鹿島PK敗退10人力尽きた/アジアCL
PK戦サドンデスでPKを外し肩を落とす内田(右)(撮影・鹿野芳博)
<アジアCL:FCソウル(韓国)2-2(PK5-4)鹿島>◇決勝トーナメント1回戦◇24日◇カシマ
鹿島はPK戦の末にFCソウル(韓国)に敗れた。
アジア制覇の夢が、もろくも崩れ去った。PK戦7番手のDF内田篤人(21)の放ったシュートがゴール上を超え、直後の朴容昊がシュートを決めた瞬間、鹿島の敗北が決まった。「ゴロを蹴ろうとしたらGKが動いているのが見えたので上に蹴ることにした」。内田はまさかのPK失敗にうなだれた。
序盤から歯車がかみ合わなかった。堅守の守備陣がもたつけば、得意のパス回しもミスを連発。前半5分に興梠が先制したが、同22分には内田とDF岩政の連係ミスのこぼれ球を拾われ、同点ゴールを奪われた。内田は「おれが声を出していればよかったんだけど…」と反省した。
韓国勢との激しい接触プレーを想定していただけに、軽い接触でも反則を取るウィリアムズ主審の判定に戸惑った。序盤からMF奇誠庸の高精度のセットプレーで危機にさらされ、後半33分の同点弾もゴール前の反則で取られたFKを機に直接決められたもの。DF伊野波は「審判のクセが見えたら、個々が頭を使ってそれに合ったプレーをしないと。ムリにいかず体を寄せるとか…。勉強になった」と悔しそうにつぶやいた。
後半19分にこの日2枚目の警告を受け退場処分となったMF小笠原は「相手を止めにいくつもりだった。でも、試合を壊してしまった。全部自分の責任」とうつむいた。昨季に続き決勝トーナメント初戦で敗れた。判定、一発勝負の怖さ…、再び「アジアの魔物」に食われてしまった。「今年リーグを勝って、来年(ACLを)頑張りたい」と小笠原。三度目の正直でアジア制覇を果たすため、リーグ3連覇に照準を据える。【菅家大輔】
[2009年6月25日9時4分 紙面から]
ホームで悪夢…鹿島、PK戦で敗退/ACL
2009.6.25 05:02
鹿島はPK戦の末、7人目の内田が外して勝利を逃した(撮影・財満朝則)
アジアCL決勝T1回戦(24日、鹿島2-2FCソウル、PK4-5、カシマ)ホームにFCソウル(韓国)を迎えたJ王者の鹿島は2-2からの延長戦でも決着せず、PK戦の末に4-5で屈した。後半19分に元日本代表MF小笠原満男(30)が退場処分となると追いつかれ、その後は得点できなかった。
アジア王者の夢はかなわなかった。勝負はサドンデスのPK戦にまで突入し、鹿島の7人目はDF内田。「ゴロで行こうとしたけど、キーパーが動くのが見えた」とコースを変えた弾道は、無情にも大きくゴール上へ。ホームに駆けつけた8069人のスタンドが静まり返った。
FW興梠の先制ゴールで幕を開けた。前半5分、内田のロングボールを相手DFがクリアミス。この機を逃さずに蹴りこんだ。同点に追いつかれた後半5分には、左CKをMF青木が頭で押し込み勝ち越した。
しかし、ここから悪夢が始まった。昨年9月に左ひざ前十字靱帯(じんたい)を断裂し、今季開幕から復活したMF小笠原が、後半19分にこの日2枚目のイエロー。「いいゲームをしていたのに、試合を壊してしまった。全部自分の責任」。まさかの退場処分に、主将は自分を責めた。
ただ、10人になっても粘りは見せた。再び追いつかれたものの、「延長戦終了までは負けていなかった。ウチの方がチャンスがあった」と青木。延長後半終了間際には、MF中田のシュートがバーを叩いた。
昨年も決勝トーナメント1回戦で涙をのみ、悔しさを糧に成長したはずだった。Jでは首位を快走する。「10人でも慌てることがなかったのはよかった」とDF岩政は収穫を見いだし、「アジアは来年も獲れるけど、3連覇は今年しかできない。そう切り返すしかない」と前を向いた。ACL終戦を迎えた鹿島が、史上初のJ3連覇へと再起を懸ける。(丸山汎)
PK戦を制して駆け出すFCソウルの選手(手前)と対照的に、鹿島イレブンは悔しさをかみ締めた
PK戦で敗退…退場・小笠原「自分の責任」
<鹿島・FCソウル>PK戦で敗れた鹿島イレブンは、喜びを爆発させるFCソウルイレブンの横でぼう然と立ち尽くす
Photo By スポニチ
【ACL 鹿島2―2(PK4―5)FCソウル】敗退が決まった瞬間、鹿島DF内田はガックリと肩を落とした。サドンデスに突入したPK戦。志願して6人目で蹴りながら大きく枠を外して失敗した。
「ゴロにしようと思ったけど、GKが動いたのが見えたので上を狙った。PKを蹴るのは嫌だったんだけど、蹴ったら蹴ったで外したことがなかった。自分のミスで失点したから自分で決めようと思った」。試合後も表情は沈んだままだった。
前半5分に興梠のゴールで先制したが、同22分には岩政と内田が連係を欠いてクリアミス。あっさりと同点に追いつかれた。「オレが声を出せばよかったんだけど」と内田は悔やんだ。2度も先行し、優位に試合を進めながら、落ち着いた試合運びができなかった。
小笠原の退場も痛かった。「当たったらすぐにファウルをとるレフェリー」(伊野波)だったが、その特徴をつかめず不用意に2枚目のイエローカードを受けた。「つぶしにいくつもりだったんだけど、迷惑をかけた。試合を壊して負けた。全部自分の責任。みんなでいいゲームをしていたのに、謝らないととけない」。主将はすべての責任を背負い込んだ。
初制覇を目指して臨んだ6度目のアジアの舞台だったが、またしても壁をぶち破ることはできなかった。公式戦の不敗記録も16でストップ。「ACLに懸ける気持ちが強かったので悔しい。何が何でも(Jリーグ)3連覇してまたACLで戦いたい」と青木。4冠の夢は早くも消えたが、来年のACLに向けて立ち止まっている時間はない。
[ 2009年06月25日 ]
小笠原退場!10人で耐えるもPK戦に散る…鹿島
後半19分、2枚目のイエローカードで退場となった鹿島・小笠原
◆ACL決勝トーナメント1回戦 鹿島2―2(PK4―5)FCソウル(24日・鹿島) 鹿島は延長戦でも決着がつかず、PK戦の末に4―5で敗退した。
アジアの頂は遠かった。7本目までもつれたPK戦で敗退。DF内田は試合後の整列には並ばず、足早にロッカーへと引き揚げた。途中交代のFW興梠はベンチ前で天を仰いだ。6度目のアジア挑戦が道半ばで終わった。120分間ずっと声援が響き渡っていたカシマスタジアムはうそのように静まり返った。
前半5分、FW興梠がGKとの1対1から右足シュートで先制。1―1で迎えた後半5分には左CKからMF青木がヘディングで勝ち越した。だが、同19分、チームの大黒柱MF小笠原が2枚目の警告でピッチを退き、流れが変わり、同33分に直接FKを叩き込まれた。10人になっても決定機を作るなど勝利への執念を見せたが、PK戦で3人が外して敗れた。
PK戦で敗れ、ぶ然とする鹿島イレブン
「全部自分の責任です。試合を壊してしまった。せっかくみんな良い試合をしていただけに、本当に申し訳ない。(2枚目のカードを受けたプレーは)つぶしに行くつもりじゃなかった。自分がすべて悪い」。ロッカールームで勝利を祈っていた小笠原は鼻をすすりながら反省の弁に終始した。
「ゴロを蹴ろうと思ったけど、相手のGKが反応したので上を狙った」と内田。伊野波は「昨年と2度(ACL制覇を)失敗した。来年はこれを糧にしていかないといけない。ただ、今は反省することはできない」。今年もアジアの壁が高くそびえ立った。
(2009年6月25日06時01分 スポーツ報知)
篤人のPK失敗か小笠原主将の退場か。
敗戦の要因を追求しても仕方のないところ。
前を向いて今季のリーグを穫りたい。
そして来年こそアジアの地に鹿島の旗を立てるのだ。
この悔しさは糧である。
PK戦サドンデスでPKを外し肩を落とす内田(右)(撮影・鹿野芳博)
<アジアCL:FCソウル(韓国)2-2(PK5-4)鹿島>◇決勝トーナメント1回戦◇24日◇カシマ
鹿島はPK戦の末にFCソウル(韓国)に敗れた。
アジア制覇の夢が、もろくも崩れ去った。PK戦7番手のDF内田篤人(21)の放ったシュートがゴール上を超え、直後の朴容昊がシュートを決めた瞬間、鹿島の敗北が決まった。「ゴロを蹴ろうとしたらGKが動いているのが見えたので上に蹴ることにした」。内田はまさかのPK失敗にうなだれた。
序盤から歯車がかみ合わなかった。堅守の守備陣がもたつけば、得意のパス回しもミスを連発。前半5分に興梠が先制したが、同22分には内田とDF岩政の連係ミスのこぼれ球を拾われ、同点ゴールを奪われた。内田は「おれが声を出していればよかったんだけど…」と反省した。
韓国勢との激しい接触プレーを想定していただけに、軽い接触でも反則を取るウィリアムズ主審の判定に戸惑った。序盤からMF奇誠庸の高精度のセットプレーで危機にさらされ、後半33分の同点弾もゴール前の反則で取られたFKを機に直接決められたもの。DF伊野波は「審判のクセが見えたら、個々が頭を使ってそれに合ったプレーをしないと。ムリにいかず体を寄せるとか…。勉強になった」と悔しそうにつぶやいた。
後半19分にこの日2枚目の警告を受け退場処分となったMF小笠原は「相手を止めにいくつもりだった。でも、試合を壊してしまった。全部自分の責任」とうつむいた。昨季に続き決勝トーナメント初戦で敗れた。判定、一発勝負の怖さ…、再び「アジアの魔物」に食われてしまった。「今年リーグを勝って、来年(ACLを)頑張りたい」と小笠原。三度目の正直でアジア制覇を果たすため、リーグ3連覇に照準を据える。【菅家大輔】
[2009年6月25日9時4分 紙面から]
ホームで悪夢…鹿島、PK戦で敗退/ACL
2009.6.25 05:02
鹿島はPK戦の末、7人目の内田が外して勝利を逃した(撮影・財満朝則)
アジアCL決勝T1回戦(24日、鹿島2-2FCソウル、PK4-5、カシマ)ホームにFCソウル(韓国)を迎えたJ王者の鹿島は2-2からの延長戦でも決着せず、PK戦の末に4-5で屈した。後半19分に元日本代表MF小笠原満男(30)が退場処分となると追いつかれ、その後は得点できなかった。
アジア王者の夢はかなわなかった。勝負はサドンデスのPK戦にまで突入し、鹿島の7人目はDF内田。「ゴロで行こうとしたけど、キーパーが動くのが見えた」とコースを変えた弾道は、無情にも大きくゴール上へ。ホームに駆けつけた8069人のスタンドが静まり返った。
FW興梠の先制ゴールで幕を開けた。前半5分、内田のロングボールを相手DFがクリアミス。この機を逃さずに蹴りこんだ。同点に追いつかれた後半5分には、左CKをMF青木が頭で押し込み勝ち越した。
しかし、ここから悪夢が始まった。昨年9月に左ひざ前十字靱帯(じんたい)を断裂し、今季開幕から復活したMF小笠原が、後半19分にこの日2枚目のイエロー。「いいゲームをしていたのに、試合を壊してしまった。全部自分の責任」。まさかの退場処分に、主将は自分を責めた。
ただ、10人になっても粘りは見せた。再び追いつかれたものの、「延長戦終了までは負けていなかった。ウチの方がチャンスがあった」と青木。延長後半終了間際には、MF中田のシュートがバーを叩いた。
昨年も決勝トーナメント1回戦で涙をのみ、悔しさを糧に成長したはずだった。Jでは首位を快走する。「10人でも慌てることがなかったのはよかった」とDF岩政は収穫を見いだし、「アジアは来年も獲れるけど、3連覇は今年しかできない。そう切り返すしかない」と前を向いた。ACL終戦を迎えた鹿島が、史上初のJ3連覇へと再起を懸ける。(丸山汎)
PK戦を制して駆け出すFCソウルの選手(手前)と対照的に、鹿島イレブンは悔しさをかみ締めた
PK戦で敗退…退場・小笠原「自分の責任」
<鹿島・FCソウル>PK戦で敗れた鹿島イレブンは、喜びを爆発させるFCソウルイレブンの横でぼう然と立ち尽くす
Photo By スポニチ
【ACL 鹿島2―2(PK4―5)FCソウル】敗退が決まった瞬間、鹿島DF内田はガックリと肩を落とした。サドンデスに突入したPK戦。志願して6人目で蹴りながら大きく枠を外して失敗した。
「ゴロにしようと思ったけど、GKが動いたのが見えたので上を狙った。PKを蹴るのは嫌だったんだけど、蹴ったら蹴ったで外したことがなかった。自分のミスで失点したから自分で決めようと思った」。試合後も表情は沈んだままだった。
前半5分に興梠のゴールで先制したが、同22分には岩政と内田が連係を欠いてクリアミス。あっさりと同点に追いつかれた。「オレが声を出せばよかったんだけど」と内田は悔やんだ。2度も先行し、優位に試合を進めながら、落ち着いた試合運びができなかった。
小笠原の退場も痛かった。「当たったらすぐにファウルをとるレフェリー」(伊野波)だったが、その特徴をつかめず不用意に2枚目のイエローカードを受けた。「つぶしにいくつもりだったんだけど、迷惑をかけた。試合を壊して負けた。全部自分の責任。みんなでいいゲームをしていたのに、謝らないととけない」。主将はすべての責任を背負い込んだ。
初制覇を目指して臨んだ6度目のアジアの舞台だったが、またしても壁をぶち破ることはできなかった。公式戦の不敗記録も16でストップ。「ACLに懸ける気持ちが強かったので悔しい。何が何でも(Jリーグ)3連覇してまたACLで戦いたい」と青木。4冠の夢は早くも消えたが、来年のACLに向けて立ち止まっている時間はない。
[ 2009年06月25日 ]
小笠原退場!10人で耐えるもPK戦に散る…鹿島
後半19分、2枚目のイエローカードで退場となった鹿島・小笠原
◆ACL決勝トーナメント1回戦 鹿島2―2(PK4―5)FCソウル(24日・鹿島) 鹿島は延長戦でも決着がつかず、PK戦の末に4―5で敗退した。
アジアの頂は遠かった。7本目までもつれたPK戦で敗退。DF内田は試合後の整列には並ばず、足早にロッカーへと引き揚げた。途中交代のFW興梠はベンチ前で天を仰いだ。6度目のアジア挑戦が道半ばで終わった。120分間ずっと声援が響き渡っていたカシマスタジアムはうそのように静まり返った。
前半5分、FW興梠がGKとの1対1から右足シュートで先制。1―1で迎えた後半5分には左CKからMF青木がヘディングで勝ち越した。だが、同19分、チームの大黒柱MF小笠原が2枚目の警告でピッチを退き、流れが変わり、同33分に直接FKを叩き込まれた。10人になっても決定機を作るなど勝利への執念を見せたが、PK戦で3人が外して敗れた。
PK戦で敗れ、ぶ然とする鹿島イレブン
「全部自分の責任です。試合を壊してしまった。せっかくみんな良い試合をしていただけに、本当に申し訳ない。(2枚目のカードを受けたプレーは)つぶしに行くつもりじゃなかった。自分がすべて悪い」。ロッカールームで勝利を祈っていた小笠原は鼻をすすりながら反省の弁に終始した。
「ゴロを蹴ろうと思ったけど、相手のGKが反応したので上を狙った」と内田。伊野波は「昨年と2度(ACL制覇を)失敗した。来年はこれを糧にしていかないといけない。ただ、今は反省することはできない」。今年もアジアの壁が高くそびえ立った。
(2009年6月25日06時01分 スポーツ報知)
篤人のPK失敗か小笠原主将の退場か。
敗戦の要因を追求しても仕方のないところ。
前を向いて今季のリーグを穫りたい。
そして来年こそアジアの地に鹿島の旗を立てるのだ。
この悔しさは糧である。