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宇宙犬ハッチー


 かわせひろし    岩崎書店

 たまには児童文学も読んでやれ。地球にやって来た異星人と少年が知り合って友だちになる。異星人と少年との友情を描く。スピルバーグの「ET」のパターンである。ところが、それは前半だけ。
 ある夏の日、友樹はふしぎな犬と出会う。どこら見ても小さなかわいらしい子犬だが、こいつが話しかけてきた。日本語をしゃべる犬。
 この犬、犬ではない。他の星からやって来た。捜査官。正式には捜査官助手。上司の捜査官は重傷を負って意識不明。犬(に見える異星人)本名は長い地球人には発音しにくい名前だから、友樹はハッチーと呼ぶことにする。
 そういうわけで、友樹と知り合い、さらには友樹の妹、母、父もハッチーを異星人と認めるようになった。ハッチーは友樹一家以外には、見た目どおりかわいいちょっと変った犬として認識される。で、前半はここまで。
 後半は、ハル・クレメントの名作「20億の針」となる。ハッチーは凶悪な犯罪者を追って地球に飛来した。その犯罪者が生きている。捕まえなくてはならない。この犯罪者の造形が典型的なベム。どっから見ても悪役。どうなったかはお読みくだされば判るが、ベムベムしたベムではなく、ひとひねりしたベムでも良かったのではないか。
 素直に読めて素直に面白かったSFジュビナイルであった。小生のごとき苔むした古いSFもんでも楽しめた。この作者も「20億の針」なんて古いSFを知っているとしたら、それなりに古いSFもんに違いない。
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