小田急線の中で女子高生の会話が聞こえてきた。
「携帯無しで3週間」
「頭良くなった?」
そういう返しもあるんだ。
僕には思いつかない言葉だ。
夜の代々木上原駅のホーム。
小田急線の急行は満員だ。
ドアからコートの裾がはみ出していた。
駅員が走ってやってきた。
小柄の女性の駅員だ。
ホームからコートを引っ張る。
それでドアのセンサーを反応させ、車掌に知らせようとしているのか。
しかし、いくらやってもコートの裾が動く気配はない。
1分後。
駅員が手に持った信号灯を振って、その場を離れる。
なんだよ、諦めたのかよ!
それで運行に支障はないのだろうけど、
その諦め方の潔さに驚いたのだった。