tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トヨタ、裁量労働の拡張へ

2017年08月04日 13時31分35秒 | 労働
トヨタ、裁量労働の拡張へ
 政府が「高度プロフェッショナル」制度の導入を考える中で、トヨタが一足先に「裁量労働制の拡張の方向に動き出しました。

 技術職の係長クラス7800人が対象という事で、給与の水準は解りませんが、月45時間の分の残業手当相当分(17万円)を支給して、労働時間管理から外すという事のようです。 
 但し法律がありますから、それ以上の残業をしたら、追加分は払うという事を付け加えていますが、これは本来はオマケでしょう。

 こうした問題は、本来、法律で決めるよりも、労使交渉で、労使の納得ずくで実施していくことが自然だと考えていますが、日本を代表する企業の一つ、トヨタ自動車で、政府の政策に先んじて、新たな働き方を打ち出したことは、大変結構な事と思います。

 もともと経営者、管理者には労働時間制度は適用されません。理由は自分の意志で働いているからでしょう。上司のコントロールで仕事をしている人には「裁量」の余地はありません。拘束される労働には時間管理が必要でしょう。

 トヨタでは対象になる人たちでも、本人が希望しなければ従来通りの働き方で、希望する人には新制度を適用という考え方のようです。
 実はここのところが最も重要なところで、本人の希望と会社の意向が合致して、初めて制度がうまく生きてくることになるはずです。

 人は誰でも、自分のやりたいことをやっている時は楽しく、往々時を忘れます。研究開発などは、苦しい問題を一杯抱えても、その問題の解決、克服が、まさに自己実現というような場合も多いと思われます。

 そういう人には、時間管理などは邪魔でしょう。仕事場に寝袋を持ち込んででもやりたい、そうしてやったから出来たんだ、といった話も沢山あります。
 結局は、本人が仕事に対してどんな意識を持っているかで状況は全く変わってきます。

 さらに企業という場を考えますと、上司の態度が重要です、自主性を損なうような細かい指示をする上司か、「君の思うようにやってみろ」という上司かで、仕事への意欲・態度は大きく変わるでしょう。

 新しいアイデアが結実するまでには「発酵」期間が必要です。この期間は寝ても覚めても家に帰っても、アイデアを追い続けることになります。ニュートン万有引力を発見したのは実験室ではなく公園(作り話だそうですが)でした。

 こうしたものを法律や管理システムで処理しようというのは本来無理なのです。テーマを提示する人、その実現に取り組むエンジニアの組み合せや一体感のようなものが最も大事なはずです。

 法律は最低限の事しか決められません。大事なのは現場の労使関係、人間関係、そして本人の意識と能力でしょう。
 トヨタの場合。適用対象の技術者が、みんな45時間以下の残業で、研究開発の方はどんどん進むという事になれば、ベストの結果でしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。