tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

生産性向上の手段 その2

2008年07月26日 13時17分04秒 | 経営
生産性向上の手段 その2
 今年の5月に「生産性向上の手段 」というタイトルで、高度な設備を開発して使えば、汗水たらさなくても生産性は無限に上がるというメカニズムを説明させていただきました。私自身、これが生産性向上の最も基本的な問題だと思っています。

 しかし生産性にはもうひとつの側面があります。それは、その設備を使う人間のサイドの問題です。人間のサイドの問題としては、大きく分けて2つの点
 ①人間の能力の問題
 ②人間の気持ちの問題
があるように思います。

 ①の能力の問題は、自転車より軽トラを使えば生産性は格段に上がるが、運転できなければどうにもならないとか、最新のソフトが入った高性能のPCを入れても、使いこなせなければ生産性は上がらないといった状態のことです。
 ②の気持ちの問題というのは、軽トラがよく走るので、つい、配達の途中で寄り道をして桜や紅葉を見に行ってしまうとか、パソコンの調子がいいので、ついインターネットで余計なものを楽しんでしまって効率が上がらないといった状態でしょう。

 ①の問題の解決策は、「教育訓練」しかありません。設備の高度化は、必ずそれを使いこなすための教育訓練と平行しなければならないのですが、日本企業は、失われた10年の中で、教育訓練費を削りに削ったり、非正規雇用に任せたりしてきましたから、その咎めが出て、現場力が落ちて、単純ミスで大きなトラブルが起こり、生産性どころではないといったケースも出ます。

 ②の問題は、基本的には、企業内の人事管理の問題です。会社の経営理念、トップのリーダーシップが適切に伝達され、従業員に理解されているかが基本ですが、その鍵を握るのは部長、課長といった中間管理職です。社員が確り仕事をしようという気になるかどうかに最も影響を与えるのは「直属上司」の態度のようです。

 「あんな課長の下じゃ、仕事なんかやる気がしないよ」という部下の生産性は、「今度の課長はいいよ、仕事が楽しくなってきた」という部下の生産性の「多分5分の1」でしょう、などとよく言われます。

 人間の脳はホモサピエンスになってから進化していません。だから、論語や、聖書、般若心経がいつまでも読まれるのでしょう。しかし脳の活動は「動機付け」によって大きく変わります。
 この点で、管理職の生産性向上に対する大きな役割が出てきます。またこれは、管理職教育が重要であることの大きな理由でもあります。
 
 世界インフレの中で、逆境に負けず、日本経済のバイタリティーをさらに強化していくためにも、生産性向上における人間の側面にも、十分注意を払いたいものです。

 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿