今年の入試は終了した。
大命題として掲げた『志望校全員合格』は果たせなかった。
1名の悔し涙を見ることになった。
本当に申し訳ない気持ちで一杯だ。
今年の入試の記録として残しておく。
K(仮称)はGKに挑戦した。
今年のGKは最終的に360名定員に464名が挑むことになった。
私の経験値の中では、定員100名を超える状況は記憶にない。
80名を超えるようなことは何度もあったが、100名超えは予測できない。
また、今回の入試では数学が例年よりも易しかったと黒田も言う。
Kは数学がよくできる。ゲームをやるか、数学の問題を解くかの男だ。
皆が数学ができなくても、Kだけは安定して得点を出してきた。
反面、英語が苦手なK。
長文読解や英作文の特訓を繰り返し、
公立入試直前に入試問題レベルも得点できるようになった。
しかし、安全圏とは言えない状況は続く。
私も黒田も「KにはGZのR科が向いている」と早い時期から話をしてきた。
Kも「自分もそれはわかります。でもGKにチャレンジしたいです」
志望校色紙を書いた時からそれを貫いてこの1年を歩んだ。
結果がなかなか伴わない時にK自身も
「GZにするか…」とつぶやく時もあった。
でも私立でU高校が合格した。
これを契機にKは、初志貫徹を奮い立たせてGK一本を目指した。
前述のように定員104名を超えるような状況では何が起こるかわからない。
また今年は得点が取りやすい教科もあった。
GKレベルになると自己採点450点では安心できなかった。
460点~480点の間に何百人という受験生が
ひしめき合っていることが想像できた。
ここに内申点が加味される。
GK受験者はオール5、つまり内申45の受験者は例年よりも多いと思う。
従って内申40以上は合格条件となってくる。
40に満たない受験者は、当日入試で限りなく500点に近づけることが
必須突破条件となる。
3月21日の発表当日、私はGKに向かった。
9時と同時に合格者番号が張り出される。
高校受験ならば、1 2 3 4 5 6・・・と
番号があまり欠けること無く番号が並ぶ。
しかし、104名オーバーは至るところに欠番がある。
私はKの番号を探した。
順番に目で番号を追っていく。
次がKの番号というところで、その番号が飛んでいた。
バンザイをする受験生。
下を向いて顔を上げない受験生が混在する時間が今年は長かった。
例年は残念だった者は「さぁっ」と校門を後にするが、
今年は動けない者が多かった。
初めてだった。こんな空気感は。
Kを探した。何度もあたりを見回した。
いない・・・。
帰ってしまったか・・・。
するとお母さんが私を見つけてくれて、Kと会えた。
私「発表、見たか・・・」
K「はい、見ました」
私「これを踏まえて、このあとのことを考えよう。二次募集にチャレンジするか」
K「自分はU高校に進みます。こうなった時はそうすると決めていました」
私「GZのR科の二次募集があるが、良いのか?」
K「U高校で頑張ります」
意志が固い。悩んでいない。私もそれが良いと思った。
私は親さんにも確認し、その選択を行うことを腹に入れた。
午後3時から入試報告会が西郷校であるのでKに
「黒田先生や嶋津先生、平野先生が西郷にいるので来て欲しい」と言うとKは
「はい、行きます」と。
午後3時半頃、Kは西郷校に来てくれた。
黒田たちが一人ひとりKに言葉を掛けてくれた。
私は車でKを待つお母さんと話すことができた。
お母さんはこう言っていた。
母「今のあの子はもう一度闘う気力が湧いて来ないのです」
私「どういうことですか」
母「この発表までの18日間が長すぎました。自由気ままな時間でした」
私「コロナ対策を考えての入試日程ですが、確かに検討の余地はありますね」
私「入試までが塾の役務ではなく、高校入学までが塾の役務に感じています」
入試を意識して、3月授業の前倒しをした。
長時間の応援は受験生にとっては良かったと自負しているが、
これだけでは片手落ちのように今感じる。
また新たな課題ができた。
続く