虹の架け橋

2004年の44歳から綴ってきたブログ。塾長として、男として、父親として、そして爺として、感じたことを記した記録。

私が伝えたいこと ①

2021-04-18 | 塾長日記
今年から中学の英語指導が大きく変わった。小学5年と6年で英語の教科化が始まり、高校受験までに小学5年から中学3年までの英語5年教育が始まる。文科省や教育委員会が描く流れに乗るまでには、どのくらいの時間を要するのか、生の教育現場を見守って欲しい。

小さな上野塾でも地域の子どもたちの英語指導を担っているので、方向性を定め、1年間の指導カリキュラムを作成した。特に1年にエネルギーを使った。
今年の教科書には…、
◆unit1では、be動詞、一般動詞、頻度副詞、助動詞can
◆unit2では、指示代名詞、疑問詞what、who、how、
◆unit3では、疑問詞where、不定詞名詞的用法、複数形

ここまで書くだけで、中学1年生の英語指導の根本改革が必要に感じる。新しい文法が出てきたところで一つ一つ教えて行けば、本文内容は理解できるが、英語力の定着、入試英語の基盤を作ることは難しい。私は時間も手間も掛かるが、4月と5月でbe動詞と一般動詞、助動詞、疑問詞を丁寧に指導して行くことにした。教科書内容は、期末試験前に一気に板書指導をする。これで行くと……。

上野塾の中学1年生には小学3年生から私が英語を教えた塾生がいる。中学1年生の文法も単語もほぼマスターして、中学定期テストをやらせてみるとリスニング問題を除いてほぼ正答を書き込むところまで上り詰めた子どももいる。こういった子どもは、現学年の英語指導に加えて、中学2年生の英語を先輩に混じって頑張ることを提案し、本人も親御さんも納得の上で次学年指導を受けている。今年から上野塾に入塾してくれた子どもの中にも同様な事例があったので次学年英語指導を提案し、中1英語と中2英語の二刀流を開始した。

こういった事例がある中、小学校の時はスポーツ少年団の野球漬けで英語は一切習っていない子どももいる。小学校で外人講師の英語会話を耳にしただけの子どもだ。今までは春休みで補講を組んだり別日フォローでクラス指導に合流出来たが、前述のように今年の英語指導は一筋縄ではいかないものになっている。この子たちの応援こそ私が一番やらなければならないと思っている。

事例をわかりやすくするために少年団塾生を一朗(仮称)として綴る。一朗は今年の3月に体験を受けて、4月に正式入塾となった。英語は小学校で会話を少し嚙った程度。書くことはほとんどしていない。もちろんアルファベットもこれからと言う状態。10年前はこういった子は当たり前であったが、今は少なくなってきた。しかし、ゼロではない。これからもこういった子どもたちを受け入れることは出てくる。

一朗は自分なりに努力をしてアルファベットの大文字、小文字を書けるようになってきた。しかし、時間が周りの者と比べて2倍も3倍も掛かる。これはやむを得ないことだ。アルファベットの並べ替えでも、さっと26字書いて並べ替えをできる塾生もいるが、一朗はアルファベットを書くだけでも時間が掛かる。必然的に時間内に回答が出来ずに合格点が取れない。一朗は授業中に涙を堪えきれなかった。溢れる涙を拭いながら私の授業についてきた。苦しくても前を向いて自分のできる範囲で精一杯闘ってみること、このことが伝えたくて一朗を応援した。

「You are not〜の短縮形が言える者!」と私が言葉を発すると、
一朗が手を挙げた。
「You’re not〜、You aren’t 〜です」と答えた。
私は涙が出た。良くぞ自分の意見が言えた。褒めてやった。今日は一朗も元気にお母さんの車に乗り込むだろうと思ってその日の授業を終えた。

すると玄関で私を呼ぶ嶋津の声がする。
玄関に行くと一朗のお母さんが立ってみえた。
「一朗がもう塾なんか行きたくないと車の中で泣き弱っています。何があったのですか?」と。
私は「一朗君は頑張って自分の意見が言えましたよ。私は今日の授業で褒めました」と言って一朗がいる車に近づいて行った。

(続く)




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