知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

オリンピックから学ぶ組織論。日本水泳連盟の大失態。

2024年08月13日 | スキルアップ
オリンピックは、本当によかった。
柔道、体操、ゴルフ、サッカー、バレー、スケートボード、卓球、レスリング、近代五種、
フェンシング、マラソン、飛び込み、やり投げ、スポーツクライミング、、、

最高のエンターテイメントでした。

ただ、残念だったのが、競泳。
選手は一生懸命頑張っていたと思いますが、
 日本水泳連盟
は、変革が必要だと思います。

日本水泳連盟という組織に大きな問題があり、
 選手の力を伸ばしたり、力を発揮したりすることができなかった
という面が強い。

こういった失敗の原因を分析し、次に活かすことで、
 組織はよくなっていく
ので、
 きちんとした原因の分析
が不可欠となります。

原因を分析することなく、
 なぁなぁで済ませたり、隠蔽したり、責任転嫁したりする
と、
 また、同じ失敗を繰り返す
ことになるからです。

個人的には、
梅原孝之競泳委員長の責任を追及し、解任した上で、
平井コーチに全権を委任し、
 日本水泳連盟自体の組織改革を行ったり、
 海外から優秀なコーチを招聘し、
 トレーニングのあり方を変革する
必要があります。

おそらく、
 自浄作用は働かないので、世論や、スポーツ庁を中心に圧力をかけ、
 日本体操協会や日本フェンシング協会のような「選手ファーストの組織作り」
を行っていくことが重要です。

まずは、
 組織の無能ぶり
から、考えてみます。

日本水泳連盟の大失態は、組織論を考える上で、学べることが多い事例です。

情報収集能力のなさ

時事通信より引用 太線は筆者による加工
******
競泳ニッポン下り坂 強化体制、継承できず―苦境競泳ニッポン〔五輪〕(上)
時事通信 運動部 2024年08月08日07時50分配信

 パリ五輪で銀メダル1個に終わった競泳ニッポン。
2021年東京五輪が00年以降で最少の3個(金2、銀1)だったが、さらに減った。

 東京五輪後に北島康介さんらを育てた平井伯昌氏が代表ヘッドコーチを退任した。
08年北京五輪後から長く強化の中心にいた同氏から、現在の梅原孝之競泳委員長に代わった。

 そもそも、長期政権の後を受け継ぐのは難しい。
これまでのノウハウを生かしつつ、ブラッシュアップするのにも時間がかかる。

 さらに新型コロナの影響も受けた。
1996年アトランタ五輪でメダルゼロに終わった後に到来した黄金期は、
選考会で選ばれた五輪選手を集め、約100日かけて鍛え直すという手法で築いた。
東京五輪延期の要因にもなったパンデミックによって、
チーム内で高め合うとする強化の基本路線を踏襲することが困難になった。

 並行して、日本の競技力は下り坂に入っていた。
東京五輪は、世界トップに比較的近かった種目で、
当時の世界記録保持者をはじめとした他国の一部有力選手が決勝で実力を発揮し切れないケースがあった。
金を含む複数メダルを取った状況を「惨敗だった」と厳しく評価した競泳関係者もいたが、
その声にしっかり耳を傾けられたとは言い難い。

 これまでの競泳日本勢は、大柄でパワーにも恵まれた海外勢に対し、
泳ぎの技術を磨くことで対抗してメダルを守ってきたが、
全体の競技力低下が徐々に見え隠れした中での「トップ交代」。
前体制からの継承がうまくできず、
合宿によるチーム強化が形式的なものになったことが、この3年に結果として出た。 (時事)
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露呈した準備不足 情報収集への意識希薄―苦境競泳ニッポン〔五輪〕(下)
時事通信 運動部 2024年08月08日07時51分配信

 パリ五輪は個人種目で出た世界新が二つだけで、海外勢のレベルが極めて高かったとは言えない。
日本も自己ベストに迫るタイムを出せれば、表彰台争いに加われる実力はあった。

 1年のピークを大舞台に合わせられないのは、特に2021年東京五輪後から抱えていた課題だった。
昨年の世界選手権(福岡)も銅2個。春の選考会よりも低調な記録が目立った。

 本番で力を発揮しづらくした一因には、戦いの舞台に対する問題意識の低さが挙げられる。

 象徴的だったのは、本番会場の水深に関する関係者の戸惑いの声。
大きな競技会では近年3メートルが恒例だったが、今回は2.2メートル。
浅いと、周囲を泳ぐ選手から受ける波が高くなりやすいと感じる場合がある。
会場練習初日に飛び込んだ後、プールの底を見て知った選手もいた。

 水深情報は6月に配られた資料に記載されていたというが、
強化の幹部の一人は7月半ばの事前合宿まで知らなかったという。
会場に視察で入れなかったとして「周りの地理や外周を見た」と話した。

 チーム内からは、会場と選手村の移動に時間がかかることなどの不満の声が出たが、
水深を含めて条件は各国同じ。
ただ、そうした基本的な情報を主体的に集める意識が希薄だった

 国によっては村外拠点を構えるなどの対応を取った
東京五輪までのような人的、物的資源を期待できない中でも
選手がベストパフォーマンスを出すために何が必要か。
突き詰めて考えようとしなかった姿勢が続いた結果、招いた惨敗だった。 (時事)

***********

要は、水深が6月に配られた資料で2.2メートルになることが伝えられていたが、
 水連は、誰もチェックしていなかった
ということ。

さらに、移動時間が長く、クーラーもあまり効いていないため、
 移動で体力を削られることになった。

これでは、万全の体制で臨む海外の選手と比べて、
 極めて不利な状況で泳ぎ出すことになります。


産経新分より引用
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競泳日本代表がパリ五輪会場で初練習  水深浅く「飛び込んだら目の前が床」と青木玲緒樹
2024/7/23 20:40

競泳の日本代表が23日、パリ五輪会場のラデファンス・アリーナで初めて泳いだ。
選手は会場に到着すると観客席を見渡すなどし、動線や水の感触を確かめた。

同会場は、屋内で、普段はイベントなどにも活用されており、パリ五輪のために、プールが仮設で作られた。

日本水泳連盟の関係者によると、水深は2・2メートルという。
深い方が、波が起きにくく記録が出やすいとされ、
これまでの五輪や世界選手権は、3メートルのことが多かった。
2021年東京五輪も3メートルだった。

女子100メートル平泳ぎで日本記録保持者の青木玲緒樹(ミズノ)は、
この日の練習で飛び込んだところ、床が目の前にあって驚いたという。
青木は、「スタートの角度も変わってくる。浮き上がり(動作)の確認をしないと」と話した。

女子バタフライの池江璃花子(横浜ゴム)は、
「深い方が進んでいる感じがしないので、良い風にとらえて、レースできたら」と冷静に語った。

プールの環境は、成績を左右する。
1996年アトランタ五輪は水温が低く、日本代表の惨敗の一因にもなった。
昨年の世界選手権(福岡)では、室温や水温が低かったことが影響し、本来の泳ぎができなかった選手もいる。

男子400メートル個人メドレーの松下知之(東洋大)は、
「昨日まで練習していたプールが(水温が)温かかったので、冷たく感じたが、泳いでいくうちに慣れてきた」。
環境に対応できるかも、勝負のカギを握りそうだ。(パリ 久保まりな)

**********

結果から見れば、
 水深という環境の変化に上手く対応できなかった選手が多かった
ということになります。

水連が優秀な組織であれば、
 配布される資料を常にチェックするスタッフにより、
 水深、温度などの情報を入手し、
 各選手に通達し、練習環境に反映させる(練習用プールを2.2メートルに変更)
という対応をしていたはず。

移動についても、
 選手ファーストの組織であれば、負担がないように徹底的に準備していた
はずです。


日本では、
 結果が出なかった選手を責める雰囲気がありますが、
 結果は、選手のみならず、サポートする組織に負うところが大きい
ので、
 選手を責めるのは誤り
です。

さらにいえば、
 スポーツ庁にも責任があります。

スポーツ庁は、
 スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際競技力の向上、
 スポーツを通じた国際的地位の向上など、
 多面にわたるスポーツの役割を一層高め、
 スポーツを通じて社会を発展させることを目的
とするため、
 重要な競技に関する情報を常にチェックし、水連などの組織と連絡を密に取る
必要があるからです。

スポーツ(特に、オリンピック)における支援としては、
 お金だけ出せばよいというわけではなく、
 情報収集力、政治力が重要となる
場合も多いからです。


ただ、水連の場合、問題はもっと深刻で、
 選手からも、変革を求める声が多く、
 うまく機能していない本質的な理由はここにある
と思われます。

結果を出せる人材を軽んじる組織のあり方

2023年の記事です。

Number Webより引用 
***********
「選手もこれじゃダメだって気づきます」
前日本代表HC・平井伯昌が語る“競泳ニッポンの窮状”「世界のトップを目指す“方法論”がない」
2023/08/23  06:05
雨宮圭吾

 来年にパリ五輪を控え、自国開催の世界選手権に臨んだ競泳日本代表。
結果は銅メダル2個の惨敗で、メダルなしだった1994年ローマ大会以来最低の成績となった。

 大会後、一部の代表選手はSNSで日本水泳連盟(水連)や強化体制を公然と批判。
8月15日には水連とコーチ陣、選手による緊急ミーティングが開催されたが、
内紛ともいえる競泳ニッポンの異常事態はいまだ収束したようには見えない。 

 今回の当事者のひとりが、北島康介や大橋悠依といった金メダリストを育ててきた平井伯昌氏だ。
騒動の発端となった7月の世界水泳にコーチとして参加し、
日本選手団入りが決まっていた9月のアジア大会への参加を辞退した平井氏に話を聞いた。
(全3回の第3回/初回「辞退の理由」編は#1へ)

方法論がない…選手も「これじゃダメだ」って
 選手の指導力に秀でたコーチであってもチームや組織のマネジメント能力も長けているとは限らない。
今回の問題も強化委員長やコーチ陣の責任だけではなく、水連側の姿勢にも責任があると平井氏は主張した。

「目標を掲げられて頑張れと言うわりには方法論がないんです。選手だってこれじゃダメだって気づきますよ。
それは競泳委員会だけに限らず水泳連盟全体に『こうしていこうよ』というメッセージ性が足りないからだと思う。
東京オリンピックが終わって色々な組織が予算的にきつくなっている。
その中でも水連が『センターポールに日の丸を』と目標を下げずに頑張ろうと言うなら、水泳連盟として何かしなきゃいけない。
でも何もしていないような気がします。
例えばナショナルコーチ制を取り入れたり、旧態依然としたやり方に頼らないで変えていくことも必要なんじゃないかと思うんです」

なければ「それまで」という姿勢

平井氏が水連の姿勢を問うのには、こんな出来事も影響している。
昨年、先発隊としてスペインで合宿をしていた際、後発隊の選手とともに来るはずだった
追加のトレーナーが新型コロナの事情で来られなくなってしまった。
十分なケアがなければ、せっかくの遠征も十分な実りを得られない。
ところが、日本にいる責任者は「行けなくなったのだから仕方がないでしょ」という態度だったという。
結局、現地で日本人関係者の伝手を得てスペイン人トレーナーを3人調達することができたものの、
それは現場のスタッフが機転を利かせたその場しのぎの対応でしかなかった。

「なくなったら、『ハイそれまでよ』というのが東京オリンピック後の現状だった。
AがダメだったらB、BがダメだったらCで現場に必要なものは揃えておくのが、
組織運営でも会社経営でも必要じゃないかと思うんだけど……」

不可解なリオ五輪直前の人事

水連はどこまで強化を本気で考えているのか。平井氏が最初に組織の体質に疑問を抱いたのは8年前にさかのぼる。
2015年、当時の競泳委員長だった上野広治氏がその座から降りることになった。
2012年のロンドン五輪で金が取れなかったとはいえメダル11個を獲得と大きな成功を収め、
次なるターゲットのリオ五輪がもう1年後に迫っている重要な時期。
客観的に見れば、降りるのではなく、降ろされたと思える人事だった。

五輪前年にどうして強化の責任者を代える必要があるんだと思うでしょう。
あのあたりから連盟の組織のあり方に疑問を感じるようになりました


結局は権力争いなのかな
 結局、当時は上野氏は強化本部長という役職に収まり、平井氏が競泳委員長、
村松さやか氏(現常務理事)が副委員長となることで収束を見たものの、不信感は残った。

「僕はあくまでコーチでいようと思っていたし、連盟の組織に入るつもりもなかったけど、
そういうゴタゴタがあって入らざるを得なくなった。
でも、それで余計見えてきたこともありました。結局は権力争いなのかなと思いましたよ」

 東京五輪のバブルが終わり、予算の減少に苦しんでいるのはどのスポーツ団体でも同じ。
そこで何ができるのかがいま問われている。

選手に「こういうところを頑張ろう」と言えない

「目標を達成するために必要なサポートなりが揃っていれば、
結果が出ない時に選手に『もう少しこういうところを頑張っていこう』と言えるんです。
でも今はとても言えないでしょう。

 東京オリンピックまでと条件が変わったことは重々承知しているけど、
代替案を考えて何か他にできることはないのかと問いたい。
世界のトップと戦うのに本当に今の体制でできますか? 
と水泳連盟や競泳委員会が自問自答した時に、YESと言える人は少ないんじゃないかな」

平井氏が危惧していた通りの現状

 平井氏も1972年ミュンヘンオリンピックに向けた小柳清志ヘッドコーチの綿密な強化計画に感銘を受け、
そこに前任者たちの知見を加え、自分なりにアップデートしながら選手育成に携わってきた。
知恵を絞り、多くの人の力を結集することで、専用プールすらなかった時代からいくつもの金メダルを取れる環境を築いてきた。

「誰かがやめたら何もできないという状況になっちゃまずい。
ずっとそう考えて競泳委員会の運営をしてきたつもりだし、連盟にも関わってきたつもりなんだけど……」

 しかし、実際には平井氏が危惧していた通りになっている。
変化する時代に対応し、アイデアを捻り出しながらそれを形にしていく。
競泳ニッポンを育て上げた先達の背中を、平井氏たちの姿を、周りにいた人間はどこまで見ていたのか。

「いやあ、こうなってくると見えてなかったのかなあと思いますよね。
ユリウス・カエサルの言葉に『人は見たいと欲する現実しか見ない』ってあるんです。
でも『為政者は見たくないものまで見なくちゃいけない』のです。
大きく反省し、イチから出直す気持ちで始めなくてはいけないタイミングなのかもしれない
平井氏はそう言って力なく笑った。

 パリ五輪まであと1年。その現実すら直視できないようでは、
パリ五輪でのメダル獲得という「見たい現実」も遠のいていく。
これから競泳ニッポンはどう変わっていくのか。

*************

残念ながら、現実を直視できないようでした。
今回の事態は、起こるべくして起こったというわけです。
まさに、組織の責任。

皮肉なのは、
 男子400メートル個人メドレーで、日本唯一のメダル(銀メダル)を獲得した松下知之(東洋大)選手
は、
 平井コーチの教え子
という所です。

内紛という名で、
 水連から目の敵にされた平井コーチの方が正しかった
ことを物語っています。

以下、産経新聞より引用
**************
【競泳】まさにマジック 平井伯昌コーチ、18歳松下知之の銀で五輪6大会連続メダリスト輩出
[2024年7月29日21時35分]

【パリ=松本航】初出場で東洋大1年の松下知之(18)が、日本競泳陣今大会初の表彰台となる銀メダルをつかんだ。

自己ベスト4分8秒62を記録。
4分2秒95の五輪新記録で金メダルをつかんだ地元フランスのレオン・マルシャン(22)に続き
「生まれて初めて、この多くの観客の中で泳げました。人生で一番緊張しましたし、最高のパフォーマンスが出せました」とかみしめた。

平井伯昌コーチの首に銀メダルがかかった。
表彰式を終えた松下から感謝を伝えられ「大体予想していた通りですけれど“持っている”感じがした。褒めてあげたいと思う」とほほ笑んだ。

北島康介氏が平泳ぎで2冠した04年アテネ大会から20年。
5大会連続でメダリストを生んでいた名コーチの戦略が光った。
5月中旬から日本に戻らず、欧州での高地合宿や大会で強化。
高地で培った効果を日本代表全体での事前合宿に生かし「(同日の)2回目(決勝)で力を出さないといけない」。
レース5日前まで高い強度で刺激を入れた。

ずばぬけたマルシャンは度外視。
2~4位が混戦と予想し「4分8秒であれば(メダルを)取れると思っていた」と設定した。
最低3分11秒台と考えた300メートル時点で3分11秒56。
「フリー(自由形)は並べば強い。代表選考会とマルシャンの泳ぐパリ五輪。
ステージが違いすぎる中で上げてきたのは立派」と評した。

18歳の銀メダリスト誕生は、日本競泳界にも活力を生む。
「初出場の若い選手がメダルを取れた。
次の4年間を考えると『これからだ』という選手が取れたことは、日本水泳界にもプラスだと思います」。
4位とは0秒23差。激闘を制した価値は大きい。

************

以下、読売新聞より引用
************
「幸せだなぁと」銀の松下知之、10代とは思えぬ冷静なレース運び…「もってるなぁ」平井コーチも驚く
2024/07/29  10:57

 28日のパリ五輪男子400メートル個人メドレー決勝で、
18歳の松下知之(東洋大)が4分8秒62で銀メダルを獲得した。
今大会の競泳日本勢メダル第1号で、競泳では2021年東京大会の本多灯(イトマン東進)に続く10代メダリストとなった。
瀬戸大也(CHARIS)は7位。
レオン・マルシャン(フランス)が4分2秒95の五輪新記録で金メダルを獲得した。
女子100メートルバタフライ決勝で平井瑞希(アリーナつきみ野SC)は7位だった。

 初出場の松下が左拳を何度も握りしめて歓喜に浸った。
「一生に一度しか味わえないと思うくらい。幸せだなぁと」。
思惑通りの追い上げで混戦の2位争いを制し、日本競泳陣に今大会の初メダルをもたらした。

 前半は6位でも「自由形は自分が強い」と焦らなかった。
他の選手のベストラップを頭に入れ、「どの選手がどこにいるか予想できていた」。
レオン・マルシャン(仏)には独走を許したものの、
10代とは思えない冷静なレース運びで上位との差を縮め、自己ベストを1秒以上も塗り替えた。

 武器である後半の自由形は安定感がある一方、前半が課題だった。
この数か月はバタフライの腰の位置を修正し、背泳ぎは水を切るように腕を出すなど細かく技術を変え、
「前半を楽に速く泳ぐ練習を徹底した」と平井伯昌コーチは言う。

 この日の記録を見ると後半のラップは従来の自己ベストとほぼ同じ。
前半の記録短縮がそのまま自己ベスト更新と銀メダルを生んだ。
北島康介らを育てた平井コーチが「大舞台で力を出せるやつはそういない。もってるなぁ」と驚く快泳だった。

 「平井先生とは自由形勝負になると想定していた。最後まで信じて頑張った」と松下。
国際舞台で苦戦を強いられている日本競泳界。期待の18歳が新風を吹き込んだ。(森井智史)

************

平井コーチの優秀さは、北島選手で実証済みです。
日本水泳連盟を変革するには、こういう人材を活かすことが重要なわけですが、
 こういう人材は、組織内部の政治力がない
ことが多いわけです。

組織で、のし上がるには、
 「世渡り上手」や「姑息さ」も必要だからです。

純粋に、
 選手を勝たせたい(結果を出したい)
という人は、
 組織内の権力闘争には無関心
なわけです。

本人は、
 組織で、のし上がるための権力闘争に使う時間があれば、目的達成のために使いたい
と思っているからです。

これは、会社にもいえることです。

 商品開発、顧客のためのマーケティングの達人
のような人が
 社長になる
ことは少ない。

そして、権力が欲しいと思っている人ほど、
 トップになっても、何もできず、結果が出せない。

結果を出すことが目的ではなく、
 権力の獲得(椅子)が目的
だからです。

こういう組織は、
 率先して、選手や所属している人のために全力を尽くそう
というモチベーションは、生まれにくくなってしまいます。

権力者にいかに嫌われないように、
 無難にこなすか
が重要な要素となるからです。

点数にならないような書類のチェックや、
 選手の役に立ちそうな情報を自ら進んで入手しよう
という気になりにくい。

別に、自分の仕事ではないし、、、

そのため、
 組織において、メンバーの向上心が生まれにくく、
 結果のために必要な事項も、目に入らないおそれがある。

逆に、
 結果にコミットする組織は、頼まれてもいないのに、
 率先して情報を入手したり、
 率先して動いたりする
ので、
 いちいち、指示しなくとも、自然とうまく機能するようになる。

 チームが目的(結果を出す)を理解している
ため、
 目的達成に役立つことを自分から率先して行う
ようになるからです。

強いチームが
 アイコンタクトで動きを察知し、常に相手の先を読んで行動することができる
のも、
 勝つために必要なことをみんなが理解している
からです。

送られてきた書類も、
 自分の担当分野でなくとも、役立ちそうな情報があれば、みんなに教えてあげよう
という目でチェックするので、
 見落としがなくなる。

宿泊先の手配も、
バスなどの移動手段も、
 結果にコミットした組織であれば、 
 平井コーチの指摘するように、A、AがだめならB、BもだめならCと
 選手が結果を出せるようにすること
を第一に行動し、「なんとかする」ように尽力する。

全体の予算が削減された場合には、
 予算配分を工夫したり、
 寄付を募ったり、
 ファンミーティングを開いたり、
 クラウドファンディングを実施したり、
 スポンサーを募集したりと、
 なんとか、結果が出せるように、資金繰りを工面しようとする。

こういう選手ファーストの組織があれば、
 結果は、かなり変わっていた
と思います。

メダルを取ったオリンピック選手が
 支えてくれた人たちのために取りたかった
というのは、
 きれい事ではなく、本当にそう思って感謝している
からです。

水深の情報入手と、練習環境への対応だけでも、
 選手の精神面に与える影響は大きく異なっていた
はずです。

選手は、もっと水連を批判し、
 競泳ファンもこういった水連の大失態や内部の問題を認識し、
 責任の所在と対応をどうすべきかを建設的な面から議論する
とよいと思います。

選手自身のためだけではなく、次世代の競泳選手や
 応援する競泳ファンのためにもなる
からです。

個人的には、
 平井コーチに期待です。
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