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日めくり万葉集(222)

2008年12月22日 | 万葉集
日めくり万葉集(222)は巻7・1233の作者未詳の歌。選者は大学院留学生の金偉さん。

【訳】
おとめたちが布を織る織機の上の糸を櫛(くし)を使ってかき上げる【栲】(束ねる)という栲島(たくしま)が見える。

【金さんの中国語訳】
 少女的織布机上
 透過細密的梳歯
 能看見浪間的栲島

【選者の言葉】
この歌はやさしいだけではない、さびしいと恋しいという気持ちを感ずる。昔の日本人の自然に対してのやさしい心を感ずる。万葉集を読んで感動し、昔の日本人の感情を今の中国人に伝えたい。

この序詞(じょことば)の部分は【栲島】を引き出すだけではなく、少女、織機、櫛、島、波間など、一連のイメージが読者に豊かな想像空間を作り上げている。少女、織機などの言葉は部屋で織物を織っている少女の姿を連想させる。

部屋の空間は薄暗く部屋の窓や扉を透き通って、まぶしい光に照らされて見える波間の栲島があらわれる。少女の織物を織っている姿とこの部屋の2階から見える海の景色。

この暗と明の二つの空間から孤独感を感じる。そういう感情を残してまた旅を続ける旅人は旅の寂しさ・・・。

【檀さんの語り】
中国出身の金さんは大谷大学大学院で日本の古典文学を学ぶ留学生。11年という年月をかけて万葉集、全4516首を中国語に翻訳し、北京で出版した。子供のころから詩を作ってきた金さんは万葉集に出会い、強く惹かれたと言う。

旅の途中で【栲島】という島を詠んだこの歌は「娘子らからかかげ」まで序詞の栲島(たくしま)の【栲】を導いている。【栲】とは機を織るときに糸をかき上げ束ねる動作を言う。

【感想】
金さんのやさしい声と口調は中国人のイメージとはかなりかけ離れていて、まずそれに驚いた。子供のころから詩を作ってきたという檀さんの説明でなるほどと納得。11年もかけて中国語に翻訳したという【万葉集】を中国の人々はどういう風に受け止めて読んでいるのだろうか。この歌は序詞というのが難しい感じでなかなか感情移入が出来ないが、是非感想を聞いてみたい気がする。












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