主人公のエリザベスを演じるデミ・ムーアも、その分身のスーを演じるマーガレット・クアリーも、全裸だ。
二人とも(特にデミ・ムーア)、レオタードか、外出用の黄色いコートか、バスローブを着ている以外はだいたい全裸だ。(いや、服を着てるシーンもあるが)
偉いなあ。よく脱いだなあ。20年前に「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」出演時に2,000万円以上かけて体をいじったデミ・ムーア、まだその整形は活きていたんだろうか?
ってか、そこまで体をいじるって事は、充分今回の「サブスタンス」の主人公になるべくしてなったって事か。
そりゃ、アカデミー賞の主演女優賞候補にもなるわさ。やっぱり脱ぐとノミネートされるのかな。
おっぱいとお尻がいっぱい! おっぱいは最後には、別の形で出て来るぞ。
欧米の女の人って、お手入れはするけど、下の毛を全くツルツルにするわけではないんだなあとも思った。
あと、デミ・ムーアの肌荒れも見事。対するマーガレット・クアリーは多分CGだろうが、毛穴もないツルツルボディだ。
ホラーとかSFとか言うけど、そこまでは振り切ってない。ホラー映画らしい馬鹿馬鹿しさはないし、SF映画らしい緻密さもない。背中がパックし割れてるのに、5㎝置きの糸止めで1週間で傷口がくっつくのも凄い。母体用栄養剤のお陰だろうか? あと、「サブスタンス」の薬代はいくらだったんだろうか?
そして、エリザベス&分身で、マンションにあんな素敵な隠し部屋を作ってしまうのも凄い。
秘密を守るために家政婦さんに掃除を頼めなくなって、二人とも互いへの当てつけに部屋を滅茶滅茶にして、1週間ぶりにまず目覚めると掃除ってのが笑えた。これくらいかな、笑えたのは。
とにかく、主人公の若さに対する狂気ぶりが真面目過ぎて、見終わると疲れる。
終盤の大晦日のテレビショー&13万リットル血糊シーンは死直前のエリザベスの観た幻覚なんだろうなあ。と、私は思う。それまでエリザベスもスーも段々幻覚を見てたし、モンスターの姿でTV局に入れたとは思えないし。13万リットルの血糊は、1つの個体から出る量として多過ぎるので(凄いスピードで体内で血液が生成されて噴き出していたのかな?)、笑うシーンだったのだろうか? 全身血だらけになる人々の姿はデ・パルマの「キャリー」っぽい。
TV局の廊下のセットとか、デニス・クエイドの演技とか、全体のカメラアングルとか、キューブリックの、特に「シャイニング」に似せてるのかなあ。使用した血の量を宣伝に使うとかもね。
エリザベスのキャラは、若い時にアカデミー賞受賞して、中年になってからワークアウトで活躍したジェーン・フォンダがモデルかと思った。
正直な感想は、全体的に古臭い。女性が男性にとって見た目の若さで判断されるのは人類誕生の頃からだろうし、じゃあ女性が男性を見た目で判断してないかと言われたら、絶対してるし。男女問わない、自然の摂理だ。今更それがどーした?
しかも、エリザベス、ずっと女優をやっていて、何を今更嘆いてるんだ? 自分が20代の頃は、絶対に30代の先輩を心の中で(ババア)と思ってただろうし。
来るべき50代に対して、何の準備もしてなくて、番組をクビになったからと何をショック受けてるんだ? 女優が40代になったら仕事がなくなるのは20年以上前の「デボラ・ウィンガ―を探して」でも題材になってて、じゃあ年を取ることにどう向き合うかと、今まで何も考えてなかったのか? 馬鹿か、と64歳の私は冷たく思うのだった。
なので、これはやっぱり現代の話じゃなくて、40年以上前のジェーン・フォンダの時代の話ではないだろうかと私は思う。スマホが大活躍してたけどね。
唯一、21世紀ぽいなあと思ったのは、大物TVプロジューサーのデニス・クエイドがスーに手を出さなかった事だな。20年以上前なら、絶対寝ようと口説いてただろうなあ。