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京都SFフェスティバル2017に行ってきた

 毎年の秋の吉例、京都SFフェスティバルに行く。朝のうちだけ、少し会社で仕事して京都へ。秋の雨の京都である。外国人の観光客おおいあるね。
 JR京都駅から、タクシー。車内で携帯電話に電話。あす日曜日休みの予定だったが、出てくれとの会社の人から電話。しかたないなあ。いつもの京大病院正門前の京都教育文化センターへ。さっそく、何人か知った顔。「やあやあ久しぶり」とあいさつを交わす。これで、ここに来た大きな目的は達せた。
 午前の部は「本当は恐いジーン・ウルフ」出演は、酒井昭伸氏、宮脇孝雄氏、若島正氏。難解であると見られているジーン・ウルフ。このところ何冊か著書が翻訳され、本年6月には最新作「書架の探偵」が翻訳出版された。何が書いてあるのかよー判らんところもあるジーン・ウルフ。そのウルフを読む第一のコツ。「信じろ」よー判らんかもしれんが、ともかくウルフを信じて読めということ。
 昼食はいつもの定食屋「十両」カレイの煮付け定食を食べる。このあたりにはメシ屋が少ない。京大の学食に行くのも手だが、この「十両」でいい。あれで1000円でお釣りがあるのは安いのではないかえ。
 午後の部の最初は「あたらしいアニメの作り方―3DCGと制作、市場」出演、野口光一氏、数土直志氏。ワシはアニメのことはよー判らんが、なんでも今どきはセルに原画をシコシコ描いたりはせんらしい。CG,それも3Dで作るらしい。ふ~ん。
「スタニスワフ・レムを読み直す」出演は若島正氏。それにレム本人とも親交があったスラブ文学者沼野充義氏。このお二人、レムとナボコフと二人の巨大な作家の研究家という共通点がある。国書刊行会から出ていたスタニスワフ・レム・コレクション全6巻が完結した。ポーランドの偉大なSF作家にして思想家「知の巨人」レムの長編は、ほとんどが日本語で読める。しかし、まだ未訳の評論集や対談集がある。それらはなにせレムは「知の巨人」いずれも1000ページを超えそうなでっかい本になりそう。ポーランド語にたけた若い有能な翻訳家の出現を待ちたい。
 それにレムの作品はロシア語からの重訳が多い。深見弾氏らの尽力でレムの作品が日本語で読めるが、昔はポーランド語を翻訳できる人がいなかった。やはり、原語のポーランド語から日本語への直訳で読むほうが、日本人がレムに親しむにはこれにこしたことはない。
 最後の企画は「Projrct Itoh」出演、大森望、塩澤快浩氏、伊藤靖氏。代表作「虐殺器官」がアニメ化されたりして、早川を中心に盛り上げていた伊藤計劃のブーム。ひとまず落ち着いたという話。この企画はワシにはあまりいただけない。ようするに亡くなった作家をいかにしゃぶりつくしてもうけよかということ。いつまでも伊藤計劃に頼っていたらあかん。さいわい、若い有能なSFの書き手が出てきているとのこと。これはたいへんにけっこうことだ。それに、なんといっても早川には棚から特大のボタモチがどすんと落ちた。このたび、ノーベル文学書を受賞したカズオ・イシグロの著書のほとんどを早川が出している。土日返上で早川の営業が書店からの注文に応じているとのこと。なんでも、「日の名残り」と「わたしを離さないで」は10万部づつ増刷するとか。早川さんにおかれましては、まことにご同慶のいたり。 イシグロさんにもうけさせてもらった金をSFにもまわしてもらって、良きSFの供給に励んでくれたまえ。
 最後に、今年もこのイベントを主催実行した京都大学SF研究会の諸君。まことにご苦労さまでした。来年もやってね。
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