黒鉄重工

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北米project 4 ~Is the order a warbird? その54【2016/03/04~10】

2018-08-25 23:50:03 | 海外旅行記

前回から始まった新章、マーチフィールド航空博物館編。どうでもいいですが、日本語だとマーチ野外航空博物館と訳されてる場合もあり。博物館の隣がマーチ空軍基地なので、フィールドは野外と訳したんでしょう。ただ、マーチフィールドという地名はあるっぽいんでここでは上記のように表記しますゆえ。

で、建物内展示の主、ロッキードSR-71Aブラックバード(1964年・通算196機目)ですぞ。高高度を超高速で飛行する戦略偵察機です。その任務内容は相手国の領内に堂々と領空侵犯して機体に備え付けられたカメラで堂々と盗撮していってお家に帰るというもの。インテリみたいな外見してますけどやってることは意外と力技なんですよ。CIAって意外と脳筋・・・。
んなことやってたら迎撃戦闘機か対空ミサイルで撃墜されちゃうんですが、そうされないよう開発されたのがSR-71なので。戦闘機やミサイルが届かない高高度を、よしんばその高度に到達してもそれらが追っつけない速度で振り切ってしまえばよいのだろう?という考えで設計されています。やっぱり脳筋じゃないか。
色々と特殊すぎる機体でしたので運用にはお金の掛かる機体でした。冷戦が終わったり偵察人工衛星が実用化したりして状況が変わってくると金食い虫のSR-71は不要とされてしまい、1998年にすべて退役してしまいました。SR-71一番の敵は財布の紐を握る連邦議会だったのだ。
強烈な個性で人気のある機体ですので、退役後も32機中ほとんどが博物館で保存されています。この#61-7975は26番目の機体で、82回の飛行任務を行ったそうな。



正面から。薄い機体だな・・・。確かにブラックバードよりハブの方が的を得ている気がする。
ステルス性も一応考慮されて設計されているようで、電波吸着塗料とか薄い機体とかがそうです。特に機首から主翼の根本にかけての胴体の横に張り出した部分や傾斜した垂直尾翼(傾ける向きが違うけど)なんかは現代のステルス機にも取り入れられてるものですから、ロッキードは早い段階からステルス形状の正解を掴んでいたことでしょう。なのにF-117では若干迷走気味に・・・。



SR-71の主武装の偵察カメラです。搭載カメラは何種類かあったようですが、これはTEOC(Technical Objective Camera)です。
レンズ36inch、焦点距離48inch、解像度110・・・だそうで、相当高性能だったようです。よく分からんのですが・・・。
これを胴体中央部の左右に1つずつ機内に埋め込んでいました。
地面に対して水平に装着されるので、飛行中に地上の様子を撮影できるよう、カメラの先端には斜めに傾いた鏡を使って反射させています。



もうひとつはケース内にありました。まあ、クソでかいんですよ。
真鍮の部分がカメラのヘッドで、その右の出っ張った部分がレンズマウント、さらにレンズ管、一番右側の黒い部分がフィルムなどの収納部です。



これがエンジン。P&WのJ58エンジンを使っていました。これによりSR-71は航空機最速のマッハ3の超音速まで速度を出すことが出来たのです。
エンジン本体の展示もあったんですが、なぜか写真を撮ってなかった。なぜだ・・・。
注目すべきはエンジンの前についているショックコーンという円錐状の物体。高速飛行中にあれの先端に空気が当たると衝撃波が発生します。衝撃波となった空気は圧縮されています。しかもその圧縮空気はエンジン内に効率的に流入するよう設計されています。圧縮空気を効率よく取り入れるための大事な装置なのです。特に超音速時はほとんどショックコーンの圧縮空気の燃焼で飛んでいるようなもんだとされていて、これだともうほとんどラムジェットエンジンだよね、と言われとります。
さらにショックコーンは機体の速度域によって位置が前後に動いて最適な空気を取り入れるという素敵ギミックも持っているのです。超音速を超えると後ろに下がります。もっともこれはショックコーンを持っている機体なら大抵は備えてる機能だそうで。



ちなみにショックコーンの先端は真正面を向いておらず、やや内側と下側を向いています。固定できないまま部品が垂れたプラモデルみたいになってますが、これは機首から発生した衝撃波をうまく取り入れるためなんだそうな。機首の衝撃波で既に圧縮された空気をショックコーンでさらに圧縮するんですから、効率はすごそう。



後ろ側。エンジンはガランドウです。なんかそれっぽい輪が見えますがあれはLEDのネオンです。




内側に傾いた垂直尾翼。横からやってくる相手のレーダー波をお空へ反射させてしまうのだ。



お腹。真っ平らだ。
SR-71は何種類かの姉妹機がいて、A-12とかYF-12とかがいます。全部まとめてブラックバード大家族とされることもあります。姉妹機含めると実はM-21というのをシアトルで見たことがあるんですが、実はその頃はブラックバードなんて知らんかったので、なんかやたらデカくて黒い飛行機だネ、くらいの認識しか無かったですね。そういえば同じ構図の写真だなと思い出しましたが。

車輪が3つ並列になっているんですね。あまり見ない構造ですかね。やっぱり重いんだ。



コックピットはこうなっています。視界なんて捨ててきたという感じがして。予め任務で決められた経路以外を飛行するのは難しかったようですし、マッハ3の速度では機動なんて取れそうもないので(機体強度も低い)、視界の良さとかはあんまり考えられてないんでしょう。



後席は偵察任務のオペレーターですな。一応窓は付いていて良心的。たまに後席は窓なしってやつあるからな・・・。



長~い胴体。胴体はほとんど燃料タンクだったはず。



SR-71ってロマン兵器だと思うんですけど、ちゃんと実用化したし任務では1機も撃墜されなかったし(離着陸の事故では損失してるけど)、ロマンのある兵器は失敗するの数少ない例外なのかなと。
一見の価値はありますね。なので私は明日もう1機見ることになります。



実は建物内展示は別館にもう数機あるんですが、大昔の複葉機なので初めは無視してしまうことに。まずは屋外展示をやっつけてからにしてもよかろうと。
というわけで外に出ました。うわすっげぇ・・・。

というところで今日はここまで。次回からが本番だ。


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