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「SFが読みたい!2015年版」を読んだ


SFマガジン編集部編          早川書房

「3人寄れば文殊の知恵」という言葉がある。これは3人と少人数だから文殊の知恵となるのであって、100人よればどうなるか。「100人寄ればアホの知恵」となるのではないか。 
「SFが読みたい!2015年版」を一読した。例によって2014年のベストSFが発表されている。海外篇の1位は「火星の人」これは納得できる。小生も少し前に読了した。近日、このブログでレビューする予定。で、国内篇の1位が「オービタル・クラウド」これにはびっくりした。どう見ても、この作品は1位になる作品ではない。
 確かにSFとして見るのならば、近未来の宇宙でのテロをリアルに描いたことは評価できる。しかし、小説としての演出が決定的に下手。あと数日で生命に危機にひんしているのに緊迫感がゼロ。いちおう悪役の立ち位置の人物の造形もなってない。
 この作品、確かにSFとしては評価できるが、小説としては評価できない。SFの評価は、まず小説としての評価の上に乗っかって行うべき小生は考える。そのことを考えると2位の「深紅の碑文」の方が1位にふさわしいのではないのか。
 こういうランキングは参考にはなるが、あまりアテにしては失望することになる。良く判っている選考委員3人が1位に推した作品より、良く判っていない選考委員90人が2位に推した作品が1位にランクされたりする。今回の「オービタル・クラウド」の1位はその欠点が出た選考結果だった。
 次にどんな本を読もうか。そういう時、こういうランキングも一つの参考になるだろう。しかし、上記のごとく失望する可能性もある。かといって、出版されるすべての本に目を通すわけにはいかない。なんらかの道案内が必要だ。ではどうする。信頼すべきブックレビューを見つけることだ。「すずらん本屋堂」のようなテレビ番組でもいい。「本の雑誌」のような雑誌でもいい。また本を紹介している、これはと思うブログでもいい。自分と波長の合う本の紹介者を見つけることだ。この人の紹介する本なら間違いない。そんな人を見つけることだ。
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