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へき地医療

2019-09-23 09:45:48 | Weblog
「そうはく」
 9年前、平成22年9月19日(日)に記載した内容です。

 早剥(胎盤早期剥離)で、自分が蒼白って感じだった。
 (土曜日の)夜、22時40分、もう、電気消してウトウト眠りかけていた時、突如、電話が鳴った。直接、若い産婦人科のドクターから、少しうわずった声で(いつも、冷静なのだが、これは、おかしいぞ・・・?!)・・・→「早剥みたいで、カイザー(帝王切開)になりそうですので、・・・その時は、お願いします・・・」とあり。「用意しときます・・・」と言って電話を切った。
 助産師さんの話だと、隣の島の人で、39週のお産前で、陣痛がないのに、この日の20時30分に突然出血したとのこと。で、船で直ぐに来てもらって、ドクターが診て、早剥だろうと言うことになった。
 しかし、条件は最悪。この日、いつも帝王切開の時に使う広い手術場が3日前から1週間使えない(無菌室にするための工事中で)。やむなく、他の科がする狭い部屋ですることになった(その準備も大変)。しかも、も一人の(20年近くいる)当院の産婦人科部長が、あいにく、遠方にいて、間に合わない・・・。
 卒後9年目の当院常勤医のこの先生(女性)、部長と相談して、手術に踏み切ったのだ。
 (急げ急げって感じで)0:00過ぎには、執刀。0:40にベビーが出て来た。
 泣かない!私が鼻から吸引しても、助産師さんが刺激しても泣かない!全身チアノーゼのまま。早剥のため、貧血もあるのかな?早剥で、こちらも蒼白って感じだったかな?!
 聴診すると、徐脈だが、心臓は、しっかりと動いている。吸引と刺激を繰り返すと、突如、泣いた!心拍数が急に多くなった。酸素を上げると、いつもの様に、ピンクになって行った。肺のラ音が、次第に、少なくなり、いつもの帝切後の赤ちゃんの姿になった。5分後アプガール9点(末梢チアノーゼややあり)。良かった、良かった、母子共に助かって、ホントに良かった!
 1時に帰り、2時まで、眠れなかったが、何故か、充実感に満ち溢れていた。
 今日は、日曜日、少し眠くて疲れている感じだが、9時までに回診を終えた。
 この赤ちゃんの朝の回診時の元気そうな姿が、眠気と疲れを取ってくれたかな・・・!

 令和元年の今、思い出しても、その時の状況が鮮明に思い出されます。
 上天草総合病院では、60歳直前に、常勤医でなく、非常勤医となりました(前々からの私の希望で)。それからは、仕事は、毎日の時間外が中心となりました。小児科の常勤医(部長)が金曜の午後から月曜の朝まで不在となるので、その時には、代わりに、入院の児を診ていました。又、新生児は、私が担当していました。看護学校の講義も。
 実際、へき地の小児科・産科は、大変です。大きな病院に送るにしても、遠いので、何とか頑張ろうと思うので、それなりに神経を使います。
 小児科医も産婦人科医も、3人ドクターが確保出来ればいいのでしょうが、それでは、採算が合いませんね。二人体制でも、独りだけに任されること、多いです。が、患者さんは、常に、います。台風の時は、島の妊婦さん、船が利用出来ないので、移動しています。

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