tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業・経済が成長できる形:その3 日本はどうする?

2012年06月02日 09時44分26秒 | 経済
企業・経済が成長できる形:その3 日本はどうする?
 前2回で見て来ましたように、「緊縮も成長も」と言っても、選挙を考えれば、結局、緊縮の方は甘くなり、援助資金は成長につぎ込む可能性が高く、多分消費刺激なんてことになって、コスト高の現実は容易に変わらないでしょう。

 市場はそれを読んで、ドルも下げ、ユーロはさらに下げて、円高だけが進んでいます。
 野田総理は、それがどういう事か解っているのでしょうかと3回前の「G8と日本の立場」で書きましたが、解っていれば、「それでは解決にならない」と一言ぐらい言うはずですから、やっぱり心配です。

 ギリシャからアメリカまでの赤字垂れ流し国がお互いに、我が儘な国民に迎合することになれば、矢張り今後も資金援助が必要で、その資金を出すのは、ドイツと日本です。ドイツ国民からは文句が出ていますが、日本人は我慢強いのか寛大なのか文句を言いません。

 しかも、ドイツの場合は、ユーロ安で得する面もあるのですが、日本は円高で損するだけで、一方的な被害者です。G8の合意では、日本だけが、100パーセント被害者なのです。
 野田総理は、にこにこと写真に納まって帰ってきましたが、もう少し渋い顔をすべきだったのではないでしょうか。

 ¥はまた、$1=¥80を切り上げて、企業も雇用も一層苦しくなり、大震災の負担も大きいのですが、当の野田総理は消費税増税に政治生命をかけると意気込んでいます。
 増税すれば、政府は収入が増え、赤字が減って、格好いいかもしれませんが、企業や国民は、円高で苦しめられた上に又増税で苦しめられることになります。

 政府は、増税で財政を健全化するのは国民のためと言いますが、財政を健全化すれば、それは更なる円高要因になって、企業を苦しめ、国民(みんな企業で働いているのです)は雇用悪化と賃下げに苦しみます。 それでも我慢して、節約し、経常黒字(対外支援の原資)を出し続けるのが、真面目な日本人の生活パターン なのです。

 本当に国民のためを思うのなら、G8の場で、各国に円高にならないような政策を、確り採ってくれと主張すること、つまり、きちんと緊縮財政をやって赤字垂れ流しを是正し、ドルやユーロの価値の安定を図るべきだ、そうしないと「日本ばかりがいつまでも円高で迷惑する」とはっきり発言するのが筋でしょう。

 もともと、赤字を垂れ流す国に落ち度があるわけで、黒字の国に依存するのはあくまでも便法だと内心は皆解っているのですが、何も言わないと、素知らぬ顔をするのが国際舞台ですから、自信を持って渋い顔で「忠告をする」することも大事だと思います。
黙ってにこにこしている場合ではないのです。

 書くことがだんだん過激になっていると自分でも解るのですが、$1=¥80が生命線と言ったからには、本気でやってくれないと日本経済が立ち行かなくなると憂えるからです。