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ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

芝居「影のない女」

2025-04-01 21:51:41 | 芝居
3月27日、吉祥寺シアターで、ホフマンスタール作「影のない女」を見た(劇団オーストラ・マコンドー公演、上演台本・演出:倉本朋幸)。



東洋の島々に住む皇帝は、霊界の王カイコバートの娘と結婚している。
皇后となった彼女には影がない。
影をもたぬ呪いで皇帝が石になることを知った皇后は、貧しい染物屋の女房から影をもらい受けようと図る。
人間を嫌う乳母に貶められて、染物屋の夫婦は霊界にて離れ離れになってしまう。
一方、皇后と乳母は霊界を船でさまよう。
しかし、結局彼女は他人を犠牲にしてまで、影の入手を望まない。
その精神の尊さゆえに奇跡が起こり、皇帝は石から甦り、彼女も影を得て人間になる(チラシより)。

これはリヒャルト・シュトラウスのオペラの台本としてホフマンスタールが書いたもので、
オペラは私も昨年10月に見たばかりだが、まさかあれを芝居にしようという人がいるとは思わなかった。
オペラにはありがちだが、この作品も、台本は奇妙キテレツだけど音楽が素晴らしい。
それを音楽抜きでやろうとは・・・一体どうなるのか、おっかなびっくり出かけた。

冒頭で、乳母(山井祥子)と、霊界の王カイコバートの使者たちが、今風のコントを披露。
これから始まる長~い原作に馴染みのない観客のために親切な配慮だ。
皇后(清水みさと)は若々しい。
髪を二つに結んで垂らし、中高生のよう。可愛いけど、とても皇后には見えないのが残念。
ルンバが舞台を動き回る。これは意味不明。
皇后と皇帝(寺中友将)は長いセリフを語りつつ倒立や前転など、しきりに体操する。
役者たちは体が柔らかい人が多い。
この劇団は体操がウリなのだろうか。

影の処理が面白い。
皇后には影がないが、皇帝など人間たちにはそれぞれ影役がいて、その人の後ろに寝そべったり立ったり歩いたりする。
なかなか大変な役ではある。
乳母と皇后が庶民の住む土地に降りてゆく時、でかい音量で音楽が鳴り響く。

染物屋バラクの家に着くと、乳母は夫婦(櫻井竜彦と朱里)の寝室を別にする、と言って、舞台中央に縦に紐をくくりつけて分断する・・・。
この後いろいろあって、ラスト、石になっていた皇帝が、めでたく元の人間に戻るまでがやたら長くてじれったい。
皇后が長々と泣き続けるが、その間、観客はどうすればいいのか。
ただ退屈だった。
暗転とそれらしい音楽で、終わったのかと思いきや、また明るくなって皇帝夫妻が登場し、なぜか染物屋の桶を担いで
運ぶ仕事を始める。意味不明。

変わった芝居だった。
ただ、乳母役の山井祥子という人が非常にうまかった。
役柄をよく理解しているのが伝わってきたし、言葉のセンスもいい。
この人の名前は覚えておこうと思う。
コメント
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