが、さもありなん!? 相当にストレートで豪気だったという作者の性格や当時の意気込みが感じられるんじゃないでしょうか。

参考までに同じ時期にビートルズがビーチボーイズをパロッて出した「Back In The U.S.S.R.」と聴き比べると、ハードなギターワークとか、ちょいと面白い接点も垣間見えると思います。

ということで、なかなか充実したシングル盤ではありますが、特に素敵な「I Can Hear Music」でさえ、アメリカでは中ヒットがやっとでしたし、我国でも騒がれるほどの売れ方はしていませんでした。

もちろん本篇アルバム「20 / 20」にしても状況は同じで、ビーチボーイズはこのあたりから急速に影が薄くなった印象に……。

実はサイケおやじにしても、このシングル盤はもちろん、アルバム「20 / 20」も聴いたのは完全に後追いで、それは運良くリアルタイムで感激するほど真相に触れた「サンフラワー」や「サーフズ・アップ」という名作アルバム、あるいは「カール&パッションズ」のオマケ扱いだった「ペット・サウンズ」によって、一般的には暗黒時代のビーチボーイズに興味を向けることが出来たからです。

そしてビーチボーイズはブライアン・ウィルソン以外にも、やっぱり優秀なメンバーが揃っていたからこそ、あれほどの偉大なグループになれたんだなぁ~、と痛感させられたわけですが……。

結局は火事場のなんとやら、だったんでしょうか。

近年のビーチボーイズは完全に活動停止状態ですし、そこに至るまでの迷走やブライアン・ウィルソンのソロ活動を鑑みる時、心境は正直、複雑です。

出来れば、もう一度、このぐらい素敵な名作を出して欲しいもんですねぇ。

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ジャンとディーンとビーチボーイズ

2010-07-22 17:04:02 | Beach Boys

Surf City c/w She's My Summer Girl / Jan & Dean (Liberty/ 東芝)

サーファンはやらないというよりも、全く出来ないサイケおやじですが、所謂サーフィンミュージックは大好き♪♪~♪

中でもジャン&ディーンは、その代表選手として、本日ご紹介の「Surf City」等々の痛快夏向きソングをどっさり歌っています。

それはご存じのように初期ビーチボーイズと通底するサウンド&メロディ感覚が顕著で、実はサイケおやじにしても曲は幾つか知っていたのですが、本格的にレコードを集めて聴くようになったのは、「カール&パッションズ」のオマケ扱いだった「ペット・サウンズ」で初期~中期のビーチボーイズに目覚め、後追いで聴くようになった流れからのことです。

そして恥ずかしながら、その頃にはジャン&ディーンって、ビーチボーイズの弟バンド!?! なんて思い込んでいたのですから、今となっては額に汗が滲みます。

しかし実際にはビーチボーイズよりもプロとしての芸歴に先んじていたのがジャン・ペリーという才人で、既に1958年にはアーニー・ギンズバーグとのコンビによるジャン&アーニー名義でレコードデビューを果たし、後に相方をディーン・トーレンスに変えたジャン&ディーンとして、幾つかのヒット曲を放っていました。

ただしそれは所謂サーフィンミュージックではなく、白人ドゥワップ系のオーソドックスなスタイルだったことが、後追いで聴くほどにサイケおやじには不思議に思えるほどでしたし、それでは何故、ビーチボーイズのフォロワーになったかと言えば、ジャン・ペリーとブライアン・ウィルソンが友人関係になったから!?!

まあ、このあたりの真実をサイケおやじは知る由も無いんですが、それでも日本盤レコードの付属解説書からの受け売りでは、ブライアン・ウィルソンはジャン・ペリーのスタジオでの仕事ぶりに感服していたそうですし、一方のジャン・ペリーはビーチボーイズのジャズっぽいコーラスワークをメインにした新しいR&Rに注目していたというのが定説です。

もちろん両者とも、カリフォルニア育ちで年齢も近かったということに加え、後にビーチボーイズのメンバーとなるブルース・ジョントンがジャン&アーニーの影のメンバーだったという偶然もあるようです。

で、とにかく1963年春頃にはすっかり仲間になっていたジャン・ペリーとブライアン・ウィルソンが共作したのが「Surf City」ですから、そのタイトルどおりに夏全開の歌と演奏は「お約束」以上の仕上がりで、発売されるや忽ちチャートのトップに躍り出る大ヒットになっています。

う~ん、まずは冒頭から鮮やか過ぎる「Two girls for every day」というコーラスのキメが最高ですよねぇ~♪

そして続くメロディ展開やコーラスワーク、リズムとビートのもっていき方がモロにビーチボーイズですし、なによりもスピード感溢れる曲調が素晴らしいですよ♪♪~♪

ちなみにこの曲が出た所為で、本家ビーチボーイズの「Surfin' U.S.A.」がチャートのトップに立てなかったのは今や歴史ですし、その所為で当時のビーチボーイズのマネージメントを仕切っていたブライアン・ウィルソンの父親が大激怒!?! 以降に続く確執の原因だという伝説までも残されたのは、皆様もご存じのとおりです。

そしてB面収録の「She's My Summer Girl」が、これまた共作による幾分の自嘲を含んだオールディズ調の胸キュン曲で、そこはかとなく滲む甘さはやっぱり夏向き♪♪~♪ まさに邦題「浜辺の恋人」に偽り無しでしょう。

ということで、ジャン・ペリーとブライアン・ウィルソンの親交は、そのまんまジャン&ディーンとビーチボーイズの繋がりとなって続き、ビーチボーイズの大ヒット曲「Barbara Ann」でリードボーカルを担当したのはディーン・トーレンスでしたし、制作される楽曲のバックを務めるスタジオミュージシャンも共通するメンバーが多かったと言われています。

今になって思えばジャン・ペリーは社交的であり、ブライアン・ウィルソンはネクラな天才だったという解釈も可能なんですが、ジャン・ペリーが1966年に交通事故からリタイアを余儀なくされ、またブライアン・ウィルソンも同じ頃から精神状態が安定せずに逼塞という悲劇が重なったのも、運命なのでしょうか。

しかしそんなことは「Surf City」を作っていた時には、まさに「神のみぞ知る」定めであり、今日まで聴き継がれている名曲の爽快感には何の暗雲も感じれません。

今日ではふたりとも、それなりに健康を回復した頃の歌を残しているわけですから、全ては下駄を履くまでなんとやらでしょう。

やっぱり名曲にはこういうストーリーも必要だと思うばかりです。

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ちょっと蒸し暑いビーチボーイズ

2010-06-27 16:43:02 | Beach Boys

Summer Days / The Beach Boys (Capitol)

グループのイメージとしても、またアルバムタイトルやジャケ写からしても、全くの夏向きと思われがちな本日の1枚ですが、天の邪鬼なサイケおやじとしては、ちょうど今の時期、梅雨時から夏直前になると聴きたくなる偏愛盤です。

 A-1 The Girl From New York City
 A-2 Amusment Park U.S.A
 A-3 Then I Kissed Her
 A-4 Salt Lake City
 A-5 Girl Don't Tell Me
 A-6 Help Me, Rhonda
(single version)
 B-1 California Girl
 B-2 Let Him Run Wild
 B-3 You're So Good To Me
 B-4 Summer Means New Love
 B-5 I'm Bugged At My Ol' Man
 B-6 And Your Dreams Come True

ご存じのように1965年7月に発売されたこのアルバムは、「トゥデイ!」と「ペットサウンズ」というビーチボーイズ畢生の名盤に挟まれた、些か纏まりのない作品集というのがマニアや評論家の先生方から押された烙印なんですが、同時に様々な思惑や軋轢の中で奮闘していたブライアン・ウィルソンの天才性とビーチボーイズそのものの存在感が多角的に浮き彫りになった問題作かもしれません。

もちろんサイケおやじが初めて聴いたのは以前にも書きましたが、「カール&パッションズ」という徳用2枚組アルバムで、そのオマケ扱いだった「ペットサウンズ」に邂逅した昭和47(1972)年以降、つまり1970年代に入ってのことですから、既にロックの歴史をある程度は知っていた客観的なリスナーとしての感想や考察なわけですが……。

さて、その中で一番に言われているのは、当時のブライアン・ウィルソンが意識しないではいられなかったフィル・スペクターとビートルズに対する複雑な思いが、このアルバムの大きな「柱」でしょう。

まずフィル・スペクターに対しては尊敬の念から、何んとか追いつき追い越せというブライアン・ウィルソンにとっての大きな目標であり、書きあげた楽曲を送ったり、懇意になろうと必死だった現実があったわけですが、フィル・スペクターからは冷たい反応が多かったとか……。

それでも前作アルバム「トゥデイ!」は、演奏パートにハリウッドの超一流スタジオミュージシャンを総動員し、全篇をフィル・スペクター流儀の所謂「音の壁」サウンドで仕上げ、尚且つビーチボーイズならではのコーラスワークとブライアン・ウィルソンが絶頂期の名曲揃いという充実作でしたから、ある部分までの達成感があったのかもしれません。

そして後は、それをビーチボーイズの個性に変換せさることを課題とするるわけですが、ここではなんとフィル・スペクターが自らの最高作のひとつと公言して憚らないクリスタルズの大ヒット「Then He Kissed Me」を翻案し、全くビーチボーイズ風味を強く打ち出した「Then I Kissed Her」としてリメイクするという禁じ的を使っています。

しかしこれが実に素晴らしいんですよねぇ~♪

なによりも基本が当時流行のビートグループ的なバンドサウンドでありながら、ビーチボーイズが十八番のコーラスワークをストリングの代わりに使ったようなサウンドプロダクトの厚み、さらにカスタネットを意図的に使うことでフィル・スペクターやモータウンサウンドの魅力の秘訣をがっちり継承し、さらにリードを歌うアル・ジャーディンの力強いスタイルが、なかなかジャストミートの快感です。

う~ん、こういう可愛くないことをするから、フィル・スペクターにしてもブライアン・ウィルソンの才能は分かっていたはずなのに、生意気な奴と思ったりしたんでしょうねぇ……。

あと、サビのメロディ展開は大滝詠一が常日頃からパクッてしまう極みつき!?

まあ、それはそれとして、フィル・スペクターを特徴づけるもうひとつの得意技が、曲メロに付随する覚えやすいキメのリフを演奏パートで終始用いるという部分が、この「Then I Kissed Her」でも、また前作アルバムに収録しながら、わざわざシングル用にバンドサウンドでリメイクした「Help Me, Rhonda」において、実に的確に楽しめます。

そして気になるビートルズへの対抗意識は、特にリアルタイムで流行っていた「涙の乗車券」を意図的にパクッたとされる「Girl Don't Tell Me」が有名でしょう。しかもあえてスタジオミュージシャンを起用せず、ビーチボーイズだけの歌と演奏でバンドサウンドを狙っているんですねぇ。しかし結果はカール・ウィルソンのボーカルを前面に出し、コーラスも封印しながら、ビートルズの持つ強固なビート感も出せず、もうこれはパロディ!?

ちなみに「涙の乗車券」がアメリカで発売されたのは1965年4月14日、そしてビーチボーイズが「Girl Don't Tell Me」を録音したのが同年4月30日とされていますから、同じキャピトルレコードに所属している事で逸早くブライアン・ウィルソンが「涙の乗車券」のプロモ盤を聴いていたにしろ、これは流石の速攻!

今となっては「涙の乗車券」「Help!」「Yesterdat」と続くビートルズのウルトラヒットの三連発、さらにアルバム「ヘルプ」によって、ビーチボーイズは「Help Me, Rhonda」をなんとか大ヒットにはしたものの、肝心のアルバム「Summer Days」や関連音源レコード等々が、その比較においてぺしゃんこにされた印象です……。

しかし収められた楽曲のひとつひとつは決して劣るものではなく、如何にもアメリカの白人がノーテンキにR&Rポップスを演じました的な「The Girl From New York City」や「Amusment Park U.S.A」の楽しさ、普遍的なビーチボーイズの魅力を今に伝える「Salt Lake City」、そしてB面初っ端からの「California Girl」「Let Him Run Wild」「You're So Good To Me」は明らかに「ペットサウンズ」の萌芽が確認出来る、まさに神秘的な完成度は圧巻!

実際、そのB面の3曲はコピーしようと思っても、ギターではなかなかコードが取れないと思いますよ。もちろんコーラスワークや曲の構造に合わせた演奏パートの充実は言わずもがな、メロディと和声のどちらが先にあったのか、完全に鶏と卵の関係のような組み立てが確信犯だとしたら、まさにブライアン・ウィルソンは天才です。

そしてロマンチックで、ちょいとせつないメロディが琴線に触れまくりというギターインストの「Summer Means New Love」が、もう最高に素敵なんですねぇ~~♪ ちょっと余談になりますが、サイケおやじが学生時代に入れてもらっていたバンドでは、演奏のラストテーマにこのメロディを弾くこともありましたですよ。

さらにビーチボーイズのアルバムでは恒例のお遊び的なトラック「I'm Bugged At My Ol' Man」は、ブライアン・ウィルソンがピアノで弾き語る時代遅れのR&B調ながら、その歌詞の内容は無理解な父親をバカにした内容という、当時としては社会的にも非常に反抗的な歌なんですが、そんな歌の内容とビーチボーイズの内幕をサイケおやじが知るのは、このアルバムを最初に聴いた時から相当に後のことゆえに、オトボケ気味のコーラスも含めて、なにやら楽しい息抜きに思えたものです。

なにしろ続くオーラス曲「And Your Dreams Come True」が、もうビーチボーイズならではのアカペラコーラスの真骨頂ですからねぇ~♪ 本当にこのアルバムB面の流れは絶妙です。

しかしそれとは対照的にA面は、とてもバラけた雰囲気です。

当時のブライアン・ウィルソンは巡業には参加せず、曲作りとスタジオワークに没頭しながら、悪いクスリを常用していたことが今日の歴史になっています。

で、ここからはサイケおやじの完全なる妄想ですが、それゆえにブライアン・ウィルソンはアイディアが纏まった楽曲から順次、レコーディング作業に入っていたのでしょう。もちろんレコード会社からは新作の要求が苛烈であり、前述したクスリの作用が良い方向へと働いている時には、例えば「California Girl」や「Let Him Run Wild」、そして「You're So Good To Me」といったインスピレーションが冴えまくりの名曲が作れるんだと思います。

一方、ビートルズへの意識過剰がそうした創作意欲を刺激したかは、ちょいと微妙でしょう。なにしろ「Girl Don't Tell Me」は、ブライアン・ウィルソン&ビーチボーイズが何んと言おうとも、些かのトホホ感は免れませんし、現実的にはビートルズが年末に出した傑作アルバム「ラバーソウル」を聴いたブライアン・ウィルソンは、それまでの自分達の作品を恥じたとまで……。

正直に言わせていただけるのなら、このアルバムは楽曲の流れが良くありません。それは様々にバラエティに富んだ歌と演奏が各々、非常に完成度が高すぎる所為でもあるんですが、流れが絶妙と書いたB面にしても、頭からの3曲の存在感が上手くリンクされていないのが感じられると思います。

ちなみに当時は所謂「トータルアルバム」という観念は非常に希薄で、LPは単にシングル曲とその他のオマケの詰め合わせという作り方が主流でしたが、ビートルズが1964年7月に出した「ハード・デイズ・ナイト」がLPという特性を活かしつつ、それなりの意味合いを強く打ち出したものとすれば、ビーチボーイズだって、それより1年近く前の「サーファー・ガール」、そして「リトル・デュース・クーペ」「シャットダウン」「オール・サマー・ロング」と続くアルバムにおいて、海や車や女の子をトータル的に歌う制作方針にプレは無かったのですから、殊更に自己嫌悪する必要は無いでしょう。

また楽曲の大充実を逆手に活かし、LP片面毎にアップテンポの曲とパラードを特徴的に分けた「トゥデイ!」にしても、今日ではビーチボーイズの最高傑作とするファンもいるほどです。

それがこの「サマー・デイズ」になると一転、冷たい扱いになるんですから、いやはやなんとも……。

まあ、確かにアルバムタイトルに期待する清涼感はイマイチなんですけどねぇ……。

しかしリアルタイムのブライアン・ウィルソンは、やっぱり唯一無二!

聴くほどに分かってくるんですが、このアルバムセッションにはスタジオプレイヤーを多用したトラックとビーチボーイズが主体となった歌と演奏が混在しています。それは既に述べたように、ブライアン・ウィルソンが時代の流れの中で急かされるように表現していった才能の証明だと思いますが、常に巡業を優先させていたバンドとの思惑の乖離も決定的で、なんとジャケットにはアル・ジャーディンが写っていないという4人組のビーチボーイズが!?!

しかも巡業に参加しなくなったブライアン・ウィルソンに代わって、この頃にレギュラーメンバー入りしたブルース・ジョンストンが、きっちりとこのアルバムではコーラスを歌っているそうですから、もはやビーチボーイズそのものが、ブライアン・ウィルソンの才能の一部と化した感もありますよねぇ……。

ですからアルバム全体の纏まりが散漫だと言われても、ブライアン・ウィルソンには平気だったのかもしれません。何故ならば、この天才にとっては、ひとつひとつの楽曲が命だと思われるんですから、なんとか格好をつけた仕上がりも、ビートルズの「ラバーソウル」が出るまでは、それほど気にもしていなかったのかもしれません。

ということで、些かの煮え切らなさと如何にもの爽快感が並立した、ちょいと蒸し暑い名盤だと思います。尤もカリフォルニアの生活者に「梅雨」なんてものが理解出来るか否かは知る由もありませんが……。

CDやベスト盤で、好きな曲だけ楽しむという手も、OKだと思います。

最後になりましたが、掲載した私有盤は疑似ステレオ仕様なんですが、ブライアン・ウィルソンが希望していたのはモノラルミックスという事は、今や常識でしょう。しかし1970年代の我国では、なかなかモノラル盤は入手が難しく、その意味で現在流通している2in1のリマスターCDで鑑賞するのは、正道なのでしょうね。

う~ん、ボーナストラックも入っているし、買おうかなぁ♪♪~♪

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疑似ステ・トゥデイ

2010-04-09 16:40:44 | Beach Boys

The Beach Boys Today! (Capitol)

昭和47(1972)年、「カール&パッションズ」でおまけ扱いだった「ペット・サウンズ」に出会ったことにより、私は本格的にビーチポーイズの後追いを始めたわけですが、中でも春になると特に聴きたくなるのが本日ご紹介の1枚です。

 A-1 Do You Wanna Dance
 A-2 Good To My Baby
 A-3 Don't Hurt My Little Sister
 A-4 When I Grow Up
 A-5 Help Me Londa
(album version)
 A-6 Dance, Dance, Dance
 B-1 Please Let Me Wonder
 B-2 I'm So Young
 B-3 Kiss Me Baby
 B-4 She Knows Me Too Well
 B-5 In The Back Of My Mind
 B-6 Bull Sessions With “Big Dassy”

本国アメリカで発売されたのは1965年3月でしたから、明らかに春向きの作品かもしれませんね。実際、全篇の作風と曲調はハートウォームな魅力に溢れています。

まず冒頭「Do You Wanna Dance」は、邦題「踊ろよベイビー」としてボビー・フリーマンが1958年に自作自演で大ヒットさせたオールディズのカパー曲なんですが、ビーチボーイズは尊敬するフィル・スペクター十八番のアレンジとサウンドプロデュースをそっくり流用したかのようなリメイクが秀逸! 後にフィル・スペクターの作り出した諸作を聴くほどに、ビーチボーイズの悪辣とも言える凄みが痛感されるばかりです。

まあ、それはブライアン・ウィルソンのフィル・スペクターへの憧れ、そして尊敬の念の表れでしょうねぇ。

ですから他の自作曲は、一様に「らしい」節回しが全開!

「Don't Hurt My Little Sister」は実際にフィル・スペクターへ提供しながらボツにされた裏話があるそうですし、「Good To My Baby」にしても微妙に不安感を滲ませるメロディ展開とギターリフ、さらに素晴らしいコーラスワークが冴えまくり♪♪~♪ しかも極めて自然にメロディが出てきたんじゃないか!? と思わざるをえないほどブライアン・ウィルソンだけの「節」が堪能出来ますよ。

そして最初に聴いた瞬間から若き日のサイケおやじを天国へ導いたのが「When I Grow Up」です。もう、このスピード感溢れる演奏とコーラスの素晴らしさ♪♪~♪ 独得のメロディ展開とハープシコードまで使ったアレンジの妙♪♪~♪ 複雑にして快楽性に満ちたサウンドプロデュースは奇蹟といって過言ではないと思います。

それは痛快至極なビーチボーイズ流儀のR&R完成形となった「Dance, Dance, Dance」のシンプルなノリと相反するかのように転調を重ねていく曲の進行、さらにギターリフとロックビートの完全融合! あまりにも出来過ぎています。

しかしこのアルバムのもうひとつの凄さが、ミディアム~スローな歌を並べたB面の深淵な企みでしょう。

特に「Please Let Me Wonder」はブライアン・ウィルソンの最高傑作のひとつとまで巷間認められている珠玉の名作で、そのハーモニーセンスとメロディの雰囲気は際立つものがあります。う~ん、本当に何時聴いても、せつなくなってしまいますねぇ~~♪

そして続く「I'm So Young」はビーチボーイズのオリジナルではない、所謂ドゥワップのオールディズなんですが、おそらくはこれまたフィル・スペクター関連のロネッツバージョンを意識しているものと思われます。しかしブライアン・ウィルソンが歌うハイトーンのリード、そしてマイク・ラブの低い声を活かしたコーラスワークのコラポレーションは最高に素敵で、これも実にせつないですよ。エコーを存分に効かせたギターも良い感じ♪♪~♪

ですから同じような展開を聞かせる「Kiss Me Baby」、不思議なムードが横溢する「She Knows Me Too Well」といったオリジナルの歌と演奏が気品さえ漂わせる仕上がりになっているのも納得する他はなく、このあたりは後の「ペット・サウンズ」の予行演習とさえ思えるほどです。

それはテニス・ウィルソンが素朴なりードを歌う「In The Back Of My Mind」のバックを彩るストリングスや各種楽器によるカラオケパートにも言えることで、もちろん有能なスタジオミュージシャンが大量動員されたアルバムセッションの成果でしょう。

しかしオーラスの「Bull Sessions With “Big Dassy”」はインタビューというか単なるトークというか、ビーチボーイズと仲間達のお喋りだけというのが、如何にもボーナストラック……。あんまり存在する意味が無いように思うんですが、アルバムのプロデュースがブリライアン・ウィルソンであれば、納得するしかないでしょうねぇ。

その意味で「Help Me Londa」は、後にシングルヒットした名曲なんですが、ここに収録されたのはそれ以前のアルバムバージョン!?! 件のシングルバージョンに比べると些かシンプルな仕上がりにブライアン・ウィルソン自身が満足出来なかったと言われているんですが、個人的にはバンドサウンドで演じられるこちらのバージョンも好きです。曲想の素晴らしさは、まさに全盛期ですよねぇ~♪

ちなみにこのアルバムのミックスはブライアン・ウィルソンが意図的にモノラルしか作っていませんでしたから、掲載した私有盤にある「duophonic」とは疑似ステレオのキャピトル的な言い回しで、もちろん欺瞞に満ちたエコーが効いています。

しかし負け惜しみではなく、これが案外と心地良いんですよ。

というよりも、私が最初に買ったのが、この疑似ステレオ盤でしたから、充実した内容共々に、その音の雰囲気までも丸ごと、私をシビレさせたのです。そして当然ながら、後に国内盤でモノラルミックスを聴いたんですが、かえって妙な心持になったのは本末転倒かもしれません。

今となってはリマスターCDでさらに素晴らしく楽しめると思いますが、どうにも捨て難いのでした。

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冬のビーチボーイズ

2010-01-04 17:13:32 | Beach Boys

Don't Worry Baby / The Beach Boys (Capitol)

新年仕事始めから、めちゃくちゃにハードワーク……。

心身ともに苛められました。

しかも、これから宴会で愛想笑いをしないとねぇ……。

で、本日の1枚はビーチボーイズのピクチャースリーヴで、珍しい厚着の彼等をご覧くださいませ。

新年買い初めしたんですが、とにかくお金を使わないと、景気は良くなりません。

なんて言い訳、失礼しました。

明日からは気合いを入れ直して、頑張ります。

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ペット・サウンズに出会った頃

2009-10-14 12:22:31 | Beach Boys

Carl And The Passions - So Tough & Pet Sounds / The Beach Boys
                                                                          (Brother / Reprise)




サイケおやじがビーチボーイズの世紀の名盤「ペット・サウンズ」と邂逅したのは昭和47(1972)年、それも意図的では決して無く、偶然の産物でした。

というのも、当時の私はビーチポーイズがリアルタイムで出していた「サンフラワー」と「サーフズ・アップ」という2枚のアルバムに心惹かれ、次なる新譜を待ち焦がれていたわけですから、本日ご紹介のLPも、例によって某デパートの輸入盤セールで発見した瞬間、速攻でゲットしたわけですが……。

正直、カール&パッションズと記載のある表ジャケットからは最初、これがビーチボーイズのレコードだとは思いませんでした。ところが裏を返して吃驚仰天! そこにはブライアン・ウィルソンもちゃ~んと写っている往年のグループショットが!?!

実はこのアルバムは2枚組で、まずビーチボーイズの新譜扱いという「ソー・タフ」が、なんと彼等がデビュー前に名乗っていたカール&パッションズ名義の作品として収められ、そしてもう1枚、今では名盤の「ペット・サウンズ」がオマケ的に付けられたサービス仕様だったのです。もちろん値段は輸入盤1枚物と変わらない価格の、確か2千円以下でしたから、これは買う他はありません。

ただし繰り返しますが、この時の私は決して「ペット・サウンズ」の魅力と真価を知っていたわけではありません。むしろ全く聞いたことのないアルバムでしたから、つまりは「お徳用」な気分が優先されていたのです。

で、まずはメインのカール&パッションズです。

☆So Tough / Carl And The Passions
 A-1 You Need A Mess Of Help To Stand Alone
 A-2 Here She Comes
 A-3 He Come Down
 A-4 Marcella
 B-1 Hold On, Dear Brother
 B-2 Make It Good
 B-3 All This Is That
 B-4 Cuddle Up
 結論から言えば、なかなかサイケおやじ好みのファンキーロックが楽しめます。しかし、これは明らかに、一般的なイメージのビーチボーイズではありません。十八番のハーモニーワークもほとんど聞かれず、またグッと惹きつけられる素敵なメロディも無いのです……。
 しかし、私は前作「サーフズ・アップ」からの流れのひとつとして、違和感がありませんでした。正直、けっこう、好きなんですよ♪♪~♪ バンドとしてのリズム&ビートが、グッとダイナミックな感じに進化していて、結果オーライです。
 というのも、実は当時のビーチボーイズは中心人物のブライアン・ウィルソンが諸々の事情から半病人のリタイア状態でしたし、一応はドラマーだったデニス・ウィルソンは私生活の乱れからバンドに参加することが稀になり、また助っ人として大活躍していたブルース・ジョンストンが、この頃のビーチボーイズを仕切り始めたマネージャーのジャック・ライリーに反発してグループを去っていたことから、残されたマイク・ラブ(vo) とアル・ジャーディン(vo,g)、そしてカール・ウィルソン(g,vo) が自分達で発見してきたブロンディ・チャップリン(g,vo,b) とリッキー・ファター(ds) という2人の黒人を新メンバーに迎えて作ったのが、このアルバムの真相だったのです。
 う~ん、これではビーチボーイズという名義が使えないわけです。
 しかも、ここでのバンド名どおり、カール・ウィルソンが実際の現場をリードしていたというのですから、ソウル&ファンキー志向が強まるのもムペなるかな!
 ブライアン・ウィルソンが持ち味のハーモニー感覚と当時のバンドが狙っていたファンキーロックが見事に合体した「Marcella」は、一番「らしくない」名曲の決定版として、以降のビーチボーイズではステージの定番演目になったほどですし、ソフトロック風味も強い「All This Is That」も忘れ難い印象を残します。
 ただし、誰しもに認められるのは、その2曲だけでしょう。今に至るもイノセントなビーチボーイズのファンからは、蛇蝎の如く扱われているのが、この「ソー・タフ」だと言われています……。

そして「オマケ」というには、あまりにも残酷な美しさを持っていたのが、「ペット・サウンズ」でした。

☆Pet Sounds / The Beach Boys
 A-1 Wouldn't It Be Nice
 A-2 You Still Believe In Me
 A-3 That's Not Me
 A-4 Don't Talk
 A-5 I'm Waiting For The Day
 A-6 Let's Go Away For Awhile
 A-7 Sloop John B.
 B-1 God Only Knows
 B-2 I Know There's An Answer
 B-3 Here Today
 B-4 I Just Wasn't Made For These Times
 B-5 Pet Sounds
 B-6 Caroline No

 各方面で語りつくされた大名盤について、今更クドクドと述べるまでもないと思います。
 しかし、唯ひとつだけ、この時点で初めて「ペット・サウンズ」を聴いた私は、ウキウキとしてホンワカさせられる曲メロと至高のコーラスワーク、アルバム片面及び全体の流れの良さ、そしてその完成度に圧倒されました。偽りなく、こんなに素敵なアルバムが、この世にあったのか!?! 本当にそう思いましたですねぇ、大袈裟ではなく。
 ただし同時に、これはロックの音がしていないなぁ……。
 なんて不遜なことも思いました。お叱りは覚悟しています。
 後で知ったことですが、ブライアン・ウィルソンは長いスタジオワークを続けながら、このアルバムのほとんどを単独作品=ソロアルバムのように作り上げたそうですし、他のメンバーは、ただ指示されたとおりに歌い、コーラスを演じていただけという実態も、今日では好結果として評価されるところでしょう。
 それが何故、あえてここに再発されなければならなかったのか?
 リアルタイムの1966年には契約会社のキャピトルから好意的には迎えられなかった「ペット・サウンズ」が、事もあろうにビーチボーイズが自ら設立したレーベルと新契約会社から出された経緯の裏には、音源の権利をビーチボーイズ側が概ね獲得した結果がありました。もちろんゴタゴタが続いていたキャピトル側との和解も進展していたのかもしれません。
 とにかく、こうして世紀の名盤が再度ひっぱり出されたのは、当時の最新レコーディングが、リブリーズ側から懐疑的な扱いを受けていた証でしょうし、ビーチボーイズ本人達にとっても、迷い道に他ならないと思います。

ということで、ここで「ペット・サウンズ」に出会ったサイケおやじは、やはり幸せだったと思っています。もちろんリアルタイムだったら、もっと良かったんでしょうが、しかし正直に言えば、その頃の私には決してシビれることのない音楽だったと思います。

つまり「ペット・サウンズ」は単なるロックのアルバムではなく、それを超越した永遠のポップス性と神秘性を兼ね備えた、アンタッチャブルな存在かもしれないのです。「ロックの音」がしていなくとも、それは当然でしょう。

それゆえに好き嫌いがあることも、また今日、あまりにも過大評価気味という事実も承知しているつもりですが、ある日突然、虚心坦懐に聴きたくなるのが、この2枚組♪♪~♪

それは決して、天国と地獄ではないのです。

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波うちぎわの裏名盤

2009-09-28 10:38:38 | Beach Boys

Surf's Up / The Beach Boys (Brother / Reprise)

サンフラワー」によってピーチボーイズに目覚め直したサイケおやじは、ですから彼等の次なる新作「サーフズ・アップ」も、大いに期待して買いました。しかも輸入盤!

というのもその頃、つまり昭和46(1971)年当時は、まだまだ輸入盤を扱う店は少なく、それも日本盤以上の値段でした。ただし発売は日本盤よりも相当に早く、それゆえにプロのミュージシャンや熱心なマニアは、様々な手を使って、少しでも早く、安く入手する方策を心得ていたようですが、サイケおやじは年末に開催された某デパートの輸入盤セールでゲットしたのが真相です。しかも日本盤よりも安かったんですよ♪♪~♪ ちなみに日本盤が出たのは、翌年になっていました。

 A-1 Don't Go Near The Water
 A-2 Long Promised Road
 A-3 Take A Load Off Your Feet
 A-4 Disney Girl
 A-5 Student Demonstration Time
 B-1 Fell Flows
 B-2 Lookin' At Tomorrow
 B-3 A Day In The Life Of A Tree
 B-4 'Til I Die
 B-5 Surf's Up

結論から言うと、前作「サンフラワー」の爽やかで明るい雰囲気とは対極にあるような、些か暗いムードが支配的ですが、しかし各曲のメロディラインの豊潤さは勝るとも劣りません。そして全体に漲る力強さ、ある意味ではプログレとも言えそうな音作りには、当時流行のキーボード類や多重録音が用いられ、それでいてビーチボーイズならではの美しいコーラースワークも巧みに融合された、これは確定的な名作! 聴いた瞬間、そう思う他はありませんでした。

単純に比較することは出来ませんが、同時期に出ていたポール・マッカートニーの「ラム」やジョン・レノンの「イマジン」と一緒に聴いたとしても、決して失望することは無いでしょう。

まずA面冒頭の「Don't Go Near The Water」、ギターやキーボードの音を今でいうサンプリングで作り出したような、なんともフワフワしたイントロから柔らかな曲メロが流れてくる瞬間が、至福です♪♪~♪ そして歌が進むにつれ、力強くなる演奏と持ち前のコーラスワークの冴え、熱いサビの展開も最高なんですねぇ~♪ 全く何時までも聴いていたところなんですが、良いところで終ってしまうのが……。

しかしご安心下さい。

続く「Long Promised Road」が、まさに畢生の歌の演奏! 穏やかに歌い出される最初のムードが、すぐに一転して力強いゴスペルタッチの重厚な展開に進むあたりは、感動的! 熱気が迸る間奏も短いながら結果オーライだと思いますし、何よりも自作自演で熱唱するカール・ウィルソンの成長ぶりが眩しくもあります。

いゃ~、何時聴いても、この2曲の流れにはグッと惹きつけられますが、続く「Take A Load Off Your Feet」も侮れません。明らかに前作「サンフラワー」のムードを引き継いだ愛らしい曲調ながら、各種の効果音と最高のコーラスワーク、さらにチープでありながら緻密なアレンジの妙には、聴くほどに感心させられるのです。

そしてそれが、A面のハイライトとも言うべき「Disney Girl」の夢見るような世界に繋がるのですから、たまりません♪♪~♪ 今日まで幾多のカバーバージョンが誕生している、まさにブルース・ジョンストン畢生の大名曲が、作者自らのボーカルで、そのイノセントな歌詞の世界がせつせつと歌われ、もちろん世界最高のコーラスワークが彩る仕上がりですからねぇ~~♪ もう、この素晴らしきポップス天国には、ただただ浸りきって、素直に感動する他はないのです。

そしてA面のラストが、まさに仰天! ビーチボーイズ流儀のハードなR&Bというか、ブルースロック大会! ブラスも大胆に入れ、重いビートを強調しながら熱唱するマイク・ラブの声質を意図的にメガホンマイクを通したような印象に作り変え、パトカーのサイレンや混濁した群衆の騒ぎをコラージュ的に配置した、そのサウンド作りは全くビーチボーイズらしくありません。丸っきりハードロックなギターも強烈なお約束!

ちなみに原曲はアメリカのR&Bグループとして人気を集めたザ・コースターズの「Riot In Cell Block #9」と言われていますが、ここでは歌詞を書き変え、学生運動を歌いながら、しかしノンポリが身の為というオチが!?! 演奏のキモになっているハードなギターや分厚いビートも含めて、如何にもジョン・レノン的と言っては失礼かもしれませんが、実はここまでの流れを聴いていると、冒頭からがポール・マッカートニー、そして最後がジョン・レノンというムードがミエミエですから、既に述べたように「ラム」や「イマジン」を、ついつい連想してしまうのが、サイケおやじの本音です。

で、いよいよB面が、これまた曲者!

まず「Fell Flows」はカール・ウィルソンがメインで書いたサイケデリックフュージョンという摩訶不思議な歌と演奏で、ハートウォームなメロディは心地良いのですが、間奏で渦巻くフリーキーやサックスやフルート、意味不明なムーグシンセが唸るという、実にプログレな展開になります。ちなみにここでゲスト参加しているのは、ジャズの世界でも超一流のチャールズ・ロイド(fl,sax) ですが、この頃からビーチボーイズのメンバーと関係を深めつつ、ジャズの世界から遊離していったのはご存じのとおりです。

そして続く「Lookin' At Tomorrow」が、これまた如何にもジャズっぽい味わいで、ケニー・ランキンあたりが演じていそうなムードは要注意です。おそらくは変則チューニングのギターも良い感じ♪

しかし本当に仰天させられるのは「A Day In The Life Of A Tree」でしょう。荘厳なオルガンをバックに流れて来る神聖なメロディを歌っているのは、明らかにこれまでのビーチボーイズでは聴いたことの無い声なんですが、その正体は当時のマネージャーであり、広報担当でもあったジャック・ライリーという人物!?!

実は当時のビーチボーイズは前作「サンフラワー」の商業的な失敗、イギリスを中心としたヨーロッパ各国以外での人気急落、さらに財政的な問題に加えて、音楽的な要だったブライアン・ウィルソンの健康問題等々で、どん底状態……。

そんな手詰まりだったグループの前に現れたのが、実力派のジャーナリストだったジャック・ライリーで、とにかくグループの立て直しに尽力した功績は、後々のトラブルを抜きにしても評価されるべきでしょう。

何よりも、このアルバムに顕著なように、時代にアクセス出来るビーチボーイズという新しいイメージの確立、またブライアン・ウィルソンの現場復帰をスタジオセッションの場だけとはいえ、実現させています。

それがブライアン・ウィルソンと共作し、自身が歌ってしまった「A Day In The Life Of A Tree」という暴挙寸前の仕事だとしても、そこで聞かれる荘厳にして奥深く、それでいて非常に心地良い歌と演奏は、麻薬的な魅力があります。もちろんビーチボーイズならではのコーラスワークと最先端のサウンドプロデュースは冴えまくり♪♪~♪

そのあたりは続く「'Til I Die」にも見事に活かされ、ここまでコーラスワークが最先端のロックと融合した演奏は、どんなプログレバンドやソフトロックのグループでも決して表現出来ない世界じゃないでしょうか。ビーチボーイズ、恐るべし!

そしてオーラスのアルバムタイトル曲「Surf's Up」が筆舌に尽くしがたい、美しくも儚いような、うつし世は夢、夢こそ真という、江戸川乱歩の世界をドリーミーなハリウッドポップスで表現したが如き、まさに奇跡のトラックです。

今では良く知られているように、この名曲「Surf's Up」は幻となったアルバム「スマイル」の残滓と言われているとおり、ブライアン・ウィルソンの天才が証明された魔法のメロディ感覚とビーチボーイズならではのコーラスワークが見事に融合した成果でしょうが、もちろんここでは再録音のバージョンが使われています。

もう、とにかく聴いていただく他は無い、それほどの歌と演奏ばかりなんですよ。

A面ではジョンとポールなんていう不遜なことを思ったサイケおやじにしても、このB面の深淵な世界には圧倒されるばかりです。そして当然ながら、文字通りの音の楽しみ、音楽って素晴らしい~~~♪ そういう世界なのです。

しかし残念ながら、これでもビーチボーイズは全盛期だった1960年代中頃の勢いを取り戻すことは出来ず、ヨーロッパへと活動の拠点を本格的に移していくのです。

正直言えば、往年のサーフィン&ホットロッド、海と車と女の子の世界を歌っていたビーチボーイズが、今でも最高だと思っていますし、そういうイメージで聴けば、このアルバムは完全に???でしょう。実際、日本盤も発売されていますが、売れたという話も聞きませんし、シングルヒットとは完全に無縁だったと思います。

サイケおやじにしても前作「サンフラワー」に邂逅していなかったら、とてもリアルタイムで聴くことはなかったと断言しても良いほどです。

現在では、それなりに評価されているようですが、やはり好きな人にしか好きになれないアルバムでしょうねぇ……。最も「らしくない」ジャケットデザインもマイナスだったかもしれません。

ブロデュースはビーチボーイズ名義になっていますが、全体としてはカール・ウィルソンの頑張りが目立ちますし、意図的に環境問題や学生運動を歌った歌詞も気になります。しかし「波うちぎわ」というアルバムタイトルは絶妙ですし、ロック史の裏名盤としての価値も十分だと、強く思っているのでした。

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ビーチボーイズの向日葵

2009-09-25 10:10:37 | Beach Boys

Sunflower / The Beach Boys (Brother / Reprise)

今日ではビーチボーイズの人気盤ベスト5に入ろうかという評価も眩しい名作ですが、リアルタイムでは日蔭者だったと思われるのが、本日ご紹介のアルバムです。

ご存じのようにビーチボーイズと言えば、サーフィン&ホットロッド♪♪~♪ R&Rのビートにフォーフレッシュメンのようなオープンハーモニーのコーラスをミックスさせた温故知新の音楽性に加え、ブライアン・ウィルソンという天才の作りだす名曲とサウンドプロダクトの素晴らしさは、1960年代前半のアメリカや世界中を熱狂させました。

しかし1967年頃からは、あの世紀の名盤「ペットサウンズ」のリアルタイムでの大コケもあって、本国では落ち目の三度笠……。当然ながらビートルズとの戦いにも敗れ、我国でも急速に人気を失っていったのは、紛れもない事実です。

ただしイギリスでは逆にビートルズを上回る評価と人気があったというのですから、世の中は分かりません。

それでも実際、当時のビーチボーイズが作っていたアルバム群は正直、聴くのが辛いことは否めません。何故ならば、そこには持ち味のオープンハーモニーも無くなり、ロックの力強さを追及しようとしてはガサツな歌と演奏しか残せず、サイケデリックに走れば、チープなデモテープ並みの結果しか……。

まあ、このあたりは今聴くと、それなりに気持良かったりするのですが、少なくとも1960年代末頃の我国では、ビーチボーイズは過去の遺物として、ラジオから流れる曲も夏場のサーフィン物ばかりというのが現実でした。

そして当然、サイケおやじにしても「Good Vibrations」を境にして、ビーチボーイズのレコードを買うことも無かったのです。

こうして時が流れました。

それは昭和46(1971)年の春、私はレコード屋で偶然にも、このアルバムを聴き、久しぶりにビーチボーイズの名前を認識しました。それまでの思い込みで彼等は時代遅れのサーフィン、と決め付けていた私の耳に入ってきたのは、当時人気絶頂だったクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングにも負けない爽やかコーラスと、抜群のポップ感覚に満ちた楽曲でした。それはまさしく、時代の先端を行くロックだったのです。もちろん、その場でお買い上げ♪♪~♪ それからしばらく、このアルバムは私の愛聴盤になったのです。ビーチボーイズはイイなぁ~♪ 心底、そう思っていました。

ところが、そこには裏があったのです。

私が買った日本盤にはA面のド頭に「Cotton Fields」が入っていたのですが、これはご存じのとおり、アメリカの有名なフォークソングのカパーですが、ビーチボーイズはこれを2バージョン、公式発表しており、ここに入っていたのは1970年春にキャピトルから出された最後のシングル盤のテイクです。

しかし、このアルバムのオリジナルの発売元はリブリーズですから、当然ながらアメリカ盤にはキャピトルが権利を持つ「Cotton Fields」は入っていないのです。もちろん、そのシングル自体がヒットしていませんでした。

ところが欧州各国では大ヒット! 実際、それはカントリーロックとビーチボーイズならではのハーモニーコーラスが冴えた名演名唱なんですから、全く不思議もないわけですが、このあたりにも本国アメリカでのビーチボーイズの苦しい立場が明らかになっています。

つまりそれまで契約していたキャピトルとは関係が悪化しており、そこにはグループ内のゴタゴタやブライアン・ウィルソンの不調が大きな要因となっていたことは、言わずもがなでしょう。それゆえにプロモーション活動も停滞していましたし、アメリカ国内巡業も手詰まりだったようです。

結局、ビーチボーイズは自ら「Brother」という制作レーベルを立ち上げながら好結果を残せず、このアルバム発表時からリブリーズへと移籍したわけですが、そんな本国での状況とは裏腹に、イギリスやヨーロッパでは人気がさらに高まっていたのですから、現実は複雑です。そして新作発表時には欧州で大ヒットしていた前述の「Cotton Fields」を強引に入れることが出来たのも、配給会社がEMI系列のステイトサイドになっていた所為だと言われています。当時、東芝から発売された日本盤が、それに追従したのも無理からん話だったんですねぇ。

しかし、少なくとも、その日本盤LPに収録の「Cotton Fields」は、明らかに疑似ステレオ仕様でしたし、それはそれで非常に気持の良い歌と演奏だったんですが、アルバムを通して聴いた場合、微妙な違和感があったのは確かです。なにしろオリジナルのアメリカ盤に関する事情を知らなかったのですから……。

そして私が、その事実を知ったのは2年ほど後のことです。

またビーチボーイズの内部事情や、それまで聴いていなかった、その間のアルバムやシングル曲について興味を抱くようになったのも、同時期でした。愛聴盤となっていた、この「サンフラワー」のアメリカ盤を買い直したのも、その頃です。

 A-1 Slip On Through
 A-2 This Whole World
 A-3 Add Some Music To Your Day
 A-4 Got To Know The Woman
 A-5 Dairdre
 A-6 It's About Time
 B-1 Tears In The Morning
 B-2 All I Wanna Do
 B-3 Forever
 B-4 Our Sweet Love
 B-5 At My Window
 B-6 Cool, Cool Water

まずジャケ写のとおり、陽だまりの中にいるメンバーと子供達の和みが、そのまんまビーチボーイズの歌とコーラスに表現されたかのようなアルバム全体のムードが最高です。

曲メロの豊潤さ、卓越したコーラスワークの素晴らしさ、またロックの新時代に対応した力強さも印象的で、それは冒頭の「Slip On Through」で既に全開! 短いのが残念なほどの充実度は、何時までも聴いていたい欲求へと繋がり、それは続く「This Whole World」での、ハッとするほど鮮やかな曲展開、さらにせつなくて爽やかな和みの世界を現出させる「Add Some Music To Your Day」という流れの中で、これぞ至福のポップスワールド♪♪~♪

しかし、これは明らかに一般的なビーチボーイズのイメージとは異なる世界です。

それはビーチボーイズといえばブライアン・ウィルソン&マイク・ラブという基本から、バンド全員による集団指導体制に移行したという結論なんですが、実際、メンバー各々が曲作りに深く関わり、特にデニス・ウィルソンとブルース・ジョンストンの活躍が尚更に顕著です。

例えばソウルフルな「Got To Know The Woman」やモータウン系の「It's About Time」、壮大な思わせぶりが素晴らしい「Forever」はデニス・ウィルソンの才能が見事に開花した証でしょうし、一方、ブルース・ジョンストンは甘酸っぱい大名曲「Dairdre」やビートルズっぽい「Tears In The Morning」で流石の心情吐露♪♪~♪

そしてアル・ジャーディンも得意のフォークタッチを活かした「At My Window」で、夢見るような世界を聞かせてくれますよ。

気になるブライアン・ウィルソンも久々に天才ぶりを披露して、泣きそうになるほどに胸キュンの「All I Wanna Do」は、サイケおやじの永遠のテーマソングになっているほどですが、そうしたマイク・ラブとの共作トラックは、実は幻となったアルバム「スマイル」の残滓に手を加えたものという真相が、哀しくもあります。

その意味でオーラスの「Cool, Cool Water」は、まさにサイケデリックとドリーミーポップスの理想的な融合として、私は大好きです。まあ、このあたりは賛否両論が渦巻くとおり、凝り過ぎと理想のアンバランスな部分は認めざるをえませんが……。

ただし、この曲も含めて、全篇で楽しめるビーチボーイズならではのコーラスの快感は唯一無二! これがある限り、ビーチボーイズは不滅だと思いますねぇ~♪

そしてサイケおやじは以降、リアルタイムでビーチボーイズの新作アルバムを聴くことになり、次に出た「サーフズ・アップ」で更に瞠目させられるのですが、それは別の機会に譲ります。

ちなみに最初に買った日本盤「サンフラワー」のLPは所謂赤盤でしたから、後に某コレクターに高値で引き取られていきました。私にしては珍しく「帯」も残していたのが結果オーライだったようですね。

まあ、それはそれとして、このジャケットに写る6人組こそが、実はビーチボーイズ最強の時代だったと今は思っています。演奏についてはスタジオミュージシャンが関与しているのは明らかですし、ライプの現場では、もう少し後のブロンディ・チャップリンやリッキー・ファターが在籍していた時期が最高だと思いますが、如何にも「らしい」音作りとポップス王道の路線が、まだまだビーチボーイズの現役としての存在感を力強く示していたのは、このアルバムから3年間位だったと思います。

しかし残念ながら、アメリカでは全く売れなかったんですよねぇ……。もちろん日本でも全くの無視状態でしたし、人気が継続していたイギリスでさえ、中途半端な売れ行きだったのですから、本当に世の中は不条理です。

それが近年、どうして人気盤となったのか、それすらも私は理解していません。というか、リアルタイムで愛聴していたサイケおやじは、そんな時代の変化や流れについていけないオールドウェイヴを自覚するばかりなのでした。

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