今日の雑感

酸化的傷害と老化、がん化の関係性は、それこそ20年以上前から言われていることです。それなのになぜこんなに研究が進まないのか。酸化的傷害をおこす活性酸素やフリーラジカルというものが、たいへん反応性が高いもののため、存在時間が短く不安定で様々な分子が存在する生体内では検出するのが難しいということがあるからです。どのくらいの活性酸素やフリーラジカルがどのように生成し、それが生体内の分子にどのような傷害を与えるのか？あるいは放射線による電離作用によって、生体内の分子にどのような影響があるのか？は未だに未知の部分が多いのです。

分子の傷害として一番観察しやすいのがDNAの傷害なので、遺伝子の傷がクローズアップされているわけですが、その他の脂質やタンパク分子も当然何らかの修飾（傷害がほとんど）をうけているはずです。それによって引き起こされる様々な反応を生命科学は観ることができていません。低線量の放射線被爆に関して、情けないほどに知見が少ないのは本当に遺憾なことです。しかも世界的にこの分野は研究費が付きにくい状況のようです。アメリカの科学者もその状況を憂慮していました。

そんなこんなを考えながら、それでもこうして今日も無事に生かされて、様々な経験をすることができていることに感謝いたしましょう。自分に何ができるのか、非力ではあってもできることをやっていく。それだけです。