風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

どうでもいい

2016年06月03日 | 
どうでもいい
すべてはどうでもいい
どうでもいいからこそ
すべてが愛しい

愛しいに理由があれば窮屈だ
愛しいに理由なんぞあってほしくない
どうでもいいからこそ
すべては愛しい

命など吹き飛んでしまえばいい
それでも吹き飛ばされもせず
太陽の下にじっと身をすくめているからこそ
命は愛しい

どうでもいいから自由が尊い
どうでもいいから自分の生き方を決められる
どうでもいいから他人を信じたい
どうでもいいから季節の移り変わりが耐え難く愛しい

どうでもいいという大海の中を泳ぎ回る
どこの港がいいだのあそこの岩礁がシブいだの
どうでもいい噂が次から次へと流れてくる
すべては自分の手腕と決断にかかっている

ややもすればどうでもよくない世界にあこがれる
何かを全部誰かに決めてもらいたくなるのだ
そんな誘惑に打ち勝ってどうでもいい大海に泳ぎ出る
自分の進路は自分で決める

死んだっていい
それこそどうでもいい
どうでもいいからこそ
生きてる限りは生きてやる

それだけだから
生きることが楽しくなる
思う存分に冒険したくなる
死ぬという恐怖が無くなる

理由がれば理由から外れれば怖くなる
何かのために生きれば何かのためを失えば怖くなる
生きることにこだわれば死ぬことが怖くなる
恐れは次から次へと恐れを生み続け

そんなこんなもどうでもいい
どうでもいい大海を泳ぎ切ろう
波が荒れようが
どこにいるかが分からなくなろうが

泳ぎ切ろう
目的地などどうでもいい
どこかに辿り着くのもいいし
ひたすら漂うのもいい

ムキになって泳いだらだめだ
時にはただぷかぷか浮かんで太陽と風と空に身を任せよう
すべてはどうでもいい
完璧だ







時のはじまり

2016年06月03日 | 
何もかもを見抜く目が
何もかもを隠す目に出会ったとき
全てが完全にスパリと消えてしまった

時は止まり
色を失い
質量も消えた
風さえそよとも吹かなかった

何もかもが消え果てて
全ての記憶が失われたころ
果てしのない暗黒の空無のかなたで
誰かがクスリと笑った

そうしてまた
お馴染みの波紋が虚空に広がった
その様子を天空の外から眺めていた天使たちが
やれやれと身支度を始めた

ある顔色の悪い天使が憂鬱そうに古びた木箱から重たそうな爆薬を取り出し
いいかにも嫌でたまらないといった風情でそれに点火した
暗黒の空無の一点が唐突に爆発した
そうして再び 時が流れ始めた