tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府、単純労働受け入れへ方針転換

2018年11月03日 11時46分22秒 | 政治
政府、単純労働受け入れへ方針転換
 政府は昨日の閣議で従来の入管法の考え方を改め、単純労働者についても受け入れる方針を閣議決定たようです。

 具体的な中身は殆ど決まっていませんが、従来の基本的方針である高度な技術や知識を持つ人材に限って受け入れるという方針から、単純労働でも、一定の知識経験を必要とする業務について「特定技能1号」「特定技能2号」の2つの枠を設けて、「1号」は最長5年、家族帯同不可、「2号」は 期間更新可で、家族帯同可という事にするようです。

 目的は明らかで、現場の技能労働力不足が深刻な現状を何とか緩和したいという事でしょう。
 労働力不足の職場では、現に技能実習制度で研修生の受け入れが増加していますが、新たな在留資格を設けて、さらに受け入れが必要という職場の要請に応えようという事です。
 安倍さんは求人倍率が史上最高になったと繰り返していますが、それに応える必要が大きいと考えているようです。

 一方で与野党を問わず拙速は避けるべきといった意見もあるようですが、この問題は、基本的には(長期的、あるいは受け入れ枠などから見れば)、かなり難しい事が知られています。

 先ず最大の問題は、今は人手不足ですが、景気に翳りが出れば求人は急減するという可能性です。人間は品物の輸出入のように、簡単に出し入れできるものではありません。
 家族がいれば、帯同が望ましいのは当然ですが、仕事がなくなった時はどうなるのでしょうか。

 野党などからもすでに議論が出ていますように、移民を認めるのかどうかといった問題が絡んできます。政府は移民とは関係ないと言っているようですが、それは日本の事情だけの話で、職を求めて日本に来られる(特に家族帯同で)方には種々の事情があるでしょう。
 仕事がなくなったら「お帰り下さい」で済むとは考えにくいところです。

 外国労働力導入の先輩国はドイツですが、嘗て、多くの国々と契約を結び、労働力を受け入れました。圧倒的のトルコからが多かったのですが、経済情勢が変わって、帰って頂くのに、大変苦労して(コストもかけて)います。

 当時、ドイツの経営者団体の方から、労働需給は変動するものだという事と、受け入れる人たちは文化的の統合できる人たちであることが望ましい、といった2つの事を聞きました。

  現政権の入管法見直しへの急速な動きが、経済情勢を短期的にしか見ていない結果だという事は、誰の目にも明らかでしょう。今最も気を付けなければならないのは、人手不足解消策、日本としての都合だけで?という問題ではないかと思います。

 勿論、外国人労働力の受け入れは、技能実習は別として、内国民待遇が当然という事で企業にも、地方自治体にも相当の負担を強いるでしょう。
 大幅赤字の政府にはそれへのまともな支援は不可能でしょう。法律だけ変えればいいという問題ではありません。コスト負担もあります。その準備はあるのでしょうか。

 最後に文化的統合の問題が残ります。
 日本人というのは世界で最も多様なDNAを持っているようです。縄文1万余年をかけて 混血の純血化と言われる「日本人」が出来たのでしょう。
 この問題でも、短期間の対応を、日本人は改めて試されることになるかもしれません。

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