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6月19日(木) 男の料理

 小生もそうだが、料理を趣味とする男は、いまでは別にめずらしくない。「男子厨房に入らず」などという言葉は死語となった。この男の料理は、主婦が家事として行う料理とはまったく違うジャンルの料理といっていいだろう。
 民俗学の用語でいうと、主婦の料理が「ケ」の料理とすれば、男の趣味の料理は「ハレ」の料理だ。「ケ」の料理、つまり毎日のルーティーンワークの料理。日々の生活になくてはならないモノが主婦の料理である。これに対して「ハレ」の料理、お祭り、イベントごととしての料理が男の料理だ。
 だから男の料理はたいそうで、おおぎょうである。大騒ぎして料理をする。何日も前から、あれを作るぞ、と、家族に盛んにPRする。作ったら必ず食わす。食わしたら、必ず感想を求める。おいしい、といわれるといいが、まずい、とでもいわれたら大変。どこがあかんかった。なんであかんかった。何が多すぎた。何が少なかった。どうしたらええと思う。と、しつこく追求する。
 男の料理はこだわりの料理である。材料にこだわる。やれ、昆布は羅臼でないとあかん。吸い物のダシは利尻でとらなダシが濁る。鰹節は枕崎産の血合いの少ないもの。料理用の白ワインは辛口。バターはカルピス。塩は伯方の塩。鯛と蛸は必ず明石のもの。うるさいこと、うるさいこと。そのへんのもんで、ちゃっちゃとできんのか。
 道具にもこだわる。小生が料理に使う鍋。北京と広東の中華鍋2種。ソテーパン。鉄のフライパン、その他。包丁は出刃、牛刀、菜切り、ペティナイフ、中華包丁。どんなもんで料理しても味は変わらんと思うが。
 ともかく、男の料理はおおぎょうで、うるさく、たいそうである。困ったもんだ。まったく。
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