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レンタネコ


監督 荻上直子
出演 市川実日子、草村礼子、光石研、山田真歩、田中圭、小林克也

 荻上監督の映画が好き。「バーバー吉野」「かもめ食堂」「めがね」「トイレット」いままでこれだけの荻上映画を観たが、どれも良かった。で、荻上映画の最新作のこの映画も観たわけ。
 いやあ、今回も良かった。荻上テイストいっぱいで、荻上ファンとしては大満足。この映画も例によって、絶妙な「間」の取り方、ほんの少しファンタジー、独特な美術で表現される画面、ほんわかとしたおかしさを持った登場人物、いやされるストーリー、いやあ、荻上直子いっぱいの映画であった。
 サヨコはレンタ猫屋。心に穴を空けてさみしい人に猫を貸す。猫は心の穴を埋めてくれる。夫に先立たれ、一人暮らしのさみしい老婆。家族から浮いている単身赴任の中年男。客の来ないレンタカー事務所に一人だけで勤務するOL。みんな心にぽっかり穴を空けている。
 藤子不二雄の「笑ゥせぇるすまん」も「心のスキマ、お埋めします」と同じようなことをいってるが、あの漫画の場合、客が喪黒の忠告を無視したり、欲をかいて分不相応な要求したため、とんでもない悲劇に見舞われ、最後に喪黒に「ど~ん」とやられる。
 サヨコは喪黒みたいなブラックではない。猫を貸すにあたって事前審査をして、合格したら猫を貸す。喪黒はタダだったが、サヨコはちゃんと1000円取る。
こんな料金では生活できないから、サヨコは別に仕事も持っている。サヨコは株のデイトレーダー、占い師、CM作曲家、ほんとはどれだ。
 3人の猫借り客が出てくるが、料金請求の時のサヨコのセリフはいつも同じ。ところが、借用書の文言や書式が微妙に違う。それにシーンが変わるたんびにサヨコの服装が違う。隣のばあさんはサヨコと顔を合わせば憎まれ口をたたくが、憎まれ口もいつも違う。
 一番でっかい穴を心に空けていたのは、だ~れだ。 
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