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バッファロートレースを飲む


  そうだバーボンを飲もう。荒々しい西部の風が吹いてくるようなバーボンがいい。
 ダンブルウィードが転がっている道を通って町に着いた。老人がロッキングチェアで酔いつぶれている。酒場がある。ヤツはここにいるはずだ。スィングドアを開ける。中にいる男たちがジロリとこちらを見る。近くまで牛を運んできたカウボーイたちだ。
 カウンターに歩み寄る。中にいる大男に声をかける。「ウィスキー」大男はショットグラスに濃い茶色の液体を入れて前に置いた。クイッとひと息に飲む。ヤツは向こうのテーブル席でポーカーに興じている。
 空になったショットグラスとコインを置いて、立ち上がる。生死にかかわらず1万ドル。それがヤツにかけられた賞金だ。ヤツの肩に手を置く。
 と、まあ、こんなバーボンが飲みたい。で、いま、飲んでるバーボンがこのバッファロートレース。バッファローのラベルが手でちぎったようにボトルに張り付けてある。
 ティスティンググラスにそそぐ。濃い茶色。けっこうアルコール臭が強い。口にふくむ。45度とバーボンとしては度数はあまり強くない。ワイルドターキーやノブクリークよりもあたりはやわらかい。飲みやすいバーボンといえる。
 バッファロートレース。バッファローの通り道。このバーボンの蒸留所近くをケンタッキー川が流れる。このあたりを昔、バッファローの群れが移動していた。1775年からバーボンを造ってきたというから、アメリカ最古の蒸留所の一つ。天下の悪法禁酒法時代も、医薬用アルコールということでバーボンの製造を許可されていた。荒々しい西部の気風をしのばれるバーボンである。ジョン・ウェインの映画でも観ながら飲もう。
 
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