
All Photos by Chishima,J.
(以下比較画像のウミガラスを除きすべて ウミバト 2011年11月18日 北海道厚岸郡浜中町)
全体的に白黒のコントラストが強く、目の周囲の黒が後方へ線状に伸びており、距離が遠かったこともあって最初はウミガラス冬羽のように見えた個体(一連の写真は同一個体)。画像だけ見るとまさかと思われるかもしれないが、絶えず揺れている船上で風や波を受けながら双眼鏡を覗いているとそのような「錯覚」も稀ではない。海上では比較できるものが付近に無いことも多く、大きさの感覚が掴みづらいことも「錯覚」を起こしやすくする要因である。尤も、全長はウミバトが39~43cm、ウミガラスが38~43cmなので、実際にはほぼオーバーラップしている(それでも胴体部分の大きさによって、通常はウミガラス類の方が大きく見える)。


画像で見るとシルエットは完全にウミバト属のもの。頭頂部から目より前上方、そして目の後方に及ぶ黒色部以外は白く、 a href="http://nemu.no-blog.jp/torikichinikki/2012/02/2cepphus_columb.html">「ウミバト(その2)」や「ウミバト(その3)」の記事に掲載した個体のような広域に亘るくすんだ灰色は無い。脚の色は海面下にあるため不明で、雨覆の白色部も脇の白い羽毛がちょうど同部分を覆い隠しているため見えない。

ウミガラス冬羽との比較。どちらもそれなりに距離がある状態での見え方。ウミガラスの嘴は長く、多くの場合このように上向きに見える。また、頭頂からの黒褐色は途切れることなく胴体部分へ続いているのに対し、ウミバトでは後頚は白い。大型ウミスズメ類は属間、属内とも条件が悪いと紛らわしい場合が多いので、特に4種が混在する冬場は極力撮影して画像判定するのが確実と思われる。
(2012年2月11日 千嶋 淳)
*一連の写真は、NPO法人エトピリカ基金の調査での撮影。