yaaさんの宮都研究

考古学を歪曲する戦前回帰の教育思想を拒否し、日本・東アジアの最新の考古学情報・研究・遺跡を紹介。考古学の魅力を伝える。

タンロン通信-14  充実したリスタートの条

2008-03-12 22:13:00 | 歴史・考古情報《東アジア》-2 越南
無事再開できてよかったねと思ったらよろしくお願いします。


(もうこれで何度目のハノイドイモイ空港だろうか。いつも残念に思うのは夜中で、上空からハノイ市内を見られないことだ)

昨夜遅くにハノイに着いた。
いつもより30分も早い到着で、その上迎えのタクシーがこれまた速く、ホテルに着いたら23時だった。

そこで意外な事実が。コメントを頂いていたnoriさんとナナナントホテルで出会ったのだ。偶然学生達が数日前にお会いし、雑談をしたとかで、昨夜遅くに私が到着することは判っていたらしい。

急な帰国で、本当なら10日頃にお会いしたいと仰っていたのが、連絡が付かなくなり、諦めていたのだが、実にグッドタイミングでお会いすることができた。もう夜も更けていたが1時間余り歓談し、南寧からの友誼関越えのこと、鉄の伝播のこと等々様々なことを教えてもらった。今日ヴェトナム側と交渉してもらい、明日午後現場を見てもらうことができた。ご迷惑をお掛けすることがなくほっとした。


(Nさん達のお陰でとても丁寧に地層分類がなされていた。後はこれに添って上層を剥ぐだけである。)

5日ぶりの現場だったが随分地層の掌握がきめ細かくなされ、いよいよ埋没土層を掘るのを待つばかりとなっていた。南に隣接する国会議事堂建設予定地での緊急発掘調査の方もスタートしたとかで、調査の嘱託職員も半減しており、大事なこれからの調査に少々不安の残る現実も突きつけられた。


(新たに落ち込みも何カ所か確認できる。)
しかし、やる予定のことはやらなければならない。朝から早速西壁の地層分類に応じて昆虫化石採取のための土砂採取を行った。また、懸案だった文字磚の分析にもようやく取り掛かることができた。但し、膨大な資料なので、とても今日半日では済まなかった。明日は一日中調査し、明後日の第二次部隊が来るまでにある程度の見通しを付けておかなければならない。

とりあえず今日は「永寧場」とある15世紀前半の製作と考えられる薄型長方形磚の同一文字群におけるスタンプの違いや成形技法の違いについて一定程度の認識を整理することができた。特に興味深かったのはスタンプの枠の形である。およそ幅2cm、長さ5~6cmを呈しているのだが、上端は左右をカットした隅丸方形になっており、下端はそのままで、まるでくびれのない題箋状木簡のような形をしていて興味深かった。

スタンプの原版には、陰刻と陽刻があるが、原版陰刻が圧倒的に多く、数種類に分けることができそうである。しかし、アッと言う真に時間が過ぎ、結局「永寧場」の分類だけで半日が終わった。


(文字磚は限られているが、同じ文字でもスタンプの違いが随所に認められ、製作工程を考える上でとても興味深い資料群である。)

明日もこの続きをやることになる。さらにこれまでできなかったA・B区での昆虫探しについても明日早朝から手を付けることができることになった。楽しみである。

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