過労死予備群の「食から笑顔になる生活」

夜討ち朝駆けで仕事する日々。忙しくとも自分なりの手間をかけて、美味しく笑顔になる生活を志します。

琉球料理に頭をたれる夜15:こんぺん

2015-11-23 11:19:00 | 旅日記
「コースの13品の他に、お菓子とお茶を差し上げたいと思うのです。お菓子はお持ち帰りいただけますので、お包みするほうが宜しいでしょうか?」
こんな風に、静かに尋ねてくださる方がいたら、もっとこの場所にいて、お話を聞いていたくなります(微笑)。
こちらで、いただきたいと、所望しました。
四つ割りした、どら焼のようなお菓子と、お茶の支度が運ばれてきました。
おお、素敵。
盛りつけが二通り。私のまえには、鶴が日ノ出のようにお菓子を背負い、連れの前には、朱塗りの高坏に静かにおかれています。並べてみました、お行儀アウト(笑)。



■こんぺん
芳醇な胡麻の香りがします。
衣で餡を挟んでから、焼いたと見えるお菓子です。



■41種の薬草茶とともに
おぅ。お茶をついでくださると、草の香りがします。(笑)。
アムッ……ざくりっ、むっちりした食感の皮に、香りたつ胡麻のしっとり餡が美味しい!
米粉に卵黄で衣にして焼くと、こんな食感になると思うのですが…。
品のよい、静かなお菓子です。これに苦味のあるお茶は、よく合いました。何か、懐かしい遠い日を思い出したくなる気持ちになりました。

このお菓子を誉めると、店主は「今はピーナッツバターを使う店が増えたのですが、この店は昔ながらに作っています」と、話してくれました。
どこで買えるか、と尋ねると、曖昧な笑顔に。

後から調べてみました(笑)。
こんぺん(クンペンとも)は、伝統の琉球菓子で、いまでも法事のひき菓子に使うところもあるそうです。
琉球王家は米粉に卵黄を使い、餡を黒胡麻、落花生で作ったとのこと。これは冊封使のもてなしにも使ったそうです。
昨今は小麦粉、砂糖、卵で生地を、ピーナッツバターに胡麻を混ぜた餡が使われるそうです。

ここにも胡麻が使われていました。食べることを大事に考える文化に頭をたれる時でした。

豊かな晴れやかに美しい琉球料理を堪能しました。一時間半の食(笑)を、深く掘り下げてみたかった、実に学びのある食でした。

折り紙細工の袋や鶴をわけてくださったり、お茶をおかわりしたり。ほのぼのと過ごした、いい時間でした。

はじまりは、宮本亜門さんと「琉球料理乃山本彩香」の記事を、雑誌クロワッサンで読んだことでした。命を養う食という言葉に、若造のワタクシは憧れて、いつか行きたい、と願ったものでした。
この願いは、2012年に閉店で叶わぬものとなりました。私も忘れていました。しかし、ひきついでくださる方がいて。今回、ご縁が繋がって、稀有な体験ができました。
店主にして、お料理を作ってくださった小林清高さんに、丁寧に優しいお二人の方に感謝します。どうか、お健やかに、この手間を惜しまぬ食を、つないでいってくださいませ。

今ならわかります。沖縄だから残る特別な食もありますが、おそらく、多くの伝統食には、その土地ならではの命を護る願いが込められているのです。もてなしやご馳走の最終の願いは、相手の幸い、健やかさを願うことだと思うのです。
そういう大人に、私もなりたい。
■郷土料理の琉音(りゅうね)、那覇市久米一丁目


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琉球料理に頭をたれる夜14:しーくーぴー

2015-11-23 09:14:00 | 旅日記


■西国米 (しーくーぴー)
タピオカのデザート、と献立にはありました。
わあ、可愛い。乳白色のタピオカ、黄色はシークワーサーのゼリー、うん? 赤い実は何でしょう?
これが生のアセロラですって!
沖縄では9月から11月まで、繰り返し、アセロラが実るのだそう。日持ちがしないので、ジュースにしてから島の外にでるのだそう。

生のアセロラ、初体験です。ドキドキ!
うん!酸味があり、さっぱり。シークワーサーのゼリー、タピオカが砂糖水に浮かぶ。食感の違いが楽しいです(ニッコリ)。貝殻のお匙も愛おしい。
さわやかに涼しく締めくくるデザートでした。

後から調べてみました(笑)。
西国米とは、でん粉で作った米粒状の蒸し物を、砂糖水に浮かして供した、琉球料理の名前とのこと。
タピオカはキャッサバでん粉から作ります。糊化してから、球状に真空乾燥させたタピオカ・パールを戻したものが、このボウルにあるタピオカですから、案外に琉球の方は、タピオカを知っていて、工夫して、似たものを加えようとしたのかな? 空想はひろがります(ニッコリ)。


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琉球料理に頭をたれる夜13:とぅんはん

2015-11-23 08:03:00 | 旅日記
おはようございます。久しぶりに温かい東京です。……と書いた土曜日から一転して寒い祝日の朝です。
こちらに戻って、走る日々を送っています(笑)が、もう少し、沖縄の食記事を続けます。学びが深いのです(笑)。



■豚飯 (とぅんはん)
■島野菜のお漬け物

豚飯は、ご飯にお出汁をかけて、お召し上がりください、とのこと。
奧に、からからに並んで、朱色の湯桶が見えています。
お椀の蓋をとると、炊き込みご飯とみえます。豚肉、人参、椎茸など。これに鰹節出汁の香る、かけ出汁をはるのです。



ふふ、きれい。揺らぐような上品な香りがします。
優しい味! ふっくら香る汁の奧に、豚肉と椎茸の旨味を含んだ飯が重なって。蒸し暑い時期にも、さらりっと食せると思いました。

ああ、そうか!
奄美の鶏飯(けいはん)は、飯に裂いた蒸し鶏や錦糸卵、椎茸や細切り絹さやを盛りつけて、出汁をはる。出汁かけ飯の習慣が、ミナミの近しい関係にあるのてしょうか。

お漬け物もきれい。ナーベラーの塩漬けに、冬瓜のハイビスカス漬けとのこと。ローゼルです、と聞き、ハワイを思い出します。
ハイビスカス・ティは、冬咲きハイビスカスとも呼ばれるローゼルを使って、ルビー色ときれいな酸味をだします。ハイビスカス&ローズヒップ・ティは、ハワイのお土産にいただきますが、これがローゼルです。
ローゼルは色と酸味だけではなく、ビタミンC、疲労回復効果、皮膚再生力など、天然の薬効がいまは知られています。
琉球料理は、知識ではなく、体感から体によきものを、選んできたのだ…と、胸が温かくなりました。伝統食には、その健やかさ、地域の植生を知る豊かさに、頭をたれる学びがあります。

■豚飯を作る
1)具材は細かいさいの目切りにする。人参 30g、沖縄蒲鉾 20g。干し椎茸 二枚は戻してから、さいの目に。豚肉 100gは固茹でして刻む。
2)米2カップ、椎茸の戻し汁を混ぜた鰹節出汁 2 1/4カップ、塩 小匙1/2、さいの目切りにした具材(1)を、鍋で炊く。
3)かけ汁をつくる。鰹節出汁 4カップ、塩 小匙2、醤油 小匙1、生姜の絞り汁 少々、を合わせ、供するまえに暖める。
4)椀に飯をもり、かけ汁をはる。

※最近の本には、飯に極細切りした紫蘇をのせてから、かけ汁を、と記載されています。紫蘇は香りが強いから、どうかしら?(笑)


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