名著。上をほぼ読了。
ざっくり言うと、
国家が衰退する理由は、いくつか理由が存在する。
ソ連のように、自分の利益につながらないような場合には、
イノベーションが起きにくいため、衰退に向かう。
毛沢東時代の文化大革命下の中国のように、
権力者が誤った政策を推進する
ことで国家が衰退する。
国家権力を握った権力者が
創造的なイノベーションを独占したり、禁止したりする場合
にも、イノベーションを活かした産業の発展が見込めず、
イノベーションを利用した他国に破れ、衰退する。
既存産業が衰退することをおそれて抵抗勢力となる。
ロシア帝国は、鉄道により革命が拡大することをおそれて推進しなかったが、
クリミア戦争で鉄道網を駆使したトルコ・イギリス・フランスに破れ、鉄道の整備に着手した。
利害関係の対立から、権力闘争が起きると、
国力は衰退する。
ポイントは、
独裁権力を打倒して、別の勢力が権力を手にしても、
指導者が替わるだけで、独裁体制は変わらない。
これは、なるほどなっという記述。
この本を読んで考えたことで、
格差の固定化がなぜ悪いのかについて。
格差が固定化し、大多数の国民が貧しくなると、
不満を持った大多数の国民が変革を求めて、抵抗勢力を作り、革命などの行動を起こし、
国家運営の安定が損なわれることになるため。
また、大多数の国民が貧しくなると、
教育などにお金が回らず、ひいては、イノベーションも置きにくくなる。
イノベーションは、
自由な研究ができるという環境、特許法などの法的保護、事業化しお金持ちになれるというインセンティブ
から生まれる。
ただ、権力者にとっては、イノベーションがリスクにもなる。
鉄道が革命の拡大になると考えたロシア皇帝の話も同様。
また、権力者が、印刷技術の導入を禁止したり、出版物に制限を課した理由は、
誤った情報が拡散することで、政権にとって危険な思想が蔓延しないようにする
ため。
印刷物の影響力の大きさは、思想形成に大きな影響がある。
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注:ここからは、自分で読んで考えた内容が混ざる。
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印刷物の影響力については、今の時代は、メディア(テレビ、インターネット)も同様。
中国が徹底的に報道メディアやインターネットを規制するのかというと、
様々な情報が国民に伝わることで、
他国との比較から一党独裁政権に不満が生じ、
それらの国民による暴動のリスクが高まる
ため。
選挙がないため、自分の意見を反映していない以上、
政府の正当性は、正しい政策実現には最もよい
という結果しかない。
かつては、王権神授説のように、神から信託されたでよかったが、
現代では、なかなか納得してもらえない。
そこで、
自分にとって都合のよい情報のみを与えることで、
国民の不満を軽減し、国民を従わせることができる。
韓国が反日教育を行っている理由は、
李氏朝鮮時代は、両班支配により、人民が奴隷や貧困状態で、無学かつ悲惨な生活環境であったが、
日本が、両班から権力を取り上げて、人民にハングルを中心とした教育を与え、
インフラを整備し、生活水準と人口を向上させた
という事実を知られたくないため。
国家権力の正当性の基盤が失われてしまう。
韓国にとっては、日本は、略奪者であるとして初めて、
国王・両班の有していた権力を、独立後の大統領や政治家(元両班が多い)に移管する
ことができることになる。
この本を読みながら、色々考えると、
なるほどな、とつながってくる
ことが多いと思います。