tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

G7、安住財務相の本音発言

2012年06月06日 12時57分34秒 | 経済
G7、安住財務相の本音発言
 建前ばかりで何も進まなかった過日のG8に不安を感じたのでしょうか、急遽、電話会議でG7が開かれました。

 言い出しっぺはアメリカの様ですが、ほかの国も、G8が、成果なしと受け取られ、国内政治の不安定、株価下落による経済不安の促進という状況にまさに周章狼狽という事でしょうか。まずは不安定な現状の安定化に協力、為替の安定を演出し、株価の下落を防ごうと懸命になっている様子が垣間見えます。

 報道によれば、欧州側も、ユーロ問題に対して、責任を持ち、「事態の安定に向けて、スピード感を持って対応する」という点で一致したという事で、束の間の平穏は確保されるのかもしれません。

 日本にとって特筆すべきは、安住財務相が、欧州の対応を信頼を持って見守っていくと述べると同時に、日本経済について、株安・円高が与える悪影響を説明し、「為替市場の過度の変動や無秩序な動きは経済、金融の安定に悪影響を与える。為替市場の行動に関して、緊密に協議し、適切に協力する。」とした昨年9月のG7での為替に関する合意を共有して欲しいと要請をしたと報道されており、これに対しては、各国からは異論が出なかったということです。

 自分たちで決めたことですから異論が出ないのは当然ですが、日本が何も言わなければ、しれっとして円高に皺寄せして、知らぬふりというのが彼らの姿勢で、その上に、日本が単独介入すれば、「不快感を表明する」 といったのが実態ですから、あらゆる席で「日本は迷惑している」と表明する事が何よりも大事でしょう。

 為替市場は、円売り介入を恐れて、たちどころに円安に振れていますが、こうした発言がきっちりとなされたことは、先ずは「よかった」と思います。
 毎度書きますが、もともと落ち度があるのは、赤字を垂れ流し、改善努力を怠るアメリカであり、ギリシャであり、スペインなのですから、常に反省の必要を忠告することは必要なのです。

 これも以前から指摘していることですが、こうした問題の底の底には、生産性を超える賃金上昇(unit labor cost上昇の放置)という問題があるのです。それが、生産力を上回る支出増、つまり経常赤字国への転落、為替の不安定、経済活動への悪影響、さらには、投機的手法での赤字穴埋め指向とその失敗による金融不安(破たん)という連鎖です。
 議論がそこまで行き着くのにはまだまだ時間がかかるでしょう。