何でしょう、この国境を楽々超えてる感じは。
中国・タイ・日本という、国家間のちょっと不穏な、ギスギスした感じを軽く飛び越えちゃって、最後、ベイブリッジから花火を見ながら、4人で平和を祈るんだよ。お盆の花火って、太平洋戦争の鎮魂の意味じゃん。それを見てだよ。そして、エンドロールで映画に関わった人がみんなで東京のロケ地で楽しそうに踊るんだよ。
なんか、凄くない? 40歳半ばの中国人監督の、ドタバタコメディ映画なんだよ。
ラストのベイブリッジをの歩道をなぜ歩いているのかとか、花火がCGとか、そんなの気にしてたらいけない。もちろん、138分は長過ぎる。死体安置所のシーンもまるっといらないかも知れない。いきなり、ディクソン・カーの密室トリックの解説が出てきても分からない人もいるかもしれない。タイのマフィア対日本のヤクザの話と、世界征服を企むQの話と両方を詰込み過ぎたかもしれない。アンディ・ラウ登場には驚くけど。
でも、普通の日本映画かと思う位、日本人の役者がいっぱい出てて、ロケ地も楽しい。渋谷の交差点は、「サイレント・トーキョー」方式。ってか、一緒に撮ったんじゃない? いや、こっちは昼間だったしなあ。首都圏外郭放水路の立杭もじっくり見られたし。床が濡れてたのは使用後だったんだろうか? 相撲取りと戦うシーンは「ラストサムライ」の書寫山圓教寺じゃないのかな。エンドロールのロケ地に猿島という文字も見えたんだが・・・。踊りのシーンが楽しくて、もっとじっくりロケ地を見たかったのに見逃した。
あっ、ここにあった。
公式HPを見ると古澤佳寛(エグゼクティブプロデューサー)さんがいろいろ頑張ったみたいだが、日本人スタッフが相当いろいろ頑張ったんだろうなあ。
自動翻訳機のお陰で、みんな母国語でどんどん話す。言葉の壁なんてない。妻夫木聡、こんな楽しいシリーズに出ていたのか。
三浦友和と長澤まさみ。動機は、中国残留孤児の二世・三世問題。NHKのドラマかと思った。これを中国映画が扱うとは。
しかもクライマックスで流れるのは、ジョー山中の「人間の証明のテーマ」だ。これも敗戦国日本での出来事が動機になってる映画だ。私はもちろん公開時に見たけど、この曲、誰のチョイスなんだろう?
染谷将太の使い方がもったいない。
出だしの空港のワンカットでのアクションシーンで期待持たせたのに、それ以降、ほとんどアクションがなかったのは残念。あと、中国人二人にあんまり魅力が感じられなくて・・・。
でも、楽々国境を越えて、若い人が協力し合っていく姿は素晴らしい映画だった。