yaaさんの宮都研究

考古学を歪曲する戦前回帰の教育思想を拒否し、日本・東アジアの最新の考古学情報・研究・遺跡を紹介。考古学の魅力を伝える。

廣岡義隆先生ホントにホントの最終講義の条

2010-03-30 19:51:09 | yaasan随想
 3月29日はとうとう本当に廣岡義隆先生とお別れする日となった。
 とにかく静に消えていきたいという先生のご要望で派手なセレモニーは何もしなかったんだが、親しい者達が集まってせめてお別れのお茶会でもということになり、午後から二時間ばかりのお茶会となった。

 新任のKA先生のお手前でお茶をお出しし、みなさんが持ち寄った和菓子でまさにお茶会となった。

 そこへサプライズの訪問者が。私の採用人事の時に学部長をなさっておられた西村富美子先生が主催者の案内で遙か大坂から駆けつけて下さったのである。私とは入れ違いなのでそのお人柄など人伝に聞くだけで全く存じ上げないのだが、廣岡先生の御退官でわざわざ駆けつけてお出でになられたと言うだけで十分理解できる。私がこちらへ参って12年だから、廣岡先生とも12歳は離れていることになるのだが、言ってみればその後輩のためにお出でになるのだから、先生への思い入れはひとしおだったのだろうと推察した。であればあるほど先生の御退官は残念でならない。

 

 驚きの元学部長西村先生の参加



 そんな雰囲気をお察しだったのか、先生自ら切り出されてまさに「最終講義」を集まった10余人の教官のためにして下さった。題して

 「花といえば」

季節にちなんで桜と梅の万葉歌における位置をお話し下さった。

『萬葉集』で「花」と言えば「梅」をさすという山田孝雄氏の通説を痛烈に批判なさった上で、実例を挙げてその根拠をお示しになった。

 あをによし寧楽の都は咲く花の薫ふが如く今盛りなり

この著名な歌の「花」とは作者小野老の都を出た日から換算して桜だというのである。但し梅は外来種としてもてはやされ、『萬葉集』に117首も見え、桜の41首を遙かに上回っているという。にもかかわらず、「花」と言って梅をさすと思われるのが17例に対して、桜は38例におよび、伝統的に日本では「花」は桜(山桜)だったと言うことのようです。勉強させていただきました。



 廣岡義隆著『万葉のこみち』はなわ新書080 2005年 をみなさんに一冊ずつ頂いた。こちらから差し上げないといけないのに、今回も先生にご負担をお掛けした。



廣岡先生に花束

 本当にお疲れ様でした。これからはさらなるご研究の発展をお祈り申し上げます。そして多くの市民へご研究成果をお披露目いただきますようお願い申し上げます。

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