風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

民主主義

2008年01月07日 | 雑感
昨夜NHKで「Why Democracy 民主主義」という番組をたまたま観ました。
一本目は中国の小学校の低学年のクラスで学級委員長を選出する過程を追ったもの。
3人の児童が立候補しますが、その選挙運動たるや大人の世界そのままの陰口、悪口、甘言なんでもありのえげつなさ満開で、
そのえげつなさに3人の児童は心が折れかけて、立候補をやめようとしますが、それをやめるなとけしかけるのが親と先生。
人を押しのけても、立身出世するのが中国では美徳みたいです。
8歳の子供が、相手の欠点を並べ立て、それに屁理屈で抗弁する姿というのはどうも美しくないのですが。
結局、委員長に選ばれたのは親の入れ知恵で最後クラス全員にプレゼント(賄賂?)を渡した強引なところのある子供。
負けた二人の子はおいおい泣きますが、なんというか、後味の悪い泣きかたです。

もう一本は川崎の市会議員の補欠選挙に立候補した候補の立候補から当選までの日々を追ったもの。
駅前や幹線道路で演説を始めますが、誰一人耳を傾けるものはいません。
身内や町内会や老人会やあらゆるところを回って顔を売り込みます。
選挙運動が本格化した後は、奥さんも車に乗ってマイクを握って名前を売り込みます。
候補者の事務所にはいかにも離れした選挙戦のプロみたいな顔をしたスタッフが色々とアドバイスします。
そんなアドバイスが本当に有効なのかと首を傾げたくなるようなアドバイスもあります。
朝早くから夜遅くまで候補者夫妻は町を走り回ります。
何かを大声で連呼していますが、政策を訴えているわけではなさそうです。
ひたすら名前の連呼です。
選挙戦も後半になりますと、その頃人気絶頂だった小泉元総理など、大物政治家が応援に入ります。
小泉元総理は候補者と禄に挨拶も交わさないうちにわっとしゃべって、わっと去ります。
それでも、候補者はからくも当選します。
応援に回った国会議員らしき人物が、「皆の恩を忘れないように」と繰り返します。
これでは応援してくれた組織団体との縁は絶対に切れそうもないなと思います。
自由な政策など絵に書いた餅だなと、後ろに並んだ選挙のプロらしき人たちの怪しげな顔を見ながら思います。

民主主義というのは危ういものです。
参加する一人一人が自覚と責任を持って参加しなければ、民主主義という仮面を被った化け物になります。
勝つためには何をしてもいいという中国の児童の民主主義。
政策の訴えも、その訴えを聞く者も不在のままに、政治家が選ばれる日本の民主主義。
どちらも化け物です。

それから、年末年始にかけて環境破壊を取り上げる番組が目に付きました。
如何に問題が検証されようとも、肝心の民主主義が機能しない世界では、問題は先送りされるでしょう。
なかなか厄介なことです。

民主主義というのはそれぞれバラバラの個人の多数決で決着するということではないでしょう。
それなら、サル山のボスの方が正しい決定を下すでしょう。
民主主義というのは、人々が公共の福祉に沿ってギリギリの叡智を搾り出して持ち寄るというところにその意義があるのでしょう。

人間は歴史を重ねても、同じような過ちの中にいるものなんでしょうね。