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石丸氏に対するポピュリスト批判への考察

2024年07月14日 | 国家論
オールドメディアとその取り巻きの政治評論家が言い出したのが、
 ネット選挙の問題点を衆愚政治に絡める論法
です。

 今まで選挙に行っていない若い世代が、
 YouTubeなどの動画によって、
 石丸氏に投票したから
 170万票あまりという結果になった。

YouTube動画などだとイメージで投票するようになる。
そのため、
 何も政策を語らない、たいした実績もない、能力がない人が、
 面白いとか、人気があるとかいう政治とは関係のないことで、
 バズることができれば、票を得ることができてしまう。

このようなポピュリストが当選するようなネットを活用した選挙は、
 衆愚政治を生むため、問題である。


ざっと聞くと、
 確かに、そういう問題がありそうだな
と思ってしまう人もいるはず。

ただ、前提として、
 選挙とは、そういうもの
なんです。

それが、民主主義。

こうしたポピュリズムの偏見の考えの根幹には、
 エリート思考
があります。

自分たち(オールドメディアや学者)は、優秀で、正しい判断できるが、
大衆は、無学で、大切なことは判断できない。
今まで投票に行っていた50%程度の人で、
 既存政党に投票した人は、正しい判断ができる人で、
 今回新たに投票に行った若い世代、政治に無関心だった10%の人は、
 騙されやすく正しい判断ができない。

こういったエリート思考は、
 自民党
などの歴史のある政党の他、
 実は、共産党にも多い。

共産主義(マルクス)を理解できない人は、
 無学な大衆
である。
だから、共産主義者のしかも委員長などトップが、
 正しい道に導いてやる必要がある。
実際に、共産党は、党員選挙などで、委員長を決めたりはしない。
委員長は、トップを中心とした超エリート層が、次の委員長を決めることが「正しい」からです。

自民党や政治評論家は、
 政治家の名家や、党内で着実に実績を積んできた人が、優秀な政治家である
と考えていて、
 若くて、優秀な人材でも、当選回数が少なければ、未熟な政治家とみなす。
そういう未熟な政治家が、
 膨大な得票数を得れば、自民党の政治家であってもポピュリスト
とみなしてしまう。
 小泉純一郎をポピュリスト
といって、批判していたのがその例。

「自民党をぶっ壊す」と言って、
当時、泡沫候補だった小泉純一郎氏が党総裁選を勝ち抜いたため、
 小泉劇場といって、ポピュリズム政権
だったとしている。

ただ、見方を変えれば、
 自民党の既得権益による政権を壊してほしい
というのが、
 民意であった
ということで、
 これが、民主主義なわけです。

こういうエリート思考の持ち主が、TV局や新聞社に多いため、
自分の読みが外れると、
 エリート思考の人ほど、言い訳(自己正当化)が必要となる
ため、
その理由として、
 バカな大衆が騙されて、投票したので、その結果になったのである
と結果の方が、間違っているとするわけです。


ネット選挙の特徴は、
 情報や露出をコントロールしていたオールドメディア
から、
 コントロール権を一部奪った
ということです。

オールドメディアは、自己実現的予言ができていました。
自己実現的予言というのは、
 ある予言や期待がなされることによって、
 その予言に基づいて人々が行動することで
 実際にその予言が達成されるという現象
のことです。

 ○○候補の政策です。
 ○○候補は、・・・。
など、自分に都合の良い候補の露出を増やし、イメージをよくする演出をすることで、
 知名度、好感度を上げる。
○○が優勢です。

人は、勝ち馬に乗りたい、とか、
 聞いたことにある人、知っている人に投票しがち
であるという傾向があります。

 同じモノやコト、人に複数回接触することで、その対象に好印象を抱くようになるという心理学理論
のことをザイオンス効果といいます。

そのため、
 今までは、TVや新聞などのオールドメディアが選挙結果を大きく外す
というこうとはなかった。

ネット選挙の場合、
 オールドメディアであまり取り上げなかった人も、接触回数を増やし、
 政策、人柄、能力を伝える
ことができます。

そのため、
 オールドメディアのコントロールが弱まる
ことになります。

このこと自体は、民主主義にとっては、とてもよいことです。

さらに、石丸氏の躍進は、実は、ネット選挙ではなく、
 石丸氏個人の能力によるところが大きい
というのが、個人的な感想です。

どういうことかというと、
 別の候補者が、今後、同じようなことをしても、たいした効果は出ない
と思います。

ネットの方が、テレビと異なり、尺に限りがないので、
 接触回数、時間が多い
ため、
 実像がでやすい
からです。
つまり、テレビの方が、虚像を作りやすいわけです。

テレビの場合、10分程度用意すればよいことも、
 ネットメディアの場合、無制限に、時には飲みながら雑談形式で話すことができる。
そうすると、
 能力や人柄は、隠すことができない
ので、
 分かる人には分かってしまう
わけです。

 あーこいつは、なんも考えていないんだな
というのは、3時間も話を聞いていれば、見抜かれてしまいます。

石丸氏の場合、毎日1時間程度、配信していたことや、
 ネットメディアの依頼があれば、パネルディスカッション形式で何時間でも話をしている。

つまり、
 支持者は、テレビのように、加工された人柄ではなく、素に近い人物を見ている
わけです。

もちろん、
 政治家として、こう見られたい
という部分はあると思いますが、
 TVよりも、素が出てしまいます。

そのため、
 SNSを通じて発信したネット選挙の手法
を使いこなしたというよりは、
 ネットを上手く使いこなして、
 「自分や考え方、能力を知ってもらう」ことで、
 支持者を増やした
という側面が強い。

街頭演説は、
 ネットを使わないような世代にも、自分のことを知ってもらうための
 接触開始のツール
として利用した。

 街頭演説→認知→動画→支持者→スパチャ(個人献金)、投票行動

次に行おうとしていることは、
 街頭演説の部分を、TVというオールドメディアに変える
ということです。

ちなにに、今日、読売テレビ系列の
 そこまで言って委員会NP
に出演されるそうです。

橋下氏が行ったメディア戦略+ネット配信(YouTuber としての活動)で、
 知名度と資金を確保し、次のステップの準備とする。


単に能力のないポピュリストであれば、
 多くの批判者のようにメッキが剥がれてしまう
というわけです。
おそらく、逆に、評価は高まっていく(話がうまいなとか、面白いなというような評価)と思います。

そのため、ここからは、オールドメディアとのせめぎ合いになります。
 視聴率が取れるし、上手くいけば失言などで潰すこともできる。
 潰れなければ、コメンテーターなどで、再度取り込みを考えてもよい(懐柔策)。
 本人も、露骨なTV批判は避けながら、上手く利用することを考える。

一番恐れているのは、
 既存政党
です。

知名度が上がるほど、脅威が増すからです。

しかも、本人は政治に関与していないので、小泉氏の時のように
 ポピュリズム、衆愚政治批判ができない。


そもそも、
 日本の政治は、ポピュリストが当選することを想定している
ので、
 それをとやかく言って、無学な投票者が騙されて投票した
という批判をするのは、間違っています。

あくまでも、有権者の総意であって、
結果に対し、
 ポピュリストに騙された、ネット選挙は危険だ
などということは愚の骨頂です。

どんな有権者もきちんと投票に行く。
これが、民主主義を支える一番大切なこと。

その際に、正しい選択かどうかが、分かるというのは、エリート思考の誤りであり、
 みんなの選択かどうか
が重要なわけです。

正しいかどうかを判断するのは、
 最終的には、責任を取ることになる国民
であって、
 自分の選択が間違っていたのであれば、国民が結果として不利益になってしまう
というだけのこと。
これが、
 有権者の総意
であり、
 民主主義
です。

今まで選挙に行っていた人が、「優秀な人」だったというわけでもない。
訳も分からず、会社の上司から○○に投票しろといわれた、後援会から頼まれた、宗教や業界からの指示など、 
 たいして政策を読むことなく投票している人も多い。

それを、若い世代を中心とした無党派層が投票した途端、衆愚政治だと言い出す。
若い世代の方が、よっぽど、
ネット動画などで公約や人柄を見て、
 既得権益を壊してくれそうだ、
 腐った政治屋を駆逐してくれそうだ
と期待して投票している。

ネット選挙批判に、衆愚政治を持ち込むのは、
 特に、高齢の政治評論家と称するテレビに出ている学者、元新聞記者などに多い。

こういう人には、
そもそも、
 日本は、議院内閣制なので、国政では衆愚政治の影響はない
し、
そもそも
 「愚」かどうかをあなたが判断できるのか
と言ってやればよい。

今まで投票に行っていた人と、今回、新たに投票に行った人で
 能力的に差があるの?
と聞かれると、相手は耳が痛いはずです。 
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