FOOTBALL LIFE

~サッカーを中心に日々の雑感など~

足踏み

2012年01月18日 | サッカー

 イングランドプレミアリーグ、第21節、アーセナルは今季昇格してきたスウォンジー・シテイと対戦。ウェールズから初のトップリーグ入りを果たしたチーム。このあたりの喜びようは恐らく英国の歴史を紐解かないと日本人にはわからない。

2万人収容で手づくり感が残るホームは、リバティースタジアム。歴史的になにか由来があるのかもしれないが、この自由を表す”リバティー”っていう言葉には日本人でも胸を打たれる、なんて感心していたら…結果は2連敗…。

アンリのベンチ入りだけでもドキドキものだけど、その前に呆気にとられるような激しい試合。それでも間隙を縫って試合開始5分にはファン・ペルシーが先制ゴールを奪う。ところがスウォンジーはひるむことなく攻撃し、16分にはエリア内でラムジーにファールの判定。PK献上で1-1に追いつかれてしまう。

その後もスウォンジーに主導権を握られ、なかなか攻めていけないアーセナルの選手たち。この試合では中盤でボールを落ち着かせて散らす役割のアルテタ不在が大きかったのでは。攻守の切り替え、そのテンポの速さについていくのが精いっぱい。

ホームスタンドにはスウォンジー・シテイ・AFCの下に「トータルフットボール」と書かれた横幕。彼らの誇りを表すようにボールポゼッション、パス成功率どれもアーセナルを上回っている。スペインのチームならともかく、プレミアリーグでは”あり得ない現象”。経験したことはないはず。

しかも後半スウォンジーに追加点を許し、62分、ベンゲル監督はアンリとロシツキーを投入。てきめん効果ありでアーセナルのリズムが良くなり、69分、後方からのスルーパスに抜け出したウォルコットが珍しく!?GKを交わす浮かしたシュートを決め、2-2に追いつく。いつもこうならいいんだけど…。

喜びに沸く画面が流れていたら、次の瞬間、スウォンジーに3点目が入っていた。なにがあったの?と理解できないほど速いカウンターから3-2にされてしまう。72分にはこの試合はじめてアーセナルのCK. しかも決定的チャンスを迎えたアーセナルの選手が外してしまう。

横で見ていたアンリはたまらず、頭を抱えたままクルリと回ってポストに手を叩きつける有様。スウォンジーはその後も攻撃の手を緩めず、3-2のスコアで終了。アーセナルは1月2日のフラム戦以来、年明けから2連敗、どちらも逆転負けとよくない。勝ち点が伸びず、かろうじて5位に踏みとどまっている。

次節1月22日にはホームでマンチェスターユナイテッドを迎える。なにしろアウェイで8失点なんて惨敗した相手。ここでふがいない結果になったら、暴動!?が起きるかも…、恐ろしや~。

スウォンジー・シテイは今季ベストゲームじゃないの?って言うほどいい試合をした。フィジカルの強さとロングボールを多用する伝統を持つイングランドサッカーの中で、ウェールズという違う文化のせいなのか、「トータルフットボール」(イメージとしてはバルサのようなサッカー。正確な定義はわからないが。)を掲げるチームが勝ち上がってきたのは衝撃的。ロジャーズ監督はよくこれだけのチームに、名もない選手たちを鍛え上げたものだ。

肝心のアンリは自らがシュートを打つというより、ファンペルシーとウォルコットに得点させたいという気持ちが強いらしく、いいスルーパスを出したり、ボールをうまくキープしていたが、前線のセンターに張るようにベンゲル監督に指示されたのか、その後はまるで囲われるように動けなくなった。

よく見たらアンリのパスミスがスウォンジー3点目の”起点”になっていた。試合勘なのか、連携不十分なのか。試合後にアーセナルサポーターにやじられたそうで、アンリもつい応酬したらしい。それをメディアを通じて謝罪したということがまた、ニュースになってしまう。

まあ、”しつけの悪い”サポーターもいるだろうしね。エミレーツへ移転後、こじんまりしていたハイバリー時代とは違ってきているのかもしれない。一番いい時を思い浮かべ、アンリならきっと何とかしてくれる、という期待への裏返し。試合結果の残酷さは、アーセナルに対しては涙が出るというアンリのセンチメンタルも通用しない。

それにしてもアンリがそばにいると、プレミアリーグ得点王ファン・ペルシーまで地味に見えてしまう。そこにいるだけで存在感がある!天性のスターなんだなあ、と改めて。攻撃陣のベルカンプ、ピレス、ビエラ、リュングベリ、それに岩壁のようなDFキャンベル、気性の激しいGKレーマンなど。あの頃のチームは、個性的で強かったねえ。いいパスを出してくれたからアンリもゴール出来た。チャンピオンズリーグ、敵地ミラノへ乗り込み、インテルから5点も奪った痛快な試合、今でもなつかしいなあ。



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