サンディエゴ海事博物館編も今回で最後です。スター・オブ・インディア号の続きです。
また船尾へと来たわけですが、ここには操舵輪がありました。操舵輪が刺さっている箱の下に何かが通っているのですが、どういう仕組なのかイマイチ分かりませんでした。動態保存船なので、この操舵輪は使えるんじゃないかなぁと思いますが・・・。
これは羅針盤ですね。何度も言ってますが羅針盤は回すものではないです。
謎ベンチ。中央のアーチ状のものはなんだろうという話です。
何か素敵ギミックが仕込まれてる可能性も考えましたが、単に階下の船室のための明かり取りの窓じゃねーの?という説に落ち着きました。いかがでしょう?
甲板の1層下に下ります。ここは博物館的展示コーナーになってます。
帆船模型も展示してあるぞ。さっき見たバークレーの工房のおじいちゃんが作ったんやろなぁ・・・。
これはスウェーデン海軍の戦列艦バーサ(Vasa)。1626年竣工、砲門数64門を数える重武装艦ですが、そうなったのは建造途中の設計変更によるものだったので、重心の高いバランスの悪い艦に仕上がりました。いわゆるトップヘビーですよ。艦これで聞いたことあるでしょ?
それが災いして、1628年の処女航海に出てからすぐに横風食らって横転して沈没する残念艦として生涯を終えました・・・。
が、沈没後もサルベージされないまま放置され、しかも腐敗があまり進行してないことが分かったので、実に300年以上経った1961年にサルベージ、その後復元されて博物館に収蔵されています。今ではめちゃくちゃ貴重な戦列艦の資料となっています。めちゃくちゃ見に行きたい。
これはオランダ東インド会社の旗艦バタヴィア(Batavia)。1628年竣工。バタヴィアは現在のインドネシアの首都ジャカルタのオランダ統治時代の呼び名です。
東インド会社っていうとイギリス思い浮かびますけど、オランダ、スウェーデン、フランスとかにもあったんですね~。商船のくくりっぽいんですが、両舷は大砲で武装してるんでドンパチもOK。
バタヴィア号と言えば、バタヴィア号の惨劇ですな・・・。1629年にオランダからバタビアへ向けての船団の一員として航海していたバタビア号は、イエロニムスというど畜生が船長をそそのかして船を乗っ取って海賊化しちまおうという権力抗争を企てますがオーストラリアの無人島に難破してしまいます。
約340名中300名くらいは生き延びたそうですが小さい無人島なので真水や食料がなく、生存者のリーダー格になったイエロニムスはあの手この手で人を騙して島の外に追い出したり食い扶持を確保するために生存者を殺したり、この船には女性も乗っていたのでその人達は性奴隷にされたりで100名以上が殺害された、まさに惨劇の限りを尽くしましたという胸糞回。最終的にこいつは処刑されたんですけども。日本語訳の書籍もあるようなんで気になったら探してみよう。
バタヴィア号は1990年代にレプリカが建造されて今もあるそうな。
これは有名、イギリス海軍の戦列艦HMSビクトリー(HMS Victory)です。大砲の数は104門。つよいぞ。
HMSビクトリーといえばネルソン提督のトラファルガー海戦ですが、書くと長くなるから各自研究してください(手抜き)
これはまさしく本物がイギリスのポーツマスで現存していて、記念艦やってます。さらに今でもイギリス海軍の現役の軍艦として登録されています。まあ名誉職なんですけど。
なので現役の軍艦としては世界最古なのです。そりゃそうだ。他にも現存唯一の戦列艦とか、世界三大記念艦の一角とか、色々な肩書を総ナメ。
脱線しますが世界三大記念艦は、イギリス海軍のHMSビクトリー、アメリカ海軍のUSSコンスティテューション、あとは大日本帝国海軍の三笠なんだそうな。
USSコンスティテューションは、1797年竣工の帆走フリゲート艦。こいつも現役でして、普段はボストンで記念艦やってます。もちろんアメリカ海軍最古の現役艦。そりゃそうだ。しかもUSSコンスティテューションは航行可能な状態を保ってます。HMSビクトリーにはこの芸当はできませぬ。なので、航行可能な世界最古の現役軍艦というビミョーで遠回しな肩書を持ってます。
なお我らが戦艦三笠はというとコンクr(ry
いやまあ、だいたい関東大震災が悪いんだけどさ。
こちらが1805年10月21日のトラファルガー海戦での有名な場面、ネルソンタッチを再現した模型。艦これでネルソンタッチが実装されているのでゲームやっている人は知っているかもしれませんが、これが元ネタなのです。
手前から奥に延びている2本の艦隊が我らがロイヤルネイビー。左右に延びているのが嫌味ったらしいおフランス海軍ザマス。
艦これ民なら分かると思いますが、イギリス海軍はT字不利に追い込まれてます。これはいけません。ボスのゲージは削りきれないしレア艦も掘れません。何をやってもダメ。
そこでネルソンは艦隊を2列に分けて、その上で自艦隊を敵艦隊の横っ腹へ吶喊します。敵の懐へ切り込んでいって敵艦隊を分断、然る後に各個撃破に移るという戦術なのです。これがネルソンの得意技、ネルソンタッチなのです。
自殺行為に見えますが、イギリス海軍の喪失艦はゼロ(なおネルソンは敵兵に狙撃されて戦死)、一方おフランス海軍は20隻以上の撃沈あるいは拿捕という大損害を被りました。これによりヨーロッパの制海権はイギリスの覇権となり、大陸でブイブイいわせてたナポレオンもイギリス侵略を諦めたのでした。
ちなみに背景に書かれてる"England expects that every man will do his DUTY."は、ネルソンが開戦時に掲げた信号文。日本語だと「英国は各員がその責務を尽くすことを期待する」という訳になってますね。帝国海軍で言うところのZ旗の「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ」ですな。ていうかZ旗はこの信号文が元ネタですしね。
T字不利なんて関係ないとばかりに突っ込んでるのです。
この模型、せいぜい全長数cmくらいしかない極小サイズなのですが、この通りのディテールの細かさ。しかもこれを数十隻分拵える果てしなさ。ありえんでしょ。
船首の部分。めっちゃ使ってる感が漂っています。
復元作業したり、航海に出る時に使う部屋なのかも。
ダイニング的な。昔から残っているものだと思いますが。
ここは相部屋の寝台です。4人部屋です。寝返りは打てんし起き上がって座ることもできんですが、軍艦のベッドに比べたらだいぶ人権があると思います。やっぱりお客さん用は違うね。
反対側は何も置いていない状態。
隣の部屋には、移民の途中のデイブ(仮名)と奥さんのジャクリーン(仮名)、2人の子供のエレン(仮名)、写ってませんが反対のベッドには息子のロナルド(仮名)もいます。一家揃って移民中という場面でしょうかね。父さんは機嫌が悪そうですが、悪いものでも食べたんですかね?
最下層の貨物室っぽい部屋。奥には真水の入っていそうな樽が置かれてました。
右に写っている操舵輪は、予備系統でしょうかね?
以上でスター・オブ・インディア号の見学が終わり。サンディエゴ海事博物館の見学も以上です。
船もそんなに詳しくはないのですが、知らないなりに楽しめた博物館でした。いつもそうなんですが、もっとゆっくり観察できれば面白いのになと思います。
今回はここまで。次回からは正規空母を見に行くゾ。
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