和歌山県紀美野町は旧、野上町と美里町が合併して出来た高野山麓の町でその殆どが森林地域に有って総面積の75%にも及ぶ。
そんな紀美野町の中でも尚山深い地域に有る旧三里町勝谷は国道370号線が通る長谷毛原中学校前の交差点で小さな川を越えて山道へと入って行く。
その先は山岳ドライブのような細い道が延々と続き最後の峠を越してつづら折れを下っていくとやっと民家が何軒か見えて直ぐにこの大きなカヤの木が道路にせり出しているのが見えてくる。
ここまで国道から別れて約20分、山岳道路の細い道に不慣れな人はちょっと心細い思いをするかも知れない。
道路わきの少し高台に善福寺のこ小奇麗に清掃の行き届いた小さな境内があって、善福寺の小さながら趣の有るお堂とこの大きなカヤの木が相対峙している佇まいが、なんとも云えずありがたいご馳走のような気がする。
細い谷川沿いに棚田が開け、長閑な山里を絵に描いたようなところで、鳥のさえずり以外は何の物音も聞こえて来ず、勿論前の道路を通る車などまったく皆無でした。
当然のことのように無住の寺で誰に遭うことも無く、何の気兼ねも無くこのカヤの大木との時間を充分楽しめる環境でした。
本堂前の鐘楼脇に静かにたたずむこの枯淡なカヤの巨木は目通り約7m、推定樹齢700年、樹高23mと表示されています。
道路わきから境内に上る苔むした石段脇から見たこのカヤの巨木は美しく又力強い。
境内の石段下にも、目通り約4.5m推定樹齢800年の大カヤがあって共に雌株で、県の天然記念物に指定されています。
こんな山中を切り拓き、人が住み着いたのはいつの頃なのか??、このカヤの樹はそれ以前からここにあって、この木の元に寺を建てたのかも知れない??
撮影2008.3.22