【J1:第4節 鹿島 vs 山形】レポート:5分間の微妙な揺れ。山形の動揺を見逃さなかった鹿島が一気に試合を決めた。(10.03.28)
3月27日(土) 2010 J1リーグ戦 第4節
鹿島 3 - 1 山形 (14:05/カシマ/22,089人)
得点者:35' イジョンス(鹿島)、40' 遠藤康(鹿島)、51' 遠藤康(鹿島)、71' 田代有三(山形)
山形にとっては魔の5分だったかもしれない。あっという間に崩れてしまったチャレンジャーに対し、その時間帯を見逃さず一気に勝負を決めた王者。両チームの力の差が如実に表れた試合だった。
この日、鹿島は二人選手がリーグ戦初先発を迎えていた。
ひとりはイ・ジョンス。ACLやFUJI XEROX SUPER CUPには出場していたものの、リーグ戦に鹿島の選手として出場するのは初めて。怪我からの復帰戦だったが、ぶっつけ本番は鹿島で初めての公式戦だったACLの長春亜泰戦と同じ。長年、このクラブでプレーをし続けているかのように落ち着き払ったパフォーマンスを見せ、最終ラインで攻守に安定感をもたらした。
先制点は、そのイ・ジョンス。35分、右CKから野沢拓也の蹴ったボールがあがると、マークに付いていた田代有三を翻弄しヘディングで合わせてゴールを奪った。特に、ラグビーのようなハンドオフで自分と相手の間に一瞬だけスペースをつくってしまうところはさすが。マークしていた田代も「うまかったですね」と脱帽するばかりだった。
じつはこの得点が入るまで、試合の状況は拮抗していた。右サイドから宮本卓也と北村知隆が果敢に攻撃し、山形も惜しいチャンスはつくっていた。最終ラインからのロングボールの精度は、鹿島の方が勝っていたがセカンドボールを拾う確率は時間帯によって揺れ動き、山形も決して自陣に押し込まれてばかりではなかった。しかし、この1点で試合の流れは大きく動く。意気消沈した山形はここでガクッと運動量が落ちてしまう。
そうなれば鹿島は一気呵成に攻める。40分、イ・ジョンスのロングボールが前線のマルキーニョスに渡ると、これを石川竜也がクリア。ただ、中途半端なところに落ちてしまい、すぐに遠藤がこれを拾う。すでにゴール前だった遠藤は落ち着いて左足を一閃すると、ボールはキーパーの股間を抜けゴールマウスへ吸い込まれていった。
つい5分前までは拮抗していた試合展開が一気に崩れていく。小林監督はその5分を大いに悔やむと同時に、チーム力の差として痛感していた。
「ハーフタイムにも言いましたけど、あそこをたくましくならない。ほんとのちょっとした時間でやられてしまうというところは、これが差だと思うんですけど、あそこをたくましくなって欲しいな」
後半、下村東美をボランチに入れて展開を変えようとしたが、先に得点したのはまたも鹿島。ゴール前に斜めに入ってきた遠藤康に対し、右サイドの内田篤人がスペースに出すパスを送る。ゴール右で受け取った遠藤は左利きを生かしてくるりと反転。左足にボールを持ち直し強烈なシュートを放つと、ポストに当たったボールは横っ飛びしたキーパーの背中に当たりゴールイン。ラッキーな形でこの日2点目となる得点を遠藤がを奪い、3点をリードして試合を決定づけた。
山形は71分に、試合前からサポーターの声援を一身に浴びていた田代有三が、4試合目にして移籍後初ゴール。アシストは増田誓志からという、鹿島サポーターにしてみれば不思議な嬉しさを感じる失点だった。しかし、試合の趨勢はすでに決していた。
試合終了直後、2得点を決めた遠藤康がピッチ脇でTV中継のヒーローインタビューを受けていると、ちょうどそこへ場内を半周しサポーターの声援に挨拶を終えたチームメイトたちが続々と戻ってきた。まず、岩政大樹がカメラの後ろにまわりこみ、ひょっこり顔をのぞかせてプレッシャーを与える。さらに、横を通りかかった内田篤人が持っていたボトルの水を遠藤にピシャーッとかけた。誰もが遠藤の2得点を喜んでいた。
以上
2010.03.28 Reported by 田中滋
ヤスの躍動と田代の移籍後初ゴールにばかりスポットが当たっておったが、この試合の主役はイ・ジョンスであったことは間違いない。
先制点以前からCKで惜しいヘディングを放っており、ゴールの予感がプンプンしておった。
守備面でも、高さにカバーとそつなくこなし、味方が攻撃に転じると素晴らしいフィートやドリブルによる攻め上がりと相手を圧倒しておった。
オリヴェイラ監督の言う「格」というものがなんであるかを、現地におった者は誰もが感じ取ったであろう。
素晴らしいCBが鹿島に加入したと改めて認識した。
サブに追いやられたイノパンも、ここまでの差があれば、学び吸収するものの方が多く、良い刺激を受け成長するであろう。
鹿島のDFはアジアの壁である。
堅固な守備で四連覇を狙おうではないか。
3月27日(土) 2010 J1リーグ戦 第4節
鹿島 3 - 1 山形 (14:05/カシマ/22,089人)
得点者:35' イジョンス(鹿島)、40' 遠藤康(鹿島)、51' 遠藤康(鹿島)、71' 田代有三(山形)
山形にとっては魔の5分だったかもしれない。あっという間に崩れてしまったチャレンジャーに対し、その時間帯を見逃さず一気に勝負を決めた王者。両チームの力の差が如実に表れた試合だった。
この日、鹿島は二人選手がリーグ戦初先発を迎えていた。
ひとりはイ・ジョンス。ACLやFUJI XEROX SUPER CUPには出場していたものの、リーグ戦に鹿島の選手として出場するのは初めて。怪我からの復帰戦だったが、ぶっつけ本番は鹿島で初めての公式戦だったACLの長春亜泰戦と同じ。長年、このクラブでプレーをし続けているかのように落ち着き払ったパフォーマンスを見せ、最終ラインで攻守に安定感をもたらした。
先制点は、そのイ・ジョンス。35分、右CKから野沢拓也の蹴ったボールがあがると、マークに付いていた田代有三を翻弄しヘディングで合わせてゴールを奪った。特に、ラグビーのようなハンドオフで自分と相手の間に一瞬だけスペースをつくってしまうところはさすが。マークしていた田代も「うまかったですね」と脱帽するばかりだった。
じつはこの得点が入るまで、試合の状況は拮抗していた。右サイドから宮本卓也と北村知隆が果敢に攻撃し、山形も惜しいチャンスはつくっていた。最終ラインからのロングボールの精度は、鹿島の方が勝っていたがセカンドボールを拾う確率は時間帯によって揺れ動き、山形も決して自陣に押し込まれてばかりではなかった。しかし、この1点で試合の流れは大きく動く。意気消沈した山形はここでガクッと運動量が落ちてしまう。
そうなれば鹿島は一気呵成に攻める。40分、イ・ジョンスのロングボールが前線のマルキーニョスに渡ると、これを石川竜也がクリア。ただ、中途半端なところに落ちてしまい、すぐに遠藤がこれを拾う。すでにゴール前だった遠藤は落ち着いて左足を一閃すると、ボールはキーパーの股間を抜けゴールマウスへ吸い込まれていった。
つい5分前までは拮抗していた試合展開が一気に崩れていく。小林監督はその5分を大いに悔やむと同時に、チーム力の差として痛感していた。
「ハーフタイムにも言いましたけど、あそこをたくましくならない。ほんとのちょっとした時間でやられてしまうというところは、これが差だと思うんですけど、あそこをたくましくなって欲しいな」
後半、下村東美をボランチに入れて展開を変えようとしたが、先に得点したのはまたも鹿島。ゴール前に斜めに入ってきた遠藤康に対し、右サイドの内田篤人がスペースに出すパスを送る。ゴール右で受け取った遠藤は左利きを生かしてくるりと反転。左足にボールを持ち直し強烈なシュートを放つと、ポストに当たったボールは横っ飛びしたキーパーの背中に当たりゴールイン。ラッキーな形でこの日2点目となる得点を遠藤がを奪い、3点をリードして試合を決定づけた。
山形は71分に、試合前からサポーターの声援を一身に浴びていた田代有三が、4試合目にして移籍後初ゴール。アシストは増田誓志からという、鹿島サポーターにしてみれば不思議な嬉しさを感じる失点だった。しかし、試合の趨勢はすでに決していた。
試合終了直後、2得点を決めた遠藤康がピッチ脇でTV中継のヒーローインタビューを受けていると、ちょうどそこへ場内を半周しサポーターの声援に挨拶を終えたチームメイトたちが続々と戻ってきた。まず、岩政大樹がカメラの後ろにまわりこみ、ひょっこり顔をのぞかせてプレッシャーを与える。さらに、横を通りかかった内田篤人が持っていたボトルの水を遠藤にピシャーッとかけた。誰もが遠藤の2得点を喜んでいた。
以上
2010.03.28 Reported by 田中滋
ヤスの躍動と田代の移籍後初ゴールにばかりスポットが当たっておったが、この試合の主役はイ・ジョンスであったことは間違いない。
先制点以前からCKで惜しいヘディングを放っており、ゴールの予感がプンプンしておった。
守備面でも、高さにカバーとそつなくこなし、味方が攻撃に転じると素晴らしいフィートやドリブルによる攻め上がりと相手を圧倒しておった。
オリヴェイラ監督の言う「格」というものがなんであるかを、現地におった者は誰もが感じ取ったであろう。
素晴らしいCBが鹿島に加入したと改めて認識した。
サブに追いやられたイノパンも、ここまでの差があれば、学び吸収するものの方が多く、良い刺激を受け成長するであろう。
鹿島のDFはアジアの壁である。
堅固な守備で四連覇を狙おうではないか。