二十代を演出する苦悩

2014年05月11日 08時24分04秒 | 業界のかけら

五十代のある劇作家&演出家が語っていた話。

若い役者が、登場人物の感情の動きをうまく表現できなかった場合、
その演出家は、誰もが過去に経験したことがある一般的な感情の動きを例に出し、
「いろいろ小難しく書いているけど、要は◎◎みたいなものだよ」
と説明して演出してきたという。

「中学生の頃、クラスの友達と喧嘩して、翌日また教室で顔を合わすことになった時、気まずいだろ。あんな感じ」

だが、最近、この手が使えないという。

近頃の若い役者は、面と向かって友達と喧嘩をしたり、あるいは、手痛い失恋など、
その年令になるまでに、普通ならばしているはずの経験をしていない人が多いからだ。

この事態、「今どきの若者は」と嘆くつもりはない。
そんな彼らが、どんな表現を行い、どんな作品を生み出すのか。
それが観てみたいのだ。