Photo by Chishima, J.
(ノビタキのオス 2009年6月 北海道河西郡更別村)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)
4月も10日を過ぎると、中国南部や東南アジアで冬を越していたノビタキが十勝に帰ってきて、「ヒーヒョロリヒー」と朗らかなさえずりを聞かせてくれます。スズメより少し小さく、オスでは頭から背中の黒とお腹の白、胸のだいだい色のコントラストが美しい小鳥です。
ヒバリと並んでもっとも普通の草原の小鳥で、農耕地や海岸、原野などのほか線路わきや住宅地内の空き地といった、ちょっとした草のある場所にも生息しています。また、山の中でも伐採跡地やスキー場など開けた環境があればいて、驚かされることがあります。
十勝ではごく身近なノビタキも、本州では高原の鳥です。生まれ育った群馬では、毎年夏に、唱歌「夏の思い出」で有名な尾瀬ヶ原へ見に行くのを楽しみとしていました。北海道は寒冷なので、平地でもノビタキの好む環境や餌があるということなのでしょう。帯広周辺では市街地にも普通なゴジュウカラやヒガラなども、本州では山に行かないと見ることができない鳥です。
生息数の多い鳥ですが、ほかの鳥の巣に卵を産んで育てさせる、托卵(たくらん)という習性を持つカッコウの、主な托卵相手になっています。托卵されるとカッコウのヒナが少し早く孵(かえ)って、本能的にノビタキの卵を巣の外に捨ててしまうので、ノビタキにとっては迷惑な話でしょう。
(2015年4月10日 千嶋 淳)