鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

カイオ、ミニゲームにて躍動

2014年03月31日 | Weblog
2014年03月31日(月)

15時からのミーティング後、ポゼッショントレーニングやミニゲームを行いました。

ミニゲームにて躍動するカイオである。
ここ数試合でプロのスピードに馴染んだところを魅せ、前節では初アシストを披露した。
次はゴールといきたいところ。
カイオのスピードで相手守備陣を切り裂きゴールを奪うのだ。
活躍を楽しみにしておる。

スピードを強調したサッカーを目指している

2014年03月31日 | Weblog
新しいスタイルに挑戦中?若手主体で好調維持の鹿島アントラーズ
Text by 後藤 健生 

すっかり若返った鹿島アントラーズが横浜F・マリノスに見事に逆転勝ちし、単独首位に立った。試合後のトニーニョ・セレーゾ監督はすっかりご機嫌で、記者会見は30分近くの独演会となってしまった。試合展開から若手育成についてなど話すだけ話し、相手チームのエース中村俊輔に賛辞を送り、そして最後は「横浜の監督に怒られるから」と言いながら、足取りも軽く風のように立ち去って行った。

前半の終了間際に中村のCKから栗原勇蔵に豪快なヘディングシュートを決められて1点リードされたものの、後半は鹿島の強さが目立つ展開になった。すると54分、土居聖真が栗原と中澤佑二の間を強引に突破するドリブルで一気に抜け出して同点とし、さらに終盤には途中投入されたベテランの野沢拓也と若手のホープ柴崎岳の連続ゴールで逆転したのだ。野沢のゴールは小さなスペースを狙った柴崎の浮き球のパスを野沢が引っかけた見事なもの。そして、柴崎のゴールは相手DFラインと駆け引きしながら裏に抜け出した柴崎にカイオからのパスが入ったもの。1ゴール、1アシストと柴崎が輝いた。今シーズンの鹿島は、大迫勇也がドイツに渡り、若手が目立つ布陣で不安の方が大きかったが、蓋を開けてみればその若手が活躍。一気に注目度が上がっている。

ところで、僕がこの横浜との試合を見ていて感じたのは、これまでの鹿島にはない縦へのスピード感だった。鹿島アントラーズというと、伝統的にボールをしっかり保持して、丁寧につなぐサッカーだった。スピードは犠牲にしても、ボールを持つことでリズムを作り、相手の守備に穴が生じたところを衝いてくる。そういうスタイルのサッカーが安定感をもたらすと同時に、迫力あるいは躍動感には欠ける印象もあった。ところが、今シーズンの鹿島は、あるいはこの横浜戦の鹿島は、ボールを持ったらまず前にボールを付けるという意識が強く、また、パス1本1本のスピードが速かった。

後半開始とともに記者席に配布される「ハーフタイム・コメント」にも、トニーニョ・セレーゾ監督の発言欄に「ボールスピードを上げていくこと」というコメントが載っていた。後半、「もっと積極的に」というトニーニョ・セレーゾ監督の指示もあって、鹿島にはさらに「前へ」あるいは「速く」という意識が強くなっていった。年齢的、世代的に若返ったのとともに、鹿島アントラーズのサッカー自体が新しいサイクルに入ったのではないだろうか。今後、若手選手たちが経験を積み、一つのチームとしてまとまった時には、かつての鹿島とはかなりイメージが違うチームが完成するのかもしれない。「スピードアップというのは時代の要請。鹿島もそうした時流に乗っただけなのだ」という考え方もできるだろう。

だが、今のJリーグのサッカーは、必ずしもスピード一点張りではない。Jリーグが開幕した1990年代の日本では「パススピード」が強調されていた。それが「世界との差」と捉えられ、育成段階で選手たちにパススピードの意識が植え付けられた。こうして、日本のサッカーは世界に一歩、二歩と近づいて行ったのだ。だが、最近のJリーグではスピードを強調しないチームが好調である。たとえば、Jリーグを連覇したサンフレッチェ広島。独特のスリーバックで、ボールを奪っても決して攻め急がない。後方でしっかりとボールをキープして、ボールをピッチの幅いっぱいを使って動かし、相手の守備陣に穴を見つけるまで辛抱強くパスを回し続ける。そして、穴を見つけると、そこに後方の選手も加わって攻め切ってしまう。それが、広島のスタイルだ。また、風間八宏監督が就任してからの川崎フロンターレも決して速さを強調しない。もちろん中村憲剛の長いパス1本で裏を取るプレーをすることもあるが、攻め手がなければ、迷わずに後方に戻して組み立て直す。

こうした、「スピードよりもキープ」というやり方をしている(そして、それをうまく生かしている)チームを見ていると、小柄でそれほどスピードはないが、テクニックと丁寧なプレーを特徴とする日本人選手にとっては、そういうポゼッション・サッカーが向いているのではないか。それこそ、日本サッカーが今後進んでいくべき方向のようにも思えるのだ。フィジカルの強さを生かして、強引に前に前にとボールを送り込むようなサッカーとは違った日本独特のサッカー・スタイルとは、そんなものなのではないだろうか……。

今シーズン好調の(ただし、詰めの甘さで勝点を失って、首位争いには加われない)川崎とか、AFCチャンピオンズリーグのホームゲームでFCソウルに完勝した広島の試合を見ていて、そんな印象を強く受けていたのだ。ところが、かつてはボール・ポゼッション重視のサッカーをしていた鹿島アントラーズがスピードを強調したサッカーを目指している。Jリーグのサッカーは、このところ停滞感が目立っているような印象も強かったが、今、さまざまな新しいスタイルの模索が行われているのだ。

横浜戦で際立った鹿島のスピード・サッカー。それが、この試合で横浜の速いパス回しに対応するためだけのものだったのか、それとも、もっと意図的に長期的視野に立って新しいスタイルを模索しているのか……。ぜひトニーニョ・セレーゾ監督に質問してみたかったのだが、独演会を終えたトニーニョ・セレーゾ監督はさっさと会場を去って行ってしまった。


トニーニョ・セレーゾ監督への質問機会を逸した後藤氏のコラムである。
鹿島好調の理由は縦への速さであると分析したとのこと。
鹿島といえば、伝統的にボールをしっかり保持して、丁寧につなぐサッカーと後藤氏の個人的な印象にて断定しておる。
確かにカウンターに徹したチームに比べれば、ポゼッションから崩すという戦術を取ることが多かった。
しかしながら、これは鹿島を相手にしたチームが自陣に引きこもり前に出てこないために採っておった戦術に過ぎぬ。
鹿島が先制した際には電光石火のカウンターにて仕留めることも、しばしば目に留まったはず。
それを見逃してこのような記事を書いてしまうところに後藤氏の鹿島への情報不足を感じされられる。
とはいえ、後藤氏が「スピードを強調したサッカーを目指している」と見解するには理由があろう。
プロの目にそのように映るスピードを拝みにスタジアムへ向かいたい。
鹿島の新化が楽しみである。

サッカーダイジェスト Fマリノス戦寸評

2014年03月31日 | Weblog
【2014 J1結果・採点|5節】横浜対鹿島
週刊サッカーダイジェスト編集部
2014年03月31日

息を吹き返した鹿島が、鮮やかな3ゴールで痛快な逆転劇。



選手・監督採点
※週刊サッカーダイジェスト4.15号(4月1日発売)より

【横浜】
[GK]
1 榎本哲也 5
[DF]
13 小林祐三 5.5
4 栗原勇蔵 5.5
22 中澤佑二 5
23 下平匠 5.5
[MF]
8 中町公祐 5.5
27 富澤清太郎 5
25 藤本淳吾 5.5
10 中村俊輔 5.5
7 兵藤慎剛 5
[FW]
16 伊藤翔 5.5
[交代出場]
DF 24 奈良輪雄太 5.5
MF 20 佐藤優平 -
FW 9 矢島卓郎 -
[監督]
樋口靖洋 5

【鹿島】
[GK]
21 曽ヶ端準 6
[DF]
24 伊東幸敏 6.5
5 青木剛 5.5
15 昌子源 6
16 山本脩斗 6
[MF]
40 小笠原満男 6
20 柴崎岳 7
25 遠藤康 5.5
13 中村充孝 5.5
28 土居聖真 6.5
[FW]
11ダヴィ 6
[交代出場]
MF 35 野沢拓也 6.5
MF 33 カイオ 6.5
MF 8 ルイス・アルベルト -
[監督]
トニーニョ・セレーゾ 6.5

[試合内容]
前半、CKを栗原が頭で合わせて横浜が先制。後半は鹿島が優勢に立ち、伊東のアシストから土居がまずは同点とし、野沢の鮮やかなボレーで逆転、カイオのスルーパスから柴崎がダメ押し。アウェーチームが勝点3を掴み取った。


サッカーダイジェスト誌によるFマリノス戦の寸評である。
逆転勝利で総じて高評価が与えられておる。
最高評価は誰もが納得の岳の7。
1G1Aに同点弾にも絡んでおる。
また、ゴールを決めた聖真と野沢、アシストのカイオ、聖真のゴールに繋がるパスワークを魅せたユキも高評価。
サカダイ誌としては、得点に絡んだ選手に高得点を与える模様。
個人的には岳のゴールに繋がるカイオへ1タッチでパスを出した満男も同様の評価を与えたいところ。
しかしながら、満男ならば、このようなプレイをするのは当然という評価なのであろうか。
チームの一体感が伝わってくる寸評であった。
これからも高評価を続けていって欲しい。
期待しておる。

鹿島快進撃の理由はいかに

2014年03月31日 | Weblog
“大迫の穴”埋めずとも快進撃見せる鹿島
セレーゾサッカーの浸透が守備の安定生む

田中滋 2014年3月31日 11:30

横浜FMに先制されるも逆転で首位堅持


J1第5節・横浜FM戦は、21歳FW土居聖真(手前)が同点弾を決めると逆転に成功し首位を堅持【Getty Images】

 3月29日に行われたJ1第5節の横浜F・マリノス戦、MF柴崎岳が3点目のゴールを決めると鹿島アントラーズのトニーニョ・セレーゾ監督は雄叫びを上げた。ベンチを飛び出し、メインスタンドで戦況を見つめていたサポーターに何度も何度もガッツポーズを示す。選手交代をすべて的中させる会心の逆転劇だった。

 前半の展開は決して狙ったものとは違っていた。相手の十八番であるセットプレーから先制点を許す苦しい展開。MF中村俊輔の左足から放たれた放物線はDF栗原勇蔵の強烈なヘディングで鹿島ゴールに突き刺さっていた。相手のやりたいサッカーをやられた45分だったにもかかわらず、後半は怒涛の3ゴールで逆転勝ち。先発に21歳以下の選手を多くそろえる布陣で、鹿島は首位を走っている。

 昨季、鹿島は5位でシーズンを終えた。最終節まで優勝の可能性を残す戦いを演じたが、得点力は高かったが失点の多さが足かせとなり、最後の対戦相手だったサンフレッチェ広島に完敗すると、それまでの3位からアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場圏外へと転がり落ちる屈辱を味わった。

 そこで今季は、得点力を維持しながら守備の改善に取り組むことが大きなテーマだった。しかし、シーズンオフにエースストライカーのFW大迫勇也がドイツブンデスリーガ2部の1860ミュンヘンに移籍。守備を見直すだけでなく、攻撃までも根本から構築し直す必要に迫られてしまったのである。

 しかも、大迫の穴を埋め合わせる選手の獲得に失敗。セレッソ大阪のFW杉本健勇にアプローチするも獲得にはいたらず、大迫の残した大きな穴がぽっかり空いたまま、シーズンインすることを余儀なくされた。結果、鹿島の苦戦は必至と見られていたのである。

 ところが、蓋を開けてみるとチャンスを得た若手選手が力を発揮してここまで4勝1敗とスタートダッシュに成功。4人から5人もの21歳以下の選手が先発する陣容は、ベテランを中心とした老獪(ろうかい)な戦略で勝ち星を拾う姿を過去のものとしつつある。

 大きな補強もなく、昨季とほぼ変わらない陣容で、なぜ快進撃を果たすことができたのだろうか。

1年間、守備面の基礎を徹底してきた


今季CBのレギュラーをつかんだDF昌子源(右)らを中心に守備の安定がうかがえる【Getty Images】

 まず第一に言えるのがトニーニョ・セレーゾ監督のサッカーが、選手の頭の中で鮮明に描かれるようになったことが挙げられる。昨季1年間でたたき込んだイメージが、体に染みついてきた。特に顕著なのが守備の安定である。

 就任した当初から、このブラジル人監督は基礎的な練習の反復を選手に課してきた。最も特長的なのがDF陣に課す守備練習である。チームスタッフから「プロでこんな練習をしているのはうちくらい」とささやかれるほど、そのメニューは単純だ。

 クロスボールをヘディングで跳ね返し、そのセカンドボールを拾われDFラインの裏に出されたことをイメージして、連続して対応し大きくクリアを蹴り出す練習など、どれもシステマチックな練習からはほど遠い。しかし、単純だからこそ、無意識で反応できるようにすり込む必要がある動きである。そのため、短期間で意識下に埋め込めるはずもなく、1年間、徹底的に繰り返してきた効果が、ようやく出始めてきたと言える。

 現在、センターバックでレギュラーを組むのはDF青木剛とDF昌子源。2人とも速さと足元の技術には定評があるが、高さや球際の競り合いの頑健さは少し実績が物足りない。相手も警戒心を抱かないということは、思い切ったプレーを仕掛けてくるということだ。

 そのことは本人たちも強く自覚しており、よりお互いを助け合う気持ちが芽生えていると青木は言う。
「(岩政)大樹(テロ・サーサナ/タイ)さんのようにヘディングの強さを持っているわけじゃない。もちろん源も強いですけど、そこが一番のストロングポイントではないというか、お互いに全部を跳ね返せるという感じではない。ですので、お互いにカバーする気持ちを強く持ってやっています。僕自身は誰に対しても勝てるという気持ちではないので、競るところは競るけれど、次のカバーは絶対にぼかさないという意識でやっています」

 ディフェンスは、つねに最悪のパターンを想定することで不測の事態に備えるポジションだ。パートナーが競り負けたとき、クリアし損ねたとき、そうしたことをイメージしながらあらかじめポジションを修正しておくことで、守備の安定感は格段に増す。しかし、実績のある選手であればあるほど、相手への信頼度は高くなり、逆に不測の事態に備える動きを怠る傾向がある。互いに実績のない2人に派手さはないが、大崩れしない守備を手にすることができているのだ。

 さらにそれを助けるのがサイドバック(SB)だ。試合中、つねに大きな声で守備陣にポジションを知らせているGK曽ヶ端準は、「SBが中央にしぼることでカバーリングができる」と語る。ともすれば無駄になりがちな動きを、両SBが怠らずに実行していることも守備の安定に貢献していると言う。特に、左SBに180センチのDF山本脩斗が入ったことで逆サイドからのクロスにも、高さを持って対応できるようになった。

「若い選手の方が言ったことを忠実にやってくれる」とセレーゾ監督も指摘する。経験値がないことはマイナス面でもあるが、色に染まっていないことのプラス面が開幕3連勝のときには出ていた。

“応用”を迫られたFC東京戦では完敗


ナビスコ杯第1節・FC東京戦では若さゆえの“応用”がきかず完敗【Getty Images】

 オフシーズンに結果が出なかったこともプラスに作用した。このままではまずい、という意識が全員に共有され、チームの危機感は献身的かつ忠実な守備の実行につながった。あおられた危機感が、一丸となって戦うことを導いたのである。

 しかし、それはいわば監督が選手にたたき込んだ基本中の基本。それだけで勝てるほどJの戦いは甘くない。そのことを第3節が終わった時点で予言していたのが、鈴木満強化部長である。「今はセレーゾのサッカーの基礎編を忠実にやっているだけ。いつか応用編が必要になってくる」

 その応用編に迫られたのが3月19日に行われたヤマザキナビスコ杯第1節のFC東京戦だった。3ボランチ気味に守るFC東京はサイドにスペースを空けており、そこに鹿島のSBが攻め上がり、攻撃での特長を発揮することが求められた。

 しかし、献身的にプレーすることである程度の結果を残すことができる守備面とは違い、攻撃面はがんばるだけでは相手を崩すことができない。味方との連携や創造的なアイデアを出せなければ攻撃で特長を発揮するのは難しかった。また、公式戦4試合目で初めて先制されたことで、チームが浮き足立ち、開始10分で2点目を失ってしまったことは若さを感じさせた。

チームがどのような変貌を見せるかに期待

 また第4節のC大阪戦では、守備練習を何度も重ねてきたにもかかわらず、昌子がペナルティエリア内から大きく蹴り出すのではなく胸トラップしたところを相手DF山下達也に奪われ、MF長谷川アーリアジャスールに目の覚めるミドルシュートをたたき込まれ先制を許している。

 応用編を求められたFC東京戦の戦いはある程度仕方がない面もあったが、基礎編を怠るミスが出たことは第3節までは見られなかった。3連勝により良い意味で作用していた危機感が薄れ、若さが悪い方に出てしまったと言えるだろう。

 ところが、第5節の横浜FM戦では、先制されても落ち着いて試合を運び、逆転勝利へとつなげた。

「自分たちのサッカーをやれば絶対に逆転できる」ハーフタイムに監督から檄(げき)を飛ばされた若い選手たちは、果敢に前を向いて仕掛ける姿勢を取り戻し才能の片鱗を見せた。

 チームは、まだ基礎編と応用編を行ったり来たりしており、若い選手は眠らせたままの才能をまだまだ残している。シーズンが終わったとき、このチームの姿がどのような変貌を見せるか現時点で想像することさえ難しい。

<了>


好調の理由を守備戦術の浸透と語る田中氏のコラムである。
なるほど、理解できる内容である。
しかしながら、「さらにそれを助けるのがサイドバックだ」と言い切られると、昨季とは大きく様変わりしたポジションがポイントであったようにも受け取れる。
トニーニョ・セレーゾ監督が切望して獲得した山本脩斗がラストピースではなかったのか。
とはいえ、それは些細なことと指揮官は笑い飛ばすようにも思う。
確かに山本脩斗は好選手であり、今の鹿島にマッチしておる。
しかしながら、彼一人でここまでの好調を支えておるわけではない。
チームの一体感が、そしてタイトル奪取への願望が、選手のモチベーションへとつながっておる。
我らは飢えておるのだ。
勝利を積み重ね。
最後に笑おうではないか。
期待しておる。

トニーニョ・セレーゾ監督と若きチーム

2014年03月31日 | Weblog
若手成長のために。鹿島、セレーゾ監督のある試み
2014.03.31
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio


 前節終了時点でともに3勝1敗の勝ち点9。わずかな得失点差で首位に立つ鹿島アントラーズと3位の横浜F・マリノスが対戦した、J1第5節注目の首位攻防戦は、鹿島が3-1で勝利を収めた。
 勢いに勝る若いチームは、百戦錬磨のベテラン軍団さえも飲みこんでしまった。


21歳の柴崎岳ら若手が先発し、選手の平均年齢が下がった今季の鹿島

 この日の先発11人の平均年齢が29.64歳で、うち6人が30代の横浜FMに対し、平均年齢は26.18歳、うち5人が23歳以下という鹿島。対照的な選手構成ゆえ経験値には大きな差がある。しかも前半に横浜FMが得意のセットプレイ(コーナーキック)から効率よく先制点を奪ったとあって、試合の流れは横浜FMに大きく傾くかに思われた。
 ところが後半、21歳のFW土居聖真(しょうま)のゴールで同点に追いつくと、さらに野沢拓也と柴崎岳の2ゴールを加えて逆転。若い鹿島はいとも容易(たやす)く、試合をひっくり返してしまった。
「前半は自分たちから試合を放棄しているようだった」と鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督。自らハーフタイムに喝を入れ、「積極的に自分たちのサッカーをやってほしいと伝えた。ときにリスクを負わなければいけない。ボールを失うことを怖がってはいけない。それだけは要求した」と言う。
 目を覚ました選手たちは、運動量の落ちた横浜FMを圧倒。指揮官は「ビハインドから同点に追いつき、逆転できたことは率直にうれしい」と、若手がまたひとつ成長したことに目を細めた。
 今季の鹿島は、エースストライカーの大迫勇也がドイツ(1860ミュンヘン)へ移籍し、戦力ダウン。そんななかで急速に若返りが図られた。常勝軍団であり続けるためには必要なステップではある。とはいえ、今季はあくまで改革途上。すぐに成績に結びつけるのは難しいだろうと見られていた。
 ところが、新たなシーズンが始まってみれば開幕3連勝。前節セレッソ大阪に初黒星を喫したものの、敗戦を引きずることなく、この日は鮮やかな逆転勝利である。ここまでの鹿島は、怖いくらいにうまく若返りと成績を両立させている。
 とはいえ、その裏には相応の苦労や我慢もあるようだ。トニーニョ・セレーゾ監督は「昨季よりかなり平均年齢が下がった。そこではリーダーシップが非常に重要になる」と言い、こう続ける。

「急にこの選手をリーダーに育てようと思っても難しい。それは選手としての成熟とともにできるようになること。だから、全員がリーダーシップを取れるようになればいいと思っている。敬意を持った言い合いは必要なことであり、選手同士で何がいいか悪いかを言えるようにならなければいけない。それができないうちは未熟なチームということだ」

 そして逆転勝利に舌も滑らかなは指揮官は、こんな裏話も披露した。

「(新人の)高校生や大学生が入ってきても、彼らは何もしゃべらない。だから彼らが少しでも慣れる環境を作るため、僕は今、若手のロッカーを一緒に使って、彼らにちょっかいを出して周りとコミュニケーションを取りやすくしている」


今季も鹿島を率いるトニーニョ・セレーゾ監督 photo by Takahashi Manabu

 ブラジル代表をはじめ、選手としても数々の大舞台で活躍してきたトニーニョ・セレーゾ監督は、「僕が18、19歳のときにはブラジル選手権を戦っていた。プロとしてどうしなければいけないのかを身につけていた」と彼我の差を嘆きつつも、若手が力を出せる環境を作るために手を尽くしているというわけだ。

 そんな親心を知ってか知らずか、若い選手たちはピッチ上でハツラツとした動きを見せている。

 同点ゴールを決めた土居は、日本代表経験も豊富な横浜FMのセンターバック(中澤佑二、栗原勇蔵)と対峙しても、「リスペクトしすぎてもいけないので、思い切りやった」。また、同じ21歳のセンターバック、昌子源も「課題は多いけど、いつまでも先輩に頼っていてはダメ。自分たちが成長しなければいけない」と前向きな姿勢を見せる。台頭する若手と、これまで常勝軍団を支えてきたベテランとがうまくかみ合い、鹿島は見事なスタートダッシュに成功した。

 もちろん、まだまだ盤石の戦いぶりには程遠い。若い選手が多く、1試合のなかでさえ出来不出来の波が大きい。ナビスコカップでは、リーグ戦と変わらぬメンバーで臨みながら、FC東京に1-3の完敗を喫している。

 それでもトニーニョ・セレーゾ監督は、「うちはまだ若く、チーム作りをしているところ。こういうふうにうまくいかないこともある」と鷹揚に構える。そうした姿勢もまた、若手がのびのびとプレイできる要因なのだろう。

“若い鹿島”の象徴的存在である、21歳のMF柴崎岳は言う。

「若手が成長することが、今年だけでなく、来年、再来年とアントラーズが強くあり続けることにつながる」

 首位・鹿島が横浜FMを下した上位対決。それは同時に、若い選手たちが確かな成長の手応えをつかんだ一戦でもあった。


土曜日のFマリノス戦を元に鹿島の状況を記したSportivaの浅田氏である。
若きチームを指揮官がどのように捉え、どのようにマネージメントしておるのかが伝わってくる。
やはり素晴らしい監督である。
今季、このチームにてタイトル争いをし、制することが叶えば、鹿島は更に「新化」しよう。
楽しみにしておる。

1860ミュンヘン・大迫、ホームにてフル出場も零封

2014年03月31日 | Weblog
大迫3戦連続不発…長澤は“アシスト未遂”も日本人対決制す
14/3/30 22:18

[3.30 ブンデスリーガ2部第28節 1860ミュンヘン0-1ケルン]

 ブンデスリーガ2部は30日、第28節を行い、FW大迫勇也の所属する9位1860ミュンヘンはホームでMF長澤和輝の所属する首位ケルンと対戦し、0-1で敗れた。大迫は1トップ、長澤は左MFでそろってフル出場。大迫は3試合連続の無得点に終わり、チームも2試合ぶりの黒星を喫した。

 前節・カールスルーエ戦(2-0)で移籍後初先発を果たした長澤は2試合連続の先発出場。前半15分には左サイドからドリブルで中に切れ込み、右足でミドルシュートを打ったが、ゴール左に外れた。大迫も前半36分、カウンターから絶好のチャンスを迎えるが、シュートは枠を捉え切れず。前半はスコアレスで折り返した。

 後半に入ると、首位ケルンが地力の差を見せ、1860ミュンヘンを押し込む。長澤も豊富な運動量でピッチの至るところに顔を出し、積極的にボールに絡んでは正確なテクニックでパスを散らした。後半13分には絶妙なスルーパスを通すが、FWフィネ・ボルが絶好機にシュートを外してしまい、長澤のドイツ初アシストは“未遂”に終わった。

 その後も押し込みながら1860ミュンヘンの粘り強いディフェンスを攻めあぐねていたケルンだが、後半40分、縦パスを受けたフィネがPA内右から豪快にニアサイドを破り、先制点。そのまま1-0で競り勝ったケルンは2連勝で8戦負けなし(4勝4分)とし、1部復帰にまた一歩前進した。

独2部日本人対決は長澤に軍配…大迫所属の1860ミュンヘン下す
 ブンデスリーガ2部の第28節が30日に行なわれ、日本代表FW大迫勇也の所属する1860ミュンヘンとMF長澤和輝の所属するケルンが対戦。大迫と長澤は、ともに先発出場した。

 ホーム戦に臨んだ1860ミュンヘンは、開始3分に立て続けにシュートを放ったが、相手GKの好セーブに防がれて先制点とはならなかった。一方、敵地に乗り込んだケルンも、15分に長澤がミドルシュートを放ったが、枠を外れた。

 37分には、再び1860ミュンヘンがチャンスを迎えた。カウンターからゴール前に攻めこむと、大迫が相手DFを2人かわしてGKとの一対一に持ち込んだ。しかし、シュートはわずかにゴール脇に外れて得点とはならなかった。

 スコアレスのまま後半を迎えると、ケルンが攻勢をかける。53分には長澤のパスからボール・フィネが決定機を迎えたが、シュートは枠を捉えられなかった。その後もケルンが攻めこむ展開が続いたが、1860ミュンヘンのGKガーボル・キラーイの好セーブもあり、得点は生まれなかった。

 互いに無得点のまま終盤を迎えたが、試合終了間際の86分についに先制点が生まれた。ケルンのフィネがペナルティエリア内でボールを受けると、右足のシュートを突き刺した。

 結局、フィネの得点が決勝ゴールとなり、ケルンが1-0で勝利した。ケルンは、2連勝で8試合負けなしの勝ち点55で首位を維持。一方、2試合ぶりの黒星を喫した1860ミュンヘンは、同38で9位となっている。なお、大迫はフル出場。長澤は89分までプレーした。

大迫、フル出場もホームでケルンに敗れる

ケルン戦の後半、競り合う1860ミュンヘンの大迫(右)=ミュンヘン(共同)

 サッカーのドイツ2部リーグが30日、各地で行われ、大迫勇也の1860ミュンヘンはホームで長沢和輝のケルンに0-1で敗れた。大迫はFWでフル出場。長沢は左MFで先発し、試合終了間際に退いた。阿部拓馬のアーレンはアウェーでビーレフェルトと0-0で引き分けた。阿部は欠場した。(共同)


ケルン戦の前半、競り合う1860ミュンヘンの大迫(左)=ミュンヘン(共同)


ケルン戦の前半、パスを出す1860ミュンヘンの大迫(中央)=ミュンヘン(共同)


先発フル出場した1860ミュンヘンの大迫である。
チームはホームで零封され敗戦、悔しい思いをした様子。
大迫はGKの1対1を外し、また攻撃の不発に責任を感じておることであろう。
しかしながら、これが1860ミュンヘンというチームの位置所なのではなかろうか。
大迫一枚ではそこそこの戦いは出来ても、もう一つ戦力が足りないと感じる。
とはいえ、そこで結果を出すことも大迫に求められる部分である。
才能を爆発させ、逆風を撥ね除けて欲しい。
次は良い報を待っておる。