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鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイドを行っていた千嶋淳(2018年没)の記録

150606 十勝川朝食探鳥会

2015-07-14 12:43:43 | 鳥・夏

Photo by Chishima, J.
朝食探鳥会の様子 2015年6月 北海道十勝川中流域)


 野外での飲食には格別なものがあります。鳥見人だったら、鳥の姿や声を愛でながら飲食したいと思うのも当然な感情です。そんな願いを叶えてくれるのが、この探鳥会。十勝川の河川敷でひとしきり鳥を見た後、支部長が厳選した素材を使った朝食を野外でいただきます。
 午前6時半、会場の河川敷上空には、十勝の平野部では珍しいアマツバメが20羽以上乱舞していました。歩き出すと、河畔林と草原がモザイク状に入り混じったこの場所ではアカゲラ、センダイムシクイ、コヨシキリなど森林、草原性双方の鳥にくわえ、アオサギなど水辺の鳥も次々現れます。
 ヤナギの梢に止まっていた1羽の鳥を双眼鏡に入れ、我が目を疑いました。アカモズです!元々多い鳥ではありませんでしたが、この10~20年で激減し、近年ではほとんど見られなくなってしまいました。私も、十勝ではかなり久しぶりに見ました。
 アウトドア用のテーブルや椅子が広げられた朝食場所に戻り、パンやソーセージ、チーズ、それに旬のアスパラガスなどの朝食をいただきました。ある程度食べ、子供たちが虫捕りに興じる頃にはコーヒーや紅茶を片手に鳥談義に花を咲かせました。そんな中でもノゴマやツツドリが近くで囀り、アマツバメ類やカルガモ、コムクドリなどが次々と上空をよぎります。
 実に爽やかな6月の朝でした。

確認種:カルガモ キジバト アオサギ ツツドリ カッコウ ハリオアマツバメ アマツバメ オオジシギ ミサゴ トビ アリスイ アカゲラ アカモズ ハシボソガラス ハシブトガラス ハシブトガラ シジュウカラ ヒバリ ショウドウツバメ ヒヨドリ ウグイス センダイムシクイ マキノセンニュウ エゾセンニュウ コヨシキリ コムクドリ ノゴマ ノビタキ ニュウナイスズメ ハクセキレイ カワラヒワ ベニマシコ ホオジロ アオジ


(2015年6月6日   千嶋 淳)

150602 モニ1000鳥類調査+α

2015-07-13 16:10:32 | 鳥・夏

Photo by Chishima, J.
オオジシギ 2015年6月 北海道広尾郡大樹町)


 モニタリングサイト1000の一般鳥類調査で海岸部へ行ってきました。この調査は全国400ヶ所以上で行われていて、野鳥の会の支部会員が担当しているサイトも多数あります。繁殖期と越冬期に2日ずつ、5つの定点を2回ずつ調査します。各定点での調査は10分と短めですが、2分ごとにすべての鳥の種類と数を記録しなくてはならないので、鳥の多い繁殖期は特に大変です。
 海岸付近の自然草原と採草地が入り混じったそのサイトでは、コヨシキリやノゴマ、オオジシギ、カッコウなどが賑やかに鳴き交わしていました。
 ただ、前回調査した5年前はセンニュウ類が非常に多い印象だったのですが、今回は少なめでした。まだ渡来初期なので少ないのかもしれないし、個体数や環境の変化を反映しているのかもしれません。100年続く予定のこの調査が進んでゆけば、何らかの傾向が明らかになるでしょう。そう、100年続く調査なので、私一人でこのサイトを完遂することは到底できません。繁殖期調査はもう1日あります。興味のある方(特に若い方)は一緒に調査しませんか。
 調査後は海岸や十勝川下流域でゆるーく鳥を見ながら帰りました。沼ではマガモのヒナ連れ、林では巣立って家族で行動するエナガの小群など見て、昨日に引き続き鳥たちの繁殖期真っ盛りでした。そして、昨日と同じく暑い十勝平野でした。


確認種:マガモ スズガモ アカエリカイツブリ ドバト キジバト カワウ アオサギ コサギ タンチョウ ツツドリ カッコウ コチドリ オオジシギ オオセグロカモメ トビ オジロワシ カワセミ アリスイ コゲラ アカゲラ チゴハヤブサ モズ ハシボソガラス ハシブトガラス ハシブトガラ シジュウカラ ヒバリ ショウドウツバメ ヒヨドリ ウグイス エナガ エゾムシクイ センダイムシクイ マキノセンニュウ シマセンニュウ エゾセンニュウ コヨシキリ コムクドリ アカハラ ノゴマ ノビタキ コサメビタキ キビタキ ニュウナイスズメ スズメ ハクセキレイ ビンズイ カワラヒワ ベニマシコ ホオアカ アオジ オオジュリン


(2015年6月2日   千嶋 淳)

150601 ご近所鳥見(池田町)

2015-07-13 16:04:12 | 鳥・夏

Photo by Chishima, J.
ハリオアマツバメ 2015年6月 北海道中川郡池田町)


 毎年、ハリオアマツバメを撮ると、自身の瞬発力と機材の性能の経年劣化を実感させられます。それでも時折、低空を猛スピードで「シュッ」と羽音を残して飛び過ぎる姿はカッコイイ。
 緑もすっかり濃くなって汗ばむような陽気の中、光学機器をぶら下げてウロウロしてたらパトカーが近付いて来たので「職質!?」と思ったら、公園内を巡回して去って行きました。ホッ。
 ハシブトガラとゴジュウカラの餌運びを観察しました。また、コムクドリの雌雄がエゾリスを激しく攻撃していました。近くに巣があったのでしょう。鳥たちも繁殖の最盛期を迎えつつあります。


確認種:キジバト ツツドリ カッコウ ハリオアマツバメ トビ コゲラ アカゲラ ヤマゲラ ハシボソガラス ハシブトガラス ハシブトガラ ヒガラ シジュウカラ イワツバメ ヒヨドリ センダイムシクイ ゴジュウカラ キバシリ コサメビタキ キビタキ ニュウナイスズメ スズメ ハクセキレイ カワラヒワ ベニマシコ シメ アオジ 


(2015年6月1日   千嶋 淳)

ノビタキ

2011-08-30 19:55:09 | 鳥・夏
Photo
All Photos by Chishima,J.
ノビタキのオス 2009年6月 北海道河西郡更別村)

(2011年4月4日釧路新聞掲載 「道東の鳥たち25 ノビタキ」より転載 写真を追加)

 
 3月を過ぎると夏鳥が帰って来ます。中旬のアオサギ、下旬のヒバリに続き、4月にはモズ、ベニマシコ…と北の大地は日々賑やかさを増します。そして枯草色の風景の中にノビタキの「ヒーヒョロリー」という清涼なさえずりを聞くと、本格的な春と巡る季節の確かさを実感します。十勝の平野部では例年4月10日過ぎ、釧路や根室では数日から1週間程度遅れます。

ベニマシコ(オス)
2011年5月 北海道中川郡幕別町
Photo_2


 スズメより少し小さな全長13cmのノビタキは、夏鳥として本州中部以北に渡来します。本州では高原の鳥ですが、北海道では海岸近くや平地にも普通で、原野や河川敷だけでなく、農耕地や住宅地内の空き地、森林の伐採跡、スキー場等開けた環境に幅広く生息します。数も多く、道東ではヒバリと並んで最も身近な草原の鳥です。
 オスの夏羽は頭から背、翼にかけての黒、腹の白、胸の橙褐色が美しいコントラストを作ります。メスは全体的に茶色っぽく、翼の白斑が目立ちます。夏には雌雄でこれほど違った体色も、秋の羽の抜け変わり(換羽(かんう))でオスもメスと似た茶色っぽい冬羽へ変わります。翌春、オスは再び鮮やかな夏羽になりますが、この際換羽はしません。冬羽への換羽直後に、例えば頭の羽毛一枚一枚をよく見ると中央より根元は黒く、そこよりも先端側が茶色くなっています。月日が経つ内にこの茶色い部分が擦り減って失われ(磨耗(まもう))、黒い部分が現れて来るのです(白い部分も同様)。つまり、前年秋に換羽した時点で、翌春以降の夏羽を内側に纏っているわけです。換羽によらず羽色が変化する仕組みには、磨耗、羽毛内の色素の崩壊、羽毛表面への着色がありますが、ノビタキは磨耗により羽色が激変する好例です。


冬羽から夏羽へ移行中のノビタキ・オス
2008年5月 北海道十勝郡浦幌町
Photo_3


ノビタキ(メス)
2006年5月 北海道河西郡芽室町
Photo_4


 渡って来てすぐに、オスは灌木の枝先や杭の上等目立つ場所でさえずってなわばりを作り、飛びながらもよくさえずります。早いものでは4月下旬から、草の根元や石の下等地上の窪みに巣を作り、2~7卵を産みます。緑濃くなる6月中旬にはヒナが巣立ち始め、無事ヒナを巣立たせたつがいの多くは、8月まで続く2回目の繁殖に入ります。シマアオジ等多くの草原性鳥類が減少する中、ノビタキはその兆しが見られない数少ない種です。農耕地や住宅地を含む多様な環境に適応できること、早い時期から複数回の繁殖を行うこと等が有利に働いているのかもしれませんが、よくわかっていません。
 捕食者のタカ類やキツネ以外の天敵はカッコウです。他種の巣に卵を産んで子を育てさせる「托卵(たくらん)」で有名なカッコウの、道東での主要な托卵相手がノビタキです。托卵されると先に孵化したカッコウが卵を捨ててしまい、ノビタキはヒナを育てられません。カッコウの成鳥が子育て中の巣を襲い、6羽のヒナを殺してしまった例が報告されています。そこまでするのは稀かもしれませんが、カッコウを激しく威嚇するノビタキは5,6月によく観察されるので、日常的に托卵されているのでしょう。


カッコウ(幼鳥)
2006年9月 北海道帯広市
Photo_5


 原野が色褪せる10月中旬までには南へ渡り、東南アジアや中国南部で越冬すると言われますが、日本のノビタキの具体的な越冬地は不明です。ノビタキのような身近な種に関しても、わかっていないことが鳥の世界には多くあります。


ノビタキ(第1回冬羽)
2007年9月 北海道中川郡幕別町
Photo_6


(2011年3月30日   千嶋 淳)


2010年7月十勝川下流域の鳥

2010-08-07 00:27:15 | 鳥・夏
1008061
All Photos by Chishima,J.
クロハラアジサシ 以下すべて 2010年7月 北海道十勝川下流域)

日本野鳥の会十勝ブログ2010年8月6日より転載・加筆)


 7月も後半になるとあれほど賑やかだった朝夕のコーラスも閑散となり、そこにいるはずの鳥たちもなかなか姿を現してくれず、主に平地で活動している鳥見人にとっては少々寂しい時期になります。それでも、巣立ったばかりのあどけない幼鳥や、ヌマアジサシ類やツバメチドリなど思いもよらぬ珍客に出会えることもあるのがこの季節の醍醐味です。


 月が変わって8月。連日の猛暑に夏の盛り感満点ですが、鳥たちの世界では既に秋が始まっています。十勝平野の何か所もで35℃以上の猛暑日を記録した今日、十勝川中流域の湿地には戻りのアオアシシギやクサシギが羽を休めていました。海岸にミユビシギやソリハシシギの磨滅しきった夏羽が降り立つのも今頃です。月が後半に向かうにつれ、北からのシギやチドリが種類も個体数も増す一方で、エゾムシクイやコムクドリ、ショウドウツバメなどこの地で夏を過ごした鳥たちの、気の早い種類は続々と南へ渡ります。そして下旬、コガモをはじめとした渡来組のカモ類が川や沼で目立ち始めると、いよいよ旅鳥や冬鳥の渡来が本格化するのです。
 この7月に、主に野鳥の会十勝会員によって、周辺の海上や丘陵も含めた十勝川下流域で観察された鳥は、以下の64種でした。種数が少ないのは、鳥が観察しづらいことにくわえて、観察努力が少ないことも影響していると思います。

アカエリカイツブリ カワウ ウミウ アオサギ オオハクチョウ マガモ ヨシガモ クロガモ カワアイサ トビ オジロワシ チゴハヤブサ タンチョウ クイナ キアシシギ オオジシギ オオセグロカモメ ウミネコ クロハラアジサシ ドバト(カワラバト) キジバト アオバト カッコウ アオバズク ハリオアマツバメ アマツバメ カワセミ アリスイ アカゲラ コゲラ ヒバリ ショウドウツバメ ツバメ ハクセキレイ ヒヨドリ モズ ノゴマ ノビタキ クロツグミ アカハラ ウグイス エゾセンニュウ シマセンニュウ マキノセンニュウ コヨシキリ オオヨシキリ エゾムシクイ センダイムシクイ キビタキ ハシブトガラ ヒガラ シジュウカラ メジロ アオジ オオジュリン カワラヒワ ベニマシコ シメ ニュウナイスズメ スズメ コムクドリ ムクドリ ハシボソガラス ハシブトガラス


刈り取り前のコムギ畑に親子で現れたタンチョウ
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ノゴマの幼鳥
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(2010年8月6日   千嶋 淳)