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とつぜんコラム№79 薬物とスポーツ

 巨人の外人選手が禁止薬物を使っていたとかで解雇された。スポーツの世界での薬物にまつわるトラブルはプロ、アマを問わず枚挙のいとまがない。 
 ところで、なぜスポーツで薬物を使うことはいけないのだろう。小生が考えるに、その理由は二つあるのでは。
 まず、不公平である。薬物を使っていない選手と、使っている選手が混在して同じ競技を行えば、使っている選手が有利。これでは不公平で、競技としての根底をゆるがせにする。
 次に、健康に悪い。副作用のない薬物はない。たびたび使用していると、使った選手が健康を害する。
 水泳競技において、スピード社の水着を着用すれば記録が伸びるとのこと。しかし、契約の問題で、この水着を使いたくても使えない選手がいる。これも不公平ではないのか。薬物を使っている選手、使っていない選手が不公平、というのなら、この水着の問題も同じではないか。薬物が不公平で使ってはいけなのならば、このような記録が伸びる水着も使っていけないのでは。公平を期するなら、しかるべき機関が、その競技会に参加する選手全員に、同じ水着を配布して、その水着以外は使用禁止にしなければいけない。
 スポーツの世界、特に欧米ではフェアプレーの精神とやらで、やたら公平を大切にする。格闘技の体重制などは、大きな選手と小さな選手が同じ競技で戦うのは不公平という理屈で設けられたものだろう。日本の格闘技にはそんなものはなかった。柔道も東京オリンピックで正式競技に採用される以前は、体重制などはなかった。現に相撲は体重制ではない。舞の海が曙を負かしたこともあった。日本以外の国出身の力士も増えたが、不公平であるとの声は今のところあがっていない。
 そんなに公平公平というのなら、一番大きな要素を公平にすべきである。お金を公平にすべきではないだろうか。世界で通用する強い選手を育成するにはお金がかかることはご承知の通り。オリンピックでメダルでも取ろうとすれば、大変なお金が必要。当然、たくさんのお金が練習に使える選手が強い。これ、不公平ではないのか。公平を期して体重を揃えるぐらいなら、練習に使うお金も公平にすべき。金額の上限を決めるとか、オリンピック出場選手にはIOCが、同額のお金を全選手に配布して、その範囲内で練習を積むとか。それでこそ公平というものだろう。
 一番大きな要素のお金の問題が、不公平極まりないのに、薬だけ目くじらたてるのはどうも理解できない。公平不公平ではなく、薬は健康に悪いから禁止なんだ、と、いわれるかも知れない。そもそもスポーツ。特にプロやオリンピックのような頂点を極めるスポーツは健康にいいものだろうか。確かに休日に軽く汗を流す程度のスポーツは健康にいいだろう。しかし、プロ、五輪選手のような極限まで肉体を鍛え上げる選手たちは、とても健康とは思えない。
 小生は阪神ファンにつきプロ野球をよく観るが、彼らのほとんどは、なんらかの障害を抱えている。チームの誰かがケガをしている。丈夫の塊のような金本はヒザを手術。赤星は首ヘルニアの持病持ち。林はやっと肩のケガが治ったばかり。ウィリアムスも手術している。福原は骨折。平野は筋肉損傷。安藤も腰が痛いゆうとる。まるで病人ケガ人集団。
 と、なると薬は健康に悪いからいけない、という根拠が怪しくなってきた。そのうちDNAに細工をして、肉体の根本から増強された選手が出てくるかもしれない。そうなると何が公平で何が健康か判らなくなってくる。
 ほとんどの人は観客として、スポーツに接しているわけだろう。観て面白ければ何をしてもOKという、割り切ったスポーツのとらえ方が出てくるような気がする。
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