tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

不勉強なIMF見解

2012年06月13日 12時14分13秒 | 経済
不勉強なIMF見解
 IMFの今年の対日報告をまとめるために来日しているリプトン副専務理事が、記者会見で対日報告のポイントを明らかにしていますが、世界の金融問題の最高権威であるべきIMFがこの程度の報告でお茶を濁すことは大変に残念です。

 まず、現状で日本の最優先課題は財政再建で、野田総理の言っている10パーセントでは足りず、最低でも15パーセント程度の消費税率にすべきと述べています。

 また、金融政策と円高については、ヨーロッパの混乱で、安全性配慮から円が買われ、この3月から5パーセント程度の円の過大評価が見られ、これが輸出企業の利益を脅かしているが、為替安定化のためにも、日銀は、より長期の国債の買い入れを含め、さらなる金融緩和に踏み切るべきだと指摘しています。

 その上で、日銀の決めた1パーセントのインフレターゲットは大変結構で、2024年中にそれを実現するようにすべきと言い、金融緩和はインフレ期待の環境づくりに役立つと言っています。

 日本のIMFに対する巨額の拠出金について、感謝の意を表明したかどうかは報道されていませんが、それを言うと、財政再建に消費税引き上げをというのが、もっとIMFに拠出するカネを政府に持たせる意図かなどと言われそうだと思ったからでしょうか。

 冗談はともかく、円の過大評価を言うならば、今年3月からなどというのではなくリーマンショックで$1=¥120から90円という3割を超える円高による過大評価の影響はどう判断しているのか、その上での今回また5パーセントの円高という実態をどう見るのか、もう少し長期視点で判断をしなければならないのは当然でしょう。

 その上で、金融緩和がインフレにつながるのかどうかを云々するのでなければ、正確な判断にはならないことはだれの目にも明らかでしょう。
 それにつけても視点が浅薄だと思うのは、インフレが金融次第で起きるという、昔の貨幣数量説だけで物を言っているお粗末さです。

 対日レポートなら、日本の物価の動きを理解してからやるべきでしょう。
 日本の物価は金融だけでは動きません。80年代後半のバブルの時のように、超金融緩和で土地やゴルフ場の会員権は年に何割も上がっても、消費者物価はほとんど上がらなかったという実績を、理由も含めて勉強すべきでしょう。

 また今のデフレが、国内要因ではなく、円高による国際比較での価格とコストの高騰によるものだという事も確り理解しておくべきでしょう。
 5パーセント円高になれば、日本の物価は国際的には5パーセント上昇しているのですから、経済のグローバル化を前提にすれば、国際価格に向けて下がる(デフレになる)のは国際競争が貫徹している証拠です。それが日本の金融緩和で止まるのでしょうか。

 止まるとすれば、金融緩和で、最低でも5パーセント円安になった時でしょう。さらに財政再建は日本経済への信頼度を高め「円=安全通貨」というイメージを高めて円高を呼ぶでしょう。インフレターゲットはますます遠くなります。

 未だ細かい点はいろいろありますが、日本政府は、IMFに巨額な拠出をして支援しているのですから、IMFが本来の使命を果たすように(G20も指摘している)、国際投機資本やヘッジファンド、各付け会社などの監督を強化し「国際金融の安定化、健全化」に精出すように忠告したら如何でしょうか。


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