yaaさんの宮都研究

考古学を歪曲する戦前回帰の教育思想を拒否し、日本・東アジアの最新の考古学情報・研究・遺跡を紹介。考古学の魅力を伝える。

チュニジア惨劇の条

2015-03-20 00:36:53 | 歴史・考古情報《日本》-1 宮都
 チュニジアから飛び込んできたニュースは、197年、エジプトで起こされた多数の日本人観光客襲撃事件8ルクソール事件)と重なる何ともやるせない、悲しいニュースだった。
 この間、イスラム過激派と呼ばれる非人間的集団は、自らの思想と異なる者を全面否定し、文化(財)を破壊し、異教徒を次々と殺害してきた。その蛮行が、今度はチュニジアで実行され、多くの命が奪われた。そしてまたしてもバルドー博物館というチュニス一の博物館で。

 実は2年前の今頃、3月末に7日余りチュニジアのカルタゴ、ローマの遺跡を見て回ったことがある。丁度ブログが停滞していた時期で、帰ってから暫くして、ほんの少しだけブログに書いたことがある
(http://blog.goo.ne.jp/yaasanarchaeologue/e/92b3edbb3c43af505b6ef828c56f19a5)
写真数枚とほんの数行の文章だからご存じない方も多いと思う。
 この時も直前にアルジェリアで石油プラントが襲撃されて、余り南へは行くなと言う外務省からの指示があって、残念ながらチュニジアの半分くらいしか回れなかったのだが、それでも想像もしなかった豊かな文化に驚嘆し、感動した1週間だったことを鮮明に覚えている。
 今回の襲撃の舞台となったバルドー博物館へは行けなかったが、同じようにたくさんのモザイクを所蔵しているカルタゴ博物館はじっくり見学した。これを機会に(こんなことをきっかけにしたくはないのだが)この後暫くチュニジア・カルタゴレポートでも書くことにしようかと思う。

 手始めにチュニスで見学したカルタゴ、ローマの遺跡を少し紹介しておこう。この前後のスライドは昨年末に大阪府立高等学校で行った授業「ローマ人の風呂文化と水道 ~テルマエロマエを考古学する~」の一部を紹介したことがある。
http://blog.goo.ne.jp/yaasanarchaeologue/e/134db84678da67300bea75fce93e2461

今回は前回省いたチュニスの一部を紹介しておこう。

チュニジアの歴史的空間


ローマ人によって徹底的に破壊されたカルタゴの遺跡。これもまた異文化による文化破壊の事例かも知れない。


ローマ人が設置したザクーアンの水源地とそこから延びる水道。


水道は延々20キロ余りにわたって延び、チュニスへと運ばれた。


ザクーアンの施設


水道橋とその内部。


人を救済するために人間が作りだした宗教。それが今や異教徒を倒す強力な武器と化している恐怖。それぞれの宗義によって静かに救済を進めることがどうして許されないのだろうかと思う人はこいつをポチッと押して下さいね→人気ブログランキングへ



長岡京遷都1230年記念長岡京市特別歴史講演会で講演の条

2015-03-13 12:16:37 | 歴史・考古情報《日本》-1 宮都
 間もなく定年(常勤職)後の一年が過ぎようとしている。意外な病や信じられない友人知人の死に明け暮れた一年だった。そんな一年を振り払うような気持ちも込めて2月28・3月1日に開かれた古代城柵官衙遺跡検討会に参加した。その中の興味深い報告についてはいずれこの場に紹介しようと思うが、その前に一つ。

 3月1日の検討会は午前中で失礼して午後、今泉さんのお墓にお参りした。あいにくの雨で、ずぶ濡れになったが、雨男の本領!といったところか、それなりに趣のあるお墓参りになったように思う。もうあれから一年と二ヶ月。あっと言う間に過ぎたように思うしそうでないようにも感じる。でも、お墓で落ち合ったお孫さんの桜ちゃんをみて、「アーもうこんな時間が経ったのだ」と実感した。




 可愛いレインコートを身につけて、よちよち歩く桜ちゃんは間もなく二歳だ。まだ八ヶ月で抱っこされていたのが歩き、片言のお話しをするのだから、それだけの時間が経ったということだろう。お墓参りが済んで、ご自宅で少し歓談を、ということでお邪魔することにした。私のためにわざわざ次女の千尋さんまでおいで下さったのだから、ご迷惑を承知でお邪魔することにした。

 今泉さんは生前、可愛い娘さんのことがそれはそれは心配だったのだろう、お会いする度にいろいろな「武勇伝」を聞かせていただいていただけに、話のネタは尽きなかった。後に頂いたお手紙で、こうした今泉さんとの会話の一コマ一コマが、お父さんの面影を偲ぶいい機会になったと言って下さった。私の訪問が皆さんを元気づける機会になったのなら、それはそれは嬉しいことだ。思いがけず、長女の風美さんの作って下さった芋煮まで
ごちそうになって楽しい一時を過ごすことができた。特にいもには、之まで東北の方にお会いする度に話題になってきた食べ物である。どんな味なのかとても興味があったが、なるほど!!これは美味い!!と手を打ってしまった。もちろん風美さんの料理の腕がいいからだろうが、やみつきになりそうな味だった。こんな鍋を屋蓋で囲みながら一杯やったらいいだろうな!そんな思いを強くする一日だった。

 さて、一時の安らぎを得て京都へ帰ると恐怖?のレジュメ作り論文まとめが待っていた。

 9日には身内でやっている延喜式研究会での発表、15日は表記の講演会のレジュメである。

 「恐怖」というのは大袈裟なのだが、ここのところ様々な発表がどうも思い通りに行かない。東北へ行く前には二週連続で、講演会をやったのだが、正直言って一勝一敗だった。それも専門である長岡京の講演が今ひとつだったのにショックを受けていたのだ。準備は十分すぎるくらいしたし、事前に話し方のチェックもした。ところが会場に着くのが予定通りに行かず、バタバタと始まって動揺したらしい。ノートまで作っていった内容が最初から吹っ飛んでしまったのだ。どうもこのところ、記憶力の衰えか、臨機応変さの欠如かいずれかが原因と思えるのだが、予定通りに進まないと焦ってしまうようだ。以前なら暫く立てば修正可能だったのが、そう行かないのである。

 そんなことがあったので15日の講演は入念に準備をしているのだが、果たして言葉がうまく回るかどうか。ま、老化が進むと準備万端きちんと整えていかなければならないということのようだ。そんなわけで次の様な話しをすることになっている。

 長岡京に暮らした人々の姿を考古資料から復原しようというものである。長岡京市が会場なので、長岡京市域に存在した東西市を中心に話を進めようと思う。そのレジュメは新しい試みとして、全てパワーポイントの一枚一枚を原稿化したものとした。スライド写真一枚一枚に丁寧な説明を入れて、各写真で話を完結させて進むやり方だ。初めてなので、うまくいくかどうか、余り期待しないで報告をお待ち下さい。


講演テーマ



主旨


総論

基本図面


市への誘い




長岡京東西市


石工佐伯息人の人生→こんな話しもします


最新の調査成果も・・・
 なお、講演の最後に会場に次の様な新たな活動を宣言する。

 以前から温めていたことだが、どうも待っていても誰も協力してくれそうもないので、自ら先頭に立って始めようと思う。名付けて

 「長岡京歴史散歩」

 これまで久留倍遺跡を考える会の方々とやって来た「壬申の乱ウオーク」の経験を活かして主に長岡京に関係する遺跡などを回ろうという計画だ。今のところ私一人で考えたことなので、果たしてうまくいくかどうか全く判らないが、行動しなければ何も動かないので、やってみることにした。本当は20回分くらいの予定はもうできているのだが、身体が持つかどうかも判らないので、とりあえず一年間分を計画した。もちろんこの4回分については責任を持って開催する予定だ。壬申の乱ウオークの目標は50回で、既に33回実施して、残り17回だから、おそらく、突然死でもしない限り達成できそうだ(もう第34回も日程が決まり、間もなく公表できそうだから残り16回だ。) 。

「長岡京歴史散歩」へのお誘い

 年4回 5月・9月・11月・3月の第4土曜日13時~17時

第1回:大極殿周辺を歩いて長岡京の魅力を探る
  2015年5月30日(土) 12時45分 阪急西向日町西口集合
 〈主な予定コース〉 朝堂院南門→西第四堂→西第三堂→嶋院→長岡宮西大垣→向日神社→元稲荷古墳→朝堂院北西官衙→西宮(前期内裏)→大極殿・朝堂院→西向日駅

第2回 西市から長岡京の画期に触れる
  2015年9月26日(土) 12時45分 阪急西山天王山駅集合
  主な予定コース  

第3回 桓武天皇のルーツを探る-1 百済王氏と山部親王
  2015年11月28日(土)12時45分京阪電車交野線宮之阪駅集合16時解散
  〈主な予定コース〉 百済王神社→百済寺跡→禁野本町遺跡

第4回 東宮(後期内裏)周辺を歩いて長岡京の変化を感じる
  2016年3月26日(土) 12時45分 阪急西向日駅東口集合
  〈主な予定コース〉 朝堂院東第四堂→築地跡→東宮(後期内裏)→春宮→宮城東大垣→南院→西向日駅

※ 申し込み不要 参加費(資料印刷代) 100円
※ 連絡先 山中 章携帯電話 09091173424
※ メール yaa1948@gmail.com
※ 山中章のブログ「yaaさんの宮都研究」に1ヶ月前に詳細を掲載


 長岡京なんてもう何回も歩いたワイヤ!という人は別にして、興味のある方はどうぞご参加下さい。さすがに資料を印刷するところがないので、資料の印刷代だけ100円ほど頂きますが後は何の制約もありません。「長岡京歴史散歩」おもしろそうだなと思う人はこいつをポチッと押して下さいね→人気ブログランキングへ