OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ストーンズの逆襲 '78

2009-07-28 11:17:09 | Rolling Stones

Garden State 78 / The Rolling Stones (Kiss The Stone = Bootleg CDR)

春頃から積み重なっていた仕事もようやく一段落した先週末、となればサイケおやじは再び悪いムシが出てしまい、ストーンズの最新海賊盤がドカッと入荷していたブート屋の餌食になってしまいました。

そして本日のご紹介も、その中のひとつで、元ネタはストーンズが1978年に敢行した北米巡業のライブ音源♪♪~♪ しかも内容は当時から音質良好の人気定番として、ファンには有名だったものです。

それは、このブツと同じタイトルの2枚組アナログ盤で、ミキサー卓に直結の所謂サウンドボード音源ということで、観客の熱狂や声援等々はちょいと臨場感に欠けるのですが、個々の楽器の分離状態や低音域にメリハリの効いたミックスは、なかなかに迫力がありました。

録音は1978年6月14日のニュージャージー州、キャピトルシアターという小さめの会場で、資料的にはツアーの三番目となる公演地ですから、まだまだ演目の構成にも興味深い練りの不足が、逆に楽しいところ♪♪~♪ サポートメンバーもロン・ウッドとは昔馴染みのイアン・マクレガン(p,key,vo) だけというシンプルさが、かえって新鮮でした。

そしてストーンズが日常的というラフファイト的な演奏が、その頃に台頭してきたパンクロックへの意地の表れと解釈されているように、原点回帰したというよりも、意図的に開き直った感じが、これも「らしさ」の魅力になっています。

★Disc 1
 01 Let It Rock
 02 All Down The Line
 03 Honky Tonk Women
 04 Star Star
 05 When The Whip Comes Down
 06 Miss You
 07 Just My Imagination
 08 Lies
 09 Beast Of Burden
 10 Respectable
★Disc 2
 01 Far Away Eyes
 02 Love In Vain
 03 Band Introductions
 04 Shattered
 05 Sweet Little Sixteen
 06 Tumbling Dice
 07 Happy
 08 Brown Sugar
 09 Jumping Jack Flash
 10 Street Fighting Man

上記演目は十八番のヒット曲はもちろん、リアルタイムの新作アルバムだった「女たち / Some Girls」から多くが入れられ、中でも「When The Whip Comes Down」や「Respectable」、そして「Shattered」や「Lies」といった、以降のストーンズのライブでも欠かせない、如何にも「らしい」R&Rが痛快至極! もちろん観客にしても、初めて生演奏を聴くわけなんですが、その楽しさと猥雑さ、過激さとリラックスしたノリの良さには、完全に惹きつけられたと思います。

また最新ヒットシングルとなった「Miss You」のディスコ大会とか、人気黒人グループのテンプティションズをカバーした「Just My Imagination」の強引なロックロール的解釈も侮れません。というよりも、ズバリ、楽しいですよ♪♪~♪

ただしラフな演奏はともかくも、時には投げやりなミック・ジャガーの歌い方には、好き嫌いがあるかもしれません。おそらくは意識的だったと思うのですが、終盤の「Brown Sugar」から続くパートでは、これ以前の名演・熱演が深く焼き付けられているだけに、なんだかなぁ……。

そのあたりが哀愁歌謡っぽい新曲の「Beast Of Burden」では、逆に結果オーライなのが皮肉かもしれませんね。

ちなみに演奏全体はツッコミ気味にスピードがついた、なかなか若々しいと言っては失礼な魅力があり、これも前年までのファンキーなストーンズから脱却を図った証明かもしれません。

そして演奏のド頭にやってしまう「Let It Rock」とか、「Sweet Little Sixteen」といったオールディズのR&Rを、堂々と披露するあたりも、憎めません! 既に述べたように、これを出来るのが、パンクロックのアンポタン野郎達へのお手本でしょうねぇ。ロック魂の年齢は、かんけーねー! っていうことを実践しているのは、今でも転がり続けている彼等が立派に証明しているわけですが!?!

気になる音質については、まずアナログ盤時代は基本的にモノラルミックスながら、部分的に綺麗なステレオミックスになっていたのですが、何故か時々、左チャンネルからの音が欠落したり、元ネタテープのヒスノイズが目立っていました。

それがCD時代になって、例えば「Out On Bail」とか幾つかの改訂盤が登場し、音質も飛躍的に向上したのですが、これも何故かチャンネルが左右逆だったり、ヒスノイズを消すために使われたイコライザーの所為で、なおさらに嫌らしくなったり……。

つまり演奏の迫力が魅力なのに、それを活かしきった決定版がありませんでした。

それが今回のブツでは、チャンネルのドロップアウトはモノラルミックスで上手く処理し、最新の技術でノイズを激減するリマスターによって、とても聴きやすく仕上がられています。

またアナログ盤ではフェードアウトしていた「Street Fighting Man」も、客席から隠密録音された音源を上手く繋いで完奏パージョンに作り上げたのも、高得点でしょう。これは以前にも同様の試みがあったのですが、今回は尚更に自然な感じです。

そしてジャケットがオリジナルのデザインにされたのも、嬉しいところ♪♪~♪ 正直言えばプレス盤ではなく、CDRなのが残念ですが、それもまた良しと致します。

この時期のストーンズについては、ファンの間でも好き嫌いがはっきりしている感じで、サイケおやじにしても、それほどの思い入れがあるとは言えません。なにもパンクなんかに意識過剰になるほどもないストーンズの焦りも、気になります。

しかし、そんなこんなで実際に演じられたライブの魅力は、この音源を聴けば即効性があり、実は私が自身がパンクを忌嫌っているところを生理的に痛感させられるのです。当時は30代半ばを過ぎていたストーンズの面々にしても、そんな歳になってまでロックは出来ないとされていた社会常識を、軽々と飛び越えていたんですねぇ~。

当時を未体験のファンの皆様はもちろん、ひとりで多くの中年者にも、お楽しみいただきたいと願っております。

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