tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカ経済に変調の兆し?

2024年07月03日 15時17分06秒 | 経済

コロナ不況からの回復以来、賃金インフレも経験しながらも一本調子で堅調を維持してきたアメリカ経済ですが、このところ変調の兆しが見えて来たのではないかという意見も出て来たようです。

今、アメリカ経済の先行指標としての主要な判断材料が雇用です。経済学の本来の見方では雇用というのは経済が良くなると、企業がそろそろ人を増やそうかと考えるという事で、景気の遅行指標ということになっているのです。

しかし今のアメリかでは、非農業の雇用者数をしらべて、これが増えるという事は、好況の先行指標という事になっています。

雇用を増やすのは、企業が売り上げを増やそうと考えているという事ですし、多くの企業が採用を増やしますと求人競争で賃金も上げなければなりません。

賃金を上げれば物価も上がりますし、企業にとっては物価が上がれば売り上げも増えるし、利益も増えるという見方になるのでしょう。

こうした見方になるのは、アメリカ経済が内需中心で、生産性が上がりにくい公務や医療、小売業やサービス業が経済を引っ張るという構図だからでしょいう。

日本のように、製造業が重要で、国際競争力が至上命題のような国では、まずコスト(人件費)削減、競争力強化、競争力がついたら、増産で雇用も増やすという国とは違います。

というわけで、アメリカではコロナ明けには求人競争になり、賃金も大幅に上がって、インフレ昂進、FRBが慌てて政策金利引き上げということになりました。

日本では、お蔭で円安になって、いろいろと困ったことが起きるというとばっちりを受けちます。

このアメリカの雇用に、何か翳りが出てきたのではないかという見方がこのところ出始めているようです。

というのは6月の失業率が4.0%と、5月の3.9から上昇に転じたことが一つの契機になっているようです。

アメリカのニュースの中には、雇用の現場で職探しの照会が多くなったとか、現材の仕事をやめて、新しいもっといい仕事に転職をしようという人が少なくなったといった状況が語られることが増えたといった情報聞かれるようです。

公式統計では、雇用の伸びは順調、賃金の伸びも堅調といったことのようで、FRBの政策金利引き引き下げは遅れるといった意見が一般的ですが、パウエルFRB議長が、労働市場は冷え込みつつあるという発言を(国際向けに)したこともあってか、好調な雇用情勢の継続に疑念を持つ向きも出つつあるようです。

公式に発表される統計資料で判断すべきか、現場から聞こえる声がさらにその先行指標なのか、ニュース、情報の判断は難しい所ですが、日本としては、まさに攻防両様の構えで備えをしなければならないのではないでしょうか。


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