春のうららかな昼下がり、のぞかな田園風景の広がる巨樹を訪ねるのは嬉しい。
伊勢自動車道・勢和多気ICから国道42号線を松阪方向に少し走ると前方左手、JR紀勢線越しの線路脇にそれと解る大きな楠の樹冠が見えてくる。
単線のJR紀勢線と開けた田園風景の中の大きな樹冠は心癒される風景そのものです。
説明板によると、「この一帯は北畠家及び南朝派一族の隠匿地と言われ、神祇を奉祀して王朝の興復を企図した。その後時勢の変遷を受け里人が忠臣の遺蹟を後世に伝えるために一老樹を保存し、記念の表徴として来た。かくて樹木を神木として偉霊の実在を信仰し、小祠を祀って霊木の保存をはかっている。」
樹齢は約600年、目通り7.5m、樹高は36mとなっている。
小さな集落を縫って走る旧道脇にどっかり腰を下ろし、堂々たる太い主幹がその大きな樹冠を支えている姿は力強さにあふれている。
根元には小さな小川が流れていて、十分な水分を得ているのだろう。
樹齢の割りに若々しく見える主幹はみずみずしくさえ見えて、脇には細いながらも風格の有るカゴノキが寄り添うようにたっているのも面白い。
撮影2008.4.5