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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スライドギターでブルースを

2009-11-11 10:13:45 | Rolling Stones

Little Red Rooster / The Rolling Stones (Decca / キング)

これは私が「Jumpin' Jack Flash」の次に買ったストーンズのシングル盤です。

曲はご存じ、アメリカの黒人ブルースをストーンズ流儀でカパーし、見事にチャート1位の大ヒット! 発売はイギリスで1964年11月、我国では翌年の2月でしたが、私が入手したのは昭和44(1969)の1月です。

そのきっかけは、直前に買ったアルバム「決定版! ローリング・ストーンズ・デラックス」に収録されていたブルースカパー曲「I Can't Be Satisfied」の名演にシビレきっていたからで、特にブライアン・ジョーンズが弾くスライドギターの魔法に憑かれていたのです。

そしてストーンズの同系演奏を求めていた私の前に現れたのが、このシングル盤というわけですが、買ったのはレコード屋ではなく、所謂「ヒッピー」のお兄ちゃんがやっていた露天でした。

当時は、そうしたヒッピー族が日本でも増えていた頃で、もちろん欧米のサイケデリック文化のひとつとして、自由な生き方を求めたドロップアウトの人種だったんですが、特に我国では学生運動からの脱退組やまともな就職を嫌った人達、あるいは流行に流されていた者も含めて、二十代の男女が多かったように思います。

そして彼等は盛り場の路上で手作りのアクセサリーや古本、あるいは輸入ポスターの粗悪なコピー品、自作の詩集やアンティーク等々を売っていることも多く、私がこのシングル盤を買ったのも、そんな彼等のひとりだったというわけです。

で、そのお兄ちゃんは様々な古着やレコードを商っていたのですが、みかん箱に入れられたシングル盤の中にはストーンズのブツが幾つかあり、そこで意を決した私は「スライドギターが聴けるストーンズは、ありますか?」と質問し、勧められたのが本日の1枚だったというわけです。

ちなみに値段は50円でしたが、決して中古ではなく、ピカピカだったのには吃驚♪♪~♪ おそらくはデッドストックだったんでしょうねぇ。

そして帰宅して針を落とした瞬間、そこにはドロドロにエグイ、ブルースの世界がありました。

オリジナルはブルース界の雄=ハウリン・ウルフが1961年に吹き込んだ名作で、その凄みのあるボーカルとギスギスしたスライドギターが強烈な印象ですが、ストーンズの演奏はブライアン・ジョーンズのまろやかで深みのあるスライドギターを要に、ミック・ジャガーがレイジーな黒っぽい語り口という、今聴けば白人らしさが隠しようもない仕上がりです。

しかし当時は、そんな事は知る由もありません。

曲調は決してメロディアスではなく、むしろ語りっぽい歌なんですが、それを彩るブライアン・ジョーンズのスライドギターが千変万化♪♪~♪ これがクセになるんですよ。

ちなみにスライドギターとは説明するまでもありませんが、弦を抑える方の手の指にガラスビンの口の部分や金属製の筒を装着し、弦の上を滑らせながら音をコントロールする技法で、当然ながら弦を弾くやり方はフィンガーピッキングを主体としているものの、これは各人の企業秘密というか、独自の奏法が個性に繋がるところです。

もちろんサイケおやじも後年、スライドギターに挑戦したのですが、どうやっても上手く音やフレーズがコピー出来ません……。なんと、それもそのはず、ギターのチューニングがレギュラーではなく、オープンチューニングだったという秘密も知ることになりました。

まあ、それはそれとして、こうした黒人ブルースの技法をロックという白人音楽に取り入れる現実については、リアルタイムの1960年代では非常に珍しかったと思います。

それは人種差別が当然の本場アメリカでは、ブルースという音楽は黒人専門の分野であり、白人層で聴いたり、演奏している奴らは「変わり者」でした。そうした事情はイギリスでも同じだったというよりも、黒人音楽そのものに対する知識や素養があまりなかった時点で、既にブライアン・ジョーンズが自在にスライドギターを演じていたという事実は、行き過ぎたものだったかもしれません。

今となってはスライドギターがロックでは当たり前に使われていますので、このあたりの事情は要注意でしょうね。

とにかくスライドギターには、ある種の魔力が秘められていると思います。

そうじゃなければ、こんなメロディの無い曲がチャートのトップになるはずもなく、また別の意味ですが、実は歌詞に秘められたエロい比喩を使った表現と中身を鑑みれば、やはりストーンズならではの世界なのでしょう。

ブライアン・ジョーンズのスライドギターはオリジナル演奏のフレーズを参考にしているとはいえ、その豊かな響きは最高♪♪~♪

ちなみに録音されたのは、ストーンズが2度目のアメリカ巡業を行った1964年秋、それも聖地シカゴのチェス・スタジオを訪れてのセッションでしたし、現場には作者のウィリー・ディクソンが立ち会っていたそうですから、それでも臆することなく、これだけの歌と演奏をやってしまったストーンズは、おそるべし!

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ドロドロにエグイ! モカンボのストーンズ

2009-10-29 10:35:34 | Rolling Stones

Stereo Mocambo Reels 1977 / The Rolling Stones (Idol Mind = bootleg)

1977年の所謂「トロント事件」は、ストーンズファンにとって、決して忘れられない出来事だと思います。

それは後に2枚組アナログLPのライプ盤として発売されるアルバム「ラブ・ユー・ライブ」制作の追加セッションとして、カナダはトロントのライプハウス「モカンポ」で少数の観客を前に演奏する企画が発端でした。

そして現地に集合したストーンズの面々の中で、キース・リチャーズとアニタ・パレンバーグが当局に麻薬所持と密売の容疑で逮捕されたのが、2月27日です。

しかし、肝心のライプセッションが3月4&5日に予定されていたことから、ここはなんとか保釈金を払って切り抜けたキースにしても、後の出廷から裁判の結果如何によっては、ストーンズの存続そのものが危うい立場になっていることに変わりはありません。カナダの法律では麻薬の密売は終身刑なのですから、ミック・ジャガーは相当に落ち込んでいたとか……。

それでも、そんなこんなが良い方向に作用してしまうのが、ストーンズというバンドの恐ろしさです。

前述したライプアルバム「ラブ・ユー・ライブ」のアナログ盤C面、通称「モカンボサイド」に収録された演奏を聴けば、当時のテンションの異様な高さは証明済み!

それゆえに、この2日間を含めた当時のストーンズの状況、その全貌を知りたくなるのがファンの願いというものですから、これまでも様々な関連音源のプートが出回り、その度の一喜一憂は刹那の学習効果に近いものがありました。そして今回、またまた驚愕の発掘となったのが、本日ご紹介のブツです。

なんとCDとDVDからなる2枚組仕様で、CDがモカンボでのライプ演奏をステレオライン録音をメインに纏めた音源集! そしてDVDは残念ながら動画ではありませんが、リアルタイムでの関係者インタビューと関連スチール写真、BGMが入った、如何にもアイドル・マインド・プロらしい濃厚なセットになっています。

☆Stereo Mocambo Reels
 01 Hand Of Fate ★
 02 Route 66 ▲
 03 Mannish Boy ▼
 04 Crackin' Up ▲
 05 Dance Little Sister ◆
 06 Around And Around ★
 07 Worried About You ★

 08 Let's Spend The Night Together (edited) ▲
 09 Band Introduction ▼
 10 Little Red Rooster ▲
 11 Crazy Mama
(mono / incompletet)
 12 Route 66 ★
 13 Crackin' Up
(incompletet)
 14 Let's Spend The Night Together (un-edited)
 15 Little Red Rooster ◆
 16 Route 66 ◆
 17 Crackin' Up
(combination mix)
 18 Little Red Rooster (combination mix)

  ★Reel A - rough mix
  ▲Reel B - rough mix
  ▼Reel C - final mix
  ◆Reel D - off acetate

 今回の収録は上記の18テイクになっていますが、現実の2日間では初日の3月4日に15曲、翌日には19曲が演奏されたという記録がありますから、これは一部にすぎません。
 しかしそれがまず、どういう経緯か、アセテート盤にコピーされた◆の3曲だけがヨーロッパの某ファンクラブ会員向けの7インチEPとして配布され、それがまたプートにコピーされて出回っていました。
 そして残りの演奏も追々、様々なプートで発掘され続けたのですが、それはライン録音がメインでありながら、モノラルとステレオの両ミックスが混在し、また音質もバラバラ……。
 それが今回、新発見のリールから唯一「Crazy Mama」を除いてリアルステレオの良好ミックスで楽しめるようになったのは、最高に嬉しいプレゼント♪♪~♪ もちろんキースが右、ロニーが左という「お約束」のギター定位になっていますし、当然ながら公式レコーディングを前提にしていましたから、ベースやドラムスの迫力もグッと生々しいかぎりです。
 もちろん中には公式テイクに極力近いミックスもありますし、また同時にダビングや編集が施されていない演奏が大部分を占めているとあって、これがなかなかにワイルドなR&Rのストーンズ的真髄が、たっぷり♪♪~♪ 特にラフミックスの「Around And Around」はキースとロニーのギターアンサンブルがブライアン・ジョーンズ時代の突進力を見事に再現する感涙名演ですし、ミックの「やさぐれた」歌いっぷりも高得点! 完全に「ラブ・ユー・ライブ」の公式テイクを上まわっていますよ。
 さらに「Hand Of Fate」や「Worried About You」といった、公式盤未収録のライプテイクにしても、意想外に鋭く細いキースのギターが良い感じ♪♪~♪ 逆にロニーのギターは粘っこく、持ち味を存分に活かした、これも隠れ名演でしょうねぇ~♪ そしてミックのボーカルが実にソウルフルなんですよっ! あぁ、たまりません。
 気になる複数テイクが収められている曲の中では、まず「夜をぶっとばせ / Let's Spend The Night Together」がボロボロになって完奏出来ず、欠落パートを編集したものの、結局はオクラ入りした真相が明かされています。それが編集されたトラック「08」と未編集の「14」という、このあたりにもブートならではの楽しみがあるわけですが、その意味では公式テイクが残されている「Crackin' Up」が、ここで3バージョン収録されているのも嬉しいかぎりでしょう。ただしトラック「13」はイントロだけなのが残念……。
 また「Mannish Boy」や「Little Red Rooster」はボーカルや諸々の手直しが入らない、まさに「生」のまんまのストーンズ流ブルースロックが、これまた最高♪♪~♪
 ちなみにトラック「17」と「18」は、このブツを制作した業者による恣意的なミックス&編集によって、公式テイクでの仕上げのポイントが種明かしされる、相当にマニアックな楽しみがありますが、個人的には、なんだかなぁ……。
 それと今回も残念だったのが、各トラックの録音年月日が、またしても特定されなかったことです。ただし当時の資料を基に演目の流れが極力、リアルタイムの曲順にしてあるようですから、そうした努力は表彰物でしょう。
 何よりも音質の大幅な改善とリアルステレオの嬉しい発掘は、絶対です!

☆Rare Interviews & Live M.C. On Still Pictures (日本語字幕付き)
 01 IMP Slate
 02 El Modambo Bartender
 03 A Rock Critic
 04 Comment On “Love You Live”
 05 Interview With Ron Wood
 06 Interview With Mick Jagger
 07 Interview With Keith Richard
 08 El Modambo Live M.C. & Band Introduction

 09 Mannish Boy (edited)
 10 Crackin' Up (edited)
 こちらはDVDのパートですが、既に述べたように動画ではなく、全てがスチール画像と音声だけの構成ながら、日本語字幕が入っていますから、何の問題もなく当時のストーンズのあれこれが楽しめます。
 それはネタばれがありますから、詳らかには致しませんが、公式盤等々ではカットされていた悪ノリのメンバー紹介は、まさにミック・ジャガーならではの話術が最高の極みつき! 各メンバーへのインタビューも貴重ですが、いろんな本音がチラチラ吐露されるあたりも、今となっては感慨深いものがあります。

ということで、実に濃厚な楽しみに溢れたブツです。

リアルタイムの状況としては、キースとアニタの逮捕と裁判、ストーンズの乱痴気ライプ、さらに当時のカナダ首相夫人とロニーやミックとの火遊び的なスキャンダル、打ち上げパーティに参加した各方面の著名人達が巻き込まれていく様々な醜聞……等々が、世界各国でトップニュースとして報道されていました。

そして一番の問題はキースの行く末!?!

今となっては温情判決でストーンズも存続出来たのですから、懐かしくもホロ苦い思い出かもしれませんが、当時は完全に袋小路だったのです。

そんなこんなも含めて聴く今回のブツは、やっぱり味わい深いものがありますし、何よりも世界最高のロックバンドはストーンズ! それを痛感させてくれますよ♪♪~♪ ここでのライプで楽しめる毒々しいまでの雰囲気とノリは、本当に唯一無二だと思います。

ちなみに当時の幸運な観客は、カナダのラジオ局が主催した「私はどうしてストーンズとパーティへ行きたいのか?」という懸賞論文の当選通過者が、300人ぽっきり! もしタイムマシンがあったとしても、当日のモカンボクラブへは入場が不可能ですから、こういう発掘プートが、限りなく愛おしいわけです。

願わくば、この歴史的な名演ライプ2日間のコンプリート音源が出ますようにと、ますます祈念するばかりです。

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深くて黒い転石世界

2009-10-05 12:38:57 | Rolling Stones

決定版! ローリング・ストーンズ・デラックス (Decca / キングレコード)

これは私が初めて買ったストーンズのLPです。

発売されたのは昭和43(1968)年11月末でしたから、私がゲットしたのは翌年のお正月、お年玉を使いました。

実は度々述べてきたように、私が本格的にストーンズ命の世界に入ったのは同年に出た「Jumpin' Jack Flash」に狂わされてからです。そして初めて聴いたストーンズのアルバムにしても、従姉から借りた「あなたが選んだゴールデンアルバム」という、日本編集のベスト盤でした。

それなのに、なんでまた、ベスト盤を?

という疑問は至極当然だと思いますが、それは収録曲目で、ご理解願えると思います。

 A-1 Time Is On My Side
 A-2 Pain In My Heart
 A-3 Mona / 愛しのモナ
 A-4 Cry To Me
 A-5 Everybody Needs Somebody To Love
 A-6 I Wanna Be Your Man / 彼氏になりたい
 B-1 Heart Of Stone
 B-2 Can I Get A Witness
 B-3 2120 South Michgan Avenue
 B-4 If You Need Me
 B-5 I Can't Be Satisfied
 B-6 Walking The Dog

どうです、この真っ黒にシブイ選曲♪♪~♪

前述「あなたが選んだゴールデンアルバム」が、「黒くぬれ!」「涙あふれて」「一人ぼっちの世界」、そして「Satisfaction」や「夜をぶっとばせ!」等々、真にストーンズの大ヒット&人気曲を集めていたのに対し、こちらは実にマニアックでありながら、全くストーンズの本質をズバリと突いたプログラム! 今もって秀逸だと思います。

しかし若き日のサイケおやじは、そんな事に気がつく道理もなく、ただ「あなたが選んだゴールデンアルバム」とは異なるベスト盤が聴きたかっただけなんですが、それにしても、この熱い歌と演奏にはシビレましたですねぇ~~♪

ちなみに当時はモータウンやアトランティック系の黒人R&Bが、ようやく我国でも人気を集めていた時期でしたし、そのあたりの流行を察知して組まれた特殊形態のベスト盤という意図があるのかもしれません。

そして見事にその思惑に狙い撃ちされたのが、サイケおやじでした。

特に「Walking The Dog」や「Everybody Needs Somebody To Love」、そして「Pain In My Heart」や「If You Need Me」といった深南部系R&Bには、完全にやられましたよっ!

また同時に、「Time Is On My Side」や「Heart Of Stone」あたりの、所謂ストーンズ流儀の泣きのパラードにも感涙したのですが、こういう世界は明らかにビートルズでは感じることの出来ない、別物の魅力に目覚めたのです。

その意味で、ビートルズと競作になっている「彼氏になりたい」には、ちょっと……。

実はご推察のように、私はそれまでストーンズのアルバムはもちろん、ヒットシングル曲にしても、ほとんど意識して聴いていませんでした。何故ならば、当時はビートルズがなんでも一番! ストーンズだって、その他大勢のポップスバンドと同じ扱いだったんですよっ、信じてもらえないでしょうが……。

それと不思議な魔力に吸いつけられたのが、シカゴブルースへの愛情コピー「I Can't Be Satisfied」でした。そしてブライアン・ジョーンズが弾くスライドギターこそが、演奏の要と知るのです。

ということで、いよいよストーンズという魔界に足を踏み入れたサイケおやじの、今日は最高にぶる~~すな1日になりそうですから、ついつい、こんなアルバムを朝から聴いてしまったというわけです。

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「乞食の宴会」最強裏盤

2009-10-01 11:59:30 | Rolling Stones

Just Listen To The Complete Beggar's Banquet Outtakes
                                                     / The Rolling Stones (- = bootleg 4CDR)

またまたプート屋の餌食になっているサイケおやじではありますが、今回も自己満足な快楽に浸りつつ、やはりご紹介せずにはいられないブツが、本日のネタです。

それはタイトルどおり、ストーンズが1968年12月に出した渾身の大傑作アルバム「ベガーズ・バンケット」のセッションから集められた関連アウトテイクを集成した4枚組のCDR!

このあたりの音源に関しては今日まで、夥しい発掘プートが出回ってきましたが、これはネットで流れている新しい掘り出し物やいろんなレーベルに分散していたマテリアルを可能な限り集めたという、率直に言えば反則技のオンパレードなんですが、そこはプートですからねぇ~。

実はちょいと前に、同じ内容に近いブツが出回っていたのですが、値段が高かったわりにはアッという間に売れ切れ、買い逃したサイケおやじは涙を隠していたのです。それがプート屋のお兄ちゃんの話では、こっちの方が音が良いし、値段も安いですよ♪ なんていう、その売り文句には、決して騙されたとは思っていません。

実際、コピー盤と思しき体裁とはいえ、前述盤では些かバラツキのあったマスタリングが、きっちりと補正され、さらに音質がオフィシャルと同等、あるいはそれ以上の迫力ですから、1960年代末の混乱から次なる全盛期に向けて邁進していくストーンズの姿が、最高に生々しく楽しめます♪♪~♪

☆Disk 1
 01 Pay Their Dues
 02 Street Fighting Man / alternate mix
 03 Child Of The Moon / stereo mix
 04 Jumping Jack Flash / yeah Yeah version
 05 Jumping Jack Flash / alternate 1
 06 Stuck Out All Alone
 07 Blood Red Wine
 08 Downtown Suzie / alternate
 09 Family / alternate 1
 10 Family / alternate 2
 11 Still A Fool / long version
 12 Sympathy For The Devil / alternate 1 (organ version)
 まず冒頭の「Pay Their Dues」は「Street Fighting Man」と基本的には同じ曲ですが、歌詞も演奏のキメも異なる、所謂初期テイクっていうやつでしょう。しかし演奏の迫力は最新リマスターによって、これまでの既発ブートに収録されたトラックとは一線を画する音質ですから、混濁した音作りの中で自己主張するサイケデリックなギターソロやシタールの不気味な蠢きが実に新鮮です。続く公式テイクの別ミックス「Street Fighting Man」と聴き比べる楽しみも最高ですよ♪♪~♪
 また個人的に嬉しかったのが「Jumping Jack Flash / yeah Yeah version」です。これは有名なプロモーションフィルムに使われていたバージョンで、とにかく初っ端からミック・ジャガーが随所で「イェ~、イェ~」とノリまくっているんですねぇ♪♪~♪ 演奏そのものも疾走感とヘヴィな勢いが上手く融合していますから、聴く度に中毒症状は必至だと思います。
 それと「Sympathy For The Devil / organ version」はセッションの流れを記録したものとはいえ、オルガンが大活躍する、実にグルーヴィな演奏にグッとシビれますよ♪♪~♪ リミッターが効いたドラムスも強烈に大好きです。
 気になる公式未発表曲では、やはり「Stuck Out All Alone」の泣きのメロウソウルパラードが、何度聴いても涙がボロボロこぼれる名唱名演の決定版♪♪~♪ もちろんミック&キースの共作曲ですが、どうしてこれが完成されなかったのか!? もう犯罪だと思うほどです。ミック・ジャガーのファルセットも良い感じですし、カーティス・メイフィールドを意識しまくったギターはヘタウマですからキース・リチャーズでしょうか? 和みます♪♪~♪
 しかしステレオミックスと表示された「Child Of The Moon」は??? 所謂疑似ステレオってことなんでしょうが、エコーの効きもイマイチでした……。

☆Disk 2
 01 Sympathy For The Devil / alternate 2
 02 No Expectation / alternate
 03 Dear Doctor / alternate 1 (Mick Vo.)
 04 Dear Doctor / alternate 2 (Mick & Keith Vo.)
 05 Parachute Woman / alternate
 06 Family / alternate 3
 07 Jigsaw Pazzle / alternate
 08 Peodigal Son / alternate
 09 Still A Fool / short version
 10 Stray Cat Blues / alternate
 11 Factory Girl / alternate
 12 Salt Of The Earth / alternate
 13 Sympathy For The Devil / alternate 3 (organ version)
 14 Sympathy For The Devil / alternate 4
 ここでは「Still A Fool / short version」が、まず圧巻! 未だに公式バージョンが出ないというストーンズ流儀のドロドロなブルースロックですが、Disk 1 に収録の「long version」に比べて、尚更にエグミが強く、ブライアン・ジョーンズのスライドギターが素晴らしく好調ですよ。ヘタウマを演じるキース・リチャーズが必死のニューロックギターも憎めません。
 また「Peodigal Son / alternate」も公式バージョン以上にノリが良く、生ギターを熱血で弾きまくるキース・リチャーズが大ハッスル! 掛け声も憎めませんが、ドラムスが強く入っているのも高得点ですし、なによりも勢いが素晴らしいですよ♪♪~♪
 それと「Dear Doctor / alternate 2 (Mick & Keith Vo.)」が、これまた最高の雰囲気で、ほとんどヤケッパチに近いキースのデュオボーカルが良い感じ♪♪~♪
 そして3バージョンも収録されて気になる「Sympathy For The Devil」は、荒っぽいリハーサルの「alternate 2」、セッションからオルガンバージョンに進展する「alternate 3」は、ノリノリのオルガンアドリブの途中で切れるのが残念至極! テンポも緩やかにスタートし、ヘヴィなロックビートにヨーロッパ教会音楽風の味わいも素晴らしいです。ちなみに「alternate 4」は完成バージョンに極めて近いところまで仕上がっていますので、個人的には「alternate 3」が一番興味深々で楽しめました。

☆Disk 3
 01 Sympathy For The Devil / alternate 5 (mono mix)
 02 And I Was Country Boy (Inst.)
 03 Stray Cat Blues / alternate (restart)
 04 Highway Child
 05 Dear Doctor / alternate 3
 06 Dear Doctor / alternate 4
 07 You Got The Silver / alternate (Mick Vo.)
 08 Memo From Turner / alternate
 09 Jumping Jack Flash / alternate 2 (chorus only)
 10 Child Of The Moon / alternate (chorus only)
 11 Jumping Jack Flash / alternate 3
 12 Sympathy For The Devil / alternate 6

 ここでも気になる「Sympathy For The Devil」は、「alternate 5」がモノラルミックス、そして「alternate 6」は驚きのサイケデリックミックスとでも申しましょうか、ボーカルにミョウチキリンなエコーを効かせ、左右に音を振り分けたり、ちょいと今風に流行のDJが使う裏ワザみたいな……。個人的には吐き気がしましたよ、正直。
 で、そんなモヤモヤをブッ飛ばしてくれのが、ストーンズのアウトテイクでは有名なハードロックという「Highway Child」です。いゃ~、これもまた公式バージョンで完成されなかったのが惜しまれますねぇ~。突進するビートはストーンズならではの、グリグリザクザクした、あのノリですよっ!
 そして「You Got The Silver / alternate (Mick Vo.)」も有名なアウトテイクのひとつとして、キース・リチャーズが歌った公式バージョンよりも粘っこいムードは、やはり捨て難い魅力に溢れていますねぇ~♪
 また「chorus only」の「Jumping Jack Flash」と「Child Of The Moon」は、公式テイクのカラオケですから、なりきって歌いましょうね。 

☆Disk 4
 01 Jumping Jack Flash / single version
 02 Street Fighting Man / single version
 03 Downtown Suzie / Mertmorphosis version
 04 Family / Mertmorphosis version
 05 Memo From Turner / single version
 06 Sympathy For The Devil / One + One rehearsals

 上記のトラックは公式バージョンの再録ですから、CD復刻が充実している今となっては珍しいテイクもありません。ただし、リマスターが素晴らしいので、正規盤よりも音質に迫力がありますよ。個人的には気に入っています。

 07 Rock Me Baby / rehearsal 1968
 08 Rock Me Baby /  -
 09 Stray Cat Blues /  -
 10 Instrumental /  -
 11 Hold On I'm Coming /  -
 12 Jumping Jack Flash /  -
 13 Instrumental /  -
 14 Some Satisfaction /  -
 15 I'll Coming Home /  -
 16 Instrumental /  -
 17 Comversation /  -
 上記の演目は正式レコーディングセッション前のリハーサル音源で、当然ながらチープな録音機器が使われていますから、音質的にはシンドイでしょう。特にプート初心者には地獄でしょうね。
 しかしブルースの意気込みに満ちた熱い現場の雰囲気、そして1960年代末のロック全盛期がダイレクトで楽しめること請け合いです。こういうドロドロしてハードな部分をリアルタイムで持っていたのが、当時のストーンズの魅力じゃないでしょうか。そのあたりは今も変わらないと思うんですけどねぇ……。

ということで、個人的には大いに楽しめました。

収録各曲はステレオとモノラルのミックスが混在していますが、これまで以上に秀逸なリマスターにより、音質がド迫力の素晴らしさ! ケースにもディスクにも制作メーカーが記載されていないという、如何にもコピープートの宿命を露わにしているものの、これは確実に良い仕事だと思います。正直に言えばプレス盤だったら尚更に良かったんですが、それは贅沢というものでしょうね。

ちなみに収録されたセッションは1968年の春から秋頃にかけて行われ、ブライアン・ジョーンズが心身ともにボロボロになっていた時期ですから、多くのゲストプレイヤーが参加しているのは既定の事実です。例えば随所で素晴らしいピアノやオルガンを披露するニッキー・ホプキンスは流石の存在感! また正体不明の打楽器奏者やギタリストの参加も、様々な憶測を呼んでいる、実に歴史的な楽しみでもあります。

あぁ、それにしても、この時期のストーンズって大好きです。

年末には1969年の北米巡業から作られた名演ライプ「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」のデラックスエディションも発売が決定! たまらずに予約したのがサイケおやじの本性ですから、本日の過剰な思い込みもご理解願いたいところです。

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ストーンズの逆襲 '78

2009-07-28 11:17:09 | Rolling Stones

Garden State 78 / The Rolling Stones (Kiss The Stone = Bootleg CDR)

春頃から積み重なっていた仕事もようやく一段落した先週末、となればサイケおやじは再び悪いムシが出てしまい、ストーンズの最新海賊盤がドカッと入荷していたブート屋の餌食になってしまいました。

そして本日のご紹介も、その中のひとつで、元ネタはストーンズが1978年に敢行した北米巡業のライブ音源♪♪~♪ しかも内容は当時から音質良好の人気定番として、ファンには有名だったものです。

それは、このブツと同じタイトルの2枚組アナログ盤で、ミキサー卓に直結の所謂サウンドボード音源ということで、観客の熱狂や声援等々はちょいと臨場感に欠けるのですが、個々の楽器の分離状態や低音域にメリハリの効いたミックスは、なかなかに迫力がありました。

録音は1978年6月14日のニュージャージー州、キャピトルシアターという小さめの会場で、資料的にはツアーの三番目となる公演地ですから、まだまだ演目の構成にも興味深い練りの不足が、逆に楽しいところ♪♪~♪ サポートメンバーもロン・ウッドとは昔馴染みのイアン・マクレガン(p,key,vo) だけというシンプルさが、かえって新鮮でした。

そしてストーンズが日常的というラフファイト的な演奏が、その頃に台頭してきたパンクロックへの意地の表れと解釈されているように、原点回帰したというよりも、意図的に開き直った感じが、これも「らしさ」の魅力になっています。

★Disc 1
 01 Let It Rock
 02 All Down The Line
 03 Honky Tonk Women
 04 Star Star
 05 When The Whip Comes Down
 06 Miss You
 07 Just My Imagination
 08 Lies
 09 Beast Of Burden
 10 Respectable
★Disc 2
 01 Far Away Eyes
 02 Love In Vain
 03 Band Introductions
 04 Shattered
 05 Sweet Little Sixteen
 06 Tumbling Dice
 07 Happy
 08 Brown Sugar
 09 Jumping Jack Flash
 10 Street Fighting Man

上記演目は十八番のヒット曲はもちろん、リアルタイムの新作アルバムだった「女たち / Some Girls」から多くが入れられ、中でも「When The Whip Comes Down」や「Respectable」、そして「Shattered」や「Lies」といった、以降のストーンズのライブでも欠かせない、如何にも「らしい」R&Rが痛快至極! もちろん観客にしても、初めて生演奏を聴くわけなんですが、その楽しさと猥雑さ、過激さとリラックスしたノリの良さには、完全に惹きつけられたと思います。

また最新ヒットシングルとなった「Miss You」のディスコ大会とか、人気黒人グループのテンプティションズをカバーした「Just My Imagination」の強引なロックロール的解釈も侮れません。というよりも、ズバリ、楽しいですよ♪♪~♪

ただしラフな演奏はともかくも、時には投げやりなミック・ジャガーの歌い方には、好き嫌いがあるかもしれません。おそらくは意識的だったと思うのですが、終盤の「Brown Sugar」から続くパートでは、これ以前の名演・熱演が深く焼き付けられているだけに、なんだかなぁ……。

そのあたりが哀愁歌謡っぽい新曲の「Beast Of Burden」では、逆に結果オーライなのが皮肉かもしれませんね。

ちなみに演奏全体はツッコミ気味にスピードがついた、なかなか若々しいと言っては失礼な魅力があり、これも前年までのファンキーなストーンズから脱却を図った証明かもしれません。

そして演奏のド頭にやってしまう「Let It Rock」とか、「Sweet Little Sixteen」といったオールディズのR&Rを、堂々と披露するあたりも、憎めません! 既に述べたように、これを出来るのが、パンクロックのアンポタン野郎達へのお手本でしょうねぇ。ロック魂の年齢は、かんけーねー! っていうことを実践しているのは、今でも転がり続けている彼等が立派に証明しているわけですが!?!

気になる音質については、まずアナログ盤時代は基本的にモノラルミックスながら、部分的に綺麗なステレオミックスになっていたのですが、何故か時々、左チャンネルからの音が欠落したり、元ネタテープのヒスノイズが目立っていました。

それがCD時代になって、例えば「Out On Bail」とか幾つかの改訂盤が登場し、音質も飛躍的に向上したのですが、これも何故かチャンネルが左右逆だったり、ヒスノイズを消すために使われたイコライザーの所為で、なおさらに嫌らしくなったり……。

つまり演奏の迫力が魅力なのに、それを活かしきった決定版がありませんでした。

それが今回のブツでは、チャンネルのドロップアウトはモノラルミックスで上手く処理し、最新の技術でノイズを激減するリマスターによって、とても聴きやすく仕上がられています。

またアナログ盤ではフェードアウトしていた「Street Fighting Man」も、客席から隠密録音された音源を上手く繋いで完奏パージョンに作り上げたのも、高得点でしょう。これは以前にも同様の試みがあったのですが、今回は尚更に自然な感じです。

そしてジャケットがオリジナルのデザインにされたのも、嬉しいところ♪♪~♪ 正直言えばプレス盤ではなく、CDRなのが残念ですが、それもまた良しと致します。

この時期のストーンズについては、ファンの間でも好き嫌いがはっきりしている感じで、サイケおやじにしても、それほどの思い入れがあるとは言えません。なにもパンクなんかに意識過剰になるほどもないストーンズの焦りも、気になります。

しかし、そんなこんなで実際に演じられたライブの魅力は、この音源を聴けば即効性があり、実は私が自身がパンクを忌嫌っているところを生理的に痛感させられるのです。当時は30代半ばを過ぎていたストーンズの面々にしても、そんな歳になってまでロックは出来ないとされていた社会常識を、軽々と飛び越えていたんですねぇ~。

当時を未体験のファンの皆様はもちろん、ひとりで多くの中年者にも、お楽しみいただきたいと願っております。

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ブライアンを忘れない!

2009-07-03 12:15:39 | Rolling Stones

The Rolling Stones In Action (Insect = Bootleg CD)

今から40年前、1969年の今日、ストーンズのリーダーだったブライアン・ジョーンズが天国へ召されました。

そこまでへの経緯や死因については数多くの書物、また近年は映画化もされたほど様々な憶測があるのですが、一番せつないのは、「ストーンズのリーダーだった」と書かねばならないことです。

ご存じのようにストーンズはブライアン・ジョーンズが主導して結成されたバンドですし、ミック・ジャガーやキース・リチャーズが主だった曲を書いたとしても、実際のレコーディングやライブの現場ではブライアン・ジョーンズがテンポやアレンジを決め、演奏そのものをリードしていたことは、残されたレコーディングが証明しています。

特に初期から中期、つまりブルースやR&Bのロック的な演奏をやっていた頃からサイケポップなヒット曲を連発していた1960年代中頃までの大活躍は、ストーンズがトップバンドに成長していく原動力だったのです。

ところが同時にブライアン・ジョーンズは悪いクスリや恋愛問題、それゆえの人間関係の縺れから、バンド内での居場所を失っていくのですが、それでもメンバーは最後までブライアン・ジョーンズを頼りにしていたことは否めないと思います。

しかし現実的には薬物事件で執行猶予付きとはいえ、有罪判決を下されたことから海外巡業に参加出来なくなり、バンドを去ることになったのです。

このあたりは諸事情が複雑に絡み合い、決して一概に決めつけることは出来ませんし、ブライアン・ジョーンズにしても執行猶予期間が満了すれば、再びストーンズに復帰出来ると思っていたフシもあり、また新しいバンドを組むという噂も強くあった時期の訃報だけに、その衝撃と悲しみは計り知れないほどでした。

さて、本日のご紹介は、ブライアン・ジョーンズが本当に輝いていた時期の記録として、ストーンズのライブ演奏やスタジオ未発表テイクを集めた海賊盤CDです。ただし、その性質上、データに不明な点も多く、またCDのチャプターも間違っていたりしますので、これからの文章は、その点を個人的な考察も含めて訂正したものです。

★ホノルル '66
 01 Intro
 02 Not Fade Away
 03 The Last Time
 04 Pint It Black
 05 Lady Jane
 06 Mother's Little Helper
 07 Get Off Of My Cloud
 08 19th Nervous Breakdown
 09 Satisfaction
 10 Ending

 このパートが、このブツの最大の魅力!
 1966年7月28日、ハワイのホノルルで行われたライブステージのラジオ放送音源を纏めたもので、アナログ盤時代から音質良好の名演とされていましたが、CD時代となってからは、さらに音源が追加され、尚更に楽しめるようになりました。
 まず女の子ばっかりじゃないか!?
 としか思えない観客の声援が物凄く、勿体ぶった司会者のMC、それに続くストーンズの突進するパフォーマンスが、まさに全盛期の証になっています。そして既に述べたように、ブライアン・ジョーンズが全体を通して、完全に演奏をリードしているんですねぇ~♪
 「Not Fade Away」における爆発的なハーモニカ、強烈なリードのリフを弾きまくる「The Last Time」の2連発だけで、完全にストーンズ最高の世界が構築されるのは驚異的です。
 そしてブライアン・ジョーンズ抜きでは語れない「Pint It Black」ではシタールを演奏して、と書きたいところなんですが、どうやらエレキギター? また「Lady Jane」ではエレクトリックダルシマーを巡業中に使っていた記録があるんですが、この公演前のサンフランシスコあたりで、それが盗まれてしまったことから、ここではハープシコードで代用?
 ここで「?」としなければならなかったのは、もちろん音源が混濁した熱狂に支配されているからで、ラジオの放送音源といえども、当時としてはこれが限界という事実をご理解願います。ただし演奏は実に秀逸ですよ。後の公式ライブ盤「Got Live If You Want It! (London)」よりもリアルさが当然ながら濃厚で、好感が持てます。
 さらに後半は怒涛のヒット曲が乱れ打ち!
 いずれもスタジオバージョンよりはギターロックの味わいが強く打ち出され、ストーンズならではという2本のギターのアンサンブルが、実に強力です! もちろんブライアン・ジョーンズはキメのリフ、鋭いオカズのツッコミ、さらに攻撃的なリズムギターの真髄を聞かせてくれますが、要所では相方のキース・リチャーズを立てることも忘れませんし、何よりも演奏全体をリードしつつ、ミック・ジャガーのボーカルをグイグイと盛り上げていくのは流石です。
 とにかくブライアン・ジョーンズの存在感は圧倒的! 当時からライブバンドの王様だったストーンズの素晴らしさが、徹底的に楽しめます。
 ちなみに当然ながら、この音源は他メーカーから数種のブツで出回っていますが、ブライアン・ジョーンズのステージでのカッコ良さが突出したジャケ写とデザインにより、本日はこれを取り上げたというわけです。

★ロンドン '68
 11 Family (2 Version)
 12 Still A Fool
 13 Now I've Got A Witness

 次のパートは1968年前後のスタジオ録音アウトテイクですから、ブライアン・ジョーンズの参加も曖昧な演奏です。
 まず「Family」は1975年に公式発売された未発表曲集「Metamorphosis (Abcko)」にも収録されていましたが、ここでは未完成の2つのバージョンが楽しめます。それは前半がアコースティック、後半のエレキというギターアレンジの違いが特徴的ですが、前述した「Metamorphosis」にはアコースティックバージョンが完成されて使われただけに、エレキバージョンが貴重です。
 そして「Still A Fool」は今でも海賊盤でしか聴くことの出来ないストーンズ流儀のブルースロック♪♪~♪ 重いビートにスライドギター、猥雑なボーカルに絡みつくピアノ♪♪~♪ 8分を超える演奏ですが、最初っから最後まで、グッと惹きつけられますよ♪♪~♪ 気になるスライドギターはブライアン・ジョーンズだと思いますが、ちょっと不調気味なところが逆に凄く、またミック・ジャガーのハーモニカも印象的です。
 しかし最後の「Now I've Got A Witness」は???と、疑問符だらけの演奏で、曲そのものはストーンズのデビューアルバムに入っていたモータウンサウンド系のインストだったんですが、ここに収録されたのは、そのアウトテイク? とすれば録音は1964年になるはずですが、ここでは公式バージョンとは異なってピアノが大きく使われていますし、ブライアン・ジョーンズのハーモニカが尚更に冴えまくり! キース・リチャーズのギターも健闘していますよ。う~ん、これはもしかすると、ジーン・ピットニーがピアノを弾いたとされる伝説のバージョンなんでしょうか? 素直にシビレます。

★その他いろいろ
 14 Mona
 15 Walkin' Thru The Sleep City
 16 Something Just Stick In Your Mind

 実はこのパートはジャケットに記載のデータがテキトーというかデタラメというか……。3曲ともライブバージョンとされていますから、完全に???です。
 おそらく「Mona」は番組出演のBBC音源?
 「Walkin' Thru The Sleep City」と「Something Just Stick In Your Mind」は、これも前述した「Metamorphosis」に収められて世に出たアウトテイクの未完成バージョンで、両方とも1960年代ならではのホップな雰囲気が眩しいほどですよ。

ということで、やはり最初のパートである1966年のライブが最高! 記録的には当時の北米巡業の最終地であり、ブライアン・ジョーンズが参加した最後のアメリカ公演でもありました……。

ストーンズは度々の危機を乗り越え、現在でも転がり続けているわけですが、ブライアン・ジョーンズがいなければストーンズも当然、ありませんでした。

あらためてご冥福をお祈りいたします。

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ロックの日にはストーンズを

2009-06-09 12:08:16 | Rolling Stones

Blind Date / The New Barbarians & The Rolling Stones (KTS = CDR)


本日6月9日は「ロックの日」、だそうですねっ!?

そんなん、誰が決めたんだぁ~~! 別に「シックスナイン」の日でも、いいじゃねぇ~かっ! と本性剥き出しのサイケおやじが確かにいますが、しかし、やはり敬意を表して、本日もロックといえばストーンズ!

もうご推察のように、結局はストーンズネタに持って行きたい言い訳、ご容赦願います。

で、ご紹介は例によってブートですが、これぞロックという楽しみが満喫出来ますよ。

内容は1979年4月22日にカナダで行われたロン・ウッド&キース・リチャーズのニュー・バーバリアンズ、そしてストーンズのライブが収められていますが、もちろんこれには、それなりの経緯がありました。

それは1977年2月27日、キース・リチャーズとアニタ・パレンバーグがカナダのホテルで逮捕! もちろん悪いクスリと乱交パーティのあげくの出来事とされていますが、その場には多くの地元政財界人も関係していたことから、大スキャンダルに発展しています。

その所為でしょうか、キース・リチャーズの療養という名目があったにせよ、裁判は引き伸ばされ、ようやく1978年10月23日に判決が言い渡されますが、この間にはストーンズの解散騒動が報じられる等々のゴタゴタもありました。

そしてキース・リチャーズには執行猶予刑と半年以内のチャリティコンサートが命じられ、それがカナダ盲人協会の支援を目的とした、このライブだったのです。

当日は昼夜2回のステージが敢行され、前半はロン・ウッドのバンドだったバーバリアンズにキース・リチャーズが客演したニュー・バーバリアンズ、中間にミック&キースのデュオがあり、後半がストーンズという構成でしたが、このブツには夜の部が収められています。

☆Disc 1 / New Barbarians
 01 Introduction
 02 Sweet Little Rock'n Roller
 03 F.U.C. Her
 04 Breathe On Me
 05 Infekshun
 06 I Can Feel The Fire
 07 Am I Grooveing You
 08 Seven Days
 09 Before They Make Me Run

このバンドはロン・ウッドが自らの新作アルバム「Gimme Some Neck (CBS)」のプロモツアーの為に組んだという側面もありますが、そこへキース・リチャーズが客演する形で実現したニュー・バーバリアンズは、ロン・ウッド(g,vo)、キース・リチャーズ(g,vo)、イアン・マクレガン(p,key,vo)、スタンリー・クラーク(b)、ジョセフ・モデリステ(ds,per)、ボビー・キーズ(ts) という豪華な面々でした。特にスタンリー・クラークの名前には仰天でしょう♪♪~♪

と言っても、主役はあくまでもロン・ウッドですから、フェイシズから連綿として受け継いできた酔いどれロックンロールは美しき「お約束」です。適度なファンキーさに加え、やはりロン&キースのギターアンサンブルは、間違いなくストーンズファンを狂喜乱舞させてしまうはずです。

それはラフというよりメチャメチャにテキトーな「Sweet Little Rock'n Roller」から始まり、ど~でもいいような歌を徹底的にロックさせていく「F.U.C. Her」、哀愁が尚更に滲み出た隠れ名曲「Breathe On Me」のラフな感触が実に心地良いというド頭からの三連発で、いきなりノセられてしまいます。

まあ、このあたりは、そのあまりにもファジーな感覚に賛否両論が本当のところなんですが、ロン・ウッドにしても久々のソロ活動ということで気合いが入っているのも確かですから、この時点の新曲という「Infekshun」や「Seven Days」での熱気は本物でしょうねぇ~♪ でも、相当に荒っぽいですよっ!

そしてロン・ウッドの名盤「I've Got My Own Album To Do (Warner Bros.)」に収録されながら、実はミック・ジャガーがメインで歌っていたという人気曲「I Can Feel The Fire」の和んだ楽しさは、やはり捨て難いものがあります。

また同じく「Am I Grooveing You」のヘヴィなグルーヴはスタジオ盤以上で、これはスタンリー・クラークの地味ながら重心の低いビート感とロン・ウッドが隠し持っているファンキー嗜好が結果オーライ♪♪~♪ 何回も書いているように、このライブはメチャラフなんですが、このあたりまで聴き進んでくると、それが最高に心地良いものに変化しているのですから、音楽って本当に奥が深いと思います。

こうして迎える大団円は、お待たせしました、今に至るもキース・リチャーズの持ちネタのひとつである「Before They Make Me Run」が、ニュー・バーバリアンズで演じられるという嬉しいプレゼント♪♪~♪ と言っても、キース・リチャーズのことですから、ヨレヨレのフラフラはご愛敬ながら、実はそれこそがロックの本質かもしれないなんて、妙な言い訳が虚しくなるほどです。

なんていうか、一期一会の享楽主義とは簡単にかたずけられないものが……。

ちなみに音質は微妙なステレオ感も含んだモノラルっぽい雰囲気で、おそらくは客席からの隠密録音でしょうが、昔からAランクと定評があったものです。それが今回のリマスターではピッチの修正とノイズの除去も丁寧に行われていますから、個人的には高得点!

それゆえにツッコミどころも満載なんですが、ある意味でのピュアなロック魂が、確かに楽しめます。

☆Disc 2 / The Rolling Stones
 01 Prodical Son
 02 Let It Rock
 03 Respectable
 04 Star Star
 05 Beast Of Burden
 06 Just My Imageination
 07 When The Whip Comes Down
 08 Shattered
 09 Miss You
 10 Jumping Jack Flash

いよいよ登場のストーンズは、前年夏のアメリカ巡業以来のステージということで、結論から言えば、メッタメタです。特に「Star Star」なんて、ミック・ジャガーが歌の出だしを間違えたのか、唄い出せずに最初のコーラスが終わってしまい、再びキース・リチャーズがイントロを弾いてから、ようやく……。あぁ、これがライブというか、ブートの面白さですよねぇ~~♪

他にも「Jumping Jack Flash」ではキース・リチャーズのギターのチューニングが狂いまくって、初っ端からヘロヘロになっています。

つまり、こちらも相当にラフ&ルーズな味わいが全開なんですが、不思議なことに、それが実にロックしています。素人バンドが下手をやっているのとは、違うんですねぇ。これぞ下積み時代からステージの修羅場を潜り抜けてきた貫禄というか、演奏が進むにつれ、ガチッと纏まって聞かされてしまうのですから、流石だと思います。

気になる特別な趣向としては、スタンリー・クラークが参加した「Miss You」でのベンベンビートが微笑ましいところ♪♪~♪ 明らかにミスマッチなんですが、してみるとビル・ワイマンの幾分もっさりしたビート感こそが、ストーンズサウンドのキモだと痛感してしまいました。

ということで、こんなロックも「あり」というのが、本日の結論でした。

正直言えば、これよりも上手い素人バンドだって数多あるでしょう。しかし、これはプロにしか表現することが出来ない上質の演奏だと思います。所謂ロック魂と言ってしまえば簡潔なんですが、一筋縄ではいかないのもまた、プロの凄味!

ちなみに本日ご紹介のブートは、この音源に関しての最新のブツで、残念ながらプレス盤ではなくCDRなんですが、音質や編集の具合もきちんとしていますし、こういうラフな演奏にはジャストミートの荒っぽい音感が、これもロックの味わいを強めているのでした。

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あれから20年のストーンズ

2009-06-01 10:00:34 | Rolling Stones

Dress Rehaersals 1989 / The Rolling Stones (Kiss The Stone)

あぁ、昨日は先週までのストレス発散で、またまた散財してしまったですよ。もちろんネタの仕入れや映画観賞なんかですから、後悔していません! と自分に言い聞かせる月曜日……。

しかし実際、昨日は久々の大当たりが何点かありました。本日ご紹介のストーンズのブートもそのひとつです。

内容はストーンズにとっては復活ツアーというか、前回から7年ぶりのコンサート現場への復帰となった1989年の「Steel Wheels Tour」直前のリハーサル音源ですが、リハーサルとはいっても実際のステージでの音響チェックや照明テスト、そして演目の流れや段取りをチェックするという、所謂ゲネプロですから、演奏はしっかりと楽しめます。

しかも久々のライブ巡業を前にした緊張感もありますから、ストーンズの面々の気合いも充実していますよ♪♪~♪

なにしろここまでの経緯には、ストーンズの解散騒動も含んだ実質的な活動停止が続いていましたからねぇ。

それは1983年に出したアルバム「Undercover」制作時からギクシャクしていたバンド内の人間関係が、ミック・ジャガーのソロアルバム制作という事態に発展しての泥沼状態……。そして契約履行のための新作アルバム「Dirty Work」が、明らかにキース・リチャーズ主導のレコーディングだったことから、バンドはバラバラに近くなっていたのが、当時の実情でした。さらにビル・ワイマンの脱退熱望やチャーリー・ワッツの悪いクスリ疑惑までもが、深刻な噂として流れていたのです。

しかもデビュー以前から実質的なバンドメンバーのひとりして、ステージでのピアノ演奏から裏方の仕切りまでやっていたイアン・スチュアートが、1985年12月に急逝……。こうしてメンバー間の接着剤的な役割を担う大切な友人を失ったストーンズの面々は、もはや解散への道を歩み始めたかのように思われたのですが……。

1989年1月になって事態は好転!

ミック&キースの話し合いにより、3月にはバンドメンバーが集合し、そして記念すべきカムバックアルバムとなった「Steel Wheels」のレコーディングがスタートしたのです。もちろんその出来栄えは素晴らしく、今日に至るストーンズの円熟期を支えるものがたっぷりと楽しめますから、あとはライブへの現場復帰を残すのみというところで開始されたのが、本日ご紹介の音源を含む北米巡業です。

そしてここには1989年8月28日、フィラデルフィアのJFKスタジアムで行われたリハーサル演奏が、モノラルですが高音質で収められています。

☆Disc 1
 01 Intro
 02 Start Me Up
 03 Bitch
 04 Shatterde
 05 Sad Sad Sad
 06 Undercover Of The Night
 07 Harlem Shuffle
 08 Miss You
 09 Tumbling Dice
 10 Ruby Tuesday
 11 Play With Fire
 12 Dead Flowers
 13 One Hit
 14 Mixed Emotions
 15 Honky Tonk Women
 16 Rock And A Herd Place
☆Disc 2
 01 Midnight Rumbler
 02 You Can't Always Get What You Want
 03 Little Red Rooster
 04 Befort They Make Me Run
 05 Happy
 06 Paint It Black / 黒くぬれ!
 07 2000 Light Years From Home / 2000光年のかなたに
 08 Sympathy For The Devil / 悪魔を憐れむ歌
 09 Gimme Shelter
 10 It's Only Rock'n Roll
 11 Brown Sugar
 12 Satisfaction
 13 Jumping Jack Flash

上記演目は、まさにストーンズの新旧ヒットパレードとして、今では何の違和感もないプログラムですが、リアルタイムでこのライブに接した者には驚愕仰天でした。

それは「Ruby Tuesday」や「黒くぬれ!」、そして「2000光年のかなたに」という、故ブライアン・ジョーンズ抜きでは語れず、しかもステージでの演奏は不可能と思われていた曲が入っていたからです。おまけにブライアン・ジョーンズだけのスライドギターが決定的なイメージのブルース名演カバー「Little Red Rooster」までもがっ!!

実はこのライブ巡業にはマット・クリフォードという俊英キーボード奏者が加わっており、その大活躍は新作アルバム「Steel Wheels」でも顕著でしたが、実際のステージでも大切な役割を担っていたのです。

また同じくサポートメンバーとして、元オールマン・ブラザース・バンドのチャック・リヴェール(p,key)、お馴染みのボビー・キース(ts,as) が率いるホーン隊、そしてコーラスにはバーナード・ファウラー、リサ・フィッシャー、シンディ・マイゼルという3人の黒人が加わっています。

そしてそれゆえに、全体が非常に安定感のある演奏に纏まっているのです。

まあ、このあたりはストーンズらしくないとして、古くからのファンには違和感もあるのですが、今となっては結果オーライでしょう。実際、この音源を聴いていくと、従来のストーンズならではのラフ&ルーズなノリと、きちっとしたステージショウとしての纏まりを作りあげようとするサポートメンバーの職人気質が微妙にぶつかりあい、なかなかに面白く楽しめます。

結論から言えば、この巡業ツアーからは「Flashpoint」というライブ盤が作られているのですが、そこでの完成された伝統芸能としてのストーンズとは、一味ちがう演奏とムードが、ここでの最高の魅力でしょう。

ちなみに当然ながら、この音源は以前から出回っています。しかしそれは元マスターをそのまんま製品化した所為で、演奏の間に無音のパートがあったりして聴きづらく、CDにしても3枚組という、なんとも経済効率の悪いブツばかりでした。しかし今回はそれを上手く切り詰めて2枚組とし、もちろん最新リマスターで音質はさらにアップしています。惜しむらくはプレス盤ではなく、CDRなのが減点ではありますが、音源重視の皆様ならば気にする必要もないでしょう。

と、ブート屋のお兄ちゃんが言っていたことは本当でした。

さて、肝心の演奏は、既に述べたように素晴らしいです♪♪~♪

流石のストーンズにしても、久々の現場復帰でオドオドしている雰囲気が微笑ましい前半部分のチクハグなところでは、この時点の新曲だった「Sad Sad Sad」や「Mixed Emotions」、さらに「Rock And A Herd Place」での纏まりの悪さが逆に新鮮ですし、メンバーの身体に染みついている「Bitch」や「Tumbling Dice」といった全盛期の勢いが、なかなかのロック魂を感じさせてくれます。

そして、それが一気に全開となるのが「Dead Flowers」あたりからでしょうか、前述した新曲も含めてのバラバラな勢いが、まさにストーンズの魔性の魅力! 「Honky Tonk Women」でのローリングしまくったピアノの楽しさにもウキウキさせられますし、バンドメンバー間の自然体での意志の疎通はベテランの味を超越していると思います。

そして後半に入ってはグッとあっさりした「Midnight Rumbler」、爽やかさが???の「無情の世界」という、あまり「らしく」ない演奏が続きますが、こうした違和感を払拭してくれるのが「Little Red Rooster」でのブルースロック大会です。もちろんブライアン・ジョーンズが弾いていた色気のあるスライドは聞かれませんが、ピアノを全面に出したシカゴスタイルの味わいで勝負したのは潔いところでしょう。ロン・ウッドのスライドも健闘していると思います。ちなみに前述した「Flashpoint」に収録のバージョンには、特にエリック・クラプトンがゲスト参加したテイクが使われたのもムベなるかな!

さらに気になる「黒くぬれ」から「2000光年のかなたに」のパートでは、サンプリングキーボードまでも駆使したマット・クリフォードが大活躍ですが、ここではリハーサルということもあり、サポートメンバーも含めたバンドの手探りの雰囲気も良い感じ♪♪~♪ 「2000光年のかなたに」のラストから「悪魔を憐れむ歌」へ流れていくアレンジも秀逸だと思います。

こうして到達するクライマックスは、慣れた曲ばかりとあって、バンドはリラックスした中にも自分達なりの手応えを確かめているようですが、やっぱりストーンズ好きには最高の瞬間に違いありません。

女性ボーカルとの絡みを活かしたオリジナルの雰囲気が楽しめる「Gimme Shelter」、ヤケッパチなキースやロニー、そしてコーラス隊が楽しい「It's Only Rock'n Roll」や「Brown Sugar」と、いずれの演奏でもピアノがメインのアレンジになっていますから、当然ながら「Satisfaction」はモータウンがモロ出しというタネ明かし大会ですよ♪♪~♪

しかしオーラスの「Jumping Jack Flash」は流石にストーンズだけのギターサウンドが横溢し、溜飲が下がります。

ということで、既に述べたように、このツアーからのストーンズのライブ演奏には違和感を隠せない古くからのファンも、この音源を聴けば納得じゃないでしょうか?

つまり原石の輝きというか、未完成の魅力というか、本番ではカチッと纏まっていたステージショウのネイキッドな部分が楽しめるのです。

実際、サイケおやじは以前にこの音源を聴いた後から、あらためて「Flashpoint」以降のライブや新作アルバムを楽しめるようになったのです。

そして特筆すぺきは、バンドメンバーがブライアン・ジョーンズを思い出に出来たことじゃないでしょうか。それは哀しいことかもしれませんが、「時はいつの日も親切な友達」とユーミンも歌っているように、いよいよベテランの貫禄を示す時期に入ったストーンズにとっては、避けて通れない道だったと思います。それゆえにサポートメンバーを拡充してまで、ブライアン・ジョーンズ期の曲をライブで演じるのは、ストーンズの存在証明として好感が持てます。

この時代は未だビル・ワイマンが居たわけですし、ドラッグから立ち直ったチャーリー・ワッツのドラミングも寸止めではない強いビートを敲いていた最後のリアルストーンズ期でしたから、楽しまないのは勿体ない!

本当に、そう思います。

う~ん、それにしても、これって既に20年前なんですよねぇ~。今でも現役のストーンズは、おじさん世代には希望ですよ、はい。

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ストーンズの「ゲット・ヤー」別バージョン

2009-04-10 12:04:50 | Rolling Stones

Get Yer Alternate Ya-Ya's Out 1969 / The Rolling Stones (Idol Mind)

今もギンギンに転がりつづけるストーンズは、何時の時代も好きですが、殊更1969年は特別だと思います。

それはバンドの要であったブライアン・ジョーンズを失って、もはやこれまで……、と思われたどん底から這い上がった執念! そして新作レコーディングの素晴らしい成果と久々に現場復帰が叶った強烈なライブステージ!

そうした当時の諸々が映画では「ギミー・シェルター」、レコードではライブ盤「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」で克明に楽しめるわけですが、特に後者では驚異的な売り上げで海賊盤の存在意義を強くしたブートの名盤が出回り、まさに今に繋がるストーンズの全てが、ここから再スタートしています。

さて、本日ご紹介のアルバムも、そうした歴史を如実に物語る1枚で、先週ゲットしたばかりの新作ブートです。

元ネタは前述した公式ライブアルバム「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」のデモミックスを収録したアセテート盤ですが、これは既にストーンズのブートでは大御所の Vinyl Gang Pro. から「Fuck yer Ya Ya's Out!」として発売され、名盤認定されていたものです。

しかしそれには欠点があり、流出したアセテート盤の前半に大きな傷があった所為でしょうか、チリチリブチッという周期的なノイズが約1秒おきに入っていたのです。

それが今回のブツでは、奇跡的に別なアセテート盤が発見されたことにより、ちょっとした別物として素直に楽しめるようになりました。

もちろんアセテート盤そのものにあるチリチリという針音ノイズは避けようもありませんが、それを無理に消し去ることの無いリマスターと相当に高くなった音圧ゆえに、なかなか迫力のある音作りになっていますので、公式盤と比べて随所に違う部分がたっふぷと楽しめます。

 01 Opening
 02 Jumpin' Jack Flash
 03 Carol
 04 Stray Cat Blues
 05 Love In Vain
 06 Midnight Rambler
 07 Sympathy For The Devil
 08 Live With Me
 09 Little Queenie
 10 Honky Tonk Women
 11 Street Fighting Man

まず初っ端の「Jumpin' Jack Flash」では間奏で公式盤にはなかった、キース・リチャーズによるギターソロがダビングされています。しかも歓声はステレオなのに演奏はモノラルに近いミックスなんですねぇ~♪ ベースの音も太くて、これが意想外とも思える熱気です。

また続く「Carol」も同様に演奏だけがモノラルに近いミックスですが、ここではミックスダウンの様々な試みというか、フェーダーを上げ下げして音量を調節している感じが楽しめますよ。

さらに「Stray Cat Blues」「Love In Vain」「Sympathy For The Devil」の3曲はステレオミックスながら、チャンネルが左右逆!

「Midnight Rambler」は演奏前のハーモニカとMC部分がノーカットですし、「Little Queenie」ではダビングされている3本目のギターがはっきりと聞こえ、逆にピアノがひっこんでいます。おまけにキース・リチャーズが自分で楽しんでいるコーラスが良い感じ♪♪~♪ これは続く「Honky Tonk Women」でも、コーラスで歌いまくりのキース・リチャーズというお楽しみに繋がります。

その他にもミック・ジャガーのMCやボーカルが、随所で違いまくって書ききれないほどですし、当然ながら歓声のミックスも大きく異なっていますので、このあたりは何れ、拙サイト「サイケおやじ館」の「転石音盤史」で解明していく所存です。

ちなみにボーナストラックは、逆ミックスになっていた前述3曲を公式盤と同じにする逆々ミックスで収録していますよ。これもまた、嬉しいですね。

 12 Stray Cat Blues
 13 Love In Vain 
 14 Sympathy For The Devil

う~ん、それにしても1969年のストーンズは、やはり格別! なんというかヘヴィなグルーヴがドロドロにファンキーなんですねぇ~♪ それは多分、キース・リチャーズもミック・テイラーもエレキはギブソンのギターを使っているからじゃないでしょうか? ライブの現場で、これほど重量感のある、迫力の音が作りだされたのは最高! それをしっかりと録音したグリン・ジョンズの手腕にも拍手喝采ですし、そういう音の作り方の一端が、このブートでは楽しめると思います。

ということで、なかなか素敵なブツなんですが、残念ながらCDRです。まあ、それゆえに罪悪感が無いということも苦笑なんですが、そのあたりをご承知の上でしたら、海賊盤入門には最適かもしれません。

最後になりましたが、これで火がついたサイケおやじは久々に「転石音盤史」も更新致しました。お題は映画「ギミー・シェルター」です。よろしくお願い致します。

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ストーンズのベガバン裏盤

2009-03-11 10:12:52 | Rolling Stones

Beggars Banquet Beta Mixesk / Rolling Stones (SODD)

最近は仕事に責められて、全く何のために働いているのか疑問になるほどです。そして今週は徹底的に煮詰まりそうですから、そんな時にはストーンに助けを求める他はありません。

そこで本日の1枚は、先週末にゲットしてきたブートから、名作「ベガーズ・バンケット」の別テイク集! この手のブツは、これまでにも度々登場していますが、その最新リミックス&リマスターCDを聴いています。

その本篇の内容については、本サイト「サイケおやじ館」の拙稿「転石音盤史」を参照願たいのですが、とにかく今に繋がるストーンズの多くは、このアルバムを抜きにして語ることが出来ないと思います。

 01 Sympathy For The Devil
 02 No Expectations
 03 Dear Doctor
 04 Prachute Woman
 05 Jig-Saw Puzzle
 06 Street Fighting Man
 07 Prodigal Son
 08 Stray Cat Blues
 09 Factory Girl
 10 Salt Of The Earth
 11 Jumping Jack Flash
 12 Family
 13 Dowentown Suzie
 14 Stuck Out All Alone
 15 I Was A Country Boy
 16 Still A Fool
 17 Sympathy For The Devil
 18 Dear Doctor
 19 Jumping Jack Flash

上記の収録演目はトラック「10」までが本篇アルバムと同じ構成ですから、尚更に様々な違いが散見され、二ヤリとさせられますが、このブツの良いところは音質の素晴らしさ! ほとんどオフィシャルといって過言では無いのです。

いや、それよりも生々しいというか、ロック本来のワイルドな熱気が強烈に感じられます。う~ん、個人的にはスッキリこじんまりした公式盤CDよりも好きですねぇ~♪ こんな事は本当は言ってはいけないわけですが、実際にそうなんですよ。

また演奏を始める前のスタジオ内の会話とか、楽器のチューニングの様子も嬉しいです。

各トラックのミックスはステレオとモノラルが混在していますが、例えば「Jumping Jack Flash」のように、トラック「11」では終盤のクライマックスで突然ステレオになる快感が強烈ですし、ミック・ジャガーの「ワン、ツー」という掛け声が入っていないトラック「19」では、素朴なボーカルと旧態依然のコーラスが面白いところ♪♪~♪ しかも後半ではヤケッパチ気味になるのも良い感じです。

またトラック「12」から「16」にかけての、所謂未発表曲では、もちろん後に正式発売される「Family」や「Dowentown Suzie」も含めて、未完成の部分が味わい深く、気分はロンリーな「Stuck Out All Alone」は個人的に大好きです。

ちなみに「I Was A Country Boy」はほとんどカラオケというかインスト、「Still A Fool」はブルースロックのエグイ演奏で、後者ではブライアン・ジョーンズが絶不調(?)のスライドギター! しかしそこが逆に結果オーライでしょうか。本当に混濁してドロドロというか、これはこれで私にはグッときますが……。

ということで、この時期のストーンズはやっぱり凄味が違います!

ビル・ワイマン&チャーリー・ワッツのリズムコンビを要に、様々なリズムとビートの新規開拓も素晴らしく、それこそがストーンズにしか出せないグルーヴの源でしょうねぇ~♪ このCDでは公式盤以上に分離の良いミックスで、そのあたりも存分に楽しめます。

海賊盤の世界に入り込む第一歩としても最適かもしれません。ただしそれは、公式盤を聴きまくってからにしましょうね。そのほうが面白みも断然違いますから。

そしてこれを聴いている私は、「転石音盤史」の更新にも気持ちが焦るのでした。

コメント (2)
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