ネズコと言う関西人には聞きなれない名前の樹の巨木があの穂高岳を目の前にした平湯温泉郷傍の山中に有る。
高山市街から国道158号線で宮川上流、小八賀川の谷沿いを遡って行くこと約1時間、標高約1300m、九月中旬、目の前に処々万年雪を戴く穂高の峰が見える。
ネズコはクロベ (黒檜、学名:Thuja standishii)と呼ばれる日本特産のヒノキ科常緑高木で木曽五木の一つに挙げられるそうです。
<平湯キャンプ場>
平湯大滝への進入口であるキャンプ場の傍らに大ネズコへの山道入口が掲示されていて、その通り急斜面の山道を20分程も登ると、この大ネズコの前に立つことが出来る。
初めて見るネズコの巨樹は見たことのない樹姿と迫力で背の低い熊笹交じりの夏草の中、目の前に立ちつくしていた。
正面には木道を兼ねた観察台が造られ大ネズコの根回りを保護している。
イブキの老木にも似て根元の樹肌は襞のように波打ち、多くの樹瘤を蓄え、尊厳に満ちた孤高の山の神と言った風格を漂わせている。
力強い根元近くで多くの支幹に分かれ、見る方向に拠っては逆箒のようにも・・・・
見るものを圧倒させるに充分なほど神々しいのは、永らく人目にも留らない程の山奥で歳を重ねて来たからだろうか??
林野庁の「森の巨人たち100選」に選定され、公称樹齢約1000年、目通り7.6m・・これは少し控えめ過ぎる数値のように思えるが・・・・
大きな洞や傷みも認められず1000年の樹齢は少し信じ難い。
標高1500m、厳しい自然環境の中、複雑で個性的な樹形を持ち、此処まで見事なほどの樹勢を保っているのはまさしく神懸かりかも・・・・・。
本当に素晴らしいものを見せて戴いたと言う印象が強い一樹です。
撮影2009.9.21