レオナルド「鹿島の強みはコンスタントに力を発揮して浮き沈みが少ないこと」/スルガ銀行チャンピオンシップ 2013
8月7日(水)、Jリーグヤマザキナビスコカップ王者鹿島アントラーズとコパ・ブリヂストン・スダメリカーナ2012覇者サンパウロが激突する『スルガ銀行チャンピオンシップ 2013』が開催する。大会開幕に先駆けて両チームに所属し、タイトルを獲得した経歴を持つレオナルドにインタビューを敢行。連載2回目となる今回は、レオナルドが考える鹿島アントラーズの強さ、チーム所属当時のエピソードについて語ってもらった。
――鹿島アントラーズ入団当初、日本の生活にはすぐに馴染めましたか?
レオナルド すごく難しい質問ですね。それまで私はリオ・デ・ジャネイロやサンパウロ、海外ではバレンシアなど、比較的、大都市で生活してきました。鹿島のような静かな土地で、生活した経験がなくすぐに馴染めたわけではありません。
鹿島には、長男が生まれてから20日後に来ました。24歳の時です。長女が生まれたのは日本でしたし、今振り返ってみると家族にとって鹿島は、逆にとてもいい環境だったのかもしれません。
当時、一番心配だったことは、子供たちの病気です。子供が熱を出すと、小児科の先生がすぐに駆けつけてくれて、すごく安心できました。これが東京だったら、また別の状況だったでしょう。すごく家族的な付き合いの中で、自分や家族が守られていました。そうした環境が整っていたことで、必然的にピッチの中での仕事を全うすることができました。そういた意味で、鹿島はすごくいいところだったと思います。もっとも、個人的に馴染めたか、すぐに溶け込めたかというと、そうではなかったです。最初にも言ったように、ああいった環境は初めてでしたから。
――鹿島に住む上で、難しさは感じましたか?
レオナルド 全くありませんでした。日本について詳しくは知りませんでしたが、すごく興味がありました。文化や人の考え、行動様式など、日本に対して興味を持っていたので、「なんでも吸収しよう」という気持ちでした。そういう気持ちがあったからこそ、すべてにおいて興味を持って接することができたのだと思います。興味がない環境で、漠然と生活することはすごくつらいことですしね。私の場合は、一つひとつがサプライズのようで毎日が充実していました」
――鹿島での生活に関するエピソードはありますか?
レオナルド 気軽に自転車で出掛けたり、ショートパンツでトレーニングに向かったりと、それまでではあり得ないことが普通にできました。自転車に乗っていて後ろを振り返ると、20台以上の自転車の列が、できていたこともありましたね(笑)。それがすごく自然な光景で、温かく、町が一つになっていて、自分が守られているような感覚でした。生活をしていて家族の中にいるような雰囲気はあまり味わったことがないですし、それを鹿島で味わえたことがすごく新鮮で、いい印象しかありません。
――鹿島アントラーズの強さは?
レオナルド 近年、力をつけてきた浦和レッズ、名古屋グランパス、ジュビロ磐田、東京ヴェルディ……Jリーグ20年の歴史で優勝チームが入れ替わってきましたが、その中で鹿島アントラーズの強みは、コンスタントに力を発揮して浮き沈みが少ないことだと思います。安定感は群を抜いています。
――サンパウロでプレーしていたトニーニョ・セレーゾ監督が、鹿島を率いている点は強みになるでしょうか。
レオナルド 独特のサッカー観や彼の戦術、サッカー哲学が、鹿島に大きなインパクトを与えたことは紛れも無い事実です。彼が鹿島に戻り、チーム力が復活し、調子が上向いていることは聞いています。サンパウロの特徴をよく知っているだけに、とても面白い一戦になるのではないでしょうか。
――あなたにとって、縁の深い2チームがスルガ銀行チャンピオンシップで対戦します。楽しみな一戦になるのではないですか?
レオナルド 全くそのとおりです。スルガ銀行チャンピオンシップは、スポンサーがついた重要な大会です。両チームがタイトルを巡って真剣勝負をすることは、自分にとってもすごく興味があることだし、日本にとっても良いチャンスです。きっと、日本サッカーの歴史の中で大きな1ページとなるでしょう。とても興味深い試合になると思いますよ。
レオナルドが“家族のような”暖かさがあり、“抜群の安定感”を誇ると称した鹿島アントラーズは、「スルガ銀行チャンピオンシップ」の大会2連覇を懸けてサンパウロと対戦。レオナルドの古巣同士が激突する大一番は、8月7日(水)に県立カシマサッカースタジアムで開催される。
鹿島(1994年当時)に住む上で難しさは全くなかったと言い切るレオナルドである。
当時を振り返り日本での生活を懐かしく語っておる。
そのレオナルドは、鹿島の強さはコンスタントに力を発揮して浮き沈みのないところと言う。
ここはクラブの持つ力と言って良かろう。
一時期を築くだけであれば、鹿島以外にも多くのクラブが成し得てきた。
しかしながら、鹿島ほどの安定感を維持しておるクラブはない。
その歴史の一部にレオナルドがおり、トニーニョ・セレーゾがおるのである。
その1ページとして二人の縁のクラブであるサンパウロFCと公式戦を戦うことができる。
これは素晴らしいことである。
新たな歴史のページにどのような史実が刻み込まれるであろうか。
楽しみにしてスタジアムに向かいたい。